「東日本旅客鉄道」は東北地方、関東地方、甲信越地方を中心に鉄道路線網を持つ鉄道会社。
また東日本旅客鉄道は日本一の鉄道会社でもあります。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から、東日本旅客鉄道の今後の株価推移を分析していきます。
■ 投資判断基準:長期投資向きの「買い」判断
▷以下の点を総合的に勘案し、東日本旅客鉄道は長期投資向きの「買い」と予想。
▷ターゲット値は超長期で16,000円(2019年9月中旬時点10,400円)を予測。
■ 業績見通し:
▷19年3月期の連結経常利益は前の期比0.7%増の4432億円。
▷20年3月期は前期比0.6%増の4460億円を見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通しであること。
■ 指標関連:
▷ROEとROAも安定感が高い。
▷予想PER 13.1倍、予想PBRは1.28倍でともに割安水準。
■ 他社との比較:
▷買われすぎの競合と比較して、割安水準で投資効率がよいと判断できる。
■ テクニカル的な判断:
▷長期上昇トレンド継続中。
■ 株主還元動向:
▷株主優待が充実しているため、優待や配当といったインカムゲインを享受しながらの長期投資向きの銘柄。
Contents
東日本旅客鉄道(JR東日本)とは?
東日本旅客鉄道は日本一の事業規模を誇る鉄道会社です。ここでは東日本旅客鉄道の事業内容をご紹介していきます。
【① : 鉄道事業】
安全で品質の高いサービスを提供するとともに、駅を中心とした魅力ある街づくりを行うことで地域の発展に貢献しています。
【② : 生活サービス事業】
駅立地のポテンシャルを引き出し、エキナカの小売店や駅チカのショッピングセンターやホテルなど積極的な生活サービス事業を展開しています。
【③ :技術革新の推進】
鉄道システムにおける新たな価値・サービスの創造のための研究開発で培った技術を、IoTやビッグデータ、AIなどを活用して、従来の発想の枠を超えた「モビリティ革命」の実現をめざしています。
【④ : IT・Suica事業】
Suicaを鉄道ネットワークにあまねく拡げ、Suica電子マネーを全国に浸透させています。
【⑤ : 国際事業】
アジアを中心により豊かなライフスタイルの提供をめざしています。
JR東日本の過去10年の業績推移(PL)
ここでは日本を代表する鉄道会社である、東日本旅客鉄道の過去10年間の業績推移を見ていきます。
下記は東日本旅客鉄道の過去10年間の業績推移です。

東日本旅客鉄道の売上高は2011年を底としてきれいな右肩上がりに推移していることがわかります。
比較して、本業を表す営業利益も売上高同様、2011年を底としてきれいな右肩上がりに推移しています。
よって、東日本旅客鉄道の業績は良好であることがわかります。
東日本旅客鉄道が4月25日に最新の決算発表を行いました。
19年3月期の連結経常利益は前の期比0.7%増の4432億円、20年3月期は前期比0.6%増の4460億円を見込んでいると公表しています。
よって東日本旅客鉄道は8期連続増収、3期連続増益になる見込みです。
また配当に関しては、今期の年間配当は前期比15円増の165円に増配するとしています。
東日本旅客鉄道のROEとROA
東日本旅客鉄道のROEとROAは2010年から回復傾向にあります。

ROEは8.39%以上と日本の東証一部の平均値である8%を超えて安定的に推移しています。
またROAもROE同様、2011年以降日本の東証一部の平均値である2%を超えて推移しています。
よって、東日本旅客鉄道のROEとROAは安定感のある推移をしていると判断することができます。
東日本旅客鉄道グループ経営ビジョン「変革2027」
ここでは2018年7月に策定された東日本旅客鉄道グループの経営ビジョン「変革2027」をご紹介していきます。
【①:鉄道事業】
駅を中心とした魅力ある街づくりに注力しています。
【②:生活サービス事業】
「NEXT10」は、新たな「生活サービス事業成長ビジョン」です。
特に「駅を中心とするビジネス」、「くらしづくり(まちづくり)」へ挑戦。
100年後の未来を変える新たな価値を創造しつづけることを目指しています。
【③:技術革新の推進】
2016年に「技術革新中長期ビジョン」を策定し、「安全・安心」、「サービス&マーケティング」、「オペレーション&メンテナンス」、「エネルギー・環境」の4分野に重点を置いて、新たな技術革新に向かって邁進しています。
【④:IT・Suica事業】
Suica電子マネーを全国に浸透させています。発行枚数は2018年7月末現在で約7,161万枚となっています。
【⑤:国際事業】
タイやインドネシアなどアジアを中心により豊かなライフスタイルを提供しています。
東日本旅客鉄道のグループ経営ビジョンは具体的にわかりやすく、今後のグループの発展を信じさせる内容になっています。
好感が持てる内容といえるでしょう。
東日本旅客鉄道のテクニカル分析
ここでは東日本旅客鉄道は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
東日本旅客鉄道の過去10年の株価推移
下記は東日本旅客鉄道の過去10年間の株価推移です。
見事な長期上昇波動を形成しています。

東日本旅客鉄道のテクニカル分析

業績同様2011年に3,915円で底打ちしてから、きれいな上昇波動を形成しています。
2015年に12,815円で目先天井を付けて以降、移動平均線に沿って「持ち合い」を形成していることがわかります。
よって、相場格言「持ち合いは放れに付け」。
株価が動いてからポジションを構築すると、資金拘束がなく、効率的に資金を運用することができます。
テクニカルから見た東日本旅客鉄道

月足では持合いですが、中期展望を見る週足チャートでは2019年9月に、基準値10,000円前後で変化日が到来します。
ここで上抜けたら、買いに入りましょう。
長期で高止まりしているため、上に抜ける公算が高い足であるといえます。
JR東日本の競合他社比較
東日本旅客鉄道(9020)を同業である東海旅客鉄道(9022)、西日本旅客鉄道(9021)、小田急電鉄(9007)、京王電鉄(9008)と比較検討していきます。
東日本旅客鉄道 | 東海旅客鉄道 | 西日本旅客鉄道 | 小田急電鉄 | 京王電鉄 | |
PER | 13.1 倍 | 10.7 倍 | 13.8 倍 | 29.3 倍 | 31.0 倍 |
PBR | 1.28 倍 | 1.28 倍 | 1.51 倍 | 2.53 倍 | 2.40 倍 |
配当利回り | 1.60% | 0.66% | 2.24% | 0.82% | 0.73% |
ROE | 9.63% | 12.64% | 9.52% | 8.49% | 7.40% |
ROA | 3.53% | 4.72% | 3.17% | 2.47% | 3.06% |
PERとPBRは旧国鉄系は割安
優待が人気の私鉄系銘柄はPERとPBRともに割高水準です。
しかし、旧国鉄系銘柄はPERが13倍以下、PBRも1倍台と日経平均を下回り割安に推移しています。
配当利回り
東海旅客鉄道の0.66%から西日本旅客鉄道の2.24%と鉄道セクターの配当利回りは低く設定されています。
充実した株主優待
鉄道各社は配当利回りが低い代わりに株主優待が充実しています。
ⅰ.東日本旅客鉄道
自社営業路線内の運賃・料金割引券(1枚2割引き)
100株以上 | 100株ごとに1枚 |
1,000株以上 | 10枚+1,000株超過分200株ごとに1枚 |
10,000株以上 | 55枚+10,000株超過分300株ごとに1枚 |
20,000株以上 | 100枚 |
50,000株以上 | 250枚 |
100,000株以上 | 500枚 |
ⅱ.東海旅客鉄道
自社営業路線内の運賃・料金割引券(1枚1割引き)
100株以上 | 100株ごとに1枚 |
1,000株以上 | 10枚+1,000株超過分200株ごとに1枚 |
10,000株以上 | 55枚+10,000株超過分300株ごとに1枚 |
20,000株以上 | 100枚 |
50,000株以上 | 250枚 |
100,000株以上 | 500枚 |
ⅲ.西日本旅客鉄道
自社営業路線内の運賃・料金割引券(1枚5割引き)
100株以上 | 100株ごとに1枚 |
1,000株以上 | 10枚+1,000株超過分200株ごとに1枚 |
10,000株以上 | 55枚+10,000株超過分300株ごとに1枚 |
20,000株以上 | 100枚 |
ⅳ.小田急電鉄
a 電車全線優待乗車証(回数券式、1枚1乗車有効)
b 電車全線優待乗車証(定期券式)
c 電車全線および小田急バス全線共通優待乗車証(定期券式)
500株以上 | a 4枚 |
1,500株以上 | a 10枚 |
2,500株以上 | a 20枚 |
3,500株以上 | a 30枚 |
5,000株以上 | a 40枚 |
10,000株以上 | a 80枚 |
15,000株以上 | b 1枚 or a 110枚 |
30,000株以上 | c 1枚+a 30枚、b 1枚+a 60枚、a 140枚 |
d 500株以上の保有で小田急グループ関連施設の各種割引券
e 15,000株以上の保有でゴルフ施設割引券、自社カレンダー
ⅴ.京王電鉄
株主優待乗車証(a 電車全線優待乗車券or b 高速バス優待券の選択式)
100株以上 | a 2枚 |
200株以上 | 200株ごとにa 4枚 |
1,000株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 2枚 |
2,000株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 3枚 |
2,400株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 4枚 |
3,000株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 5枚 |
3,400株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 6枚 |
4,000株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 7枚 |
4,400株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 8枚 |
5,000株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 9枚 |
5,400株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 10枚 |
6,000株以上 | 200株ごとにa 4枚、b 11枚 |
6,000株以上 | a 30枚 + 電車全線優待パス 1枚、b 20枚 |
11,400株以上 | a 40枚 + 電車全線優待パス 1枚、b 30枚 |
c京王百貨店:お買物金額(税込3,240円以上)10%割引
d京王プラザホテルチェーン:宿泊正規料金20%割引、飲食代10%割引(税込2,160円以上)
e京王観光:キングツアー5%割引、その他のパッケージツアー3%割引
f京王ストア:お買物50円割引(税込1,000円以上)
g京王プレッソイン:シングルルーム宿泊正規料金50%割引
h京王プレッソイン:シングルルーム宿泊正規料金50%割引
i京王百草園, 京王フローラルガーデンアンジェ
j京王グループカレンダー引換券
決算予測の比較
ⅰ.東日本旅客鉄道
19年3月期の連結経常利益は前の期比0.7%増の4432億円、20年3月期は前期比0.6%増の4460億円を見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通し。
ⅱ.東海旅客鉄道
19年3月期の連結経常利益は前の期比8.4%増の6326億円、20年3月期は前期比5.3%減の5990億円に減る見通し。
ⅲ.西日本旅客鉄道
19年3月期の連結経常利益は前の期比3.1%増の1833億円、20年3月期は前期比0.6%増の1845億円を見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通し。
ⅳ.小田急電鉄
19年3月期の連結経常利益は前の期比3.8%増の496億円、20年3月期は前期比0.6%減の494億円との見通し。
ⅴ.京王電鉄
19年3月期の連結経常利益は前の期比9.9%増の392億円、20年3月期も前期比6.7%増の419億円に伸びを見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通し。
競合比較総合
旧国鉄系が割安で長期投資向け。優待を考慮し、自分のお住いの地区の旧国鉄系の鉄道会社に長期投資がおすすめであるといえます。
まとめ
東日本旅客鉄道はテクニカル的には長期上昇波動を継続中、ファンダメンタル的にも長期で安定した業績が期待できます。
また、経営ビジョンも具体的で達成実現度の高い好感の持てる内容になっています。
よって、東日本旅客鉄道はインカムゲインを目的とした長期投資向けの銘柄といえます。
■ 投資判断基準:長期投資向きの「買い」判断
▷以下の点を総合的に勘案し、東日本旅客鉄道は長期投資向きの「買い」と予想。
▷ターゲット値は超長期で16,000円(2019年9月中旬時点10,400円)を予測。
■ 業績見通し:
▷19年3月期の連結経常利益は前の期比0.7%増の4432億円。
▷20年3月期は前期比0.6%増の4460億円を見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通しであること。
■ 指標関連:
▷ROEとROAも安定感が高い。
▷予想PER 13.1倍、予想PBRは1.28倍でともに割安水準。
■ 他社との比較:
▷買われすぎの競合と比較して、割安水準で投資効率がよいと判断できる。
■ テクニカル的な判断:
▷長期上昇トレンド継続中。
■ 株主還元動向:
▷株主優待が充実しているため、優待や配当といったインカムゲインを享受しながらの長期投資向きの銘柄。
以上、【9020】東日本旅客鉄道(JR東日本)の株価を業績推移・チャート分析を踏まえて徹底予想!…でした。
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