【8031】高配当利回りの三井物産の株価を業績推移とテクニカル分析を踏まえて予想する!

三井物産 株価 予想

三井物産は日本の大手総合商社です。

三井物産の歴史は古く、外国の商館に牛耳られていた貿易を日本人の手に取り戻そうと、

井上馨や益田孝らによって設立された会社が三井物産の前身です。

 

三井物産は筆者が社会人生活をスタートさせた企業ですので愛着があります。

しかし、今回はファンダメンタルとテクニカル両面から中立な投資家目線で三井物産の今後の株価推移を分析していきたいと思います。

 

■ 投資判断基準:長期「買い」

以下の点を総合的に勘案し、三井物産は長期「買い」、ターゲット値2,500円と予想。

■ 業績見通し:

▷ 19年3月期の連結最終利益は前の期比1.0%減の4142億円、20年3月期は前期比8.6%増の4500億円に伸びる見通しであることから、業績の回復が顕著であること。

■ 指標関連:

▷ ROEとROAも2017年から安定していること。

▷ 予想PER 6.7 倍、予想PBRは0.71倍でともに異常なほど割安水準であること。

■ 競合他社比較:

▷ 商社セクター全体が日経の出遅れで「買い」判断。商社セクターの中でも特に大手である三井物産は投資安定感が高いこと。

■ 株主還元情報:

▷ 中期経営計画では年間配当総額に1,000億円の下限を設定しているため、配当に関しても安心感があること。

■ テクニカル的な判断:中期様子見、長期買い

▷ 中期では上値抵抗が強く、株価が上昇しにくい状況であるため、週足を見ながら、長期での買い場を探していきたいところ。

 

総合商社の双璧『三井物産』とは?

日本初の総合商社である三井物産。

ここでは三井物産の事業内容を解説していきたいと思います。

三井物産は商品を軸とした15の営業本部と地域を軸とした3つの地域本部の二つの軸により構成された営業組織で事業を展開しています。

三井物産の組織図

三井物産

 

①:15の営業本部(カッコ内は主な取扱分野)

  • 鉄鋼製品本部(鉄鋼製品)
  • 金属資源本部(金属資源)
  • プロジェクト本部(インフラ・プロジェクト)
  • モビリティ第一本部(ビジネスモデルの強化・付加価値向上)
  • モビリティ第二本部(船舶・航空・鉄道事業)
  • ベーシックマテリアルズ本部(化学)
  • パフォーマンスマテリアルズ本部(素材)
  • ニュートリション・アグリカルチャ一本部(食料と化学)
  • エネルギー第一本部(総合エネルギー事業)
  • エネルギー第二本部(天然ガス事業)
  • 食料本部(食の生産・集荷・製造・加工)
  • 流通事業本部(製・配・販が一体となった事業)
  • ヘルスケア・サービス事業本部(ヘルスケア)
  • ICT事業本部(ICT)
  • コーポレートディベロップメント本部(金融、不動産、物流事業)

 

②:3つの地域本部

  • 米州
  • 欧州・中東・アフリカ
  • アジア・大洋州

 

「あらゆる産品の貿易を手掛ける世界に類を見ない民間企業」として発足した三井物産らしいグローバルかつ多分野にまたがる事業を展開しています。

 

三井物産の過去10年の業績推移(PL)

ここでは三井物産の過去10年間の業績推移を見ていきます。

ちなみに三井物産も三菱商事同様、現在は投資収益による利益が殆どとなっています。

そのためトレーディング収益が大半を占める売上高はさほど重要な意味を持ちません。

決算期 売上高 税前利益 当期利益 EPS BPS
2007/03 S 15,357,656 330,140 301,502 173.5 1,214.2
2008/03 S 17,009,056 402,004 410,061 235.9 1,256.4
2009/03 S 15,347,925 247,307 177,607 102.2 1,082.6
2010/03 S 9,358,379 126,040 149,719 86.2 1,283.1
2011/03 S 9,942,472 272,697 306,659 176.5 1,361.4
2012/03 S 10,481,166 413,211 434,497 250.0 1,519.7
2013/03 I 10,050,556 511,463 296,623 170.7 1,978.7
2014/03 I 11,155,434 550,517 350,093 201.4 2,195.4
2015/03 I 10,827,831 431,827 306,490 176.4 2,358.8
2016/03 I 9,616,821 24,329 -83,410 -48.0円 1,944.5
2017/03 I 4,363,969 460,791 306,136 176.1 2,147.3
2018/03 I 4,892,149 544,384 418,479 240.8 2,286.9
2019/03 I 6,957,524 584,338 414,215 238.3 2,452.8
2020/03予 I 450,000 258.9

 

グラフとして図示すると以下の通りとなります。

三井物産の業績

 

三井物産は商社の中でも資源関連ビジネスが大きい資源商社となっています。

そのため、資源価格の影響が大きく業績にかかわっている業績推移になっています。

結果2015年から下落した原油価格の影響をうけ2016年3月期に減損損失をだし三菱商事と共に赤字に転落しました。

 

しかし、2016年に底打ちして以降、急速に回復しています。

三井物産が4月26日に2019年3月期の決算を発表しました。

19年3月期の連結最終利益は前の期比1.0%減の4142億円、20年3月期は前期比8.6%増の4500億円に伸びを見込み、

8期ぶりに過去最高益を更新する見通しであると公表しています。

 

三井物産のROEとROA

それでは三井物産のROEとROAについて見ていきましょう。

決算期 ROE ROA
2007/03 S 14.29% 3.07%
2008/03 S 18.78% 4.23%
2009/03 S 9.44% 2.12%
2010/03 S 6.71% 1.79%
2011/03 S 12.96% 3.57%
2012/03 S 16.45% 4.82%
2013/03 I 8.62% 2.75%
2014/03 I 9.17% 3.05%
2015/03 I 7.48% 2.51%
2016/03 I -2.47% -0.76%
2017/03 I 8.20% 2.66%
2018/03 I 10.53% 3.70%
2019/03 I 9.72% 3.47%
2020/03予 I 10.56% 3.77%
2017年からの平均 9.75% 3.40%

 

三井物産のROEとROAも営業利益同様、資源価格に沿った推移をしています。

よってROEとROAも営業利益同様落ち着きを取り戻し、ここ3年間は日本の東証一部の平均値を超えて推移しています。

よって、三井物産のROEとROAも業績同様に堅調であるといえます。

三井物産は安定した高配当企業であるが今後の見通しは?

商社セクター全体にいえることですが三井物産も漏れなく高配当銘柄となっています。

三井物産の配当金は増加基調で配当利回りも高まっている

以下の通り過去推移でも利益が落ち込んだ翌年の2017年3月期を除いて基本的には増配基調となっています。

配当
2015年3月期 64
2016年3月期 64
2017年3月期 55
2018年3月期 70
2019年3月期 80
2020年3月期予想 80

 

過去3年間の配当利回りをみると配当金の増額によって4.4%の水準まで高まっています。

 

三井物産の過去3年の予想配当利回りの推移

それでは三井物産の配当金が持続可能な水準なのかを確認していきましょう。

三井物産の配当金は持続可能?

配当金は企業が稼いだお金の中から株主に対して株主還元策として配当金を拠出しています。

企業に入ってくるお金と純利益は異なるのでキャッシュフロー計算書を確認する必要があります。

営業CF 投資CF 財務CF 現金・現金等価物
2007/03 S
239,275 -418,028 272,289 800,032
2008/03 S 415,791 -104,778 -185,129 899,264
2009/03 S 582,666 -290,892 -9,774 1,147,809
2010/03 S 632,360 -180,093 -214,445 1,401,399
2011/03 S 504,474 -484,021 33,820 1,441,059
2012/03 S 380,984 -438,191 57,394 1,431,112
2013/03 I 455,326 -754,533 236,335 1,432,534
2014/03 I 449,243 -659,818 -13,237 1,226,317
2015/03 I 639,967 -386,397 -126,193 1,400,770
2016/03 I 586,991 -408,059 -50,548 1,490,775
2017/03 I 404,171 -353,299 -50,265 1,503,820
2018/03 I 553,645 -248,211 -652,292 1,131,380
2019/03 I 410,670 -719,036 127,376 956,107

 

三井物産は資源関係の会社から莫大な配当金が拠出されるので安定して高い営業キャッシュフローを維持しています。

また2019年度は大幅な投資を行い投資キャッシュフローが営業キャッシュフローを上回っていますが、基本的には営業キャッシュフローが上回っています。

また現金並びに現金同等物も十分にあるため、配当金は十分維持可能な水準といえるでしょう。

ちなみに中期経営計画でも最低配当金拠出額を1000億円と定めており1株あたり60円は死守する方針を打ち出しています。

配当での株主還元に積極的な企業であるということができるでしょう。

配当金の方針

三井物産の中期経営計画

 

ただ当然配当金は資源関連の会社からが多くなっていますので、一度原油価格が大幅に下落すると2017年3月期のように減配となる可能性は否定できません。

しかし、同様の状況になると株価も下落するため、配当利回りは殆ど変わらず、三井物産株の仕込み時となります。

ちなみに私は株価が下落した時に持株制度で大量購入したため、現在時点での配当利回りは6%の水準となっています。

三井物産のファンダメンタル分析から今後の株価を予想する

三井物産の業績は現在回復期にあるといえます。

また2020年には過去最高益との見通しから、今後業績が向上していく過渡期にあると判断することができます。

よって、三井物産のファンダメンタル的な評価は長期「買い」初動であると判断することができます。

 

それではEPSとPERの水準から今後の株価を予想していきます。

EPSは直近の平均に近いROE10%水準で考えると今後のEPSの推定は以下となります。

EPS
(ROE10%前提)
2020(今期) 258.90
2021 284.79
2022 313.27
2023 344.60
2024 379.06
2025 416.96

 

株価はEPS×PERですので過去の三井物産のPER推移を見ていきましょう。

三井物産の予想PERの推移

平均PERは7.6倍、最低PERは6.0、最大PERは9.4と低位で安定しています。

それぞれのPERの場合の株価予想を示したものが以下となります。

EPS
(ROE10%前提)
最低PER
6.0倍
平均PER
7.6倍
最大PER
9.0倍
2020(今期) 258.90 1553 1968 2330
2021 284.79 1709 2164 2563
2022 313.27 1880 2381 2819
2023 344.60 2068 2619 3101
2024 379.06 2274 2881 3411
2025 416.96 2502 3169 3753

 

劇的に株価が上昇することは期待できませんが、底堅い動きでの配当取りを狙った長期投資が魅力的となるでしょう。

株価の狙う水準としては2500円程度が数年以来の目処となりますね。

 

三井物産の中期経営計画「Driving Value Creation」

三井物産の中長期的な動きをみるため、中期経営計画『Driving Valure Creation』を確認していきましょう。

①:2016年3月期の連結赤字決算を踏まえた、2017年3月期の取り組み

三井物産では2016年3月期に金属資源・エネルギーの市況悪化を主因に、多額の減損を計上したことで創業以来初めての連結赤字となっています。

そこで、商品市況の影響が小さい安定収益型事業の拡充と金属資源・エネルギー事業のさらなる競争力向上に取り組んでいます。

以下の通りまだまだ不十分ではありますが非資源分野は確実に利益を伸ばしています。

三井物産の非資源セクターの利益ん伸び

 

②:さらなる成長に向けた、中期経営計画の取り組み

量的拡大から質的成長への追求への脱却。

 

③:達成すべき目標(2020年度)

ⅰ 当期利益 4,400億円

ⅱ 基礎営業キャッシュ・フロー 6,300億円

ⅲ ROE 10%

 

④:2020年に向けた4つの重点施策

ⅰ 強固な収益基盤づくりと既存事業の徹底強化

ⅱ 新たな成長分野の確立

ⅲ キャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤強化

ⅳ ガバナンス・人材・イノベーション機能の強化

 

⑤:株主還元方針

ⅰ 年間配当

年間配当総額は1,000億円の下限を設定

 

ⅱ 自社株買い

経営を取り巻く諸環境を勘案の上、機動的に対応

私の勤務時代から頻繁に自社株買を行っており配当と共に株主還元を重要視する会社となっています。

 

株主還元策として注目される「自社株買い」実施の理由とは?株主に対するメリットと共にわかりやすく解説する。

2019.02.13

 

三井物産の中期経営計画はとてもわかりやすく、具体性の高い内容になっています。

また20年3月期4500億円と8期ぶりに過去最高益を更新する見通しを公表していることから、

数値目標も達成可能性の高いものであると評価することができます。

 

三井物産のテクニカル分析

ここでは三井物産は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。

三井物産の過去10年の株価推移

下記は三井物産の過去10年間の株価推移です。

三井物産の月足チャート

一見して日経平均株価に連動していないことがわかります。

よって、三井物産の株価は日経平均株価に連動しにくい独自型相場を形成していることがわかります。

 

三井物産のテクニカル分析

三井物産のテクニカル分析1

ⅰ.長いレンジ相場

およそ5年間にわたる長いレンジ相場を形成していました。

一般的にレンジ相場は「パワーの充てん期」といわれています。

ですから、持合いが長ければ長いほど上昇パワーも大きくなる傾向があります。

レンジ・ブレイクが1,665円で直近高値が2,042円と株価は倍にもなっていません。

よって、三井物産は相場初動であると判断することができます。

 

そして一つ魅力としてあげられるのは、たとえ純利益が減少したとしても高い配当金に支えられ下値は限定的という点です。

株価が下落すると配当利回りが上昇するので配当金投資家に底ではしっかりと拾われるのです。

 

ⅱ.業績に左右されやすい読みやすい相場

上記のチャートをみると、三井物産の相場は業績に連動しやすい傾向があることがわかります。

 

ⅲ.出来高の安定

上値ブレイクを果たしても、三井物産の出来高は増えていません。

よって、いまだ「初動」との認識も市場にない、大化け候補のお宝銘柄候補であるといえます。

 

テクニカルから見た三井物産

下記は中期の株価数位を見るための週足チャートです。

現在は上値抵抗である雲(ピンク色の部分)に株価が押し込まれていることがわかります。基準値は1,837円です。

三井物産のテクニカル分析2

 

よって、三井物産はテクニカル的に中期で様子見、長期で買いとの判断であるといえます。

具体的には週足の雲の動向を把握しながら、買い場を探っていく展開になります。

 

三菱商事の競合他社比較

三井物産(8031)を同業である三菱商事(8058)、伊藤忠商事(8001)、住友商事(8053)、丸紅(8002)と比較検討していきます。

 

三井物産 三菱商事 伊藤忠商事 住友商事 丸紅
PER 6.7 倍 7.7 倍 5.8 倍 5.9 倍 5.1 倍
PBR 0.71 倍 0.81 倍 0.99 倍 0.73 倍 0.70 倍
配当利回り 4.62% 4.32% 4.47% 5.59% 5.01%
ROE 9.72% 10.37% 17.04% 11.57% 11.67%
ROA 3.47% 3.57% 4.96% 4.05% 3.39%

 

 

①:PER

日経平均株価の平均はPER13~14倍です。

よって商社セクターのPERは丸紅の5.1倍から三菱商事の7.7倍ですので、セクターで割安であると評価することができます。

 

②:PBR

日経平均株価の平均PBRの2倍ですので、全社PBR1倍以下の商社セクターは割安であるといえます。

 

③:配当利回り

配当利回りは三菱商事の4.32%から住友商事の5.59%と全社4%以上の高配当になっています。

よって商社セクターは高配当セクターであるということができます。

 

④:株主優待

全社、株主優待の設定がありません。

 

⑤:決算予測

ⅰ.三井物産

19年3月期の連結最終利益は前の期比1.0%減の4142億円、20年3月期は前期比8.6%増の4500億円に伸びる見通し。

 

ⅱ.三菱商事

19年3月期の連結最終利益は前の期比5.5%増の5907億円、20年3月期も前期比1.6%増の6000億円に伸びる見込み。4期連続増益。

 

ⅲ.伊藤忠商事

19年3月期の連結最終利益は前の期比25.0%増の5005億円、20年3月期は前期比0.1%減の5000億円とほぼ横ばいの見通し。

 

ⅳ.住友商事

19年3月期の連結最終利益は前の期比3.9%増の3205億円、20年3月期も前期比6.1%増の3400億円に伸びを見込んでいる。5期連続増益。

 

ⅴ.丸紅

19年3月期の連結最終利益は前の期比9.3%増の2308億円、20年3月期も前期比3.9%増の2400億円に伸びを見込みんでいる。4期連続増益。

 

⑥:競合他社比較総合

商社セクターは日経の出遅れ・割安セクターであるといえます。

また高配当でもあるため、長期で投資したいセクターであるといえます。

 

まとめ

今回はファンダメンタルとテクニカル両面から三井物産の今後の株価推移を分析してきました。

テクニカル的には長期上昇波動継続中で長期「買い」であると判断できます。

また、ファンダメンタルも業績の回復傾向が顕著であるため、「買い」と判断することができます。

よって、三井物産はテクニカルでインする場面を探りつつ、長期で投資したい銘柄であるといえます。




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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。