冷凍食品事業および低温物流事業の国内最大手国企業、「ニチレイ」。
ニチレイは冷凍食品を日本で一番初めに作った企業としても知られています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からニチレイの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■投資判断基準:長期的に『買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し長期的に4,800円(現状2,400円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 20年3月期は前期比2.1%増の305億円に伸びる見通しと公表しています。よってニチレイは9期連続増収になり業績は好調であるといえる。
■ 各種指標:
▷ ROEとROAが2011年を底としてV字回復中。予想PERは現状株価で17.8 倍、PBRも2.01 倍で買われすぎの水準。
▷ しかし、株は人気投票。ニチレイは人気があるため、割高に推移していると分析。
■ 他社との比較:
▷ 今期増配で株主還元も充実。
■ 株主還元策の動向:
▷ 今期の年間配当は前期比10円増の42円に大幅増配。
Contents
【企業情報】ニチレイとは?
ニチレイはニチレイフーズ、ニチレイフレッシュ、ニチレイロジグループ、ニチレイバイオサイエンスなどを傘下に持つ持株会社です。
ここではニチレイの4つの事業を中心にニチレイとはどのような企業なのかを説明していきたいと思います。
加工食品事業
加工食品事業ではニチレイフーズが中心となり、家庭用・業務用の冷凍食品、レトルト食品、アセロラ商品の製造、販売を行っています。
水産・畜産事業
水産・畜産事業ではニチレイフレッシュが中心となり、水産品、畜産品の輸出入、加工、販売を行っています。
低温物流事業
低温物流事業ではニチレイロジグループが中心となり、冷蔵倉庫、低温輸送の運営を行っています。
バイオサイエンス事業
バイオサイエンス事業ではニチレイバイオサイエンスが中心となり、細胞培養関連試薬、診断薬、化粧品原料の製造、販売を行っています。
ニチレイの過去10年の業績推移(PL)
ここではニチレイの過去10年間の業績推移を見ていきます。

上記はニチレイの過去10年間の業績の推移です。
売上高が2011年を底として、きれいに右肩上がりに増加していることがわかります。
また本業の成績を表す営業利益は2009年と2014年をW底として、2015年から急回復していることもわかります。
よって、業績は底打ち、回復傾向になっていることがわかります。
2019年3月期決算分析
ニチレイが5月14日に決算を発表しました。
19年3月期の連結経常利益は前の期比2.6%減の298億円、20年3月期は前期比2.1%増の305億円に伸びる見通しと公表しています。
よってニチレイは9期連続増収になります。
配当に関しては、今期の年間配当は前期比10円増の42円に増配するとしています。
ニチレイのROEとROA
ニチレイのROEとROAは2011年を底として、きれいな逆三尊を形成しています。

このことから、長期的にみてニチレイのROEとROAは底打ち・改善傾向に向かっているということができます。
ROEですが、直近4年間東証一部の平均ROE8%を上回って推移しています。
またROAに関しては東証一部の平均である2%を下回ったのは2011年の1.42%のみと、高い安定感を保持していることがわかります。
ニチレイの中期経営計画「WeWill 2021」
ニチレイは2019年5月14日に決算と一緒に中期経営計画「WeWill 2021」を公表しました。
ここではニチレイの中期経営計画「WeWill 2021」を分析していきたいと思います。
中期経営計画の全体戦略
・国内では経営基盤の強化や事業構造の変革により収益力を向上する。
・海外では事業規模拡大を加速する。
・中長期を見据えた新規事業開発・研究開発・業務革新の取組みを強化する。
・事業を通じて社会課題を解決し持続可能な社会の実現に貢献する。
・働き方改革や多様な人材の活躍推進に注力する。
2021年度に向けた数値目標
2021年目標 | 2019年実績 | |
売上高 | 6,570億円 | 5,801億円 |
営業利益 | 350億円 | 295億円 |
純利益 | 220億円 | 200億円 |
3年で1割ほど業績を向上させることを目標に設定しています。
過去の業績の推移から、達成可能な妥当な水準設定といえます。
ニチレイのテクニカル分析
ここではニチレイは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
ニチレイの過去10年の株価推移
下記はニチレイの過去10年間の株価推移です。

業績の回復とともに、美しい上昇トレンドを形成していることがわかります。
ニチレイのテクニカル分析
テクニカル的に、強固な上昇トレンドを形成しているといえます。
教科書に乗せたいほど「お見事」です。底打ちから上昇、そしてここ2年ほどは高値どまりしながらのボックス相場を演じています。

みてお分かりのように、日経平均株価に連動していません。
よって、MACDを冷ましてから、再度上昇する公算が高いということができます。
その場合の上値ターゲットはズバリ4,800円あたりと考えられます。
テクニカルからみたニチレイ
長期で「買い」です。これほどの美しい長期上昇トレンドはめったにお目にかかれません。
ニチレイの競合他社比較
ニチレイ(2871)を同業である味の素(2802)、明治ホールディングス(2269)と比較検討していきます。
ニチレイ | 味の素 | 明治H | |
PER | 17.8 倍 | 20.5 倍 | 16.2 倍 |
PBR | 2.01 倍 | 1.68 倍 | 2.08 倍 |
配当利回り | 1.57% | 1.71% | 1.85% |
ROE | 11.28% | 4.86% | 11.73% |
ROA | 5.29% | 2.13% | 6.16% |
PERとPBRからは食品セクター全体で割高気味
まずPERですが、日経平均株価のPERが13~14倍です。これと比較した場合、食料品セクターは割高であるということができます。
またRBRに関しても日経の大型株の平均値が2倍ですので、食料品セクターに割安感を感じることはできません。
配当利回りは総じて低い
ニチレイ1.57%、味の素1.71%、明治ホールディングス1.85%と全社1%台となっています。
よってセクター的に配当は低い傾向があるということができます。
ニチレイは株主優待はなし
味の素1.71%と明治ホールディングスでは株主優待が設定されています。
ⅰ.味の素の株主優待情報
権利確定月 | 3月末日 |
単元株数 | 100株 |
投資金額 | 190,100円~* |
株主優待内容 | 自社商品詰め合わせ ・100株以上 1,000円相当 ・1,000株以上 継続保有3年未満:3,000円相当 継続保有3年以上:6,000円相当 |
*2019年6月14日現在
ⅱ.明治ホールディングスの株主優待情報
権利確定月 | 3月末日 |
単元株数 | 100株 |
投資金額 | 773,000円~* |
株主優待内容 | 自社商品詰め合わせ ・100株以上 2,000円相当 ・500株以上 3,500円相当 ・1,000株以上 5,000円相当 |
*2019年6月14日現在
決算予測を比較
<<ⅰ.ニチレイ>>
19年3月期の連結経常利益は前の期比2.6%減の298億円、20年3月期は前期比2.1%増の305億円に伸びる見通し
<<ⅱ.味の素>>
19年3月期の連結最終利益は前の期比50.6%減の296億円、20年3月期は前期比68.4%増の500億円にV字回復する見通し。
<<ⅲ.明治ホールディングス>>
19年3月期の連結経常利益は前の期比4.0%増の997億円、20年3月期も前期比9.3%増の1090億円に伸びる見通し。
競合他社比較総合
業績が安定している明治ホールディングスが一歩リードしているといえます。
ただし、セクター全体で買われすぎの傾向が強いため、実際に購入する場合はタイミングが重要になるといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からニチレイの今後の株価推移を分析してきました。
2015年以降急激に業績が好転し、長期で強い上昇トレンドが発生しているニチレイはテクニカル的に「強い買い」であると判断することができます。
またファンダメンタル的にも、業績の回復傾向が顕著であることから、「買い」判断であるといえます。
よって、ニチレイは押せば積極的に狙っていきたい銘柄であるといってよいでしょう。
■投資判断基準:長期的に『買い』
▷ 以下の点を総合的に勘案し長期的に4,800円(現状2,400円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷ 20年3月期は前期比2.1%増の305億円に伸びる見通しと公表しています。よってニチレイは9期連続増収になり業績は好調であるといえる。
■ 各種指標:
▷ ROEとROAが2011年を底としてV字回復中。予想PERは現状株価で17.8 倍、PBRも2.01 倍で買われすぎの水準。
▷ しかし、株は人気投票。ニチレイは人気があるため、割高に推移していると分析。
■ 他社との比較:
▷ 今期増配で株主還元も充実。
■ 株主還元策の動向:
▷ 今期の年間配当は前期比10円増の42円に大幅増配。
以上、【2871】業績堅調でテクニカル的にもニチレイは魅力的?株価見通しを予想。…でした。
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