【7261】業績見通しが暗い『マツダ』(=MAZDA)の今後の株価推移を予想する!

マツダの株価を予想する

2017年8月に、トヨタ自動車と500億円分の株式を相互に取得し合うことでアライアンスを締結したマツダ株式会社(以下:マツダ)。

「私たちはクルマを愛しています」というコーポレーションビジョンを掲げています。

2030年時点で生産するすべての車両のうち95%を内燃機関と電動化技術を融合させた車両にするという目標を掲げています。

しかし、世界的にCO2の排出量規制やEV市場の競争激化が進む中内燃技術にこだわる同社は「クルマを愛し続ける」ことができるのでしょうか。

その点を踏まえ銘柄としての有効性を考えていきましょう。

■ 投資判断基準:短期的には『買い』だが、長期的には『売り』

以下の点を総合的に勘案して2020年3月期に1200円程度(現在1082円)が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷ 短期的には前年と比較して、国内の自然災害からの回復を理由に当期純利益が大幅に上昇すると考えられる。

▷ 中国の景気減速による出荷台数の減少や世界的な環境規制強化への対応など、他社と同様のコストがかかる見通し。

▷ 長期的には内燃機関の開発を強化するために設備投資を大幅に膨張。

▷ 世界的なEV化の中でそれらの投資が回収されるかは疑問。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷ 両指標ともかなり低く、設備投資の上昇や国内の当期純利益の減少もあり資本効率はあまりよくないと考えられる。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷ 両指標とも同社の過去平均から見ても業界の過去平均から見てもかなり低水準にあり割安と判断できる。

■ 他社との比較:

▷ 設備投資や研究開発費がかなりかけられておりそれは内燃機関の開発に使われていることが多く、その点が他社とは違う特性。

▷ トヨタとのアライアンスもあり世界トップレベルの技術を享受できる見込みがあるので強みになると考えられる。

■ 株主還元策の動向:

▷  配当利回りは同社の過去平均から見ても業界の過去平均から見てもかなり高く短期的には持続する見通し。

 

 

マツダ(7261)ってどんな会社?

まずマツダとはどんな会社なのかを見ていきましょう。

1920年初代社長・海塚新八によって「東洋コルク工業株式会社」が設立されました。

1979年にフォードと資本提携を締結し傘下に入りました。2015年9月にフォードの傘下から外れ、トヨタと中長期的な業務提携を結びました。

2017年にはトヨタとアライアンスを締結し、長期ビジョン「サステナブルZoom-Zoom宣言 2030」を発表しました。

トヨタ・デンソーとEV開発のための合併会社「EV C.A.Spirit」をアメリカに設立しました。

2018年には国内生産累計5000万台を達成し、これは国内自動車会社で3番目の快挙になります。

現在の社長は丸本明氏で、時価総額は約482億円です。

 

マツダの業績は順調なのか?

それでは一番重要なマツダの業績について確認していきましょう。

マツダの過去10年の業績推移

まずは過去13年の『売上高』と『営業利益』『経常利益』『当期純利益』について見ていきます。

決算期売上高営業利益経常利益当期利益
2007/33,247,485158,532127,75373,744
2008/3月3,475,789162,147148,46191,835
2009/3月2,535,902-28,381-18,680-71,489
2010/3月2,163,9499,4584,644-6,478
2011/3月2,325,68923,83536,862-60,042
2012/3月2,033,058-38,718-36,817-107,733
2013/3月2,205,27053,93633,08734,304
2014/3月2,692,238182,121140,651135,699
2015/3月3,033,899202,888212,566158,808
2016/3月3,406,603226,775223,563134,419
2017/3月3,214,363125,687139,51293,780
2018/3月3,474,024146,421172,133112,057
2019/3月3,564,69683,013116,78863,476
2020/03予3,700,000110,000125,00080,000

 

マツダの業績推移

 

2019年3月期では売上高が前年から増加していますが、営業利益が前年同期比-44.4%になっているのでかなりのコストがかかっていることが分かります。

例えば2018年中ごろの西日本豪雨の影響や国内への販売費用の増加・中国における景気減速に伴った需要減・米国販売チャネルへの投資・環境規制対応が主なコスト増と減益の要因です。

 

長期ビジョン「サステナブルZoomZoom宣言 2030

欧州・中国を中心にCO2の排出量に対する環境規制が高まっている中、自動車業界では急速なEV化が進んでいます。

そのビジネス環境の中で同社はEV化も進める方向ですが、内燃機関車両開発への比重が大きく世界的なビジネスの行方を注視する必要があります。

2019年3月5日、独フォルクスワーゲン(VW)は2030年時点で世界販売の40%をEV車にする方針を明らかにしました。

さらに欧州や中国に関しては内燃機関ではなくEVを45%前後販売することを決めました。

VWディース社長は「2025年ごろに内燃機関車と同等の利益率をEVでも確保できる」と述べていて、「

内燃機関車の燃費は限界が近づいている」と考え内燃機関を縮小させる方針を明らかにしました。

世界トップレベルの自動車会社VWの動きもある中、マツダのさらなる内燃機関の開発はビジネスへ好材料になるのでしょうか。

 

マツダの経営状態 (ROEとROA)

ここではROAとROEについて見ていきましょう。

ちなみにROAとROEは経営効率を見る指標で一般的にROAが5%以上、ROEが10%以上あれば効率的であると考えられています。

現在のROAと同社の過去ROA平均との比較

現在(2019年6月初め時点)のマツダのROAが同社における過去(直近7年)の平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

マツダのROAと過去水準との比較

表3-1

 

表3-1より、2019年3月期のROAの減少幅は約46.2%で、主因として当期純利益が43.4%減少したことが挙げられます。

当期純利益の減少要因として「2.企業業績」でも挙げましたが、自然災害や中国の景気減速が考えられます。

一方で長期借入金も2019年3月期に49.47%増加しています。

内燃機関の開発やアラバマ州の工場への投資などによるものでこれらの収益化がされなければ長期的な資本効率は落ち込み、株価にとってかなり悪影響になるでしょう。

当期純利益の減少は一過性と判断できます。

しかし。世界的なEV化が進む中で内燃機関への設備投資の急激な増加は長期的な収益化の確実性が見込まれるまで悲観的にならざるを得ないでしょう。

次は、同業他社(三菱自動車・スズキ)とのROAを見ていきます。

マツダのROEと競合他社の比較

表3-1-1

 

表3-1-1より、長期借入金の大幅な上昇により業界内ではROAが落ち込んでいます。

このROAの低下は一過性とは考えにくく長期化してしまう可能性があります。

次に同社のROAが業界内で長期的にどの水準にあるかを見ていきます。

 

同業他社とのROA比較

準大手3社の過去7年分とマツダのROAを比較していきます。

マツダのROAと準王手3社の比較

表3-2

 

表3-2より、やはりROAは長期的に業界内で低下傾向にあります。

決算報告の都度、投資回収の確実性を見極める必要があります。

 

現在のROEと同社の過去ROE平均との比較

現在(2019年6月初め時点)のマツダのROEが、同社における過去(直近7年分)のROE平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

※ROEは「自己資本からどれだけ効率的に当期純利益を生み出したか」という指標です。

しかし、負債を多くすればするほど利益を多く生むことができROEを高めることができます(レバレッジをかけるということ)。

ここではROEを「総資本に対する負債の比率」で割った「修正ROE」を用いて見ていきます。

マツダのROEと平均との乖離

表3-3

 

表3-3より、2019年3月期の修正ROEの減少幅は約46.8%であり、同年同期の自己資本比率は前年比で特に変化がないので当期純利益の大幅な低下が原因であるとみられます。

2018年に起きた国内の自然災害について売上高は前年と同じ水準を保っていますがその分コストがかかり営業利益はかなり低下しています。

中国では景気減速に伴った売上高の減少(前年同期比-23.3%)が始まり、長期化する可能性が高いです。

 

これに加えて世界的な環境規制への対応もありますが他社も似たような状況にあるためROEについては悲観的になる必要はないと考えられます。

では次は、同業他社の修正ROEを見ていきます。

 

マツダと準大手3社の修正ROEの比較

表3-3-1

 

表3-3-1より、やはり自己資本による資本効率は業界内で最も低いですが一過性と考えても良いかもしれません。

 

同業他社との修正ROE比較

次に同社の修正ROEが業界内で長期的にどの水準にあるのかを見ていきます。

マツダのROEと準王手3社平均との乖離

表3-4

 

表3-4より、やはり業界内で長期的に資本効率が悪く、

要因が一過性であるとしてもROAから見る長期借入金の膨張も含め現在は資本効率の水準を懸念するべきかもしれません。

 

割安?割高?(PERPBR

株式投資をするときの鉄則は「安く買って高く売る(高く売って安く買い戻す)」ということですが、

実際その銘柄が高いのか安いのか判断していく必要があります。

ここではPERとPBRに着目して検討していきたいと思います。

現在のPERと同社の過去PER平均との比較

まず現在(2019年6月初め時点)のマツダのPERが、同社における過去(直近9年分)のPER平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

マツダのPERの過去平均との比較

表4-1

 

表4-1より、2019年3月期のPERの上昇は当期純利益の減少が主因です。

2020年3月期の予想ではPERが低下していますが、おそらく当期純利益の減少は一過性であり改善される見通しを持って予想されたものだと考えられます。

さらに長期的にPERが低下していることも重要な点です

 

同業他社とのPER比較

次に同業他社とマツダのPERを比較していきます。

マツダと競合他社のPER推移

表4-2

 

表4-2より、自動車業界全体でPERが低下していますが2020年3月期の予想から業界内で最も割安であると考えられます。

そこで、準大手3社の過去9年分とマツダのPERを比較していきます。

マツダのPERと競合他社のPER平均との比較

表4-2-1

 

表4-2-1より、長期的に業界内でかなり割安であることがいえます。

PERの点から見ると2020年3月期にかなり割安になると考えられます。

 

現在のPBRと同社の過去PBR平均との比較

 まず現在(2019年6月初め時点)のマツダのPBRが、同社における過去(直近9年分)のPBR平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

マツダのPBRと過去水準との比較

表4-3

表4-3より、2015年3月期から現在に至るまで大幅にPERが低下していますが株価の低下が主因であると考えられます。

現在は同社の過去から見るとPBRがかなり低下しており割安といえるでしょう。

 

同業他社とのPBR比較

次に同業他社とマツダのPBRを比較していきます。

マツダと競合他社のPBR推移

表4-4

 

表4-4-より、株価の大幅な下落もありPBRは業界内最も低下しています。

その点も踏まえ自動車業界・準大手3社の中では同社が最も割安だといえます。

そこで準大手3社の過去9年分の平均とマツダのPBRを比較していきます。

マツダのPBRと競合他社の平均との比較

表4-4-1

 

表4-4-1より、やはり準大手3社の中でPBRが低下しており割安であると考えられます。

 

マツダの株主還元 (配当金)

ここでは配当金について考えていきます。

準大手3社配当利回り比較

まずマツダの配当利回りは準大手3社の中でどのくらいの位置づけなのでしょうか。

準大手3社との配当利回りを比較

表5-1

 

表5-1より配当利回りは上昇しており2019年3月25日の有価証券報告書によると今後も着実に配当金を向上させていく方針です。

 

マツダの配当利回りと平均との比較

マツダの配当利回りは同社の過去平均と比べてどの水準なのでしょうか。

マツダ配当利回りと平均との比較

表5-2

 

表5-2より、同社の過去平均から見ても配当利回りは上昇しており、今後もゆるやかに上昇していく方針です。

 

マツダの配当利回りと大手3社配当利回り平均との比較

自動車業界におけるマツダの配当利回りの水準はどの程度なのでしょうか。

マツダの配当利回りと競合他社平均との乖離

表5-3

表5-4より、業界内で見ても配当利回りは高く株価の下落が要因になっています。

一方で配当金の着実な向上も有価証券報告書(2019年3月25日提出)で伝えられています。

 

まとめ

業績推移は軟調で見通してとしては暗い状況となっています。

指標的には割安水準であったとしても購入判断は見送りされた方がよいと言えるでしょう。

 

■ 投資判断基準:短期的には『買い』だが、長期的には『売り』

以下の点を総合的に勘案して2020年3月期に1200円程度(現在1082円)が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷ 短期的には前年と比較して、国内の自然災害からの回復を理由に当期純利益が大幅に上昇すると考えられる。

▷ 中国の景気減速による出荷台数の減少や世界的な環境規制強化への対応など、他社と同様のコストがかかる見通し。

▷ 長期的には内燃機関の開発を強化するために設備投資を大幅に膨張。

▷ 世界的なEV化の中でそれらの投資が回収されるかは疑問。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷ 両指標ともかなり低く、設備投資の上昇や国内の当期純利益の減少もあり資本効率はあまりよくないと考えられる。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷ 両指標とも同社の過去平均から見ても業界の過去平均から見てもかなり低水準にあり割安と判断できる。

■ 他社との比較:

▷ 設備投資や研究開発費がかなりかけられておりそれは内燃機関の開発に使われていることが多く、その点が他社とは違う特性。

▷ トヨタとのアライアンスもあり世界トップレベルの技術を享受できる見込みがあるので強みになると考えられる。

■ 株主還元策の動向:

▷  配当利回りは同社の過去平均から見ても業界の過去平均から見てもかなり高く短期的には持続する見通し。

 

 

以上、【7261】業績見通しが暗い『マツダ』(=MAZDA)の今後の株価推移を予想する!…でした。

 

 

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2019.09.10



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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。