アサヒグループホールディングスはビール類国内シェアトップを誇る総合酒類・飲料メーカーです。近年では積極的に海外にも進出しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からアサヒグループホールディングスの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■投資判断基準:長期「買い」
以下の点を総合的に勘案し長期的に「買い」と判断。目標株価8,000円。
■ テクニカルからの判断
▷ 2012年ブレイクを起こしており、買いトレンドに転換していること。
■ 業績見通し:
▷18年12月期の連結税引き前利益は前の期比5.2%増の2073億円。19年12月期も前期比3.2%増の2140億円と10期連続で過去最高益を更新する見通し。
■ 指標関連:
▷ ROEが毎年好調に上昇中。予想PBRは14.4 倍、予想PBRも1.96 倍と妥当水準。
■ 競合他社との比較:
▷ 競合と比較し、高配当で割安、業績もよい。
■ 株主還元策の動向:
▷ 9円増配。
Contents
【企業情報】アサヒグループホールディングスとは?
アサヒグループホールディングス株式会社はアサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などを傘下に持つ持株会社です。
2011年情勢の変化から、アサヒビール株式会社から純粋持株会社のアサヒグループホールディングスに移行しました。
≪アサヒグループホールディングスの主要企業≫
・アサヒビール
・ニッカウヰスキー
・なだ万
・アサヒ飲料
・アサヒグループ食品
・朝日啤酒(中国)投資有限公司
・北京啤酒朝日有限公司
・ロッテアサヒ酒類
・エーイーブランズコリア
・臺灣朝日啤酒股份有限公司
・バンコク事務所
・エチカビバレッジズ(マレーシア)
・アサヒロイヘイン(ミャンマー)
・アサヒホールディングスオーストラリア
・アサヒビールUSA
・インディペンデントディスティラーズカナダ
・アサヒヨーロッパ
・アサヒロジ
・アサヒビジネスソリューションズ
(引用:アサヒビール株式会社)
見てきたようにアサヒグループホールディングスは日本だけではなく、アメリカ・ヨーロッパ諸国、アジア諸国と様々な地域で活躍しています。
また、事業分野も酒類・飲料にとどまらず、IT企業や物流会社など多岐にわたっていることがわかります。
アサヒホールディングスの過去10年の業績推移(PL)
ここではアサヒグループホールディングスの過去10年間の業績推移を見ていきます。

アサヒグループホールディングスの売上高を見ていきましょう。2007~2011年まで売上高は横ばいで推移しています。
2012年に長い横ばい状態から、売上高が上昇に転じています。
これは2012年に味の素からカルピスの全株を取得しグループ化したことが原因と考えられます。
その後も売上高は順調に上昇トレンドに乗っています。
これはアサヒグループホールディングスが海外に進出したり、M&Aを積極的に行った結果であると考えられます。
次に本業の成績である営業利益を見ていきます。
営業利益は2015年にいったん減少に転じましたが、基本順調に推移していることがわかります。
よってアサヒグループホールディングスの業績は全く問題ないといえます。
アサヒHDの 2019年3月期決算分析
アサヒグループホールディングスが5月8日に発表した決算によると、
19年12月期第1四半期(1-3月)の連結税引き前利益は前年同期比0.2%減の220億円、1-6月期(上期)計画の854億円に対する進捗率は25.8%と公表しています。
しかしアサヒグループホールディングスは毎年第1四半期(1-3月)の利益は低い傾向にあるので、特別問題ない数値であるといえます。
また2月14日に発表した決算では、18年12月期の連結税引き前利益は前の期比5.2%増の2073億円、19年12月期も前期比3.2%増の2140億円と10期連続で過去最高益を更新する見通しと公表しています。
また配当に関しては、前期の年間配当を90円→99円に増額し、今期も前期比7円増の106円に増配するとしています。
アサヒグループホールディングスのROEとROA
上記は過去10年のアサヒグループホールディングスのROEとROAの推移です。

2007年~2013年にかけて「横ばい」、その後はROEとROAも順調に上向きで推移しています。
ROEとROAも日本の東証一部の平均値以上で推移しているため、好調であるといえます。
アサヒグループホールディングスの「第8次中期経営計画」(2018年度〜2020年度)
業績が絶好調のアサヒグループホールディングスはどのような「中期経営方針」を打ち出しているのでしょうか。
アサヒグループホールディングスの「中期経営方針」における3本柱
アサヒグループHDは中期経営方針として3本の柱を設定しています。
- 高付加価値化や収益構造改革による「稼ぐ力の強化」
- 新たな成長源泉の拡大に向けた「経営資源の高度化」
- 持続的な価値創造プロセスを支える「ESGへの取組み深化」
業績が絶好調なことに胡坐をかかず、攻めの姿勢を貫くアサヒグループホールディングスの「中期経営方針」は好感が持てます。
定量的な目標
3年程度を想定した目標値 | 2017年実績 | 2018年の現状 | |
売上収益 | 主力事業の安定成長-事業再構築+新規M&A | 20,849億円 | 21,202億円 |
事業利益 | CAGR:一桁台半ば~後半 | 1,964億円 | 2,073億円 |
ROE | 13%以上 | 13.70 | 13.18% |
上記のように、「中期経営方針」の数値目標に向けて、順調に推移しています。
アサヒグループホールディングスのテクニカル分析
ここではアサヒグループホールディングスは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
アサヒグループホールディングスの過去10年の株価推移
下記はアサヒグループホールディングスの過去10年の株価推移です。

2012年に業績の改善から、株価がブレイク。その後きれいな上昇トレンドを形成しています。
アサヒグループホールディングスの現状把握
ⅰ.月足からの考察
現在、美しい上昇トレンドを継続中です。

下のMACDをご覧ください。多くの銘柄がダイバージェンスを起こし天井サインを出している中、アサヒグループホールディングスはしっかりとした推移をしています。
長期トレンド継続中との判断ができます
ⅱ.週足からの考察
下記はアサヒグループホールディングスの週足チャートです。
週足は3か月~1年間の株価推移を判断するときに使います。

現在、完全に雲(上値抵抗、ピンクの部分)に抑え込まれています。
また今後雲は4,500円~5,050円付近で分厚くなることが見て取れます。よって、しばらくは弱含みで株価が推移すると考えられます。
テクニカルから見たアサヒグループホールディングス
週足から中期「様子見」。月足から長期「買い」の判断です。
押しは積極的に拾っていってよいでしょう。
アサヒグループHDの競合他社比較
アサヒグループホールディングス(8304)を同業である日本ハム(2282)、キリンホールディングス(2503)、味の素(2802)とキッコーマン(2802)と明治ホールディングス(2269)と比較検討していきます。
アサヒGH | 日本ハム | キリンH | 味の素 | キッコーマン | 明治H | |
予想PER | 14.4 倍 | 24.4 倍 | 32.9 倍 | 20.3 倍 | 32.2 倍 | 16.4 倍 |
PBR | 1.96 倍 | 1.13 倍 | 2.43 倍 | 1.66 倍 | 3.26 倍 | 2.09 倍 |
予想配当利回り | 2.22% | 2.05% | 2.68% | 1.73% | 0.93% | 1.84% |
ROE | 13.18% | 4.88% | 17.92% | 4.86% | 9.79% | 11.73% |
ROA | 4.91% | 2.64% | 7.13% | 2.13% | 7.18% | 6.16% |
PERとPBRを比較
PERでは全社、日経平均株価のPERの平均13~14倍を上回って「買われすぎ」の水準です。
中でもアサヒグループホールディングスは14倍と適正値を保っていることがわかります。
PBRはキッコーマン、キリンホールディングス、明治ホールディングスは日経平均株価の平均値2倍を上回っており割高水準です。
PERとPBRから食品セクター全般が買われすぎ傾向であることがわかります。
配当利回り
PERとPBRから割高水準まで買われているため、食品セクターの利回りは全般的に低くなってしまっています。
株主優待
食品セクターだけあって、全社株主優待が設定されています。
自社製品の詰め合わせor自社サービスの提供です。内容はほぼ横並びといった感じになっています。
決算予測
ⅰ.アサヒグループホールディングス
18年12月期の連結税引き前利益は前の期比5.2%増の2073億円、19年12月期も前期比3.2%増の2140億円との見通し。
ⅱ.日本ハム
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比42.7%減の302億円、20年3月期も前期比14.1%減の260億円に減る見通し。
ⅲ.キリンホールディングス
19年12月期第1四半期(1-3月)の連結営業損益は297億円の赤字に転落。
また非開示だった通期の連結営業利益は前期比46.9%減の1054億円に落ち込む見通し。
ⅳ.味の素
19年3月期の連結最終利益は前の期比50.6%減の296億円。
20年3月期は前期比68.4%増の500億円に回復する見通し。
ⅴ.キッコーマン
19年3月期の連結経常利益は前の期比5.4%増の379億円、20年3月期も前期比2.6%増の389億円に伸びる見通し。
ⅵ.明治ホールディングス
19年3月期の連結経常利益は前の期比4.0%増の997億円、20年3月期も前期比9.3%増の1090億円に伸びる見通し。
食品セクターでも減益決算を出す企業が増えてきています。
中でもアサヒグループホールディングスの好業績が光るところです。
競合他社比較総合
割安度、業績などから考えて、アサヒグループホールディングス一択といえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からアサヒグループホールディングスの今後の株価推移を分析してきました。
アサヒグループホールディングスはテクニカル的・ファンダメンタル両面で素晴らしい企業だと判断することができます。
よって投資判断は長期的に「買い」判断です。
積極的に下値は拾っていきましょう。
■投資判断基準:長期「買い」
以下の点を総合的に勘案し長期的に「買い」と判断。目標株価8,000円。
■ テクニカルからの判断
▷ 2012年ブレイクを起こしており、買いトレンドに転換していること。
■ 業績見通し:
▷18年12月期の連結税引き前利益は前の期比5.2%増の2073億円。19年12月期も前期比3.2%増の2140億円と10期連続で過去最高益を更新する見通し。
■ 指標関連:
▷ ROEが毎年好調に上昇中。予想PBRは14.4 倍、予想PBRも1.96 倍と妥当水準。
■ 競合他社との比較:
▷ 競合と比較し、高配当で割安、業績もよい。
■ 株主還元策の動向:
▷ 9円増配。
以上、【2502】10期連続最高益更新と業績堅調のアサヒグループホールディングス(2502)の株価を予想する。…でした。
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