【7202】国内大手トラックメーカー『いすゞ』(=isuzu)の今後の株価を見通す!

【7202】国内大手トラックメーカー『いすゞ』(=isuzu)の今後の株価を見通す!

国内自動車メーカーの中で特に商用車の製造・販売に特化した「いすゞ自動車株式会社(以下:いすゞ)」。

海外での販売が多く、CV(商用車)の販売台数のうちその7割以上が海外への販売で、LCV(ピックアップトラック)は日本に対して販売されておらず、タイ、アフリカ、中南米に販売されています。

国内大手トラックメーカーの一つであるいすゞの投資有効性を同業他社の日野自動車と比較しながら分析していきます。

 

■ 投資判断基準:「中立」

以下の点を総合的に勘案し2025年に1500円(現在1234.5円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:やや良好

▷ 本業のCV・LCVの製造・販売では年々増加していて、原価低減から利益も残るようになってきている。

▷ ただ、借入金の増加から株価があまり評価されていないように思えるのは懸案事項。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):非効率的

▷ かなり低下していてそれが約4年間続いている。

▷ 原因として負債(借入金)の膨張が挙げられますが早期に業績に繋がる根拠が示されると投資有効性は高まると考える。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):割安。

▷ 当期純利益・純資産ともに増加していますが株価が評価されていないために割安圏に入っている。

▷ 恐らく当期純利益・純資産そのものよりも資本効率の低下が株価の上昇を妨げている可能性が高い。

■ 競合他社比較:業界全体でROA・ROE・PER・PBRが落ち込んでいる。

▷ 同社のみが株価の低下を引き起こしているわけではなく、業界全体で相場が落ち込んでいると考えられる。

■ 株主還元策の動向:良好

▷ 配当利回りは上昇傾向にあり過去最高水準なので、配当目的での投資は有効。

 

いすゞ(7202)ってどんな会社?

まずいすゞとはどんな会社なのかを見ていきましょう。

創業は1929年株式会社東京石川島造船所の自動車部門が、株式会社石川島自動車製造所として独立したのが起源です。

その後1941年に「ヂーゼル自動車工業株式会社」に改称していて、翌年には日野製作所(現在の日野自動車)が分離されました。

現在の「いすゞ自動車株式会社」に改名したのは1949年のことです。

同社は国内でもとても有名なCVを販売しています。

例えば、ヤマト運輸、佐川急便、救急車、消防車、福山運通などの有名商用車はすべて同社で生産されています。(写真1参照)

佐川急便の配達用トラック

写真1

 

今後は日産自動車と小型トラック事業で協業する予定です(2019年6月19日日経新聞)。

現在の社長は片山正則氏で、時価総額は1兆437億円(2019年6月19日現在)です。

 

いすゞの業績推移

まずは過去13年の『売上高』と『営業利益』『経常利益』『当期純利益』について見ていきます。

決算期売上高営業利益経常利益当期利益
2007/031,662,925106,980114,69792,394
2008/031,924,833109,573122,32276,021
2009/031,424,70821,65115,236-26,858
2010/031,080,92811,01011,3938,401
2011/031,415,54488,22091,25851,599
2012/031,400,07497,373102,89391,256
2013/031,655,588130,783141,71996,537
2014/031,760,858174,249186,620119,316
2015/031,879,442171,111187,411117,060
2016/031,926,967171,559186,690114,676
2017/031,953,186146,444152,02293,858
2018/032,070,359166,765173,616105,663
2019/032,149,168176,781189,001113,444
2020/03予2,160,000165,000170,000100,000

 

いすゞの業績推移

図1

 

図1より当期純利益こそ鈍化しましたが、売上高・営業利益・経常利益は過去最高益となっています。

国内外の連結総販売台数は前年度比6.6%増加しています。

国内では、小型車の排ガス規制切替前の駆け込み需要の後押しから増収して、海外ではタイでのLCV販売が好調だったことに加えてアジア・アフリカの市場回復もあり増収しました。

 

いすゞのCVとLCVの出荷台数の推移

図1-2

 

また、図1-2よりCV・LCV両方の販売が好調であったことも増収の要因です。

営業利益では原価低減が強く作用し142億円の増収を後押ししました。

一方で、研究開発費、設備投資が直近5年で最も増加していてさらに人件費もかなり増加していることから営業利益は前年度比100億円の増益となりました。

2020年3月期の予想ではさらに増収の見込みです。

 

いすゞの経営効率をROAとROEから紐解く

ここではROAとROEについて見ていきましょう。

ちなみにROAとROEは経営効率を見る指標で一般的にROAが5%以上、ROEが10%以上あれば効率的であると考えられています。

 

いすゞのROAは比較的高い水準

現在のいすゞのROAが、同社における過去(直近7年分)のROA平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

いすゞのROAの過去平均との比較

図2-1

 

図2-1より2016年3月期より同社のROAは長期的に悪化気味で現在まで続いています。

要因として、短期借入金が2014年3月期より約40%、長期借入金が2014年3月期より約178%上昇していることが原因です。

次は、競合他社である日野自動車(以下:日野)とのROAを見ていきます。

 

競合他社である日野とのROA推移の比較

図2-1-1

 

図2-1-1より、日野自動車のROAも同社と同様の落ち込み方になっています。

しかし同社に関しては借入金が利益に繋がる兆候が見られないので経営効率は悪化していると考えられます。

 

いすゞのROEも高いが過去平均以下に落ち込んでいる

現在(2019年6月初め時点)のいすゞのROEが、同社における過去(直近7年分)のROE平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

いすゞの過去平均ROEとの比較

図2-2

 

図2-2より、ROAと同様に2016年3月期から落ち込んでいて現在まで長期化しています。

要因である自己資本比率は2008年から毎年増加していて、それがROEの低下につながっているとみられます。

ただ、自己資本比率の増加は機動的な経営を行う上では重要です。

ROEという財務テクニックとしては悪印象ですが、現実的には懸案すべきことでもないでしょう。

では次は、日野とROEを比較していきます。

 

競合他社とのROE推移の比較

図2-2-1

 

図2-2-1より、競合している日野自動車とは似たような経営効率を有していて、むしろ2017年3月期から逆転しています。

ROAと同様、直近の資本効率は業界全体で落ち込んでいます。

 

いすゞの株価が割安かどうかを指標から分析する

以下はいすゞの過去10年の株価推移です。

直近は下落傾向にありますが、果たして割安なのでしょうか?

いすゞの株価

 

株式投資をするときの鉄則は「安く買って高く売る(高く売って安く買い戻す)」ということです。

実際その銘柄が高いのか安いのか判断していく必要があります。

ここではPERとPBRに着目して検討していきたいと思います。

 いすゞのPERと過去平均との比較

まず現在のいすゞのPERが、同社における過去(直近9年分)のPER平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

 

いすゞのPERの過去平均との比較

図3-1

 

図3-1より、直近の株価は低下していてその要因が当期純利益の上昇に対して株価が比較的一定であることです。

ROA・ROEの低下借入金の増加は投資家心理を冷え込ませることが多々あります。

借入金が業績の向上につながることが分かった時点で同銘柄は割安と判断できるでしょう。

 

いすゞの競合他社とのPER比較

次にいすゞと日野のPERを比較していきます。

いすゞと日野のPER比較

図3-2

 

図3-2より、同業他社の日野と比較すると直帰のPERは同じように低下していて、2020年3月期の予想ではPERが同じ水準にあります。

業界内での株価指標が落ち込んでいることから経営効率、ビジネス環境等懸念されている可能性が高いです。

現在のPBRと過去値との比較

まず現在のいすゞのPBRが、同社における過去(直近9年分)のPBR平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

いすゞのPBRと過去平均値との比較

図3-3

 

図3-3より、2016年3月期のPBRは株価の下落が主因ですが、その後の低下は純資産が上昇していることが原因です。

2014年3月期から現在までで純資産は45%上昇していてそれに対して株価が評価されていない状況にあります。

競合他社とのPBR比較

次にいすゞと日野のPBRを比較していきます。

競合他社とのPBR比較

図3-4

図3-4より、やはり業界全体でPBRが落ち込んでおり、業界全体で割安に進行しているようにうかがえます。

 

いすゞの配当利回りは株価の下落で上昇中

ここでは配当金について考えていきます。

競合他社配当利回り比較

まずいすゞの配当利回りは日野と比べてどのくらいの位置づけなのでしょうか。

いすゞの競合他社との配当利回り比較

図4-1

 

図4-1より、業界全体で配当が増加していて、要因として株価の低下ではなく配当性向の高まりが挙げられます。

配当性向は2020年3月期に前年度比4.47%上昇するので配当目的での投資は有効だと考えられます。

 

配当利回りと過去平均との比較

いすゞの配当利回りは同社の過去平均と比べてどの水準なのでしょうか。

いすゞの配当利回りの過去平均との比較

図4-2

 

図4-2より、同社の過去平均から見ても配当利回りはかなり高い水準にあります。

株価低迷の長期化が考えられる中、現段階でこの配当利回りの高さを享受し続けられるでしょう。

 

まとめ

売上高は順調に増加しますが費用がかさんでいることもあり利益は横ばいとなっています。

ROEは高い水準ですが過去比較では低位で推移しており、業績の行く末を見守ってから購入判断を行うのが賢明です。

 

 

■ 投資判断基準:「中立」

以下の点を総合的に勘案し2025年に1500円(現在1234.5円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:やや良好

▷ 本業のCV・LCVの製造・販売では年々増加していて、原価低減から利益も残るようになってきている。

▷ ただ、借入金の増加から株価があまり評価されていないように思えるのは懸案事項。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):非効率的

▷ かなり低下していてそれが約4年間続いている。

▷ 原因として負債(借入金)の膨張が挙げられますが早期に業績に繋がる根拠が示されると投資有効性は高まると考える。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):割安。

▷ 当期純利益・純資産ともに増加していますが株価が評価されていないために割安圏に入っている。

▷ 恐らく当期純利益・純資産そのものよりも資本効率の低下が株価の上昇を妨げている可能性が高い。

■ 競合他社比較:業界全体でROA・ROE・PER・PBRが落ち込んでいる。

▷ 同社のみが株価の低下を引き起こしているわけではなく、業界全体で相場が落ち込んでいると考えられる。

■ 株主還元策の動向:良好

▷ 配当利回りは上昇傾向にあり過去最高水準なので、配当目的での投資は有効。

 

以上、【7202】国内大手トラックメーカー『いすゞ』(=isuzu)の今後の株価を見通す!…でした。

 

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2019.09.10



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