「日清食品ホールディングス」はカップ麺国内シェアトップを誇る日清食品を中心とする食品グループの持株会社。
2008年10月1日に社名を変更しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から、日清食品ホールディングスの今後の株価推移を分析していきます。
■ 投資判断基準:直近「様子見」
以下の点を総合的に勘案し直近「様子見」と判断。
■ テクニカルからの判断
▷ 長期的に上昇トレンドを形成しているが、現在はレンジ相場であり、どちらに放れるのか判断がつきにくいこと。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結最終利益は前の期比33.6%減の193億円、20年3月期は前期比34.3%増の260億円に回復する見通し。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PERが30.1倍、PBRは2.45倍と買われすぎの水準であること。
■ 競合他社比較:
▷ 競合と比較し、買われすぎで割高感が高いこと。
Contents
日清食品ホールディングスとは?
ここでは日清食品ホールディングスとはどのような企業であるのかをご紹介していきたいと思います。
日清食品ホールディングスの基本スペック
社名 | 日清食品ホールディングス株式会社 |
代表者 | 代表取締役社長・CEO 安藤 宏基 |
コード番号 | 2897(東証一部) |
資本金 | 251億2200万円 |
従業員数 | 12,539名 (連結) |
設立年月日 | 1948年9月4日 |
本社所在地 | 〒160-8524 東京都新宿区新宿6-28-1 |
電話番号 | 03-3205-5111 |
事業内容 | 持株会社として、グループ全体の経営戦略の策定・推進、グループ経営の監査、その他経営管理など ・即席麺の製造および販売 ・チルド食品の製造および販売 ・冷凍食品の製造および販売 ・菓子、シリアル食品の製造および販売 ・乳製品、清涼飲料、チルドデザート等の製造および販売 |
日清食品ホールディングスの事業内容

日清食品ホールディングス(連結)のセグメントは6分野に分かれています。
ここでは日清食品ホールディングスの事業をセグメント別にご紹介していきます。
ⅰ.日清食品
日清食品ホールディングスの中核である日清食品では即席麺等の製造および販売を行っています。
ⅱ.明星食品
2007年、株式交換によって明星食品は日清食品の完全子会社化されました。
これにより国内のカップ麺の販売シェアは半分を超し、国内最大のカップ麺企業になっています。
明星食品では即席麺の製造販売および乾麺、パスタ、冷凍麺、調理済み加工食品の販売を行っています。
ⅲ.低温事業
日清食品ホールディングスではチルド食品事業を「日清食品チルド」、冷凍食品事業を「日清食品冷凍」で行っています。
ⅳ.米州地域
米州地域では主にアメリカ日清、メキシコ日清、ブラジル日清が即席袋麺・カップ麺の製造販売を行っています。
また明星U.S.A.はチルド食品の製造販売を行っています。
ⅴ.中国地域
中国地域では日清食品有限公司(香港日清)が中国地域全体の事業統括を行っています。
ⅵ.その他
日清食品ホールディングスが持株会社として、グループ全体の経営戦略の策定・推進、グループ経営の監査、その他経営管理などを行っています。
見てきたように日清食品ホールディングスは日本だけではなく、世界中で即席めんの販売を行っています。
日清食品ホールディングスの過去10年の業績推移(PL)
ここでは日清食品ホールディングスの過去10年間の業績推移を見ていきます。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
2007/03 | 358,238 | 33,734 | 37,843 | 18,968 |
2008/03 | 385,469 | 27,671 | 32,798 | 13,591 |
2009/03 | 362,057 | 23,552 | 28,748 | 15,890 |
2010/03 | 371,178 | 27,341 | 32,794 | 20,496 |
2011/03 | 374,932 | 34,537 | 36,418 | 20,756 |
2012/03 | 380,674 | 26,211 | 28,099 | 18,538 |
2013/03 | 382,793 | 23,954 | 30,964 | 18,855 |
2014/03 | 417,620 | 27,705 | 34,840 | 19,268 |
2015/03 | 431,575 | 24,300 | 32,980 | 18,505 |
2016/03 | 468,084 | 26,399 | 30,733 | 26,884 |
2017/03 | 495,715 | 28,618 | 32,864 | 23,558 |
2018/03 I | 440,909 | 35,175 | 37,153 | 29,134 |
2019/03 I | 450,984 | 28,967 | 31,166 | 19,356 |
2020/03予 I | 465,000 | 37,000 | - | 26,000 |

日清食品ホールディングスの売上高は過去10年371,178百万円~516,400百万円のレンジで推移しています。
また本業の成績を表す営業利益も27,341百万円~34,112百万円のレンジで推移しています。
このことから日清食品ホールディングスの業績は安定感がある状態であるといえます。
日清食品ホールディングスが5月9日に公表した決算によると、
19年3月期の連結最終利益は前の期比33.6%減の193億円、20年3月期は前期比34.3%増の260億円にV字回復する見通であるとしています。
日清食品ホールディングスのROEとROA

過去10年間の日清食品ホールディングスのROAは東証一部の平均値である2%を超えて推移していることから、安定感のある推移であるということができます。
反面ROEは東証一部の平均値である8%を超えることなく推移していることから、まだ上振れる余地があると考えられます。
日清食品ホールディングスのROEとROAは業績に比例し、レンジで安定感が高い推移であるといえます。
日清食品ホールディングスの「中期経営計画」
日清食品ホールディングスでは2016年から「中期経営計画」に着手しています。
ここでは日清食品ホールディングスの「中期経営計画」の内容をご紹介していきたいと思います。
数値目標

目標値 | 現在まで | |
売上高 | 4,800億円 | 5,164億円(2018年) |
時価総額 | 1兆円 | およそ8,000億円 |
EPS | 284円 | 279円(2018年) |
ROE | 8%以上 | 8.2%(2018年) |
時価総額以外の項目は2020年にV字回復するとした場合、達成可能な数値であるといえます。
ポイントは海外事業

中期経営計画が達成できるのかは、海外事業がポイントであるといえます。
日清食品ホールディングスではBRICs (ブラジル、ロシア、インド、中国) を重点地域として、海外展開をしています。
これがどれだけ伸びるのかにかかっているといえるでしょう。
日清食品ホールディングスのテクニカル分析
ここでは日清食品ホールディングスは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
日清食品ホールディングスの過去10年の株価推移

日清食品ホールディングスの過去10年の株価はきれいな上昇トレンドであるといえます。
業績がレンジで推移していることと比較考慮すると、
日清食品ホールディングスの株価は指数に連動しやすいという特徴があるといえます。
日清食品ホールディングスの現状把握

日清食品ホールディングスはレンジ相場→上抜け→レンジ相場を繰り返しながら株価が上昇していることがわかります。
また、現状はレンジ相場であることがわかります。
日清食品ホールディングスのテクニカル的な判断
日清食品ホールディングスは現状レンジ相場で様子見です。
レンジ相場で購入しても無駄に資金拘束されるだけになるため、
レンジブレイクを確認してから投資するほうが、資金効率が良いと判断できるからです。
日清食品ホールディングスの競合他社比較
日清食品ホールディングス(2897)を同業であるハウス食品グループ本社(2810)、ニチレイ(2871)、味の素(2802)と比較検討していきます。
ハウス食品 | 日清食品 | ニチレイ | 味の素 | |
PER | 36.8 | 30.1 | 16.1 | 21.1 |
PBR | 1.63 倍 | 2.45 倍 | 1.81 倍 | 1.74 倍 |
配当利回り | 1.15% | 1.46% | 1.74% | 1.66% |
ROE | 5.52% | 5.89% | 11.75% | 4.74% |
ROA | 3.67% | 3.56% | 5.35% | 2.11% |
①:PERとPBR
PERは全社、日経平均株価のPERの平均13~14倍を上回って「買われすぎ」の水準であるといえます。
PBRに関しては日清食品ホールディングス以外は日経平均株価の平均値2倍を下回っているため割安水準であるといえます。
②:配当利回り
PERから割高水準まで買われているため、食品セクター全体の利回りは1%台と全般的に低くなってしまっています。
③:株主優待
ニチレイ以外の企業で株主優待を実施しています。
ⅰ.日清食品ホールディングス
・3月末
保有株式数 | 優待内容 | |
優待A a日清食品グループ「製品詰合せセット」 bひよこちゃんオリジナルグッズ(1,500円相当) | 優待B 「国連WFP」への寄付 | |
100株以上300株未満 | 優待A:a3,000円相当 | 3,000円 |
300株以上1,000株未満 | 優待A:a3,500円相当+b | 3,500円 |
1,000株以上3,000株未満 | 優待A:a4,500円相当+b | 4,500円 |
3,000株以上 | 優待A:a5,500円相当+b | 5,500円 |
・9月末
保有株式数 | 優待A | 優待B |
300株以上1,000株未満 | 優待A:a3,500円相当+b | 3,500円 |
1,000株以上3,000株未満 | 優待A:a3,500円相当+b | 4,500円 |
3,000株以上 | 優待A:a5,500円相当+b | 5,500円 |
ⅱ.ハウス食品グループ本社
3月と9月の年2回保有株式数に応じて自社グループ製品詰合わせが進呈されます。
保有株式数 | 優待内容 |
100株以上 | 1,000円相当 |
200株以上 | 2,000円相当 |
1,000株以上 | 3,000円相当 |
ⅲ.味の素
3月の優待権利日に自社グループ商品詰め合わせセットが進呈されます。
・100株以上
自社グループ商品詰め合わせセット
・1,000株以上
3年未満の保有の場合は3,000円相当、3年以上継続保有した場合は6,000円相当の自社グループ商品詰め合わせセットが進呈されます。
④:決算予測
ⅰ 日清食品ホールディングス
19年3月期の連結最終利益は前の期比33.6%減の193億円、20年3月期は前期比34.3%増の260億円に回復する見通し。
ⅱ ハウス食品グループ本社
19年3月期の連結経常利益は前の期比11.0%増の191億円、20年3月期も前期比2.6%増の196億円に伸びる見通し
ⅲ ニチレイ
19年3月期の連結経常利益は前の期比2.6%減の298億円、20年3月期は前期比2.1%増の305億円に伸びる見通し。
ⅳ 味の素
19年3月期の連結最終利益は前の期比50.6%減の296億円、20年3月期は前期比68.4%増の500億円に回復する見通し。
⑤ 競合他社比較総合
食品セクターは全社買われすぎの水準です。購入は押しを待って慎重に購入を検討すべきであるといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から日清食品ホールディングスの今後の株価推移を分析してきました。
日清食品ホールディングスはテクニカル的・ファンダメンタル両面で直近「様子見」と判断することができます。
また、長期での判断は2020年にしっかりとV字回復ができるのかを見定めてからでも遅くはないでしょう。
■ 投資判断基準:直近「様子見」
以下の点を総合的に勘案し直近「様子見」と判断。
■ テクニカルからの判断
▷ 長期的に上昇トレンドを形成しているが、現在はレンジ相場であり、どちらに放れるのか判断がつきにくいこと。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結最終利益は前の期比33.6%減の193億円、20年3月期は前期比34.3%増の260億円に回復する見通し。
■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):
▷ 予想PERが30.1倍、PBRは2.45倍と買われすぎの水準であること。
■ 競合他社比較:
▷ 競合と比較し、買われすぎで割高感が高いこと。
以上、【2897】業績安定の日清食品ホールディングスの今後の株価見通し!現在の水準は魅力的?…でした。
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