富士フィルムホールディングス(4901)の業績推移と株価見通し!本業堅調で割安感があり今後に期待。

富士フィルムホールディングス(4901)の業績推移と株価見通し!本業堅調で割安感があり今後に期待。

今回は国内の化学メーカーの大手の「富士フィルムホールディングス(以下富士フイルムHD)」を分析します。

 

■ 投資判断:買い

以下の点を総合的に判断し、今期予想PERと予想EPS(1利あたり利益)から2020年3月期には5,680円~6,816円が妥当水準と予想。

■ 業績見通し:

▷成長事業のヘルスケア&マテリアルソリューションがけん引役となり、ドキュメント事業の構造改革効果で業績拡大が見込める。

■ 過去10年の業績推移:

▷事業構造の変革進み、各利益は右肩上がりの傾向。

■ ROEとROA:

▷利益率上昇と共に改善はしているが、欧米や国内の平均との比較では今だ低い水準。

■ 投資指標分析:

▷EPS(1株あたり利益)は着実に上昇。BPS(1株あたり純資産)も高水準なことから予想PER、PBRに割高感はない。

■ 競合他社比較:

▷競合他社との比較では配当利回りは見劣りするが、ROEの改善余地から値上がり益に期待。

 

会社概要と3つの事業分野

写真フィルムの国産化からスタートした富士フイルムHDは、デジカメやスマホなどの台頭により写真フイルムの売上が激減しました。

そこでフイルム加工の技術を生かし、現在は幅広い分野での事業展開を行なっています。

事業分野は大きく3つに分けられております。

  • 祖業の写真やカメラなどを扱う「イメージング」ソリューション
  • 医療IT機器やヘルスケア関連・印刷・液晶材料などを扱う「ヘルスケア&マテリアル」ソリューション
  • コピー機や複合機などを扱う「ドキュメント」ソリューション

イメージングソリューション

祖業の写真やカメラなどを扱う「イメージング」ソリューション

(引用:富士フイルムHD・個人投資家説明会資料)

 

「イメージング」ソリューションではデジタルカメラやインスタントカメラの「チェキ」、テレビカメラ用のレンズなどを扱っています。

特に「チェキ」は海外で若年層向けに人気が高く、米国のテイラー・スウィフトさんによるプロモーション効果などもあり、昨年は販売数が年間1,000万台を超えました。

利益率も高く収益の柱のひとつとなっています。

医療IT機器・ヘルスケア関連

次に「ヘルスケア&マテリアルズ」ソリューションについて見てみます。

ここは大きくヘルスケアと高機能材料に分かれています。

 

ヘルスケア関連ではメディカルシステム事業が成長しています。

医療用ITシステムや内視鏡、超音波画像診断装置など世界シェアの高い製品が多くあり、売り上げに貢献しています。

 

また、バイオ医薬品の市場の広がりにより、バイオ医薬品の受託製造も順調です。

高機能材料関連では液晶ディスプレイのフィルムの材料や半導体などに使われる電子材料といった産業で必要不可欠な製品が多くこちらも収益に貢献しています。

医療IT機器・ヘルスケア関連

(引用:富士フイルムHD・個人投資家説明会資料)

医療IT機器・ヘルスケア関連

(引用:富士フイルムHD・個人投資家説明会資料)

 

「ドキュメント」ソリューション

最後にドキュメントソリューションです。

「ドキュメント」ソリューション

(引用:富士フイルムHD・個人投資家説明会資料)

 

オフィス向けの複合機やレーザープリンターなどを取り扱っています。

こちらは富士ゼロックスのブランド名で日本・中国・東南アジア・オセアニアをターゲットエリアとしています。

世界的にもペーパーレス化が進む中で市場の縮小が続いていましたが、近年では低採算の分野のリストラを進めており、リストラ効果により収益性が上がって来ています。

過去10年の業績推移

過去10年の「売上高」「営業利益」「経常利益」「純利益」の推移をグラフにしています。

富士フィルムPL

 

売上高は2008年3月期をピークに伸び悩みが続きました。

この間はコピー機や複合機などの「ドキュメント」ソリューションがペーパーレス化などによって需要が伸び悩んだことなどが背景となっています。

一方営業利益以下の各利益は「イメージング」ソリューションや「ヘルスケア&マテリアル」ソリューションが成長したことや「ドキュメント」ソリューションの構造改革が進んだことにより右肩上がりとなっています。

2019年3月期の決算のポイント

前期2019年3月期の決算説明会資料を見てみましょう。

2019年3月期の決算のポイント

(引用:2019年3月期決算説明p3)

 

前期は売上高が前年比で▲0.1%とほぼ横ばいでした。純利益は同▲1.8%とわずかながら減少しましたが、営業利益は同+70.1%増と大きな伸びとなり過去最高益でした。

これは「ヘルスケア&マテリアル」ソリューションで医療用のITシステムやバイオ医薬品の受託製造などが好調だったことや「ドキュメント」ソリューションの構造改革の効果によるものです。

純利益が前年んと変わらない水準となっているのは前年の株高の影響で富士フィルムの持株の評価益が500億円程計上されていたことに起因しています。

以下は富士フィルムの昨年度と今年度の決算の比較です。

富士フィルムの決算

富士フィルムの決算短信

 

純利益こそ横ばいでしたが、本業の収益力の改善は素直に喜ばしいですね。

富士フイルムHDのROEとROA

富士フイルムHDの経営効率を計る指標であるROEとROAについてついて見ていきます。

【ROE・ROAとは?】「自己資本利益率」と「総資産利益率」の計算方法と投資判断の基準・目安をわかりやすく解説。

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2018年12月20日

以下に過去10年の富士フイルムHDのROEとROAを掲載しています。

富士フィルムROE・ROA

おおむねROEは-2%~7%で推移しています。ROAは▲1%~4%となります。

2010年以降は事業構造の変革により、ROE、ROAともに少しずつ伸びてきています。

ただ、国内の東証1部の平均はROEが8%、ROAが2%程度で推移しています。

少しずつ上昇トレンドとはなっていますが、前期2019年3月期時点でもROEは6.8%となっており、市場平均のROE8%からすると低い水準です。

また欧米の平均ROE10%も下回っています。

投資指標分析

富士フィルム株価

(引用:Yahooファイナンス「富士フィルム株価」)

 

富士フイルムHDの10年間の株価の推移を見てみましょう。

2012年に1,000円台の安値を付けたあとは2013年からのアベノミクス相場により市場全体も上昇しましたが、富士フイルムHDの株価も上昇しました。

2015年に5,000円を超えたのち、いったんもみ合いとなりましたが、2018年に入りまた5,000円を超えてきています。

 

これを投資指標から分析してみましょう。

まず、EPS(1株あたり利益)とBPS(1株純資産)を見てみます。

EPS(1株あたり利益)は企業の純利益を発行済み株式数で割り算した1株あたりの純利益です。

株価は1株あたり利益(EPS)×予想PERに分解することが出来ます。

利益面から株価の割高、割安を計る指標が予想PERです。

PERは株価収益率といい、1株の利益の何年分まで買われているか人気を示す投資指標です。

PER(株価収益率)/PBR(株価純資産倍率)とは?概要とその適正値(及び目安)をわかりやすく解説。

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2019年2月8日

グラフのように富士フイルムHDの1株あたり利益(EPS)は先ほど見たように純利益の増加により右肩上がりとなっています。

1株あたり利益(EPS)の増加により株価が上昇する良いサイクルが続いていることがわかります。

富士フィルムEPS BPS

 

過去3年間の予想PERを見てみると約13倍から18倍程度で推移しています。

平均値は約15倍となります。

 

日経平均の過去3年の予想PERはおおむね13倍~16倍程度で動いていましたので、市場平均と比べると利益面での割高、割安さはほぼ平均並みとなってることがわかります。

 

次に会社の純資産から見た指標分析です。

株主のお金である会社の純資産を1株あたりに直したものがBPS(1株純資産)です。

先ほどのグラフでBPSの推移を見てみるとおおむね4,000円から5,000円超で推移していることがわかります。

過去10年で富士フイルムHDの純利益が赤字となったのは、2010年3月期の1回だけであり、純資産は増加傾向となっています。

株価をこのBPS(1株純資産)で割り算した投資指標がPBR(株価純資産倍率)です。

過去3年のPBRを見てみると0.8倍から1.1倍の間で推移しています。

 

日経平均の直近のPBRは約1.1倍なので市場平均なみですが、世界各国の株価指数に比べると日経平均のPBRは割安感があります。

そのため、富士フイルムHDに関しても資産面からは割安であると判断できると思います。

競合他社比較

比較的事業領域が似ている同業他社と富士フイルムHDを比較してみます。

対象はニコンとキヤノンです。どちらもカメラメーカーとしても有名です。

富士フィルムニコンキャノン
株価(2019/5時点)5,389.0 円1,547.0 円3,177.0 円
売買単位100 株100 株100 株
時価総額27,733 億円6,202 億円42,374 億円
市場東証1部東証1部東証1部
決算期2020/03 (12か月)2020/03 (12か月)2019/12 (12か月)
会計基準SECIFRSSEC
株主優待ありなしなし
予想PER14.2 倍14.6 倍17.2 倍
PBR1.08 倍1.00 倍1.24 倍
予想配当利回り1.76%3.88%- %
実績配当利回り1.48%3.88%5.04%
ROE6.78%10.80%8.94%
ROA4.04%5.86%5.16%
自己資本比率59.70%54.30%57.70%

 

ただ、各社ともスマホの台頭で市場の縮小が続いており、ビジネスの変革を迫られています。

 

各指標を比較するとまずは配当利回りで差が出ています。

実績配当利回りを比較するとキヤノンが5.04%、ニコンが3.88%、富士フイルムHDが1.48%となっており、2社に比べてると配当利回りでは魅力が劣ります。

株主から見た経営効率を表すROEで比較するとニコンが10.8%、キヤノンが8.94%で富士フイルムHDが6.78%と見劣りします。

ただ、自己資本比率は3社ともほぼ同じ水準です。

財務の健全度が同じ水準であれば、今後収益性が改善した場合に伸び代があるともとらえることが出来ます。

そのため値上がり益を狙う投資としては富士フイルムHDは悪くない選択であるといえるでしょう。

まとめ・株価見通し

今期の会社の業績見通しから妥当株価を計算します。

2019年3月期決算説明会資料P14を見てみましょう。

2019年3月期決算説明会資料P14

(引用:富士フィルム2019年3月期決算説明会資料)

 

今期はヘルスケアやドキュメントの各ソリューションを中心に増益となり、過去最高益更新の見通しとなっています。

今期の予想1株あたり利益(EPS)は378.7円です。

これに予想PERの過去3年の平均15倍を掛け算すると5,680円となります。

 

また過去3年の予想PERの最大値18倍で計算すると6,816円となります。

2019年5月24日の終値が5317円ですので、7%~28%の上昇期待余地があると考えることが出来ます。

 

■ 投資判断:買い

以下の点を総合的に判断し、今期予想PERと予想EPS(1利あたり利益)から2020年3月期には5,680円~6,816円が妥当水準と予想。

■ 業績見通し:

▷成長事業のヘルスケア&マテリアルソリューションが牽引役となり、ドキュメント事業の構造改革効果で業績拡大が見込める。

■ 過去10年の業績推移:

▷事業構造の変革進み、各利益は右肩上がりの傾向。

■ ROEとROA:

▷利益率上昇と共に改善はしているが、欧米や国内の平均との比較では今だ低い水準。

■ 投資指標分析:

▷EPS(1株あたり利益)は着実に上昇。

▷BPS(1株あたり純資産)も高水準なことから予想PER、PBRに割高感はない。

■ 競合他社比較:

▷競合他社との比較では配当利回りは見劣りするが、ROEの改善余地から値上がり益に期待。

 

 

以上、富士フイルムホールディングス(4901)の会社概要、業績推移と見通し。割安感と成長事業に期待の話題でした。

 

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。