AGCは旧旭硝子です。2018年7月に社名を変更しました。
またAGCは世界最大手のガラスメーカーでもあります。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からAGCの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■投資判断基準:長期的に『強い買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し超長期的に6,000円(現状3,700円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 18年12月期の連結税引き前利益は前の期比12.2%増の1284億円、19年12月期は前期比8.1%減の1180億円に減るとの見通し。しかし同業のTOTOが20年は回復傾向であることから、AGCも20年は回復すると予測することができる。
■ 指標関連
▷ ここ数年ROEとROAが安定して増加基調。
▷ 予想PERは9.9 倍、予想PBRは0.67 倍とPERとPBRともに割安水準。
■ 競合比較
▷ 同業のTOTOは現在割高圏であること。また、AGCは世界一のガラスメーカーであることから、安定感・将来性・出遅れ感といった面を考慮し、AGCのほうが投資効率が高いと判断。
■ 株主還元策の動向:
▷ 前期の年間配当を110円→115円に増額、今期も前期比5円増の120円に増配するとしていること。
■ テクニカル分析
▷ テクニカル的に底打ち&買いサインが点灯していること。
Contents
AGC (旧:旭硝子)とは?
AGCは世界一のガラスメーカーです。ここではAGCの事業内容についてご紹介していきます。
ガラス事業
AGCでは建築物の断熱・遮熱や、結露・反射の防止など、環境負荷低減や快適性向上を追求した機能ガラス製品の開発・販売にも力を入れています。
結果的に世界市場でトップのシェアを保持しておりAGCの主力事業です。
エレクトロニクス事業
AGCでは自動車用ガラス事業でも、合わせガラスや強化ガラスなどの販売において世界トップレベルのシェアを保持しています。
化学品事業
AGCでは基礎化学品からフッ素系高機能化学品まで幅広い分野の製品を提供しています。
新規事業開拓
AGCではガラス、電子、化学品、セラミックスなどそれぞれの事業分野で培った多岐にわたる技術を融合して新規分野を開拓しています。
AGCの過去10年の業績推移(Profit and Loss)
ここではAGCの過去10年間の業績推移を見ていきます。

上記はAGCの過去10年間の業績推移です。
売上高は底打ちした2009年から1,148,198百万円~1,522,904百万円と狭い幅で推移していることから、ほぼ横ばいであるということができます。
比較して本業の成績を表す営業利益が売り上げと無関係に推移しています。
底打ちは2014年であり底打ち時期も売上高と異なっています。
また2014年から営業利益は回復傾向に向かっていますが、リーマンショック前の水準には程遠い状態であるといえます。
よって、AGCの業績は回復に向けての初期状況であるといえます。
2018年12月期決算分析
AGC が2月6日に発表した決算によると、18年12月期の連結税引き前利益は前の期比12.2%増の1284億円、
しかし19年12月期は前期比8.1%減の1180億円に減るとの見通しを公表しています。
配当に関しては、前期の年間配当を110円→115円に増額、今期も前期比5円増の120円に増配するとしています。
AGCのROEとROA
AGCのROEとROAの推移は営業利益に連動した動きになっています。

ROEは1.43%~15.25%で推移しています。
また2014年の底打ち後、日本の東証一部の平均値である8%を超えて推移したことがないため、現在は「回復中」であるということができます。
比較してROAですが0.76%で底打ち後は日本の東証一部の平均値である2%をしっかりと超えて推移しています。
安定感が出てきているといえるでしょう。
AGCの中期経営計画「AGC plus-2020」
AGCのグループビジョン「Look Beyond」
AGCのグループビジョンとして以下の二つを設定しています。
- AGC、いつも世界の大事な一部
- 独自の素材・ソリューションで、いつもどこかで世界中の人々の暮らしを支えます
AGCの中期経営計画「AGC plus-2020」
AGCは2025年のありたい姿と、それを実現するためにAGCでは中期経営計画「AGC plus-2020」を策定しています。
ⅰ.AGCの主要課題
・市況変動に強い高付加価値事業を伸ばす
・戦略事業の成長戦略を推進する
・成長地域・勝てる地域へ経営資源を集中する
・戦略的なM&Aにより持続的成長を図る
ⅱ.数値目標
2017年度実績 | 2025年目標 | |
営業利益 | 1,196億円 | 2,292億円以上 |
ROE | 6.1% | 10%以上 |
戦略事業利益貢献比率 | 10% | 40%以上 |
D/E | 0.38 | 0.5以下 |
営業利益で過去最高益更新との数値目標から、AGC事態も営業利益の回復が遅いことを懸念していることがわかります。
しかし2019年度の予測営業利益が1,250億円と数値が横ばいで推移している中、
2025年に営業利益を2,292億円以上にすることはかなりハードルの高い目標であるといえます。
今後は戦略事業の成長戦略が具体的にどのように推進していくのかが、
AGCの中期経営計画の達成に関して重要な課題であるといえます。
AGCのテクニカル分析
ここではAGCは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
AGCの過去10年の株価推移
上記はAGCの過去10年の株価推移です。

まず、日経平均株価に連動していないことを見て取ることができます。
これはAGCの業績が芳しくないことに要因があると考えられます。
AGCのテクニカル分析
AGCの長期相場では強い買いサインが点灯しています。

ⅰ.長期足で雲抜け
AGCの長期相場は雲(上値抵抗)を抜けたばかりで、買い初動の位置にあるといえます。
一般的に長期で雲を抜けた場合、その後数年間に及ぶ大相場を演じる銘柄が多くなっています。
ここは強気の逆張り「買い」で攻めたいところであるといえます。
ⅱ.底打ち感が強い株価推移
AGCはおよそ5年にもわたり、2,075円~4,215円の「レンジ相場」を演じています。
テクニカル的に、レンジの期間が長いほど、その後の株価推移が強くなりやすい傾向があります。
よって5年もの長期にわたり、しっかりとレンジ相場で底練りをしてきたAGCは今後強い相場推移をする可能性が高いといえます。
テクニカル的に、AGCは「強い買い」判断です。
押しは積極的に拾いたい銘柄であるといえます。
AGCの競合他社であるTOTO(5332)との比較
AGC(5201)を同業であるTOTO(5332)と比較検討していきます。
AGC | TOTO | |
PER | 9.9 倍 | 20.8 倍 |
PBR | 0.67 倍 | 2.02 倍 |
配当利回り | 3.43% | 2.22% |
ROE | 7.88% | 9.56% |
ROA | 4.01% | 5.63% |
PERはTOTOに比べて割安
日経平均株価の平均PER13~14倍ですので、AGCは割安、TOTOは割高であるといえます。
PBRは絶対値としても大幅に割安
日経平均株価の平均PBRは2倍ですので、PER同様PBRもAGCは割安、TOTOは割高であるといえます。
配当利回りも比較的高めの水準
AGCは3.43%と配当も高めの設定ですが、TOTOは2.22%とAGCよりも1%以上配当が低くなっています。
AGCに株主優待は存在せず
TOTOのみ、株主優待が設定されています。
優待内容は、株主優待商品の提供です。
決算予測を比較
ⅰ.AGC
18年12月期の連結税引き前利益は前の期比12.2%増の1284億円。
しかし19年12月期は前期比8.1%減の1180億円に減るとの見通し。
ⅱ.TOTO
19年3月期の連結経常利益は前の期比20.7%減の431億円、20年3月期は前期比6.7%増の460億円に伸びる見通し。
両社19年は減益です。TOTOの減益率が高くなっています。
20年はTOTOが増益予測。
AGCは会計時期が異なるため、まだ公表されていません。
競合他社比較総合
割安度、業績を加味し検討した結果、出遅れ感の高いAGCに投資妙味があるといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からAGCの今後の株価推移を分析してきました。
AGCはテクニカル的に「強い買い」判断です。
相場初動に投資できる絶好のチャンスといってよいでしょう。
ファンダメンタル的には少々物足りなさを感じるところでもあります。
しかしAGCは世界一のガラスメーカーであることを考えた場合、今後の業績回復にも十分期待が持てる企業であるといえるでしょう。
よって、長期上昇相場の「初動」に投資することができるAGCはテクニカル・ファンダメンタル両面から「買い」推奨できる銘柄であるといえます。
■投資判断基準:長期的に『強い買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し超長期的に6,000円(現状3,700円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 18年12月期の連結税引き前利益は前の期比12.2%増の1284億円、19年12月期は前期比8.1%減の1180億円に減るとの見通し。しかし同業のTOTOが20年は回復傾向であることから、AGCも20年は回復すると予測することができる。
■ 指標関連
▷ ここ数年ROEとROAが安定して増加基調。
▷ 予想PERは9.9 倍、予想PBRは0.67 倍とPERとPBRともに割安水準。
■ 競合比較
▷ 同業のTOTOは現在割高圏であること。また、AGCは世界一のガラスメーカーであることから、安定感・将来性・出遅れ感といった面を考慮し、AGCのほうが投資効率が高いと判断。
■ 株主還元策の動向:
▷ 前期の年間配当を110円→115円に増額、今期も前期比5円増の120円に増配するとしていること。
■ テクニカル分析
▷ テクニカル的に底打ち&買いサインが点灯していること。
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