【3086】大丸と松坂屋を統合した持株会社『J. フロント リテイリング』の今後の株価推移は期待できない?

J.フロント リテイリング(3086)の株価・業績推移と見通し

J. フロント リテイリング」は2007年に大丸と松坂屋を統合して作った持株会社。

傘下にはパルコなどが属しています。

 

今回はファンダメンタルとテクニカル両面から、J.フロント リテイリングの今後の株価推移を分析していきたいと思います。

 

■ 投資判断基準:「売り」

▷ 以下の点を総合的に勘案し J.フロント リテイリングは「売り」と予想。

■ 業績見通し:

▷ 19年2月期の連結税引き前利益は前の期比12.7%減の421億円、20年2月期は前期比8.0%増の455億円に伸びるとの見通しと業績に不安定感があること。

■ 指標関連:

▷ ROEに安定感がないこと。

▷ 予想PER 10.6 倍、予想PBRは0.72倍でともに割安水準であるが、これは人気がないため物色されないことから割安水準になっていると推測されること。

■ 他社との比較:

▷ 業績ならセブンアンドアイホールディングス、割安度なら高島屋と同業と比較して、投資効率が劣っていること。

■ テクニカル的な判断:

▷ すべての足で強い上値抵抗があり、株価の上昇が困難であること。

 

 

【企業情報】J. フロント リテイリングとは?

J.フロント リテイリングは「大丸松坂屋百貨店」や「パルコ」などを傘下に持つ持株会社です。

ここではJ.フロント リテイリングの業務内容をご紹介していきます。

J.フロント リテリングのポートフォリオ

J.フロント リテイリング

 

①:百貨店事業

J.フロント リテイリングの主力事業は百貨店経営事業です。

全国主要都市に「大丸」「松坂屋」を16店展開しています。企業の売上収益の59.8%を占めています。

 

②:パルコ事業

ショッピングセンター「パルコ」を18店展開しています。

企業の売上収益の19.4%を占めています。

 

③:不動産事業

J.フロント リテイリングでは2017年から新たにGINZA SIX、上野フロンティアタワーなどを含めた「不動産事業」を独立させています。

 

④:その他事業

J.フロント リテイリングではクレジット金融事業、建装事業、人材派遣業、卸売業なども展開しています。

 

J.フロント リテイリングの過去10年の業績推移(PL)

ここでは日本を代表する百貨店である、J. フロント リテイリングの過去10年間の業績推移を見ていきます。

J. フロント リテイリング

上記はJ.フロント リテイリングの過去10年間の業績推移です。

J.フロント リテイリングの売上高は2017年に半減以下になっています。

理由は売上高をセグメント別に分析した結果、大きな変動が見られなかったため、国際会計基準(IFRS)に2017年に移行したからであると考えられます。

比較して、本業を表す営業利益は2010年を底として横ばい気味に推移しているといえます。

 

J.フロント リテイリングが4月9日に決算を発表しました。

19年2月期の連結税引き前利益は前の期比12.7%減の421億円、20年2月期は前期比8.0%増の455億円に伸びるとの見通しを公表しています。

また配当に関しては、今期の年間配当は前期比1円増の36円に増配するとしています。

 

J. フロント リテイリングのROEとROA

J.フロント リテイリングのROEとROAは2014年に天井を付けて以来ほぼ横ばいで推移していることがわかります。

J. フロント リテイリングのROEとROA

 

ROEは2014年に日本の東証一部の平均値である8%を超える8.53%を付けただけで、その後も平均以下で推移しています。

またROAは2016年以降は日本の東証一部の平均値である2%を超えて推移しているため、安定感が出てきているといえます。

 

J.フロント リテイリングの「2017〜2021年度中期経営計画」

J. フロント リテイリングの中期経営計画

J. フロント リテイリング

 

①:不動産事業の強化および新規事業領域の拡大

J.フロント リテイリングでは2017年から「不動産事業」を新設しています。

グループの営業利益の9割近くを占める百貨店事業とパルコ事業のシェアを7割程度にし、他の事業割合の比率を高めていくことを目標にしています。

 

②:数値目標

2021年度に向けて、連結営業利益を560億円、連結営業利益率を10%、ROEは8%に向上させる予定です。

2019年度の決算から分析すると、残念ながら達成は困難な数値であると考えます。

 

J. フロント リテイリングのテクニカル分析

ここではJ.フロント リテイリングは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。

J.フロント リテイリングの過去10年の株価推移

底打ち時期や天井の時期から、J.フロント リテイリングの株価は業績連動型ではないようです。

J. フロント リテイリングの月足チャート

 

しかし、日経平均株価に連動した動きでもありません。

また長期的な波動に関しても、明確な波動が出ているとはいえず、レンジ相場であるということができます。

 

J.フロント リテイリングのテクニカル分析

2018年9月の変化日に雲(上値抵抗)の下に押し込められてしまいました。

またこの雲はいまからさらに厚くなっていくため、テクニカル的には「売り」であるといえます。

J. フロント リテイリングのテクニカル分析

 

J. フロント リテイリングの競合他社比較

J.フロント リテイリング(3086)を同業である丸井グループ(8252)、イオン(8267)、

三越伊勢丹ホールディングス(3099)、高島屋(8233)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)と比較検討していきます。

 

Jフロント丸井グループイオン三越伊勢丹H高島屋セブン&アイH
予想PER10.6 倍17.9 倍63.2 倍25.0 倍10.1 倍15.4 倍
PBR0.72 倍1.73 倍1.44 倍0.61 倍0.45 倍1.29 倍
配当利回り3.17%2.52%1.92%1.34%2.09%2.59%
ROE6.63%8.90%2.16%2.34%3.70%8.05%
ROA2.66%2.85%0.24%1.08%1.53%3.50%

 

 

PERとPBRはセクターの中では割安

高島屋とJ.フロント リテイリングは日経平均株価の平均PER13~14倍と比較して割安ですが、他企業は割高であるといえます。

日経平均株価の平均PBRは2倍です。

よって小売セクターは割安であるということができますが、J. フロント リテイリングは特に割安水準となっています。

 

配当利回りは比較的高い

配当利回りは三越伊勢丹ホールディングスの1.34%からJ.フロント リテイリングの3.17%と幅が出ています。

 

セクター全体として株主優待は順調

小売セクターは配当が低めに設定されている代わりに、株主優待が豪華になっている傾向があります。

セブン&アイ・ホールディングスのみ株主優待が設定されていません。

ⅰ. J.フロント リテイリング

a お買い物ご優待カード

J.フロント リテイリンググループ百貨店でのお買い物につき、10%割引。

≪年間利用限度額≫

100株以上継続保有 3年未満:50万円       

3年以上:150万円

500株以上継続保有 3年未満:100万円       

3年以上:200万円

1,000株以上継続保有 3年未満:200万円       

3年以上:300万円

2,000株以上以後1,000株ごとに100万円ずつ加算
4,000株以上継続保有 3年未満:500万円       

3年以上:600万円

 

b パルコお買い物優待券

100株以上保有で2月の優待権利日には4,000円相当、2月の優待権利日には2,000円相当のパルコお買い物優待券がもらえます。

 

ⅱ.丸井グループ

保有株式数買物券 (1枚:1,000円相当)Webクーポンエポスポイント(1,000ポイント:1,000円相当)*
100株以上1,000円分1,000円分1,000ポイント
500株以上2,000円分2,000円分2,000円分
1,000株以上3,000円分3,000円分3,000円分
5,000株以上4,000円分4,000円分4,000円分
10,000株以上5,000円分5,000円分5,000円分

 

*エポスゴールド/エポスプラチナカードの場合、エポスポイントを2倍分もらうことができます。

 

ⅲ.イオン

・株主優待カードの配布。

≪株主優待カードの割引率≫

保有株式数割引率
100株以上3%
500株以上4%
1,000株以上5%
3,000株以上7%

 

・イオンギフトカードの配布(年1回)

保有株式数イオンギフトカードの金額
1,000株以上2,000円
2,000株以上4,000円
3,000株以上6,000円
5,000株以上10,000円

 

ⅳ.三越伊勢丹ホールディングス

10%割引の株主カードが配布されます。利用限度額は以下になります。

≪株主カードの利用限度額≫

保有株式数利用限度額
100株以上3万円
300株以上4万円
500株以上5万円
1,000株以上10万円
3,000株以上15万円
5,000株以上20万円
10,000株以上30万円

 

ⅴ.高島屋

株主優待カード(10%割引)。100株保有で利用限度額が30万円、500株保有で利用限度額が無制限です。

また優待カードを提示することで、各店の有料文化催に3名迄無料で入場することができます。

 

決算予測を比較

ⅰ. J.フロント リテイリング

19年2月期の連結税引き前利益は前の期比12.7%減の421億円、20年2月期は前期比8.0%増の455億円に伸びるとの見通し。

 

ⅱ.丸井グループ

19年3月期の連結経常利益は前の期比13.2%増の397億円、20年3月期も前期比9.3%増の435億円に伸びる見通し。

 

ⅲ.イオン

19年2月期の連結経常利益は前の期比0.6%増の2151億円、20年2月期も前期比2.3%増の2200億円に伸びる見通し。

 

ⅳ.三越伊勢丹ホールディングス

19年3月期の連結経常利益は前の期比17.1%増の319億円、20年3月期は前期比6.2%減の300億円に減る見通し。

 

ⅴ.高島屋

9年2月期の連結経常利益は前の期比19.1%減の312億円、20年2月期も前期比7.2%減の290億円に減る見通し。

 

ⅵ.セブン&アイ・ホールディングス

19年2月期の連結経常利益は前の期比4.0%増の4065億円、20年2月期も前期比2.0%増の4145億円に伸びる見通し。

 

競合他社比較総合

割安度と株主優待から、J.フロント リテイリングにお買い得感があります。

業績と割安感を考えた場合、9期連続で過去最高益を更新しているセブン&アイ・ホールディングスも投資対象として魅力があるといえます。

 

まとめ

今回はファンダメンタルとテクニカル両面からJ.フロント リテイリングの今後の株価推移を分析してきました。

ファンダメンタル的に不透明感が高く、テクニカル的にも上値抵抗が強いJ.フロント リテイリングは「売り」であると判断することができます。

 

■ 投資判断基準:売り

▷ 以下の点を総合的に勘案し J.フロント リテイリングは「売り」と予想。

■ 業績見通し:

▷ 19年2月期の連結税引き前利益は前の期比12.7%減の421億円、20年2月期は前期比8.0%増の455億円に伸びるとの見通しと業績に不安定感があること。

■ 指標関連:

▷ ROEに安定感がないこと。

▷ 予想PER 10.6 倍、予想PBRは0.72倍でともに割安水準であるが、これは人気がないため物色されないことから割安水準になっていると推測されること。

■ 他社との比較:

▷ 業績ならセブンアンドアイホールディングス、割安度なら高島屋と同業と比較して、投資効率が劣っていること。

■ テクニカル的な判断:

▷ すべての足で強い上値抵抗があり、株価の上昇が困難であること。

 

 

以上、【3086】大丸と松坂屋を統合した持株会社『J. フロント リテイリング』の今後の株価推移は期待できない?…でした。

 

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2019.09.16



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