みずほフィナンシャルグループは3メガバンクの一つです。
第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合することで誕生した銀行持株会社です。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からみずほフィナンシャルグループの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:投資対象外
以下の点を総合的に勘案し、みずほフィナンシャルグループは現状「投資対象外」と分析。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結最終利益は前の期比83.3%減の965億円、20年3月期は前期比4.9倍の4700億円にV字回復する見通しではあるが、V字回復する根拠に欠けること。
■ 指標関連:
▷ 予想PERは8.2 倍、予想PBRは0.44倍で割安水準であるが、これは不人気からくる悪い割安感であると判断。
■ 競合他社比較:
▷ 銀行セクター全体の業績がマイナス金利によって芳しくないこと。
■ テクニカル的な判断:
▶︎長期的に雲(上値抵抗)があり、テクニカル的に株価の上昇が難しいこと。
Contents
メガバンクの一角をなる『みずほフィナンシャルグループ』とは?
ここでは3メガバンクの一角を占めるみずほフィナンシャルグループの事業内容をご紹介していきます。
①:みずほ銀行
個人・法人向けに金融サービスやソリューションビジネスを提供しています。
②:みずほ信託銀行
財産管理・資産運用を提供しています。
③:みずほ証券
投資銀行業務、市場・商品業務、リテール業務、リサーチ業務を提供しています。
『みずほFG』の過去10年の業績推移(PL)
ここではみずほフィナンシャルグループの過去10年間の業績推移を見ていきます。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期利益 | EPS | BPS |
2007/03 | 4,099,654 | 748,170 | 620,965 | 24.5円 | 266.0円 |
2008/03 | 4,523,510 | 397,120 | 311,224 | 12.3円 | 225.3円 |
2009/03 | 3,514,428 | -395,131 | -588,814 | -23.2円 | 634.2円 |
2010/03 | 2,817,625 | 327,127 | 239,404 | 9.4円 | 829.4円 |
2011/03 | 2,716,791 | 588,498 | 413,228 | 16.3円 | 164.9円 |
2012/03 | 2,715,674 | 648,561 | 484,519 | 19.1円 | 189.1円 |
2013/03 | 2,913,005 | 750,376 | 560,516 | 22.1円 | 233.7円 |
2014/03 | 2,927,760 | 987,587 | 688,415 | 27.1円 | 254.6円 |
2015/03 | 3,180,225 | 1,010,867 | 611,935 | 24.1円 | 321.8円 |
2016/03 | 3,215,274 | 997,529 | 670,943 | 26.5円 | 322.1円 |
2017/03 | 3,292,900 | 737,512 | 603,544 | 23.8円 | 336.1円 |
2018/03 | 3,561,125 | 782,447 | 576,547 | 22.7円 | 357.5円 |
2019/03 | 3,925,649 | 614,118 | 96,566 | 3.8円 | 345.0円 |
2020/03予 | - | - | 470,000 | 18.5円 | -円 |
わかりやすくグラフにしたものが以下となります。
まさに「波乱万丈」といった推移をしています。

売上高ですが、2012年に底打ち後はゆったりと回復傾向に向かっています。
比較して、当期利益ですが2009年に一旦底打ちをしていますが、2014年から再度下降し悪化し続けています。
よって、みずほフィナンシャルグループの業績は混迷しているといわざるを得ません。
みずほフィナンシャルグループは5月15日に最新の決算を発表しました。
19年3月期の連結最終利益は前の期比83.3%減の965億円、20年3月期は前期比4.9倍の4700億円にV字回復する見通しであると公表しています。
また同日に公表されたIR「構造改革への取り組みを踏まえた損失の計上に関するお知らせ」によると、
2019年度に大幅な減益になった理由は以下であるとしています。
≪2019年度特損≫
- 固定資産の減損損失(5,007億円)
- 市場部門の有価証券ポートフォリオ再構築等に伴う損失(1,947億円)
2019年度は上記の特損が大きな減益要因であるため、2020年以降の業績に影響がある減益要因ではないとしています。
みずほフィナンシャルグループのROEとROA
みずほフィナンシャルグループのROEとROAです。
決算期 | ROE | ROA |
2007/03 | 9.21% | 0.41% |
2008/03 | 5.45% | 0.20% |
2009/03 | -3.66% | -0.39% |
2010/03 | 1.14% | 0.15% |
2011/03 | 9.88% | 0.26% |
2012/03 | 10.10% | 0.29% |
2013/03 | 9.46% | 0.32% |
2014/03 | 10.66% | 0.39% |
2015/03 | 7.50% | 0.32% |
2016/03 | 8.21% | 0.35% |
2017/03 | 7.08% | 0.30% |
2018/03 | 6.36% | 0.28% |
2019/03 | 1.10% | 0.05% |
2020/03予 | 5.37% | 0.23% |
わかりやすく可視化したものが以下となります。

みずほフィナンシャルグループのROEとROAの推移は営業利益と同様の推移になっています。
よって、東証一部の平均値を超えることもなく、不安定に低空飛行しているため、混迷しているということができます。
みずほフィナンシャルグループの中期経営計画「5 ヵ年経営計画~次世代金融への転換」
みずほフィナンシャルグループでは決算と同時に中期経営計画「5 ヵ年経営計画~次世代金融への転換」を策定しています。
①:基本方針
「前に進むための構造改革」をビジネス・財務・経営基盤の三位一体で推進
なお、5 ヵ年経営計画は、以下の2つのフェーズから構成されています。
フェーズ1(3 年間):構造改革への本格的取り組みと次世代金融への確かな布石づくり
フェーズ2(2 年間):成果の刈取りと更なる成長の加速の実現
②:数値目標
・ROE 7~8%
・連結業務純益 9,000億円
みずほフィナンシャルグループのテクニカル分析
ここではみずほフィナンシャルグループは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
みずほフィナンシャルグループの過去10年の株価推移
下記はみずほフィナンシャルグループの過去10年間の株価推移です。

2012年からの上昇はアベノミクスによる日経平均株価の上昇に連動した動きになっています。
しかし、その後は業績不振から、日経平均株価に連動することなく、独自の下落トレンドを形成しているといえます。
みずほフィナンシャルグループのテクニカル分析
みずほフィナンシャルグループのテクニカル分析は大変難しいです。

理由は相場の波がない場面なので、一般的なテクニカル指標が使えないからです。
ですので、手作業で分析していきたいと思います。
ⅰ.逆三尊からの上昇
上記の緑の部分は、逆三尊(底打ちサイン)発生からの株価の上昇です。
ちょうどアベノミクスからの日経平均株価の上昇も手伝って、重いみずほフィナンシャルグループの株価も上昇できたと考えます。
ターゲット値は底値98円―ネックライン177円(79円)をネックラインに足した数値(177+79=256円)になります。
天井は280円でしたので、最初にテクニカルから天井値を想定しておけば、逃げ遅れなく利確することができた動きだといえます。
ⅱ.225-220円でのWトップ
上記の青の部分に225-220円でのWトップ(天井サイン)が出ています。
ネックライン割れから大きな陰線をだして下落しています。
ⅲ.目先の展開
142円(直近安値)で止まるのか、否かが重要です。
割れてしまった場合、再度2桁も想定内の動きになる可能性もあります。
テクニカルから見たみずほフィナンシャルグループ
上記で説明したように、下げ止まり感がありません。
テクニカル的にみずほフィナンシャルグループは「投資対象外」であるといえます。
みずほFGの競合他社比較
みずほフィナンシャルグループ(8411)を同業である三井住友フィナンシャルグループ(8316)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)と比較検討していきます。
みずほFG | 三井住友FG | 三菱UFJFG | |
PER | 8.2 倍 | 7.6 倍 | - 倍 |
PBR | 0.44 倍 | 0.49 倍 | 0.41 倍 |
配当利回り | 4.91% | 4.75% | 4.92% |
ROE | 1.10% | 6.75% | 5.39% |
ROA | 0.05% | 0.36% | 0.28% |
①:PER
日経平均株価の平均PERは13~14倍です。
よって銀行セクターはセクターで割安水準であるといえます。
②:PBR
日経平均株価の平均PBRは2倍です。
銀行セクターはセクター的に割安であるといえます。
③:配当利回り
メガバンクは全社4%の後半という、高配当セクターであるといえます。
④:株主優待
メガバンクでは全社株主優待を設定していません。
⑤:決算予測
ⅰ みずほフィナンシャルグループ
19年3月期の連結最終利益は前の期比83.3%減の965億円、20年3月期は前期比4.9倍の4700億円にV字回復する見通し
ⅱ 三井住友フィナンシャルグループ
19年3月期の連結最終利益は前の期比1.0%減の7266億円、20年3月期も前期比3.7%減の7000億円に減る見通し。
ⅲ 三菱UFJフィナンシャル・グループ
19年3月期の連結経常利益は前の期比7.8%減の1兆3480億円、20年3月期の業績見通しについては非開示。
みずほフィナンシャルグループのみ2020年に前期比4.9倍の4700億円にV字回復すると公表しています。

上記は決算発表後からのみずほフィナンシャルグループの株価推移です。
市場ではポジティブに反応している気配はありません。
また、みずほフィナンシャルグループ以外のメガバンクは増配も決算と合わせて公表していますが、みずほフィナンシャルグループは配当に関して従来通りです。
⑥:競合他社比較総合
業績から考えると、2020年にV字回復を予測しているみずほフィナンシャルグループ一択ですが、市場も疑心暗鬼なのか、買いが入る気配がありません。
セクター的にマイナス金利が続く限り、ファンダメンタル的にメガバンクを買う理由はありません。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からみずほフィナンシャルグループの今後の株価推移を分析してきました。
みずほフィナンシャルグループはファンダメンタル的にもテクニカル的にも買う理由が見当たりません。
よって、「投資対象外」と判断することができます。
■ 投資判断基準:投資対象外
以下の点を総合的に勘案し、みずほフィナンシャルグループは現状「投資対象外」と分析。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結最終利益は前の期比83.3%減の965億円、20年3月期は前期比4.9倍の4700億円にV字回復する見通しではあるが、V字回復する根拠に欠けること。
■ 指標関連:
▷ 予想PERは8.2 倍、予想PBRは0.44倍で割安水準であるが、これは不人気からくる悪い割安感であると判断。
■ 競合他社比較:
▷ 銀行セクター全体の業績がマイナス金利によって芳しくないこと。
■ テクニカル的な判断:
▶︎長期的に雲(上値抵抗)があり、テクニカル的に株価の上昇が難しいこと。
以上、【8411】高配当の『みずほフィナンシャルグループ(FG)』の株価推移を予想!なぜ安いのかを含めて分析。…でした。
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