「サイバーエージェント」は、インターネットサービスを展開するIT企業。
近年ではネット広告代理業だけではなく、ゲームやAbemaTVの運営も行っています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からサイバーエージェントの今後の株価推移を分析していきます。
■ 投資判断基準:投資対象外
▷ 以下の点を総合的に勘案し、サイバーエージェントは中期「様子見」と分析。
■ 業績見通し:
▷ 18年9月期の連結経常利益は前の期比0.6%減の285億円。
▷ 19年9月期は前期比1.5%増の290億円に伸びる見通しと成長に陰りがみられること。
■ 競合他社比較:
▷ 主力事業であるインターネット広告事業は順調であるが、AbemaTVに関しては不透明感が高いこと。
■ テクニカル的な判断:
▷ 中期的に雲(上値抵抗)があり、テクニカル的に中期での株価の上昇が難しいこと。
Contents
平成のベンチャーの雄『サイバーエージェント』とは?
ここでは急成長を遂げたIT企業であるサイバーエージェントの業務内容を見ていきたいと思います。
①:メディア
多彩なコンテンツを提供する動画サービス「AbemaTV」、国内最大級のブログサービス「アメブロなどの多彩なサービスを提供しています。
②:インターネット広告
インターネット広告はサイバーエージェント創業来の事業であり、国内トップシェアを誇っています。
③:ゲーム
主力タイトル8本を含む約50本のスマートフォン向けゲームを提供しています。
④:スタートアップ
インターネットに関連する幅広い領域で新しいサービスを提供しています。
サイバーエージェントの過去10年の業績推移(PL)
ここではサイバーエージェントの過去10年間の業績推移を見ていきます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
2007/09 | 76,007 | 5,501 | 5,143 | 2,016 |
2008/09 | 87,097 | 4,629 | 4,507 | 1,030 |
2009/09 | 93,897 | 4,483 | 4,347 | 1,268 |
2010/09 | 96,650 | 9,337 | 9,225 | 5,493 |
2011/09 | 119,578 | 14,349 | 14,114 | 7,323 |
2012/09 | 141,111 | 17,410 | 17,146 | 8,522 |
2013/09 | 162,493 | 10,318 | 10,570 | 10,504 |
2014/09 | 205,234 | 22,220 | 22,188 | 9,556 |
2015/09 | 254,381 | 32,747 | 32,314 | 14,792 |
2016/09 | 310,665 | 36,790 | 35,341 | 13,612 |
2017/09 | 371,362 | 30,700 | 28,741 | 4,024 |
2018/09 | 419,512 | 30,163 | 28,565 | 4,849 |
2019/09予 | 440,000 | 20,000 | 19,000 | 2,000 |

サイバーエージェントの業績はまさに「成長企業」らしい、右肩上がりの業績の推移になっています。
売上高は2007年の76,007百万円から2018年の419,512百万円とおよそ10年で5倍以上に増加しています。
また、本業の成績を示す営業利益ですが、こちらもおよそ10年で6倍ほどに増加していますが、2016年を天井として近年は減少傾向にあります。
よってサイバーエージェントの業績は天井を打った可能性があるといわざるを得ません。
サイバーエージェントが10月25日に最新の決算を発表しました。
18年9月期の連結経常利益は前の期比0.6%減の285億円、
19年9月期は前期比1.5%増の290億円に伸びる見通しであるとしています。
また配当に関しては、今期の年間配当は前期比1円増の33円に増配するとしています。
サイバーエージェントのROEとROA
サイバーエージェントのROEとROAは2013年を天井に悪化していることがわかります。
決算期 | ROE | ROA |
2007/09 | 6.47% | 4.10% |
2008/09 | 4.25% | 1.64% |
2009/09 | 4.93% | 1.88% |
2010/09 | 18.22% | 6.56% |
2011/09 | 19.87% | 6.56% |
2012/09 | 20.40% | 6.25% |
2013/09 | 23.04% | 12.90% |
2014/09 | 17.52% | 9.50% |
2015/09 | 22.17% | 11.28% |
2016/09 | 17.65% | 8.69% |
2017/09 | 5.10% | 2.45% |
2018/09 | 5.95% | 2.14% |
2019/09予 | 2.55% | 0.89% |

ROEは2013年に23.04%を付けてから下降。2017年からは5%台と東証一部の平均値である8%を割って推移しています。
またROAもROE同様2013年に12.90%を付けてから下降。2017年からは2%台と東証一部の平均値あたりで推移しています。
よって、サイバーエージェントのROEとROAは悪化しており、いまだに底が見えない状況であるといえます。
サイバーエージェントの業績は天井圏ではないのか?
絶好調に右肩あがりの成長を続けるサイバーエージェント。
しかし同業であるヤフーやディー・エヌ・エーにも天井があったように、どこかでサイバーエージェントにも天井が訪れます。
ここではサイバーエージェントの業績に将来性はあるのか?を検討していきたいと思います。
業績からの分析
本業の成績を表す営業利益は2016年に36,790百万円を付けてから減り続けています。
2019年9月期の予測営業利益は20,000百万円と4年で4割ほども減ることになります。
また、サイバーエージェントが公表している最新の決算によると、
19年9月期第2四半期の連結最終利益は前年同期比74.4%減の10.8億円に大きく落ち込み、通期計画の20億円に対する進捗率は5年平均の70.9%を下回る54.4%にとどまるとしています。
また、成長企業では業績の頭打ちの前にROEとROAが先に悪化する傾向があります。
サイバーエージェントのROEとROAは2013年を天井に悪化を続けていることからも業績面での天井懸念を疑わざるを得ません。
セグメント別の分析
サイバーエージェントのセグメント別の成績を見ると、足を引っ張っているのはAbemaTVであることがわかります。
投資資本が比較的少なくて済むインターネットサービスで、200億円をこえる投資は多額すぎたのではないでしょうか?
サイバーエージェントでは「先行投資」としていますが、投資金額が年々増加していることからAbemaTVは失敗の感が否めない事業であるといえます。
サイバーエージェントの主力事業は?
上記はサイバーエージェントの主力事業であるインターネット広告事業の業績です。
右肩上がりに業績が向上していることがわかります。

特筆すべきはサイバーエージェントは他のインターネット企業が業績を悪化させる原因となった、スマートフォンへの移行を逆に強みとしている点です。
よって、サイバーエージェントの主力事業は今後も好調に推移すると考えられます。
ポイントはAbemaTV
サイバーエージェントは主力事業が右肩上がりのため、今後も成長していく可能性が高いといえます。
しかし、多額の資本を投資したAbemaTVが足を引っ張ってしまっているといえます。
今後AbemaTVは収益の柱になるor撤退することがサイバーエージェントの業績のカギになると考えられます。
サイバーエージェントのファンダメンタル分析総合
サイバーエージェントの業績は今だ発展途上であるといえます。
現在は踊り場である可能性も否定できません。
しかし、業績の足を引っ張っているAbemaTVの将来性が不透明である今は「様子見」が無難であると考えます。
サイバーエージェントのテクニカル分析
ここではサイバーエージェントは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
サイバーエージェントの過去10年の株価推移
下図はサイバーエージェントの過去10年間の株価推移です。
成長企業らしいボラの高く美しい上昇波動を形成しているということができます。

サイバーエージェントのテクニカル分析

ⅰ.トレンドライン割れ?
上記の緑の部分ですが髭で下値のトレンドラインをいったん割り込んでいます。
今後上昇していくトレンドラインを割ることなく推移できれば問題はありません。
現在は微妙な位置に株価が存在しているといえます。
ⅱ.MACDは問題なし
MACDはダイバージェンスを起こすことなく健全に推移しています。
ⅲ.天井サインが出ていない
サイバーエージェントのチャートはなんらかの天井サインは発生していません。
また、出来高も安定しているため、天井感を感じることはできません。
テクニカルから見たサイバーエージェント
上図は中期の相場を見るための週足チャートです。

2019年5月の変化日に雲(上値抵抗)に株価が押し込められていることがわかります。
よって、中期では「様子見」が無難であることがわかります。
サイバーエージェントの競合他社比較
サイバーエージェント(4751)を同業である東京ドーム(9681)、ヤフー(4689)、セコム(9735)と比較検討していきます。
サイバーA | 東京ドーム | ヤフー | セコム | |
PER | 263.2 倍 | 16.4 倍 | 20.1 倍 | 24.4 倍 |
PBR | 6.70 倍 | 0.96 倍 | 1.94 倍 | 2.04 倍 |
配当利回り | 0.79% | 1.13% | 2.83% | 1.83% |
ROE | 5.95% | 6.82% | 9.61% | 9.24% |
ROA | 2.14% | 2.32% | 3.24% | 5.21% |
①:PER
日経平均株価の平均PERは13~14倍です。
セクターで買われすぎの状態であるといえます。
②:PBR
日経平均株価の平均PBRは2倍です。
よってサイバーエージェントは買われすぎヤフーとセコムは平均並み、東京ドームは割安であるといえます。
③:配当利回り
ヤフーの2.83%は平均並みですが、他企業は配当が低めに設定されているといえます。
④:株主優待
東京ドームとセコムは株主優待が設定されています。
ⅰ.東京ドーム
A 東京ドーム株主優待得10チケット
B 東京ドーム500円優待券
C 野球株主証
a 巨人戦指定席C 2枚 又は 日本ハム戦指定席1枚
b 巨人戦指定席B 2枚 又は 日本ハム戦指定席1枚
c 巨人戦指定席A 2枚 又は 日本ハム戦指定席1枚
D 株主限定通信販売利用 3,000円分
E 株主限定通信販売利用 6,000円分
500株以上 | A 10ポイント B 6枚 |
2,000株以上 | A 20ポイント B 6枚 C a計8試合 |
5,000株以上 | A 20ポイント B 12枚 C a計8試合 |
10,000株以上 | A 30ポイント B 24枚 C a計8試合 |
30,000株以上 | A 30ポイント B 30枚 C a計8試合 |
*Cは保有年数による加算制度あり
ⅱ.セコム
以下のいづれかひとつのサービスに利用できる優待券
- 換気扇(レンジフード)とキッチンの専門清掃サービス(10,000円割引)
- 防災用品セット(「セコム・スーパーレスキュー」プラス)(10,000円割引)
- ネットバンキングの不正送金防止サービス(「セコム・プレミアムネット」が1年間無料
⑤:決算予測
ⅰ.サイバーエージェント
18年9月期の連結経常利益は前の期比0.6%減の285億円、19年9月期は前期比1.5%増の290億円に伸びる見通し。
ⅱ.東京ドーム
19年1月期の連結経常利益は前の期比3.4%増の104億円、20年1月期は前期比0.9%増の105億円との見通し。
ⅲ.ヤフー
19年3月期の連結最終利益は前の期比40.0%減の786億円、20年3月期は前期比4.2%増の820億円に伸びる見通し。
ⅳ.セコム
19年3月期の連結経常利益は前の期比0.4%増の1448億円、20年3月期は前期比4.8%減の1380億円に減る見通し。
⑥:競合他社比較総合
業績が安定しないセクターですが、増配を発表しているセコムが一歩リードしているといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からサイバーエージェントの今後の株価推移を分析してきました。
サイバーエージェントはファンダメンタル的にもテクニカル的にも現在は「様子見」です。
中期で買い場を探りつつ、長期投資で購入するタイミングを計っていきたい銘柄といえます。
■ 投資判断基準:投資対象外
▷ 以下の点を総合的に勘案し、サイバーエージェントは中期「様子見」と分析。
■ 業績見通し:
▷ 18年9月期の連結経常利益は前の期比0.6%減の285億円。
▷ 19年9月期は前期比1.5%増の290億円に伸びる見通しと成長に陰りがみられること。
■ 競合他社比較:
▷ 主力事業であるインターネット広告事業は順調であるが、AbemaTVに関しては不透明感が高いこと。
■ テクニカル的な判断:
▷ 中期的に雲(上値抵抗)があり、テクニカル的に中期での株価の上昇が難しいこと。
以上、【4751】株価が暴落したサイバーエージェントの今後の見通しは安泰?業績推移とテクニカル面を含めて分析。…でした。
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