【6501】新たな事業拡大を目論む日立製作所の株価推移を予想する!国内最大手電気メーカーの今後に迫る。

日立製作所 株価 予想

電気機業界で売上高1位の「日立製作所」(以下:日立)。

東京証券取引所1部上場銘柄の中から特に時価総額や流動性の高い30銘柄で構成されたTOPIXcore30の構成銘柄の1つです。

 

国内最大手の電気機メーカーなので今後の動向は特に注視したいところです。

 

今回、特に同社として注目すべき点は、空気圧縮機の製造・販売を手がける米国子会社Sullair社の買収とIoTプラットフォーム「Lumada」のローンチ・拡大です。

 

このコンテンツでは、業界最大手の日立がリーディングカンパニーとして新ビジネスでどこまでファンダメンタルを期待できるのかを分析していきます。

 

■ 投資判断基準:「様子見」

▷以下の点を総合的に勘案し2020年に3700円(現在4005円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷インダストリーとITの主要事業から長期的にかなり収益が向上すると予測。

▷しかし、それらの投資や事業の行方によっては短期的に株価が押し下げられると考えられる。

▷従い、予想PERから短期的な株価の下落を予測。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

ROE・ROA両指標とも経営効率はやや悪化気味。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷ 割安ですが業界内でPERやPBRの低下がみられるため、同社だけが特別低いというわけではない。

■ 競合他社比較:

▷2021年の中期経営計画よりインダストリーや、ITへの重点的な投資を行うこと。

▷上記に加え、IT事業に関してはモビリティにも参入するという幅広い事業の展開がみられる。

▷長期的にはかなりの成長が見込まれる。

■ 株主還元策の動向

▷配当利回りは高くも低くもなく、配当目的の投資は魅力的ではない。

 

 

日立(6501)ってどんな会社?

創業は1910年で、日本の十五大財閥の一つである日産コンツェルン(鮎川財閥)が日立鉱山で使用する機械の修理製造部門が国内初の5馬力誘導電動機を開発したのが起源です。

創業者は小平浪平で現在の社長は東原敏昭です。

キャッチコピーは世界不思議発見の宣伝でも有名な「Inspire the Next」です。

部門は情報・通信システム、社会・産業システム、電子装置・システム、建設機器、高機能材料、オートモーティブシステム、生活・エコシステムの8部門で構成されています。

 

同社の特徴は高い技術で「技術の日立」と言われており創業者小平浪平以来、社長は技術出身者です。

技術が高い一方「マーケティングが弱い」と言われる側面もあります。

 

現在の時価総額は約3兆8739億円(2019年6月14日現在)です。

 

日立の業績推移は横ばいだが海外進出は順調に進んでいる

まずは過去13年の『売上高』と『営業利益』『経常利益』『当期純利益』について見ていきます。

日立の過去10年の業績推移

図1

 

図1より、売上高は横ばいですが、本業での利益を示す営業利益は直近で小幅ながら上昇しています。

売上高の特徴として国内と国外の売上高が50%ずつになっている点です。

 

日本国内の売上高の構成比率

図1-2

 

図1-2より直近で売上高構成比率は国外の方が大きくなりました。

日立の海外売上の地域別推移

図1-3

 

図1-3より、2015年3月期以降北米での売上高比率が大きくなり現在では海外売上51%の中で13%が北米での売り上げになっています。

 

2021年中期経営計画

2021年中期経営計画ではインダストリーとITを中心に重点投資を行うとのことですのでその2つについてみていきましょう。

Sullair買収(インダストリー)

2018年6月同社は米国Sullair社と共同で「AIなどの先進デジタル技術を活用し、さまざまな産業機械の最適な修理作業を自動提案するシステム」を開発することを表明しました。

このシステムは、「幅広い産業機械メーカーの修理サービスビジネスをトータルでサポートする」ものです。

更に、サルエアー社が提供する空気圧縮機の遠隔モニタリングサービスから収集したリアルタイムの機械の状態データと本システムを連携させています。

「故障の予兆を捉えるシステムの開発も行い、追加機能として、メーカーの予防保全を支援するサービス」を提供することも計画しています。

 

Lumadaのローンチと拡大(IT

2016年5月IoTプラットフォームLumadaが発表されました。

2017年5月の決算会見では同事業だけで9000億円の売上があることが明らかになりました。

2019年4月1日からLumadaの導入を容易にするパッケージカタログ「Lumada Solution Hub」を発表しました。

これにより、モビリティや医療における問題をよりスピーディーに解決することができます。

 

日立製作所の経営効率をROAとROEから分析する

ここではROAとROEについて見ていきましょう。

ちなみにROAとROEは経営効率を見る指標です。

一般的にROAが5%以上、ROEが10%以上あれば効率的であると考えられています。

 

現在のROAと同社の過去ROA平均との比較

現在の日立のROAが、同社における過去(直近7年分)のROA平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

日立のROAと過去平均値との比較

図2

 

図2より同社のROAは2016年3月期から急速に上昇しています。

しかし、直近では当期純利益の落ち込みから平均的な水準まで低下しています。

今後はROAをできるだけ高める方針です。

さらにROAの変化の主な要因は当期純利益の変動なので、経営効率や財務体質が特に悪いということでもないでしょう。

 

次は、同業他社とのROAを見ていきます。

同業他社はすべて3月期決算ですが、簡易化のためここでは以下のように比較します。

(例:2019年3月期と2018年12月期をほぼ同時期として見る)

 

競合他社とのROA推移の比較

図2-1-1

 

図2-1-1より、同業他社と比較すると同社のROAは常に低い水準にあり、これを見ると経営効率は良くないと言えるでしょう。

 

日立製作所の現在のROEと同社の過去ROE平均との比較

現在(2019年6月初め時点)の日立のROEが、同社における過去(直近7年分)のROE平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

日立のROE推移と過去平均数値との比較

図2-2

 

図2-2より、直近の修正ROEは当期純利益の落ち込みから平均的な水準を下回るようになりました。

同社の長期的な経営効率を考えると、やや悪化気味と考えられます。

では次は、同業他社の修正ROEを見ていきます。

 

日立と競合他社とのROE推移の比較

図2-2-1

 

図2-2-1より、ROAと同様同業他社と比較すると修正ROEは低い水準にあります。

特別経営効率が悪いというわけではなく、やや悪化気味と考えるのが妥当でしょう。

 

日立製作所は割安なのか?割高なのか?

株式投資をするときの鉄則は「安く買って高く売る(高く売って安く買い戻す)」ということです。

しかし、実際その銘柄が高いのか安いのか判断していく必要があります。

ここではPERとPBRに着目して検討していきたいと思います。

 現在のPERと同社の過去PER平均との比較

まず現在の日立のPERが、同社における過去(直近9年分)のPER平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

 

日立制作所のPER推移と過去平均値の比較

図3-1

 

図3-1より、PERは常に平均的な水準を前後しており同社の予想では当期純利益が大幅に上昇する見込みから、2020年3月期には割安へと転じる予想です。

 

日立製作所の同業他社とのPER比較

次に同業他社と日立のPERを比較していきます。

日立製作所の同業他社とのPER比較推移

図3-2

 

図3-2より、同業他社と比較して同社のPERは特に他社と変わらない水準で、2020年3月期の予想では同業他社の中ではかなり割安な水準までPERが低下します。

結論として同社のPERは割安だと言えます。

 

日立製作所のPBRと同社の過去PBR平均との比較

まず現在の日立のPBRが、同社における過去(直近9年分)のPBR平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

日立制作所のPBRと過去平均の乖離

図3-3

 

図3-3より、PBRは2016年3月期以降かなり低下しており直近でも同社の平均的な水準を下回っています。

長期的に割安な水準にあるといえます。

 

日立製作所の競合他社とのPBR比較

次に同業他社と日立のPBRを比較していきます。

日立製作所の競合他社とのPBR比較

図3-4

 

図3-4より、PBRは同業他社と比較してあまり変わらない水準にあります。

業界全体としてPBRが低下傾向にあるということも見て取れるので相場観としては中立であると考えられます。

 

日立製作所の株主還元(配当金)

ここでは配当金について考えていきます。

日立製作所の競合他社配当利回り比較

まず日立の配当利回りは同業他社の中でどのくらいの位置づけなのでしょうか。

日立製作所の競合他社との配当利回りの比較

図4-1

 

図4-1より、同業他社と比較すると配当利回りは高くも低くもない水準であるといえます。

電気機器業界自体そこまで配当が高くないので、配当目的での投資は好ましくないでしょう。

 

配当利回りと過去平均との比較

日立の配当利回りは同社の過去平均と比べてどの水準なのでしょうか。

日立製作所の配当利回りと過去平均との乖離

図4-2

 

図4-2より同社の過去平均から見ると、配当利回りは高い水準にあります。

しかし、決して業界内では高いわけではないので魅力的な配当とは言えないでしょう。

 

まとめ

長期的には増益基調であると考えられるが短期的には見通しが不透明であり、且つ特段割安ということもありません。

日立製作所は短期的に『様子見』推奨です。

 

 

■ 投資判断基準:「様子見」

▷以下の点を総合的に勘案し2020年に3700円(現在4005円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷インダストリーとITの主要事業から長期的にかなり収益が向上すると予測。

▷しかし、それらの投資や事業の行方によっては短期的に株価が押し下げられると考えられる。

▷従い、予想PERから短期的な株価の下落を予測。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

ROE・ROA両指標とも経営効率はやや悪化気味。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷ 割安ですが業界内でPERやPBRの低下がみられるため、同社だけが特別低いというわけではない。

■ 競合他社比較:

▷2021年の中期経営計画よりインダストリーや、ITへの重点的な投資を行うこと。

▷上記に加え、IT事業に関してはモビリティにも参入するという幅広い事業の展開がみられる。

▷長期的にはかなりの成長が見込まれる。

■ 株主還元策の動向

▷配当利回りは高くも低くもなく、配当目的の投資は魅力的ではない。

 

 

 

以上、【6501】新たな事業拡大を目論む日立製作所の株価推移を予想する!国内最大手電気メーカーの今後に迫る。…でした。

 

【電機機器・電子部品株見通し】ソニー・パナソニックをはじめとした個別株式銘柄を分析&株価予想!

2019.09.13



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