「化学品メーカー」というと、パッと思い浮かぶ企業はありますか?
実は、普段使っている洗濯洗剤や、印刷インキなどは化学分野の企業が日々価値を提供しているのです。
「化粧品企業」と言えば、資生堂など簡単に思いつきますが、こちらも実は、化学分野です。
今回はそんな化学分野の企業の株式銘柄分析を実施していますので参考にしてみてください。
※2019年7〜9月分析
銘柄名 | 昭和電工 | 三菱ケミカルH | 旭化成 | 東ソー | 日本化薬 | クラレ |
時価総額 | 4,701 億円 | 11,601 億円 | 16,179 億円 | 5,023 億円 | 2,387 億円 | 4,627 億円 |
予想PER | 3.8 倍 | 6.5 倍 | 10.9 倍 | 7.5 倍 | 18.2 倍 | 11.4 倍 |
PBR | 0.98 倍 | 0.79 倍 | 1.17 倍 | 0.93 倍 | 1.08 倍 | 0.82 倍 |
予想配当利回り | 4.14% | 5.19% | 3.12% | 3.62% | 2.23% | 3.22% |
ROE | 28.07% | 12.73% | 11.05% | 15.15% | 7.00% | 6.04% |
ROA | 10.62% | 3.30% | 6.03% | 9.03% | 5.11% | 3.90% |
自己資本比率 | 41.50% | 24.70% | 53.60% | 61.60% | 73.60% | 58.60% |
銘柄名 | 住友化学 | 三井化学 | DIC | 花王 | 資生堂 | デンカ |
時価総額 | 8,459 億円 | 5,420 億円 | 2,760 億円 | 40,748 億円 | 32,644 億円 | 2,913 億円 |
予想PER | 8.4 倍 | 6.8 倍 | 7.8 倍 | 25.1 倍 | 43.2 倍 | 10.6 倍 |
PBR | 0.84 倍 | 0.94 倍 | 0.92 倍 | 4.93 倍 | 6.86 倍 | 1.16 倍 |
予想配当利回り | 4.31% | 3.77% | 4.31% | 1.56% | 0.74% | 3.80% |
ROE | 12.25% | 14.32% | 10.43% | 18.87% | 14.08% | 10.31% |
ROA | 3.78% | 5.17% | 3.91% | 10.64% | 6.27% | 5.22% |
自己資本比率 | 31.50% | 36.80% | 37.10% | 56.30% | 44.40% | 51.00% |
銘柄名 | 宇部興産 | トクヤマ | 日産化学 | 信越化学 工業 | 富士 フイルムH | 日東電工 |
時価総額 | 2,378 億円 | 1,979 億円 | 7,067 億円 | 43,252 億円 | 27,893 億円 | 8,382 億円 |
予想PER | 7.3 倍 | 6.4 倍 | 23.4 倍 | - 倍 | 14.3 倍 | 13.4 倍 |
PBR | 0.69 倍 | 1.29 倍 | 3.91 倍 | 1.71 倍 | 1.09 倍 | 1.18 倍 |
予想配当利回り | 4.02% | 2.47% | 1.84% | - % | 1.75% | 3.79% |
ROE | 10.08% | 24.62% | 16.55% | 12.84% | 6.71% | 9.55% |
ROA | 4.38% | 9.24% | 11.84% | 10.40% | 4.00% | 7.19% |
自己資本比率 | 44.50% | 40.20% | 73.00% | 81.10% | 59.70% | 76.70% |
花王
日本を代表する企業の一つである「花王」。
洗剤の「アタック」や「マジックリン」、様々な化粧品などロングセラー商品が多くあります。
ほとんどの日本人が花王製品を使ったことがあるといっても過言ではありません。
テレビコマーシャルなどの広告も多く、知名度も抜群の企業です。
■ 投資判断基準:長期的に「買い」
▷花王は順調に利益を伸ばしており2023年時点では配当込で14,000円程度の株価になると想定される。(2019年9月中旬時点7,700円)
■ 業績:
▷不況期でも黒字を達成する安定した業績で、近年は右肩上がりの業績。
■ REOとROA
▷共に市場平均を大きく上回る水準でトップクラスの収益力の高さ。
■ 株主還元
▷29期連続増配は国内企業トップ。現在も継続中であり自社株買いも積極的。
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東ソー
化学品やセメントを扱う大手総合化学メーカーである「東ソー」。
東ソーという社名をあまり聞き慣れないという方もいるかもしれません。
しかし、実は東京ドーム65個分という、アジア最大級の巨大な生産拠点を有し、技術力に強みを持つ優良企業のひとつです。
■ 投資判断:
▷PERは6倍台と非常に割安ななか、ROEの水準は高く魅力的な水準。
▷しかし今後の世界情勢や米中貿易摩擦により慎重に。
▷株価は業界PER平均10倍を基準として2000円程度が妥当か。(2019年9月中旬日時点1470円)
■ 業績見通し:
▷大型案件受注も、足元の原料価格高騰をカバーしきれず増収減益予想。
■ ROEとROA:
▷日本企業の中ではかなり高水準。財務状態も問題なし。
■ PBRとPER:
▷PBR、PERともにかなり割安な水準。
■ 競合他社比較:
▷他社と比較しても指標上割安な水準で配当利回りの高さも魅力的。
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DIC(大日本インキ化学工業)
DICは旧大日本インキ化学工業です。2008年に社名を変更しました。
またDICは印刷インキ、有機顔料、PPSコンパウンドで世界トップシェアを誇る化学メーカーでもあります。
■投資判断基準:長期的に『強い買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し超長期的に6,000円(2019年9月中旬2,700円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷18年12月期の連結経常利益は前の期比14.5%減の487億円、19年12月期は前期比6.8%増の520億円に伸びる見通し。
■ 指標:
▷ ROEとROAの安定感が高い。
▷ 予想PERは7.2 倍、予想PBRは0.84 倍とPERとPBRともに割安水準。
■ 他社との比較:
▷ 同業の花王や資生堂は現在割高圏であること。また、DICは世界一のインキメーカーであることから、安定感・将来性・出遅れ感といった面を考慮し、DICのほうが投資効率が高いと判断。
■ 株主還元策の動向:
▷ 配当性向は約30%、安定配当をベースに、利益成長に応じた配当⽀払を実行。
■ テクニカル分析
▷ テクニカル的に長期相場の底打ち&買いサインが点灯していること。
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富士フィルムホールディングス
国内の化学メーカーの大手の「富士フィルムホールディングス(以下富士フイルムHD)」
写真フィルムの国産化からスタートした富士フイルムHD。
デジカメやスマホなどの台頭により写真フイルムの売上が激減しました。
しかし、そこでフイルム加工の技術を生かし、現在は幅広い分野での事業展開を行なっています。
■ 投資判断:買い
以下の点を総合的に判断し、今期予想PERと予想EPS(1利あたり利益)から2020年3月期には5,680円~6,816円が妥当水準と予想。
■ 業績見通し:
▷成長事業のヘルスケア&マテリアルソリューションがけん引役となり、ドキュメント事業の構造改革効果で業績拡大が見込める。
■ 過去10年の業績推移:
▷事業構造の変革進み、各利益は右肩上がりの傾向。
■ ROEとROA:
▷利益率上昇と共に改善はしているが、欧米や国内の平均との比較では今だ低い水準。
■ 投資指標分析:
▷EPS(1株あたり利益)は着実に上昇。BPS(1株あたり純資産)も高水準なことから予想PER、PBRに割高感はない。
■ 競合他社比較:
▷競合他社との比較では配当利回りは見劣りするが、ROEの改善余地から値上がり益に期待。
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資生堂
大手化粧品メーカーの一角として、様々な年齢層向けのブランドを多く持つ「資生堂」。
女性なら一度は資生堂の商品を利用したことがあるのではないでしょうか?
資生堂の商品は国内のみならず、海外でも絶大な人気を誇り世界中で愛される企業のひとつです。
■ 投資判断基準:『様子見』
以下の点を総合的に勘案し現状様子見が適当と判断。
■ 業績見通し:
▷ 業績は堅調だがアジアの収益に依拠しており米中貿易摩擦の悪化等が懸念される。
■ 指標関連:
▷ ROEは13%程度の急上昇している。
▷ PERとPBRともに業界比でも平均的にも大きく割高。
■ 他社との比較:
▷ 業績は堅調ではあるが全体的に割高で配当利回りも低い。
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クラレ
「クラレ」は日本を代表する化学メーカーのひとつ。
化学メーカーは、私たち消費者が使っている様々なものの原料を作っていることが多いので、あまり馴染みがないという方も多いかもしれません。
でも、実は私たちの生活に欠かせない製品を作っているクラレ。
まずは、クラレがどのような会社で、どんなものを作っているのか、そしてクラレ株は買いなのかどうかを見ていきましょう。
■ 投資判断基準:中長期で買い
以下の点を総合的に勘案し中長期で『買い』が適当と判断。
■ 業績見通し:
▷ 業績は堅調だが好調だった米国の財政政策や貿易摩擦の影響で腰折れ感がある。
■ 指標関連:
▷ ROEは若干低い水準。
▷ PERとPBRともに業界比でも過去平均でも割安な水準。
■ 他社との比較:
▷ 配当利回りは高く、指標的にも割安なので水準が修正される可能性がある。
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信越化学
「信越化学」は産業や生活インフラには欠かせない素材を扱う総合化学メーカー。
社名にあるとおり信濃の水と越後の石灰石から肥料の製造を祖業としていましたが、現在では世界シェアNo1の製品を数多く手がけるグローバル企業となっています。
■ 投資判断:買い
以下の点を総合的に判断し、今期予想PERと予想EPS(1利あたり利益)から2020年3月期には15,240円が妥当水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 今期も塩ビや半導体シリコンウェハーなど各事業は堅調に推移すると思われる。
■ 信越化学の代表的な製品:
▷ 世界シェアトップの製品が多く収益力の高い製品ラインナップ。
■ 過去10年の業績推移
▷ 米国を中心とした世界経済の拡大により、増収増益の傾向が続く。
■ ROEとROA
▷ 資本効率を考えた機を逃さない経営判断によりROEとROAは上昇。
■ 投資指標分析
▷ EPS(1株あたり利益)、BPS(1株あたり純資産)は着実に上昇。市場平均上回るもPER、PBRに割高感はない。
■ 競合他社比較
▷ 競合他社との比較では収益力と財務安定性が評価され時価総額で他社を大きく上回っている。
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三菱ケミカルホールディングス
「三菱ケミカルホールディングス(以下三菱ケミカルHD)」は国内総合化学メーカーのトップ企業。
3大財閥のひとつである三菱グループの企業で、時価総額は1兆円を超えています。
■ 投資判断基準:長期的に「買い」ただし、景気悪化時には要注意。
以下の点を踏まえ長期的な投資判断は「買い」。
■ 現在の株価:
▷ 2018年1月に高値をつけた後、下落トレンドに入り現在に至るまで下落基調。
▷ 短期的には何度も反発しているが、上昇トレンド入りはできていない状況です。
▷ 配当利回りが5%を超えてきており底値形成の可能性も。
■ 業績推移:
▷ 売上高、営業利益、純利益共に2013年頃から右肩上がりに成長していたが、ここ2~3年ほどは停滞。
▷ 今期予想は増収微減益予想。
■ 指標関連:
▷ ここ数年はROE10%超、ROAは3~5%となっている。
▷ PERは約6倍、PBRは1倍を大きく下回っており割安感が強い状況か。
▷ 現在の配当利回りは5%を大きく超えており配当妙味有り。配当性向も30%代と配当にはまだ余裕あり。
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まとめ
このコンテンツでは、化学分野の企業の分析・株価の見通しを実施してきました。
これから株を購入する方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
以上、【化学・化粧品株見通し】花王・資生堂をはじめとした個別株式銘柄を分析&株価予想!…でした。
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