キーエンスは世界46カ国・210拠点で事業を展開しているグローバル企業です。
キーエンスは、自動制御機器、計測機器、情報機器、光学顕微鏡・電子顕微鏡などを製造販売しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からキーエンスの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:中長期的に強い『買い』
以下の点を総合的に勘案し中長期的に90,000円(現状66,800円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比7.0%増の3198億円と業績が好調。
▷ ROEとROAがともに高い水準で推移していること
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PBRは5.01倍で割高水準であるが、日経平均株価を牽引する値嵩株の宿命。
■ 他社との比較:
▷ 競合が減益に落ち込む中で19年度も好調な業績を上げていること
■ 株主還元策の動向:
▷ 今期100円の増配を実施
Contents
【企業情報】キーエンスとは?
ここでは日本が世界に誇るグローバル企業であるキーエンスの事業内容をご紹介していきたいと思います。
半導体・液晶業界
半導体チップの高さを非接触で高精度に検出することで、生産性を向上させる役割を提供しています。
自動車業界
自動車のドア・フードの組み付け後、溝の幅の自動測定ができるような技術を提供しています。
電機・電子業界
製造工程でのロットNo をバーコードで読み取る技術を提供することでシリアル管理の自動化に貢献しています。
食品・薬品業界
パッケージ不良、日付印字の有無などの複合検査を行なうことで、品質向上に貢献しています。
金属・鉄鋼業界
生産現場・機械での事故防止など安全性を向上させるシステムを提供しています。
化学・プラント業界
工場エネルギー使用量の記録と把握を実施し、省エネ法対応に貢献しています。
キーエンスは自動車、半導体、電子・電気機器、通信、機械、化学、薬品、食品など、製造業のあらゆる分野で展開しています。
FA(ファクトリー・オートメーション)用センサをはじめとする高付加価値製品を提供することで、生産現場の生産性・品質向上に貢献しています。
キーエンスの過去10年の業績推移(PL)
ここではキーエンスの過去10年間の業績推移を見ていきます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2007/03 | 182,711 | 92,977 | 97,541 | 58,646 |
2008/03 | 200,666 | 102,354 | 104,984 | 63,208 |
2009/03 | 165,328 | 73,371 | 72,439 | 41,996 |
2010/03 | 136,177 | 55,658 | 59,527 | 37,695 |
2011/03 | 184,802 | 86,611 | 89,987 | 55,345 |
2012/03 | 199,334 | 91,145 | 94,244 | 58,162 |
2012/06 変 | 52,016 | 22,805 | 25,519 | 15,535 |
2013/03 変 | 165,813 | 76,416 | 82,877 | 52,043 |
2014/03 | 265,010 | 130,689 | 136,742 | 85,904 |
2015/03 | 334,034 | 175,719 | 186,347 | 121,063 |
2015/06 変 | 88,050 | 45,841 | 48,615 | 31,521 |
2016/03 変 | 291,232 | 155,468 | 156,905 | 105,645 |
2016/06 変 | 96,352 | 49,160 | 47,943 | 32,475 |
2017/03 変 | 316,347 | 169,750 | 173,436 | 120,680 |
2018/03 | 526,847 | 292,890 | 298,860 | 210,595 |
2019/03 | 587,095 | 317,868 | 319,860 | 226,147 |
度々決算期は3月期と6月期に変更しているのでわかりにくくなっています。
しかし、基本的に売上高も営業利益も2012年を底として横ばい状態からのV字回復を遂げていることがわかります。
キーエンスの業績は順調であるといってよいでしょう。
キーエンスが4月24日に最新決算を発表しました。
19年3月期の連結経常利益は前の期比7.0%増の3198億円、20年3月期の業績見通しについては非開示と公表しています。
また配当に関しては、200円(前期100円)と大幅に増額するとしています。
キーエンスのROEとROA
決算期 | ROE | ROA |
2007/03 | 15.11% | 13.70% |
2008/03 | 14.26% | 13.01% |
2009/03 | 8.66% | 8.14% |
2010/03 | 7.23% | 6.90% |
2011/03 | 9.76% | 9.20% |
2012/03 | 9.37% | 8.84% |
2012/06 変 | 9.51% | 9.06% |
2013/03 変 | 10.08% | 9.63% |
2014/03 | 11.28% | 10.63% |
2015/03 | 14.02% | 13.03% |
2015/06 変 | 13.46% | 12.64% |
2016/03 変 | 14.13% | 13.41% |
2016/06 変 | 12.32% | 11.71% |
2017/03 変 | 14.30% | 13.60% |
2018/03 | 16.42% | 15.39% |
2019/03 | 15.23% | 14.27% |
キーエンスのROEは7.23%~15.11%と非常に高い数値で推移しています。
2010年を除くすべての期間で日本の東証一部の平均値である8%を超えて推移していることがわかります。
また、ROAは6.90%~13.70%と日本の東証一部の平均値である2%を大幅に超えて推移しています。
キーエンスのROEとROAは非常に高く経営効率がよいことを意味してます。
キーエンスのテクニカル分析
ここではキーエンスは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
キーエンスの過去10年の株価推移
上図はキーエンスの過去10年の株価推移です。日経平均株価に連動した美しい上昇トレンドを形成しているといえます。
月足でエリオット波動の第3波継続中
上図はキーエンスの月足チャートです。
現在最も安定した株価の上昇が期待できるエリオット波動の3波のさなかであることがわかります。
長期的にキーエンスは「買い」であると判断することができます。
週足の一目均衡表も雲に支えられ買いサイン点灯中
上図はキーエンスの週足チャートです。
変化日から、中期で調整に入っていましたが現在は再度変化日から上値抵抗を抜け上昇波動に転換していることがわかります。
よって、中期でも買いサインが点灯している状態であるといえます。
テクニカルから見たキーエンス
テクニカル的にもキーエンスは「買い」であるということができます。
これほど見事なチャートを形成している銘柄は珍しいといってよいほどテクニカル的に安定している銘柄です。
競合他社比較-ファナックと比較する-
キーエンス(6861)を同業であるファナック(6954)と比較検討していきます。
キーエンス | ファナック | |
時価総額 | 8.1兆円 | 2.0兆円 |
予想PER | 36.2倍(実績:予想は非開示の為) | 66.9倍 |
PBR | 5.01倍 | 3.00倍 |
予想配当利回り | 0.30% | – |
ROE | 15.23% | 10.63% |
ROA | 14.27% | 9.19% |
自己資本比率 | 94.40% | 88.50% |
PERとPBRはどちらも高い
PERはファナックが66.9倍、キーエンスは実績ベースですが36.2倍となっています。
日経平均株価の平均PER13~14倍ということから考えると非常に高い水準まで買われていることがわかります。
PBRはファナックが3.00倍、キーエンスは5.01倍となっています。
日経平均株価の平均PBRは2倍程度のため、PBRからみても非常に割高感が高いセクターであるといえます。
配当利回りは低く優待は設定していない
配当利回りは大幅増配したキーエンスでも0.30%と低い利回りであるといえます。
成長産業であるため配当金をだすよりも成長に投資した方が合理的ですからね。
両社株主優待は設定されていません。
決算予測
キーエンス
19年3月期の連結経常利益は前の期比7.0%増の3198億円、20年3月期の業績見通しについては非開示。
ファナック
19年3月期の連結経常利益は前の期比26.5%減の1834億円、20年3月期も前期比53.8%減の847億円に大きく落ち込む見通し。
テクニカル分析
同じ値嵩株でもファナックの月足はキーエンスのような安定感はありません。
2016年の15,300円と2019年の15,570円で過労して上昇トレンドに踏みとどまっている状態です。
15,300円を割れてしまうと、上昇トレンドが崩れ暴落するリスクを内包しているチャートであるといえます。
ただし、週足を見ると、ファナックは現在長い上値抵抗である雲を抜けたばかりです。
投資妙味のある位置に株価が存在していることがわかります。
テクニカル的に安定感が高く、高勝率を期待することができるのはキーエンスです。
しかし、逆張り派にはファナックがテクニカル的におすすめであるといえます。
競合他社比較総合
企業向けに高付加価値製品を提供することで、生産現場の生産性・品質向上を提供している最先端企業であるキーエンスとファナック。
19年度の業績とテクニカル的な側面からキーエンスのほうが投資安定感があるといってよいでしょう。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からキーエンスの今後の株価推移を分析してきました。
キーエンスはテクニカル・ファンダメンタル両面から見て「買い」の優良銘柄です。
積極的に押しを狙っていきましょう。
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