任天堂はゲームのハード・ソフト両面で首位を誇るゲーム会社です。また任天堂は日本だけではなく世界規模でも認知度の高い国際的な優良ゲーム企業でもあります。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から任天堂の今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:長期投資向きの「買い」判断
以下の点を総合的に勘案し、任天堂は長期投資向きの「買い」と予想。
ターゲット値は超長期で100,000円(現在38,000円)を予測。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比39.1%増の2773億円に拡大。
▷ 2018年には決算で7年ぶりに売上高1兆円超を計上し現在順調にV字回復に向けて推移していると考えられる。
▷ ROEとROAも非常に高い数値を保っていること。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ PERとPBRは買われすぎの水準であるが、基本的にゲームセクターは投資家の人気が高い。
▷ 割高気味に推移するのは人気がある証拠であるといえること。
■ 他社との比較:
▷ 競合と比較して、世界中で人気のあるキャラクターを保有しているため、ダントツに業績の安定感が高いこと。
■ テクニカル的な判断:
▷長期上昇トレンド継続中。
■ 株主還元動向:
▷ 前期の年間配当を690円→810円に増額
Contents
【企業情報】任天堂とは?
ここではゲームの開発・製造・販売をワールドワイドに行っている任天堂の業務内容をご紹介していきたいと思います。
任天堂の基本スペック
社名 | 任天堂株式会社 |
設立 | 昭和22年11月 |
本社所在地 | 〒601-8501 京都市南区上鳥羽鉾立町11-1 |
代表取締役社長 | 古川 俊太郎 |
資本金 | 10,065,400,000円 |
事業内容 | 家庭用レジャー機器の製造・販売 |
社員数 | 連結社員数 5,944名 |
主な関係会社 | 任天堂販売株式会社 エヌディーキューブ株式会社 マリオクラブ株式会社 1-UPスタジオ株式会社 株式会社モノリスソフト 株式会社ポケモン 株式会社ワープスター Nintendo of America Inc. Nintendo of Canada Ltd. Nintendo of Europe GmbH Nintendo France S.A.R.L. Nintendo Benelux B.V. Nintendo Ibérica, S.A. Nintendo RU LLC. Nintendo Australia Pty Limited 韓国任天堂株式会社 任天堂(香港)有限公司 |
任天堂の業務内容
任天堂の業務内容はホームエンターテインメントの分野で娯楽製品の開発、製造及び販売等です。
任天堂ではコンピューターを利用した娯楽機器である「ゲーム専用機」とトランプ・かるた等を取り扱っています。
「ゲーム専用機」とは、任天堂や関連会社が開発・製造・販売している、
携帯ゲームやホームコンソールゲームのハードウェア及びソフトウェアです。
過去10年の業績推移(PL)
ここでは日本を代表するゲーム会社である、任天堂の過去10年間の業績推移を見ていきます。
決算期 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2007/03 | 226,024 | 288,839 | 174,290 |
2008/03 | 487,220 | 440,807 | 257,342 |
2009/03 | 555,263 | 448,695 | 279,089 |
2010/03 | 356,567 | 364,324 | 228,635 |
2011/03 | 171,076 | 128,101 | 77,621 |
2012/03 | -37,320 | -60,863 | -43,204 |
2013/03 | -36,410 | 10,482 | 7,099 |
2014/03 | -46,425 | 6,086 | -23,222 |
2015/03 | 24,770 | 70,530 | 41,843 |
2016/03 | 32,881 | 28,790 | 16,505 |
2017/03 | 29,362 | 50,364 | 102,574 |
2018/03 | 177,557 | 199,356 | 139,590 |
2019/03 | 249,701 | 277,355 | 194,009 |
2020/03予 | 260,000 | 260,000 | 180,000 |
任天堂の売上高は2009年をピークに減少しています。
スマートフォンの普及により、ゲームの主流が家庭用ゲーム機からスマホゲームに移行したことが要因であると考えられます。
また本業の成績を表す営業利益も売上高同様、2009年をピークとして減少。
2012~2014年の3期にわたり赤字に転落していました。
しかし、売上高・営業利益ともに2017年から持ち直しました。
2018年には決算で7年ぶりに売上高1兆円超を計上し現在順調にV字回復に向けて推移しているといってよいでしょう。
2019年3月期決算分析
任天堂が4月25日に発表した決算によると、19年3月期の連結経常利益は前の期比39.1%増の2773億円に拡大しました。
しかし、20年3月期は前期比6.3%減の2600億円に減る見通しであることを公表しています。
また配当に関しては、前期の年間配当を690円→810円に増額し、今期は前期比50円減の760円に減配するとしています。
任天堂のROEとROA
任天堂のROEとROAについて見ていきましょう。
ROE | ROA | |
2007/03 | 16.80% | 12.74% |
2008/03 | 22.08% | 15.24% |
2009/03 | 22.49% | 15.45% |
2010/03 | 17.66% | 12.80% |
2011/03 | 5.93% | 4.57% |
2012/03 | -3.50% | -2.88% |
2013/03 | 0.59% | 0.50% |
2014/03 | -1.98% | -1.69% |
2015/03 | 3.66% | 3.15% |
2016/03 | 1.42% | 1.25% |
2017/03 | 8.51% | 7.42% |
2018/03 | 10.86% | 9.00% |
2019/03 | 14.22% | 11.67% |
2020/03予 | 13.39% | 11.27% |
任天堂のROE及びROAは2009年にピークを迎え、その後2012年に底打ち反転と売上高や営業利益同様の推移になっています。
ピーク時には22.49%と驚異のROEを誇っていましたが、2012年には-3.50%とマイナスに転落しています。
しかし2017年から東証一部の平均値である8%を超えて推移しているため安定感が出てきたといってよいでしょう。
また、ROAもピーク時には15.45%と驚異のROAを誇っていましたが、2012年には-2.88%とマイナスに転落しています。
しかし2017年から東証一部の平均値である2%を大幅に超えて推移しているため好調に推移しているといえます。
任天堂の経営の基本方針
任天堂の経営の基本方針についても確認していきなしょう。
・健全な企業経営を維持しつつ新しい娯楽を創造すること
・世界のユーザーへ、かつて経験したことのない楽しさ、面白さを持った娯楽を提供すること
・経営環境並びに中長期的な経営戦略
基本戦略は人々を笑顔にする娯楽をつくる会社として「任天堂IP(ゲームのキャラクターや世界観等)に触れる人口の拡大です。
・数値目標は設定なし
任天堂の取扱商品・コンテンツは娯楽品であるため研究開発に不確定要素が多くなっています。
さらには競争の激しい業界であることであるため、柔軟な経営判断を行えるように具体的な数値目標などを設定していません。
任天堂のファンダメンタル分析
具体的な数値目標が設定されていないため、先が読みにくい
任天堂が浮き沈みの激しいゲームセクターの企業です。
よってその特性から、ケースに応じて臨機応変に対応する必要性があるため、具体的な数値目標が設定されていません。
このため、数値から任天堂という企業を先読みすることは難しい企業であるといえます。
ゲームは当たり外れが大きい
任天堂だけでなく、ゲームセクターの銘柄はヒット作が出れば大当たりしますがヒット作が出ないと業績は大幅に減少します。
任天堂も過去「DS」の大ヒットで業績を大幅に向上させました。
しかし、その後のスマートフォンの普及からヒット作を出すことができずに業績が低迷しています。
このように任天堂は業務内容から業績を先読みにくい企業であることがわかります。
任天堂のファンダメンタルからの判断
ファンダメンタルからの判断が難しい任天堂ですが、2016年に世界的に大ヒットした「Pokémon GO」といったゲームアプリを取り扱っていること。
ハード面でも「Nintendo Switch」がヒットしたことから、現状は「買い」であると判断することができます。
任天堂のテクニカル分析
ここでは任天堂は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
任天堂の過去10年の株価推移
下記は任天堂の過去10年間の株価推移です。
2012年の業績に底打ちは株価も底打ちに転じています。
2016年のポケモンGOの大ヒットから株価が急騰しています。
任天堂の株価は業績に連動しやすい傾向があることがわかります。
任天堂のテクニカル分析
任天堂の長期チャートを見ると、ポケモンGOの大ヒットにより強い上値抵抗である雲を抜けていることがわかります。
また下値も徐々に切りあがっていることから、長期的な大相場が始まったばかりであるといえます。
テクニカルから見た任天堂
長期上昇波動継続中により「買い」判断です。素晴らしいチャートを形成しています。
競合他社比較
任天堂(7974)を同業であるソニー(6758)、バンダイナムコホールディングス(7832)、コナミホールディングス(9766)、カプコン(9697)、と比較検討していきます。
任天堂 | ソニー | バンダイ | コナミ | カプコン | |
PER | 25.6 | 16.1 | 30.2 | 22 | 21.3 |
PBR | 3.42 倍 | 2.09 倍 | 3.63 倍 | 2.47 倍 | 3.26 倍 |
配当利回り | 1.97% | - % | 0.58% | 1.56% | 1.25% |
ROE | 14.22% | 27.30% | 15.54% | 12.92% | 14.41% |
ROA | 11.67% | 4.58% | 10.99% | 9.23% | 10.08% |
PERとPBR
PERは全社、日経平均株価のPERの平均13~14倍を上回って「買われすぎ」の水準であるといえます。
PBRに関しても、全社日経平均株価の平均値2倍を上回っているため割高水準であるといえます。
配当利回り
PERから割高水準まで買われているため、ゲームセクター全体の利回りは1%台と全般的に低くなってしまっています。
株主優待
ソニーとバンダイナムコホールディングスは株主優待を実施しています。
【ソニー】
株主優待の内容は、100株以上の保有でソニーストアオンライン、ソニーストアの各店舗、ソニーショップで利用できるAV商品15%割引、VAIO本体3%割引の割引券です。
【バンダイナムコホールディングス】
保有株式数に応じて、1ポイント1円相当のバナコインが付与されます。
保有株式数 | バナコイン |
100株以上 | 2,000ポイント |
500株以上 | 4,000ポイント |
1,000株以上 | 6,000ポイント |
5,000株以上 | 10,000ポイント |
10,000株以上 | 20,000ポイント |
決算予測
任天堂
19年3月期の連結経常利益は前の期比39.1%増の2773億円に拡大したが、20年3月期は前期比6.3%減の2600億円に減る見通し。
ソニー
20年3月期の連結経常利益は前期比23.9%減の7700億円に減る見通し。
バンダイナムコホールディングス
19年3月期の連結経常利益は前の期比15.2%増の868億円、20年3月期は前期比18.3%減の710億円に減る見通し。
コナミホールディングス
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比12.5%増の503億円、20年3月期は前期比8.6%減の460億円に減る見通し。
カプコン
19年3月期の連結経常利益は前の期比19.3%増の181億円になり、20年3月期も前期比7.2%増の195億円に伸びを見込み、3期連続で過去最高益を更新する見通し。
競合他社比較総合
ゲームセクターは全社買われすぎの水準です。購入は押しを待って慎重に購入を検討すべきであるといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から任天堂の今後の株価推移を分析してきました。
任天堂はテクニカル的・ファンダメンタル両面で直近「買い」と判断することができます。
しっかり押しを狙って、大相場に参加したい銘柄であるといえます。
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