「ファーストリテイリング」は世界第3位のSPA(アパレル製造小売業)企業。
UNIQLOやGUといったブランドを中心に取り扱っています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から、ファーストリテイリングの今後の株価推移を分析していきます。
■投資判断基準:強い『買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し長期的に95,000円(現状66,000円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 18年8月期の連結税引き前利益は前の期比25.5%増の2426億円。
▷ 19年8月期も前期比11.3%増の2700億円に伸びる見通しであること。
■ 指標関連:
▷ ROEもROAも東証一部上場企業平均を割ったことのない安定感。
▷ 予想PERは39.7倍、予想PBRは6.81 倍とともに割高水準。
▷ しかしファーストリテイリングは成長株であるため、割高気味に推移するのが一般的であり、問題なしと判断。
■ 競合他社との比較:
▷ 中期経営計画の新規収益分野で成功を収めることができた場合、業績が飛躍的に向上する可能性を秘めている。
■ 株主還元策の動向:
▷ 前期の年間配当を400円→440円に増額、今期も前期比40円増の480円に増配。
Contents
ファーストリテイリングとは?
ファーストリテイリングは世界第3位のSPAです。またユニクロやジーユーを傘下に持つ持ち株会社でもあります。
ファーストリテイリングの主力取り扱いブランド
ファーストリテイリングの取り扱いブランドは以下となります。
- ユニクロ
- ジーユー
- セオリー
- コントワー・デ・コトニエ
- プリンセスタム・タム
- J Brand
ファーストリテイリングの中核はユニクロです。
ユニクロは日本のアパレル市場の6.5%のシェアを占めています。
また近年では低価格でおしゃれなブランドであるジーユーが成功し、ファーストリテイリングの第2の柱になっています。
ファーストリテイリングの世界展開
ファーストリテイリングは日本だけなく、イギリス、中国、韓国などにも進出しています。
現在の店舗数は国内827店舗、海外1,241店舗でとなっており、海外の店舗数が国内の店舗数を上回っています。
また海外事業の売上高はユニクロ事業全体の約51%を占めるまでに成長しています。
成長を続けるファーストリテイリング
下記はファーストリテイリングの売上高と店舗数の推移です。
まさに右肩上がりの成長を35年以上も続けていることがわかります。
しかし、驚異的な業績推移ですね。改めてユニクロの快進撃に驚かされます。
ファーストリテイリングの過去10年の業績推移(PL)
ここでは世界を代表するSPAである、ファーストリテイリングの過去10年間の業績推移を見ていきます。

上記はファーストリテイリングの過去10年間の業績推移です。売上高がきれいな右肩上がりに増加していることがわかります。
また本業の成績を表す営業利益ですが、2016年にいったん大きく落ち込んでいます。
その後V字回復を遂げ、再度上昇気流に乗っていることもわかります。
よって、ファーストリテイリングの業績に関しては「問題なし」であるといってよいでしょう。
FRの2018年8月期決算分析
ファーストリテイリングが10月11日に発表した決算によると、
18年8月期の連結税引き前利益は前の期比25.5%増の2426億円、
19年8月期も前期比11.3%増の2700億円に伸びを見込み3期連続で過去最高益を更新する見通しであると公表しています。
また配当は前期の年間配当を400円→440円に増額し、今期も前期比40円増の480円に増配するとしています。
ファーストリテイリングのROEとROA
下記はファーストリテイリングの過去10年間のROEとROAの推移です。

ROEとROAも営業利益同様、2016年に落ち込みを見せています。
しかし、営業利益はV字回復しているのと比較し、ROEとROAの戻りが悪い点が気になるところです。
ただしファーストリテイリングのROEとROAは、日本の東証一部の平均値を割ることなく推移しているため、順調に推移しているといってよいでしょう。
ファーストリテイリングの中期経営計画
それでは中長期的な経営の先行きをみるためにファーストリテイリングの中期経営計画をみていきたいと思います。
中期経営計画の4つの柱
中期経営計画としてファーストリテイリングは4つの柱を定めています。
- 経営課題を解決するための働き方改革
- 精緻なグローバル販売計画
- グローバルの戦略商品とマーケティング戦略
- リアルとバーチャルの融合
この中でも「リアルとバーチャルの融合」が新戦略として目につくポイントになっています。
具体的には、店舗とECをつなげた販売活動を行っていくことです。
この取り組みが成功したら、ファーストリテイリングはもう一段階企業として成長していけると考えます。
数値目標
ファーストリテイリングは2017年度の売上収益1兆5,400億円を5年後に2倍にするという目標を掲げています。
目標を達成することができれば、現在買われすぎの域にあるPERを妥当水準まで下げることができます。
ファーストリテイリングのテクニカル分析
ここではファーストリテイリングは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
ファーストリテイリングの過去10年の株価推移
下記はファーストリテイリングの過去10年の株価推移です。

ファーストリテイリングが日経平均株価に連動しやすい銘柄であることを見て取ることができます。
今回の上昇で2015年の61,970円を上回りました。
今後どこまで上昇できるのかがファーストリテイリングのトレンドにとって重要であると考えられます。
現状ではダイバージェンスを起こしてしまう位置だからです。
ファーストリテイリングのテクニカル分析

ファーストリテイリングの株価は変化日で大きく雲を上抜けし、まさに「青天井」になっています。
最も勢いのある株価推移といえます。

ファーストリテイリングの株価はきれいにボリンジャーバンドに沿って推移していることがわかります。
このまま1σ~2σで上下しつつ、トレンドを形成していくものと推測されます。
またファーストリテイリングの株価は見ての通り、ボリンジャーバンドとの相性が抜群です。
よって、ファーストリテイリングを売買する際は、ボリンジャーバンドをうまく活用していきましょう。
ファーストリテイリングはテクニカル的に「買い」です。押しは積極的に拾っていきたい場面です。
ファーストリテイリングの競合他社比較
ファーストリテイリング(9983)を同業である高島屋(8233)、三越伊勢丹ホールディングス(3099)とイオン(8267)と比較検討していきます。
ファーストリテ | 高島屋 | 三越伊勢丹H | イオン | |
PER | 39.7 倍 | 10.0 倍 | 25.4 倍 | 63.4 倍 |
PBR | 6.81 倍 | 0.45 倍 | 0.62 倍 | 1.45 倍 |
配当利回 | 0.75% | 2.09% | 1.32% | 1.91% |
ROE | 17.94% | 3.70% | 2.34% | 2.16% |
ROA | 7.92% | 1.53% | 1.08% | 0.24% |
PERは期待の大きさの表れで高い
日経平均株価の平均PER13~14倍ですので、セクター的に割高傾向だといえます。
高島屋のみ10倍台と割安です。
PBRでみても割高
日経平均株価の平均PBRは2倍です。ファーストリテイリングは6.81 倍と割高であるといえます。
またセクター的には割安傾向であるといえます。
配当利回りは低いが新規投資のために妥当か
配当利回りはファーストリテイリングの0.75%~高島屋の2.09%とセクター的に低い傾向があるといえます。
特にファーストリテイリングは利益拡大のために新規に投資する余地が大きいため配当金は出しにくいのです。
利益を伸ばした方が結果的に株主還元になりますので妥当といえるでしょう。
ファーストリテイリングは株主優待は存在しない
ファーストリテイリングのみ株主優待が存在しません。
高島屋と三越伊勢丹とイオンは株主優待を設定しています。
ⅰ.高島屋
10%割引の株主カードが配布されます。
100株の場合利用上限が30万円、500株以上保有している場合は利用限度額なしで利用することができます。
ⅱ.三越伊勢丹ホールディングス
10%割引の株主カードが配布されます。利用限度額は以下になります。
≪株主カードの利用限度額≫
保有株式数 | 利用限度額 |
100株以上 | 3万円 |
300株以上 | 4万円 |
500株以上 | 5万円 |
1,000株以上 | 10万円 |
3,000株以上 | 15万円 |
5,000株以上 | 20万円 |
10,000株以上 | 30万円 |
ⅲ.イオン
・株主優待カードの配布。
≪株主優待カードの割引率≫
保有株式数 | 割引率 |
100株以上 | 3% |
500株以上 | 4% |
1,000株以上 | 5% |
3,000株以上 | 7% |
・イオンギフトカードの配布(年1回)
保有株式数 | イオンギフトカードの金額 |
1,000株以上 | 2,000円 |
2,000株以上 | 4,000円 |
3,000株以上 | 6,000円 |
5,000株以上 | 10,000円 |
各社の決算予測
ⅰ ファーストリテイリング
18年8月期の連結税引き前利益は前の期比25.5%増の2426億円、19年8月期も前期比11.3%増の2700億円に伸びる見通し。
ⅱ 高島屋
19年2月期の連結経常利益は前の期比19.1%減の312億円、20年2月期も前期比7.2%減の290億円に減る見通し。
ⅲ 三越伊勢丹ホールディングス
19年3月期の連結経常利益は前の期比17.1%増の319億円、20年3月期は前期比6.2%減の300億円に減る見通し。
ⅳ イオン
19年2月期の連結経常利益は前の期比0.6%増の2151億円、20年2月期も前期比2.3%増の2200億円に伸びる見通し。
競合他社比較総合
割安度と株主優待から、高島屋にお買い得感があります。
しかしファーストリテイリングは低配当・優待なしと成長株としての側面が強い銘柄であるため、キャピタルゲイン目的で購入すべき銘柄といえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からファーストリテイリングの今後の株価推移を分析してきました。
ファーストリテイリングは現在割安感は乏しいもののテクニカル・ファンダメンタル両面から「買い」です。
押しはしっかりと狙っていきたいところです。
■投資判断基準:強い『買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し長期的に95,000円(現状66,000円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 18年8月期の連結税引き前利益は前の期比25.5%増の2426億円。
▷ 19年8月期も前期比11.3%増の2700億円に伸びる見通しであること。
■ 指標関連:
▷ ROEもROAも東証一部上場企業平均を割ったことのない安定感。
▷ 予想PERは39.7倍、予想PBRは6.81 倍とともに割高水準。
▷ しかしファーストリテイリングは成長株であるため、割高気味に推移するのが一般的であり、問題なしと判断。
■ 競合他社との比較:
▷ 中期経営計画の新規収益分野で成功を収めることができた場合、業績が飛躍的に向上する可能性を秘めている。
■ 株主還元策の動向:
▷ 前期の年間配当を400円→440円に増額、今期も前期比40円増の480円に増配。
以上、【9983】ユニクロを運営し業績急拡大のファーストリテイリングの株価をテクニカル分析を含めて予想する…でした。
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