【6702】富士通の株価の上昇理由とは?業績見通しから今後の推移を予想する!

富士通の株価を予想

2018年度から大きく不採算事業を圧縮し始めた「富士通株式会社」(以下:富士通)。

2019年3月期の決算報告では業績が小幅に悪化しました。

 

実質はビジネスモデルの変革費用がかさんでいるだけで先行投資と捉えるものが多いです。

今回は、今後のビジネスの生産性を高めようと試みている富士通の銘柄としての投資有効性を分析していきます。

 

■ 投資判断基準:「買い」

▷以下の点を総合的に勘案し2022年に8000円(現在7555円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷向こう3年以内に不採算事業の圧縮による利益率の向上が顕在化する見通し。

▷銘柄としてはやや割高だが、利益率が高まり始めると割安圏に入るので、そのタイミングでの投資が有効。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷やや悪化気味、当期純利益の落ち込みが主因。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷割高。

■ 競合他社比較:

▷積極的に先行投資をしている点が、長期的なビジネスを視野に入れていると伺え、短期的にはそこが強み。

■ 株主還元策の動向

▷配当利回りは高くも低くもなく、配当目的の投資は魅力的ではない。

 

 

富士通(6702)ってどんな会社?

創業は1923年で、古河電気工業と独シーメンス社が発電機と電動機を日本で開発するために「富士電機製造株式会社」の名で設立されました。

 

東証一部上場の国内大手電気機器メーカーで、本社は東京都港区の汐留にあります。

 

主な事業は、インフラやIAサーバー、ソフトウェアを開発する「テクノロジーソリューション」、携帯電話やパソコンを開発する「ユビキタスソリューション」、LSIや電子部品を開発する「デバイスソリューション」の3事業からなります。

 

現在の社長は田中達也氏で、時価総額は約1兆5639億円(2019年6月17日現在)です。

 

富士通の業績推移

それでは重要な富士通の業績について紐解いていきましょう。

富士通の過去10年の業績推移

まずは過去13年の『売上高』と『営業利益』『経常利益』『当期純利益』について見ていきます。

決算期売上高営業利益経常利益当期利益
2007/035,100,163182,088147,288102,415
2008/035,330,865204,989162,82448,107
2009/034,692,99168,77215,052-112,388
2010/034,679,51994,37371,14693,085
2011/034,528,405132,594107,88555,092
2012/034,467,574105,30491,11642,707
2013/034,381,72895,278105,439-72,913
2014/034,762,445142,567140,67048,610
2015/03 I4,753,210178,628198,864140,024
2016/03 I4,739,294120,612131,82286,763
2017/03 I4,509,694128,861135,14788,489
2018/03 I4,098,379182,489242,488169,340
2019/03 I3,952,437130,227161,785104,562
2020/03予 I3,750,000130,000105,000

 

富士通の業績推移

図1

 

図1より、直近の業績は落ち込でいて、長期的には回復基調にあることが分かります。

実際に株価も底打ちをしてから長期的に上昇してきています。

富士通の株価の推移

 

次に事業ごとの業績を見ていきます。

テクノロジーソリューション

 

テクノロジーソリューションの売上高推移

図1-2

 

図1-2より、直近の売上高はソリューションSIの好調を受けて前年度比2.5%の増収でした。

営業利益については1,879億円と前年度の1,893億円から0.8%の減益となっています。

しかし2019年3月期は約ビジネスモデル変革費用が390億円かかっているため、本業ベースでは大きく増益しています。

 

特に、テクノロジーソリューションの売上高を牽引したサービス部門の「ソリューション/SI」では売上高11,071億円と過去最高益となっています。

サービス部門の「インフラサービス」と合わせた本業ベース(ビジネスモデル変革費用226億円を除く)では1,966億円の過去最高益となっています(図1-2-1を参照)。

ソリューションSIの売上高推移

図1-2-1

 

ユビキタスソリューション

ユビキタスソリューション事業とデバイスソリューション事業の売上高推移

図1-3

図1-3より、ユビキタスソリューション(パソコン、携帯電話を製造)では直近の売上高が前年度比23.2%減収しました。

ぞの要因はドイツの製造工場の廃止を中心に事業再編により1,600億円のコストがかかったためです。

上記の影響を除くと前年並みの売上高となっています。

 

デバイスソリューション

図1-3より、デバイスソリューションの直近の売上高は前年度比13%の減収になっています。

減収の主因はデバイスソリューション事業の1つ「LSI」にあります。

富士通のデバイスソリューションの売上高推移

図1-3-1

図1-3-1より、LSIの直近の売上高は前年度比25.0%減収しています。

しかし、これは同社の半導体販売会社・電子部品会社が2018年第4四半期から連結対象外となったことが原因です。

デバイスソリューションの13%の減収はLSIの一時的な減収を除けば実質4%の減収と考えられます。

事業の業績考察

ユビキタスソリューションの低迷を除けば、不採算事業の圧縮に取り組んでいる中で前年度の営業利益を横ばい(あるいは上昇)に転じているので全体として好調な業績と考えられます。

不採算事業の圧縮といった先行投資が2019年には結果として現れる可能性が高いです。

 

富士通の経営効率をROAとROEから考察

ここではROAとROEについて見ていきましょう。

富士通のROAと同社の過去ROA平均と競合他社と比較

現在の富士通のROAが、同社における過去(直近7年分)のROA平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

富士通のROAと過去平均との乖離

図2

 

図2より同社のROAは長期的に平均的な水準にあることが分かります。

次は、同業他社とのROAを見ていきます。

富士通のROAを同業他社比較

図2-1-1

 

図2-1-1より、同業他社と比較すると同社のROAは高いとは言えず、結果としてROAから見る同社の資本効率は「普通」です。

 

富士通のROEと同社の過去ROE平均と競合他社と比較

現在(2019年6月初め時点)の富士通のROEが同社における過去(直近7年分)のROE平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

富士通のROEと過去平均ROEとの比較

図2-2

 

図2-2より、同社の修正ROEは長期的に落ち込んでいて、悪化気味と言えます。

原因として、直近の修正ROEの前年度比が約40.7%の下落であったのに対し、同時期の当期純利益の前年度比が約38.3%の減少であったため資本効率の低下は当期純利益の減少が主因であると考えられます。

では次は、同業他社の修正ROEを見ていきます。

 

富士通のROEの競合他社比較

図2-2-1

 

図2-2-1より、同業他社と比較すると同社の修正ROEは高くも低くもない水準にあります。

結果として、修正ROEからみる同社の資本効率は現状で「やや悪化気味」といえます。

富士通の株価は割安なのか?

株式投資をするときの鉄則は「安く買って高く売る(高く売って安く買い戻す)」ということですが、実際その銘柄が高いのか安いのか判断していく必要があります。

ここではPERとPBRに着目して検討していきたいと思います。

 富士通のPER推移と過去PER平均との比較

まず現在の富士通のPERが、同社における過去(直近7年分)のPER平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

富士通のPERと過去平均との乖離

図3-1

 

図3-1より、PERは予想ベースで直近から横ばいとなっていてその要因が同社の予想当期純利益が横ばいであるからです。

業績水準から予2019年度の当期純利益は予想を上回ると考えられるので現在の水準は割高(株価が一定であると想定)であると言えます。

 

富士通のPERを同業他社と比較

次に同業他社と富士通のPERを比較していきます。

富士通と同業他社のPER推移を比較

図3-2

 

図3-2より、同業他社と比較するとPERは平均的な水準にあり特に割安という感じではありません。

結論としてPERから見る相場観は「やや割高」となります。

 

 富士通のPBR推移と過去PBR平均との比較

まず現在の富士通のPBRが、同社における過去(直近7年分)のPBR平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

富士通PBRの推移と過去平均との比較

図3-3

図3-3より、同社のPBRは長期的に平均的であると言えます。

同業他社とのPBR比較

次に同業他社と富士通のPBRを比較していきます。

同業他社とのPBR比較

図3-4

 

図3-4より、同業他社と比較するとPBRは平均的な水準にあり特に割安という感じではありません。

結論としてPBRから見る相場観は「中立」となります。

 

競合他社と比較して低い配当金利回り

ここでは配当金について考えていきます。

まず富士通の配当利回りは同業他社の中でどのくらいの位置づけなのでしょうか。

富士通の配当利回りの比較

図4

 

図4-1より、配当利回りは高くも低くもない状態です。

2020年3月期の予想も横ばいです。配当目的での投資は魅力的ではないでしょう。

 

まとめ

3年以内に不採算事業の圧縮による利益率の向上が顕在化する見通しです。

利益上昇により株価水準は割安となることが見込まれるので有効な投資先となるでしょう。

 

 

 

■ 投資判断基準:「買い」

▷以下の点を総合的に勘案し2022年に8000円(現在7555円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷向こう3年以内に不採算事業の圧縮による利益率の向上が顕在化する見通し。

▷銘柄としてはやや割高だが、利益率が高まり始めると割安圏に入るので、そのタイミングでの投資が有効。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷やや悪化気味、当期純利益の落ち込みが主因。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷割高。

■ 競合他社比較:

▷積極的に先行投資をしている点が、長期的なビジネスを視野に入れていると伺え、短期的にはそこが強み。

■ 株主還元策の動向

▷配当利回りは高くも低くもなく、配当目的の投資は魅力的ではない。

 

 

以上、【6702】富士通の株価の上昇理由とは?業績見通しから今後の推移を予想する!..でした。

 

 

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2019.09.13



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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。