【8058】総合商社の王者『三菱商事』の株価推移を予想する!高配当利回りは持続可能かも検証。

三菱商事は三菱グループの日本を代表する大手総合商社です。

世界171か所に拠点を持つグローバル企業でもあります。

今回はファンダメンタルとテクニカル両面から三菱商事の今後の株価推移を分析していきたいと思います。

 

■ 投資判断基準:長期「買い」

以下の点を総合的に勘案し、三菱商事は長期「買い」、ターゲット値4,500円と予想。

■ 業績見通し:

▷19年3月期の連結最終利益は前の期比5.5%増の5907億円、20年3月期も前期比1.6%増の6000億円に伸びる見込み。4期連続増益で業績の回復傾向が顕著であること。

■ 指標関連:

▷ ROEとROAも2017年から安定していること。

▷ 予想PER 7.7 倍、予想PBRは0.81倍でともに異常なほど割安水準であること。

■ 他社との比較:

▷  商社セクター全体が日経の出遅れで「買い」判断。商社セクターの中でも特に大手である三菱商事は投資安定感が高いこと。

■ 株主還元情報:

▷ 中期経営計画では2021年までに配当200円(現在125円)を目標にしている。

■テクニカル的な判断:中期様子見、長期買い

▷ 中期では上値抵抗が強く、株価が上昇しにくい状況であるため、週足を見ながら、長期での買い場を探していきたいところ。

 

総合商社を先導する三菱商事とは?

日本を代表する総合商社である三菱商事。

私は三井物産に勤務していましたが、私が勤務した2012年以降でも純利益で迫ったこともありますが一度も凌駕することはありませんでした。

押しも押されぬ総合商社の王者といっても差し支えないでしょう。

ここでは三菱商事の事業内容を解説していきたいと思います。

 

総合商社はかつて『ラーメンからミサイルまで』と言われたように、様々な分野に取り掛かっています。

そして以前は右から買って左に売るトレーディング業が中心でしたが、最近は投資利益で利益の大半を上げています。

以下は各事業部の簡単な概要です。

 

①:天然ガスグループ

天然ガスの生産、輸送、トレーディング、輸入代行業務を提供しています。

 

②:総合素材グループ

ニードルコークス、電極、鉄鋼製品、炭素繊維、塩化ビニール、硅砂、セメント等多岐にわたる素材の販売取引、事業開発、事業投資を行っています。

 

③:石油・化学グループ

原油、石油製品、LPGや石油化学製品、塩、メタノール等の商品の取組や製造事業を行っています。

 

④:金属資源グループ

原料炭・銅を中核として、原料炭、銅、鉄鉱石、アルミといった金属資源への投資・開発などを行っています。

⑤:産業インフラグループ

様々な業種でデジタル化や低環境負荷等、各産業での顧客ニーズに応えるサービスやソリューションを提供しています。

 

⑥:自動車・モビリティグループ

乗用車・商用車の販売や販売金融を提供しています。

 

⑦:食品産業グループ

「食」に関わる商品を消費者に届ける事業をグローバルに展開しています。

 

⑧:コンシューマー産業グループ

リテイル、アパレル・S.P.A.、ヘルスケア・食品流通、物流の各領域において、消費者にとって利用価値の高い小売・流通プラットフォームの構築を行っています。

 

⑨:電力ソリューショングループ

電力ソリューショングループは「環境事業本部」「新エネルギー・電力本部」の2本部で構成されています。

 

⑩:複合都市の開発グループ

都市インフラ、都市開発、アセットファイナンスの3本部体制で事業を展開しています。

 

三菱商事の過去10年の業績推移(PL)

ここでは三菱商事の過去10年間の業績推移を見ていきます。

途中で会計基準が変更している移行期において売上高は空欄となっていますが、商社の業績を見る上で売上高は全く重要ではありません。

先ほど申し上げた通り総合商社の利益の源泉は投資収入なのでトレーディング収益である売上高は重要な意味をなしません。

決算期売上高税前利益当期利益EPSBPS
2007/03 S20,516,264595,542415,895262.21,859.5
2008/03 S23,103,043544,505462,788291.71,810.5
2009/03 S22,389,104388,228369,936233.21,501.8
2010/03 S17,098,705294,268273,147172.21,866.1
2011/03 S19,233,443534,297463,188292.02,069.6
2012/03 S20,126,321458,970453,849286.12,211.3
2013/03 I442,726323,457203.92,846.4
2014/03 I531,954361,359227.83,193.3
2015/03 I574,722400,574252.53,510.1
2016/03 I6,925,582-92,823-149,395-94.1円2,893.9
2017/03 I6,425,761601,440440,293277.63,098.5
2018/03 I7,567,394812,722560,173353.13,360.1
2019/03 I16,103,763851,813590,737372.43,589.4
2020/03予 I600,000378.2

 

わかりやすくグラフ化したものは以下となります。

三菱商事の業績

 

三菱商事の業績推移は他業種と大きく異なっています。

リーマンショックの影響はどちらかといえば軽微である反面、資源価格の影響が大きく業績に影響する形となっています。

原油価格が急落した2016年3月期には減損損失を出し、三井物産と共に赤字決算となりました。

 

純利益は2016年に底打ちして以降、急速に回復し最高益を更新しています。

よって、三菱商事の業績は回復傾向にあると評価できます。

 

三菱商事は5月9日に決算を発表しました。

19年3月期の連結最終利益は前の期比5.5%増の5907億円、

20年3月期も前期比1.6%増の6000億円に伸びて再び最高益を更新する見込みであると公表しています。

 

三菱商事のROEとROA

以下は三菱商事のROEとROAの過去10年の推移です。

決算期ROEROA
2007/03 S14.09%3.62%
2008/03 S16.11%3.94%
2009/03 S15.52%3.39%
2010/03 S9.22%2.51%
2011/03 S14.10%4.08%
2012/03 S12.93%3.61%
2013/03 I7.16%2.15%
2014/03 I7.13%2.27%
2015/03 I7.19%2.39%
2016/03 I-3.25%-1.00%
2017/03 I8.95%2.79%
2018/03 I10.51%3.49%
2019/03 I10.37%3.57%
2020/03予 I10.53%3.63%
2017年から平均10.09%3.37%

 

直近は平均してROEは10%と高水準を維持しています。

図解したものが以下となります。

三菱商事のROEとROA

 

三菱商事のROEとROAも営業利益同様、資源価格に沿った推移をしています。

よってROEとROAも営業利益同様落ち着きを取り戻し、ここ3年間は日本の東証一部の平均値を超えて推移しています。

効率よく利益を上げられているということができるでしょう。

 

三菱商事は安定した高配当企業

それでは配当金について見ていきましょう。

4.5%近い配当利回りで増配基調

総合商社は全体的に高配当セクターですが、三菱商事も安定して増配しており高配当企業となっています。

1株あたり配当金
2015/03 70
2016/03 50
2017/03 80
2018/03 110
2019/03 125
2020/03 125

 

図にすると以下となります。安定して配当金が増額されていることが見て取れますね。

三菱商事の配当金の推移

配当利回りは過去3年で以下のように推移しています。

現在2019年7月時点では4.3%程度となっています。

三菱商事の配当利回りの推移

 

高配当は持続可能なのか?

それでは配当金の水準は持続可能なのかという点を確認していきたいと思います。

配当金の源泉は企業が稼ぎだした『キャッシュ』です。

企業のお金の流れを見るにはキャッシュフロー計算書を見なければいけません。

キャッシュフロー(CF)計算書とは?わかりやすく解説!企業の経営状態・資金繰りを分析しよう。

2019.05.20

 

以下、三菱商事のキャッシュフロー計算書の概要なのですが、営業CFが安定して高い水準を維持しています。

近年では投資で使うお金を大きく凌駕した金額を稼ぎ出しています。

単位:百万円営業CF投資CF財務CF
2007/03 S
460,779-281,640-139,242
2008/03 S319,068-356,65969,472
2009/03 S550,441-691,216650,546
2010/03 S760,568-141,157-755,117
2011/03 S331,204-262,60176,749
2012/03 S550,694-1,100,913599,059
2013/03 I453,327-791,026388,366
2014/03 I381,576-300,502-118,845
2015/03 I798,264-154,852-305,334
2016/03 I700,105-503,854-364,528
2017/03 I583,004-179,585-752,162
2018/03 I742,482-317,583-554,328
2019/03 I652,681-273,687-227,480

 

ただ三菱商事の配当金は投資している世界の企業からの配当金によって齎されています。

世界経済にショックが起きた場合には配当金も一時的に下落することが考えられます。

しかし、その時こそが三菱商事を安く購入するチャンスとなります。

仮に1000円台で購入することができれば現在の配当金125円ベースだと高い配当金を獲得することができますからね。

 

三菱商事の中期経営計画「中期経営戦略2021~事業経営モデルによる成長の実現~」

三菱商事の中期経営計画

三菱商事

 

「中期経営戦略2021~事業経営モデルによる成長の実現~」の4つの柱

・事業ポートフォリオ戦略

・成長メカニズム

・経営人材の育成

・2021年の利益目標9,000億円と配当200円目標

 

現段階で利益が5,907億円、配当が125円ですので、到達はかなり難しい計画であるということができます。

 

三菱商事のテクニカル分析

ここでは三菱商事は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。

三菱商事の過去10年の株価推移

下記は三菱商事の過去10年間の株価推移です。

日経平均株価以上に美しい上昇トレンドを形成しているということができます。

三菱商事の月足

 

三菱商事のテクニカル分析

三菱商事は5年以上も1,330-2,542円の長いレンジ相場でした。

三菱商事のテクニカル分析

一般的にレンジ相場は「パワーの充てん期」といわれています。

ですから、持合いが長ければ長いほど上昇パワーも大きくなる傾向があります。

三菱商事は1,330円―3,638円と10年近くかけて株価が3倍にも到達していません。

よって、持合い期間の長さから逆算して、いまだ上昇トレンドが継続中であると考えられます。

 

テクニカルから見た三菱商事

下記は中期の株価数位を見るための週足チャートです。

三菱商事のテクニカル分析

現在は上値抵抗である雲(ピンク色の部分)に株価が押し込まれていることがわかります。

よって、三菱商事はテクニカル的に中期で様子見、長期で買いとの判断であるといえます。

具体的には週足の雲の動向を把握しながら、買い場を探っていく展開になります。

 

ファンダメンタル面から三菱商事の株価を予想する

先ほど申し上げた通り三菱商事のROEは近年は10%で安定しております。

2020年度予想のEPS378.20を前提に考えると2024年までのEPSは以下の通り推移することとなります。

EPS予想
ROE10%前提
2020378.20
2021416.02
2022457.62
2023503.38
2024553.72

 

株価はEPS×PERで算出されるのでPERについても見ていきましょう。

以下は過去3年間の三菱商事のPERの推移です。

三菱商事のPERの推移

割安でずっと推移していますが平均して8.5倍程度となっています。

PERが保守的に7倍、平均的な8.5倍、楽観的な10倍となった場合の今後の株価は以下の通りとなります。

EPS予想PER7倍PER8.5倍PER10倍
2020(今期末)378.20264732153782
2021416.02291235364160
2022457.62320338904576
2023503.38352442795034
2024553.72387647075537

現在2019年7月19日時点の株価が2900円近辺であることから長期保有で5年後には4500円以上の株価を望むことができるでしょう。

五大総合商社の競合他社比較

三菱商事(8058)の同業でありライバルである以下五大商社と比較していきます。

  • 三井物産   (8031)
  • 伊藤忠商事(8001)
  • 住友商事(8053)
  • 丸紅(8002)

 

 

三菱商事三井物産伊藤忠商事住友商事丸紅
PER7.7 倍6.7 倍5.8 倍5.9 倍5.1 倍
PBR0.81 倍0.71 倍0.99 倍0.73 倍0.70 倍
配当利回り4.32%4.62%4.47%5.59%5.01%
ROE10.37%9.72%17.04%11.57%11.67%
ROA3.57%3.47%4.96%4.05%3.39%

 

 

①:PER

日経平均株価の平均はPER13~14倍です。

よって商社セクターのPERは丸紅の5.1倍から三菱商事の7.7倍ですので、セクターで割安であると評価することができます。

 

②:PBR

日経平均株価の平均PBRの2倍ですので、全社PBR1倍以下の商社セクターは割安であるといえます。

セクター全体としてPER、PBRともに割安なのは私が入社した頃から一貫しています。

理由としては投資家として市場から期待されていないためとの整理ですが、

高いROEを継続することで三菱商事を先導に再評価がいつかは進むと考えています。

 

③:配当利回り

配当利回りは三菱商事の4.32%から住友商事の5.59%と全社4%以上の高配当になっています。

よって商社セクターは高配当セクターであるということができます。

 

④:株主優待

全社、株主優待の設定がありません。

 

⑤:決算予測

ⅰ.三菱商事

19年3月期の連結最終利益は前の期比5.5%増の5907億円、20年3月期も前期比1.6%増の6000億円に伸びる見込み。

4期連続増益。

 

ⅱ.三井物産

19年3月期の連結最終利益は前の期比1.0%減の4142億円、20年3月期は前期比8.6%増の4500億円に伸びる見通し。

 

ⅲ.伊藤忠商事

19年3月期の連結最終利益は前の期比25.0%増の5005億円、20年3月期は前期比0.1%減の5000億円とほぼ横ばいの見通し。

 

ⅳ.住友商事

19年3月期の連結最終利益は前の期比3.9%増の3205億円、20年3月期も前期比6.1%増の3400億円に伸びを見込んでいる。

5期連続増益。

 

ⅴ.丸紅

19年3月期の連結最終利益は前の期比9.3%増の2308億円、20年3月期も前期比3.9%増の2400億円に伸びを見込みんでいる。

4期連続増益。

 

減益予想の多いセクターが多い中、商社セクターの業績の良さが光ります。

 

⑥:競合他社比較総合

商社セクターは日経の出遅れ・割安セクターであるといえます。

また高配当でもあるため、長期で投資したいセクターであるといえます。

セクター的には配当と業績から住友商事が一歩リードしているといえます。

 

まとめ

今回はファンダメンタルとテクニカル両面から三菱商事の今後の株価推移を分析してきました。

テクニカル的には長期上昇波動継続中で長期「買い」であると判断できます。

また、ファンダメンタルも業績の回復傾向が顕著であるため、「買い」と判断することができます。

よって、三菱商事はテクニカルでインする場面を探りつつ、長期で投資したい銘柄であるといえます。

 

■ 投資判断基準:長期「買い」

以下の点を総合的に勘案し、三菱商事は長期「買い」、ターゲット値4,500円と予想。

■ 業績見通し:

▷19年3月期の連結最終利益は前の期比5.5%増の5907億円、20年3月期も前期比1.6%増の6000億円に伸びる見込み。4期連続増益で業績の回復傾向が顕著であること。

■ 指標関連:

▷ ROEとROAも2017年から安定していること。

▷ 予想PER 7.7 倍、予想PBRは0.81倍でともに異常なほど割安水準であること。

■ 他社との比較:

▷  商社セクター全体が日経の出遅れで「買い」判断。商社セクターの中でも特に大手である三菱商事は投資安定感が高いこと。

■ 株主還元情報:

▷ 中期経営計画では2021年までに配当200円(現在125円)を目標にしている。

■テクニカル的な判断:中期様子見、長期買い

▷ 中期では上値抵抗が強く、株価が上昇しにくい状況であるため、週足を見ながら、長期での買い場を探していきたいところ。

 

以上、【8058】総合商社の王者『三菱商事』の株価推移を予想する!高配当利回りは持続可能かも検証。…でした。

 

【商社株見通し】長期保有で高配当利回りを狙う?5大総合商社の株式銘柄を分析&株価予想!

2019.09.10

 




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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。