JXTGホールディングスは2017年に東燃ゼネラルを完全子会社化する際にJXホールディングス株式会社が商号変更してできた企業です。
これによりJXTGホールディングスは世界第6位のスーパーメジャー石油会社になりました。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からJXTGホールディングスの今後の株価推移を分析していきたいと思います
■ 投資判断基準:長期「買い」
以下の点を総合的に勘案し、JXTGホールディングスは長期「買い」と予想。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結税引き前利益は前の期比8.8%増の5086億円、20年3月期も前期比1.3%増の5150億円に伸びを見込んでいること。
■ 指標関連:
▷ ROEとROAも2017年から安定していること。
▷ 予想PER 5.4 倍、予想PBRは0.64倍でともに割安水準であること。
■ 他社との比較:
▷ 業績の安定感と事業規模からJXTGホールディングスが一歩リード。
■ テクニカル的な判断:強い買い
▷ 現在エリオット2波の買い場。3波待ちの状況。
Contents
スーパーメジャー石油会社『JXTGホールディングス』とは?
吸収合併を繰り返し、世界第6位のスーパーメジャー石油会社となったJXTGホールディングス。
ここではJXTGホールディングスの沿革と事業内容を解説していきます。
JXTGホールディングスの沿革
2010年4月 | JXホールディングス株式会社設立により、 新日本石油株式会社及び新日鉱ホールディングス株式会社がJXホールディングス株式会社の完全子会社となる。 |
2010年7月 | ・新日本石油株式会社が株式会社ジャパンエナジー及び新日本石油精製株式会社を合併し、JX日鉱日石エネルギー株式会社に商号変更。 ・新日本石油開発株式会社がジャパンエナジー石油開発株式会社を合併し、JX日鉱日石開発株式会社に商号変更。 ・新日鉱ホールディングス株式会社が日鉱金属株式会社を合併し、JX日鉱日石金属株式会社に商号変更。 |
2010年10月 | JX日鉱日石エネルギー株式会社が新設分割により大阪国際石油精製株式会社を設立し、大阪製油所にかかる事業を承継させた上で、同社株式の49%を中国石油国際事業日本株式会社に譲渡。 |
2016年1月 | ・JX日鉱日石エネルギー株式会社がJXエネルギー株式会社に商号変更。 ・JX日鉱日石開発株式会社がJX石油開発株式会社に商号変更。 ・JX日鉱日石金属株式会社がJX金属株式会社に商号変更。 |
2017年4月 | ・JXホールディングス株式会社と東燃ゼネラル石油株式会社との株式交換により、東燃ゼネラル石油株式会社がJXホールディングス株式会社の完全子会社となる。 ・JXホールディングス株式会社がJXTGホールディングス株式会社に商号変更。
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JXTGホールディングスの事業内容
ⅰ.エネルギー事業
エネルギー事業はJXTGホールディングスの中核事業で、JXTGエネルギーが日本国内だけではなく、世界各国でサービスの提供を行っています。
ⅱ.石油・天然ガス開発事業
JXTG石油開発が中心となり、世界中で鉱区の取得から、油層・ガス層の探鉱、開発そして石油・天然ガスの生産・出荷まで行っています。
ⅲ.金属事業
JX金属が中心となり、鉱石の探査・採掘・製錬から金属加工・電子材料製品の生産・販売、資源のリサイクルなどの事業を展開しています。
JXTGホールディングスの過去10年の業績推移(PL)
ここではJXTGホールディングスの過去10年間の業績推移を見ていきます。

一見して不可解なJXTGホールディングスの業績推移ですが、原油価格と見比べると納得することができます。
下記は原油先物の月足チャートです。

2014年から2016年にかけて大きく下落していることがわかります。
比較してJXTGホールディングスの営業利益ですが、同様に2014年から2016年にかけて大きく下落していることがわかります。
よって、JXTGホールディングスに業績は原油価格に大きく左右されることがわかります。
JXTGホールディングスが5月13日に決算を発表しました。
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比8.8%増の5086億円、20年3月期も前期比1.3%増の5150億円に伸びを見込んでいると公表しています。
また配当に関しては、今期の年間配当は前期比1円増の22円に増配するとしています。
JXTGホールディングスのROEとROA
JXTGホールディングスのROEとROAも営業利益同様、原油価格に沿った推移をしています。

よってROEとROAも営業利益同様落ち着きを取り戻し、ここ3年間は日本の東証一部の平均値を超えて推移しています。
2040年JXTGホールディングスの長期ビジョン

JXTGホールディングスでは2040年のエネルギー環境を想定したうえで、企業の長期ビジョンを策定しています。
①:JXTGホールディングスの企業目標
ⅰ アジアを代表するエネルギー・素材企業
ⅱ 事業構造の変革による価値製造
ⅲ 低炭素・循環型社会への貢献
②:グループ事業の将来像

上述したようにJXTGホールディングスの業績は原油連動型です。
原油連動から脱却するための新規事業が「リサイクル」だけでは、なんとも頼りなさを感じてしまいます。
原油連動から脱却できる新規事業の構築が急務ではないでしょうか?
JXTGホールディングスのテクニカル分析
ここではJXTGホールディングスは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
JXTGホールディングスの過去10年の株価推移

6年続いたレンジ相場を2017年にブレイク。「持合いは放れに付け」の相場格言通りの株価推移といえます。
また株価推移のほうが、業績よりも原油相場に連動しにくいことをチャートから見て取ることができます。
JXTGホールディングスのテクニカル分析

2019年8月の変化日を基準値480円以上で推移できた場合、株価が上昇しやすくなります。
MACDもよい感じに冷めていることから押し目は積極的に拾っていきたい展開だといえます。
テクニカルから見たJXTGホールディングス
長期強い「買い」の判断です。2017年の持合いからのブレイクはエリオット第1波、現在は第2波であるとの判断からです。
JXTGホールディングスの競合他社比較
JXTGホールディングス(5020)を同業である出光興産(5019)と比較検討していきます。
銘柄名 | JXTGH | 出光興産 |
PER | 5.4 倍 | 3.8 倍 |
PBR | 0.64 倍 | 0.72 倍 |
配当利回り | 4.24% | 5.20% |
ROE | 11.86% | 9.67% |
ROA | 3.80% | 2.82% |
PERとPBRは非常に割安
日経平均株価の平均はPER13~14倍です。
よってPERはJXTGホールディングスの5.4倍、出光興産の3.8倍と極端に割安になっていることがわかります。
また、日経平均株価の平均PBRの2倍ですので、PBR1倍以下の両社は割安であるといえます。
配当利回りも高い
配当利回りはJXTGホールディングスの4.24%、出光興産の5.20%とセクター的に高いということができます。
また株主優待は両社設定されていません。
決算予測の比較
ⅰ.JXTGホールディングス
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比8.8%増の5086億円、20年3月期も前期比1.3%増の5150億円に伸びを見込んでいる。
ⅱ.出光興産
19年3月期の連結経常利益は前の期比25.3%減の1691億円、20年3月期は前期比35.1%増の2285億円に拡大を見込んでいる。
競合他社比較総合
石油系セクターは日経の出遅れ・割安セクターであるといえます。
配当は出光興産が高くなっていますが、業績の安定感と世界シェアを考えた場合、JXTGホールディングスへの投資妙味が高いと考えられます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からJXTGホールディングスの今後の株価推移を分析してきました。
テクニカル的にはエリオット波動2波で「買い」であると判断できます。
またファンダメンタルは業績に連動しやすい原油価格が上昇に転じていることから、「買い」判断できます。
よって、安いところは積極的に拾いたい銘柄です。
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