「ハウス食品グループ本社」はカレールウ国内シェアトップをハウス食品グループの持ち株会社。
2013年10月1日にハウス食品から商号を変更しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からハウス食品グループ本社の今後の株価推移を分析していきます。
■ 投資判断基準:直近「様子見」、長期「買い」
▷ 以下の点を総合的に勘案し直近「様子見」、長期的には「買い」と判断。目標株価7,000円。
■ テクニカルからの判断
▷ 長期的に上昇トレンドを形成していること。しかし、直近はトレンドラインから下値を慎重に見定めたい場面であること。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比11.0%増の191億円、20年3月期も前期比2.6%増の196億円に伸びる見通し
▷ 業績が2016年に上振れたばかりであること。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PERが36.8倍と買われすぎの水準であること。
■ 他社との比較:
▷ 競合と比較し、出遅れ感が強いため、購入しやすい銘柄であること。
■ 株主還元策の動向:
▷ 今期の年間配当は前期比2円増の46円に増配。
Contents
ハウス食品グループ本社とは?
ここではハウス食品グループ本社とはどのような企業であるのかをご紹介していきたいと思います。
ハウス食品グループ本社の基本スペック
社名 | ハウス食品グループ本社株式会社 |
代表者 | 浦上 博史 |
コード番号 | 2810(東証一部) |
資本金 | 99億4,832万円 |
従業員数 | 288名(連結:6,066名) |
設立年月日 | 1947年6月7日 |
本社所在地 | 〒577-8520 大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 |
電話番号 | 06-6788-1231 |
事業内容 | グループ戦略立案、事業会社(国内・海外)への経営サポートならびに国際事業統括 |
ハウス食品グループ本社の事業内容
ハウス食品グループ本社では香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業、外食事業、その他食品関連事業の5つの事業を展開しています。
ⅰ.香辛・調味加工食品事業
ハウス食品 | 香辛・調味加工食品および業務用製品の製造販売 |
ギャバン | 香辛料の輸入・製造販売および輸入食品の販売 |
マロニー | でんぷん製品の製造販売 |
サンハウス食品 | レトルト食品等の製造 |
サンサプライ | 食肉の加工 |
ハウスあいファクトリー | スパイス製品等の製造 |
朝岡スパイス | 香辛料の販売 |
ギャバンスパイスマニュファクチャリング | 香辛料の製造 |
ⅱ.健康食品事業
ハウスウェルネスフーズでは、健康食品、飲料等の製造販売を行っています。
ⅲ.海外食品事業
ハウス食品 | 香辛・調味加工食品の輸出販売 |
ハウスフーズアメリカ | 米国での豆腐等大豆関連製品の製造販売およびハウス食品製品の輸入販売 |
エルブリトーメキシカンフードプロダクト | 米国での大豆関連製品等の製造販売 |
ハウス食品(中国) | 中国における事業を統括 |
上海ハウス食品 | 中国での香辛調味食品の製造販売 |
大連ハウス食品 | 中国での食品の製造販売および輸出販売 |
ハウスフーズベトナム | ベトナムでの加工食品の製造販売 |
ハウスオソサファフーズ | タイでの飲料および香辛調味食品の製造販売 |
ハウス&ヴォークスインドネシア | インドネシアでのスパイスの輸出販売 |
台湾ハウス食品 | 台湾での香辛調味食品の輸入販売 |
ⅲ.外食事業
国内・海外におけるレストラン経営事業(壱番屋)を展開しています。
ⅳ.その他食品関連事業
運送および倉庫業、総菜等の製造販売、食品の分析事業、食材の輸入販売などを行っています。
見てきたようにハウス食品グループ本社は国内だけではなく、海外へも積極的に進出していることがわかります。
ハウス食品の過去10年の業績推移(PL)
ここではハウス食品グループ本社の過去10年間の業績推移を見ていきます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
2007/03 | 232,478 | 8,260 | 8,872 | 4,834 |
2008/03 | 233,826 | 8,844 | 8,969 | 3,575 |
2009/03 | 222,549 | 10,201 | 10,993 | 4,726 |
2010/03 | 220,622 | 10,964 | 12,187 | 4,820 |
2011/03 | 216,713 | 12,069 | 13,031 | 5,252 |
2012/03 | 214,317 | 14,053 | 15,502 | 7,928 |
2013/03 | 209,784 | 11,441 | 13,445 | 8,254 |
2014/03 | 232,610 | 9,589 | 10,962 | 8,792 |
2015/03 | 231,448 | 8,686 | 10,957 | 6,971 |
2016/03 | 241,893 | 10,775 | 12,152 | 22,632 |
2017/03 | 283,812 | 12,312 | 13,951 | 8,683 |
2018/03 | 291,897 | 16,288 | 17,207 | 9,353 |
2019/03 | 296,695 | 17,559 | 19,100 | 13,767 |
2020/03予 | 299,000 | 18,500 | 19,600 | 10,900 |

ハウス食品グループ本社の売上高は安定しているといえます。
2007年~2016年にかけては横ばいで推移しています。
2017年から売上高が増加したのは、ギャバンとマロニーを買収し、子会社化したためと考えられます。
比較して本業の成績を表す営業利益は景気の動向に左右されながら上下し2018年から上抜けしていることがわかります。
これはギャバンとマロニーの買収がうまくいったことを示していると考えられます。
よって、ハウス食品グループ本社の業績は安定感が高いうえに積極的なM&Aにより業績が向上していることがわかります。
ハウス食品グループ本社が5月13日に公表した決算によると、19年3月期の連結経常利益は前の期比11.0%増の191億円、20年3月期も前期比2.6%増の196億円に伸びる見通しであるとしています。
このことから、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなっています。
よってハウス食品グループ本社は5期連続増収、増益となります。
また配当し関しては、今期の年間配当は前期比2円増の46円に増配するとしています。
ハウス食品グループ本社のROEとROA

ハウス食品グループ本社のROEとROAは2016年に企業を買収したことから一時的に激しく動きましたが。
しかし基本的に安定した推移であるといえます。
ただしROEは2016年以外は東証一部の平均値である8%を超えることなく推移していることから、
まだ上振れる余地があると考えられます。
またROAはおおむね東証一部の平均値である2%を超えて推移していることから安定感のある推移であるということができます。
ハウス食品グループ本社の「第六次中期計画」
ハウス食品グループ本社では2018年4月から「第六次中期計画」に着手しています。
ここではハウス食品グループ本社の「第六次中期計画」の内容をご紹介していきたいと思います。
「第六次中期計画」の数値目標

ハウス食品グループ本社では「第六次中期計画」の数値目標として、2021年3月期までに売上高3,100億円、営業利益220億円を掲げています。
2019年度の売上高は2,966億円と順調に売上高が増加しているため、十分達成可能な数値であるといえます。
また営業利益は2019年度が175億円にとどまっていることから、数値の達成にはさらなる企業努力が必要であるといえます。
外食事業がポイント

上図はハウス食品グループ本社の事業別セグメントの営業利益の推移です。
営業利益の半分以上を占める香辛・調味加工食品事業は順調に推移していることがわかります。
また海外事業の営業利益の増加率が伸びていることから、海外事業も順調に推移していることがわかります。
一方で外食事業の成績が芳しくありません。
よって、今後外食事業をどう収益化していくのかがハウス食品グループ本社の業績を分けるポイントであることがわかります。
ハウス食品グループ本社のテクニカル分析
ここではハウス食品グループ本社は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
ハウス食品グループ本社の過去10年の株価推移

上図はハウス食品グループ本社の過去10年の株価推移です。
2016年からのM&Aにより業績の向上から株価が一気に上昇していることから、
ハウス食品グループ本社の株価は業績連動型であるということができます。
ハウス食品グループ本社の現状把握

2016年から業績に比例するように上昇してきたハウス食品グループ本社の株価ですが一旦天井圏を形成した可能性もあります。
理由としてはMACDがダイバージェンスを起こしていることです。
よって、チャート上に引いたトレンドラインを下ぶれた場合、トレンドが転換し、下降トレンドに移行する可能性があるといえます。
テクニカルから見たハウス食品グループ本社
テクニカルから見たハウス食品グループ本社は直近様子見です。
過去10年の株価推移が1,174円~4,710円と日経平均株価並みのリターンであり長期で天井を打ったとは考えられません。
よって、トレンドラインをしっかり確認しながら長期「買い」のスタンスで攻めたい銘柄であるといえます。
ハウス食品の競合他社比較
ハウス食品グループ本社(2810)を同業である日清食品ホールディングス(2897)、ニチレイ(2871)、味の素(2802)と比較検討していきます。
ハウス食品 | 日清食品 | ニチレイ | 味の素 | |
PER | 36.8 | 30.1 | 16.1 | 21.1 |
PBR | 1.63 倍 | 2.45 倍 | 1.81 倍 | 1.74 倍 |
配当利回り | 1.15% | 1.46% | 1.74% | 1.66% |
ROE | 5.52% | 5.89% | 11.75% | 4.74% |
ROA | 3.67% | 3.56% | 5.35% | 2.11% |
参考:ハウス食品グループ本社 有価証券報告書
①:PERとPBR
PERは全社、日経平均株価のPERの平均13~14倍を上回って「買われすぎ」の水準であるといえます。
PBRに関しては日清食品ホールディングス以外は日経平均株価の平均値2倍を下回っているため割安水準であるといえます。
②:配当利回り
PERから割高水準まで買われているため、食品セクター全体の利回りは1%台と全般的に低くなってしまっています。
③:株主優待
ニチレイ以外の企業で株主優待を実施しています。
ⅰ.ハウス食品グループ本社
3月と9月の年2回保有株式数に応じて自社グループ製品詰合わせが進呈されます。
保有株式数 | 優待内容 |
100株以上 | 1,000円相当 |
200株以上 | 2,000円相当 |
1,000株以上 | 3,000円相当 |
ⅱ.日清食品ホールディングス
・3月末
保有株式数 | 優待内容 | |
優待A a日清食品グループ「製品詰合せセット」 bひよこちゃんオリジナルグッズ(1,500円相当) | 優待B 「国連WFP」への寄付 | |
100株以上300株未満 | 優待A:a3,000円相当 | 3,000円 |
300株以上1,000株未満 | 優待A:a3,500円相当+b | 3,500円 |
1,000株以上3,000株未満 | 優待A:a4,500円相当+b | 4,500円 |
3,000株以上 | 優待A:a5,500円相当+b | 5,500円 |
・9月末
保有株式数 | 優待A | 優待B |
300株以上1,000株未満 | 優待A:a3,500円相当+b | 3,500円 |
1,000株以上3,000株未満 | 優待A:a3,500円相当+b | 4,500円 |
3,000株以上 | 優待A:a5,500円相当+b | 5,500円 |
ⅲ.味の素
3月の優待権利日に自社グループ商品詰め合わせセットが進呈されます。
・100株以上
自社グループ商品詰め合わせセット
・1,000株以上
3年未満の保有の場合は3,000円相当、3年以上継続保有した場合は6,000円相当の自社グループ商品詰め合わせセットが進呈されます。
④:決算予測
ⅰ.ハウス食品グループ本社
19年3月期の連結経常利益は前の期比11.0%増の191億円、20年3月期も前期比2.6%増の196億円に伸びる見通し
ⅱ.日清食品ホールディングス
19年3月期の連結最終利益は前の期比33.6%減の193億円、20年3月期は前期比34.3%増の260億円に回復する見通し。
ⅲ.ニチレイ
19年3月期の連結経常利益は前の期比2.6%減の298億円、20年3月期は前期比2.1%増の305億円に伸びる見通し。
ⅳ.味の素
19年3月期の連結最終利益は前の期比50.6%減の296億円、20年3月期は前期比68.4%増の500億円に回復する見通し。
19年度は落ち込む企業が多い中、ハウス食品グループ本社は順調に業績を向上させていることがわかります。
⑤:競合他社比較総合
食品セクターは全社買われすぎの水準です。購入は押しを待って慎重に購入を検討すべきであるといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からハウス食品グループ本社の今後の株価推移を分析してきました。
ハウス食品グループ本社はテクニカル的・ファンダメンタル両面で直近「様子見」と判断することができます。
しかし、長期的には「買い」であると判断します。
よって、ハウス食品グループ本社は押しを待って慎重に購入を検討すべきである銘柄だといえます。
■ 投資判断基準:直近「様子見」、長期「買い」
▷ 以下の点を総合的に勘案し直近「様子見」、長期的には「買い」と判断。目標株価7,000円。
■ テクニカルからの判断
▷ 長期的に上昇トレンドを形成していること。しかし、直近はトレンドラインから下値を慎重に見定めたい場面であること。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比11.0%増の191億円、20年3月期も前期比2.6%増の196億円に伸びる見通し
▷ 業績が2016年に上振れたばかりであること。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PERが36.8倍と買われすぎの水準であること。
■ 他社との比較:
▷ 競合と比較し、出遅れ感が強いため、購入しやすい銘柄であること。
■ 株主還元策の動向:
▷ 今期の年間配当は前期比2円増の46円に増配。
以上、【2810】ハウス食品グループ本社の株価を業績推移とテクニカル的な分析を含めて見通す!…でした。
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