「NTN」は世界シェア4位のベアリングメーカー。
現在「世界をなめらかにする仕事。」をメインワードにしてイメージ戦略にも力を入れています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から、NTNの今後の株価推移を分析していきます。
■ 投資判断基準:投資対象外
▷ 以下の点を総合的に勘案し、NTNは「投資対象外」と予想。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比28.9%減の222億円、20年3月期も前期比19.0%減の180億円に減る見通しと業績の回復を感じることができないこと。
■ 指標関連:
▷ ROEとROAも日本の東証一部の平均値以下で推移していること。
▷ 予想PERは16.8 倍と割高水準、予想PBRは0.66倍で割安水準。
■ 他社との比較:
▷ 業績ならダイキン工業、割安度ならコマツと同業と比較して、投資効率が劣っていること。
■ テクニカル的な判断:
▷ すべての足で強い上値抵抗があり、株価の上昇が困難であること。
Contents
【企業情報】NTNとは?
NTNは摩擦を減らすことでエネルギー消費を抑える「エコ商品」の軸受(ベアリング)を主力商品としているグローバル企業です。
ここではNTNの事業内容をご紹介していきます。
①:産業機械市場
建設機械や鉄道車両、工作機械、農業機械、航空・宇宙、事務機器、風力発電装置などさまざまな産業機械分野に向けて軸受(ベアリング)を販売しています。
②:アフターマーケット市場
一般機械の補修用軸受販売、自動車補修部品販売と、鉱山、製紙、鉄鋼機械、食品機械などの設備補修を対象に供給からアフターサービスまでのサービスを提供しています。
③:自動車市場
自動車や自動車関連市場向けに、ハブベアリングや等速ジョイント、ニードルローラベアリングなどを世界各国の自動車メーカや自動車関連メーカに向けて提供しています。
NTNの過去10年の業績推移(PL)
ここではNTNの過去10年間の業績推移を見ていきます。

一見して、NTNの業績の混迷が理解できる推移になっています。
売上高は2010年に底打ちし、順調に右肩上がりに推移しています。
比較して本業を表す営業利益は乱高下を繰り返しており、安定感にかける推移をしていることがわかります。
特に2019年の当期純利益が赤字になっていることが目を引きます。
しかし、NTNによると「特別損失として固定資産の減損損失16,963百万円を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純損失は6,958百万円になりました。」と固定資産の減損損失による赤字転落であるとの説明がなされています。
よって、この赤字転落は継続性がない、一時的なものであると判断することができます。
NTNが5月15日に発表した最新の決算によると、19年3月期の連結経常利益は前の期比28.9%減の222億円、20年3月期も前期比19.0%減の180億円に減る見通しであると公表しています。
NTNのROEとROA
NTNのROEとROAは一見して営業利益同様、不安定な動きをしていることがわかります。

ROEは2014年の底打ち後、-7.35%~9.52%の幅で推移していますが、いまだに不透明感がぬぐえない推移になっています。
またROAもROE同様に不透明感が高い推移になっています。
NTNの中期経営計画「DRIVE NTN100」
NTNは2018年に創業100周年を迎えました。中期経営計画「DRIVE NTN100」は次の100周年を見据えたNTNの取り組みを示したものです。
NTNは2018年に創業100周年を迎えました。中期経営計画「DRIVE NTN100」は次の100周年を見据えたNTNの取り組みを示したものです。
①:基本方針
・最新デジタル技術とNTNが培った経営資源を融合させ、革新的な技術・商品・サービスの開発に取り組むこと
・調達改革と生産性の向上を図ること
・経営基盤を強固にするため、生産性と品質の世界No.1を目指し、資産効率の向上に取り組むこと
②:数値目標
NTNでは2021年に向けて、売上高8,000億円、営業利益570億円、営業利益率7.1%、当期純利益300億円を目標として掲げています。しかし、2019年度の決算から、達成は難しい数値であると分析することができます。
NTNのテクニカル分析
ここではNTNは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
NTNの過去10年の株価推移
下記はNTNの過去10年の株価推移です。

日経平均株価に連動しつつ、混迷している業績に吊られているような、複雑な株価推移をしています。
まさに投資家泣かせの株価推移であるといえます。
NTNのテクニカル分析
NTNは赤丸の2012年にアベノミクスの開始から日経平均株価に連動するように上昇しました。

青丸の上値抵抗537円を超えてからは、レンジブレイクにより上昇が加速していることがわかります。
また直近天井の819円を付けてからはペナントを形成していたことがわかります。
現状はペナント(持合い)を下放れし、下降トレンドに移行しています。

NTNはテクニカル的な判断からは「投資対象外」です。
すべての足で雲に押し込まれているような上値の重い銘柄を買う理由はありません。
NTNの競合他社比較
NTN(6472)を同業であるクボタ(6326)、コマツ(6301)、ダイキン工業(6367)と比較検討していきます。
NTN | クボタ | 小松製作所 | ダイキン工業 | |
PER | 16.0 倍 | 14.1 倍 | 10.6 倍 | 20.1 倍 |
PBR | 0.66 倍 | 1.50 倍 | 1.26 倍 | 2.73 倍 |
配当利回り | 5.24% | - % | 4.55% | 1.21% |
ROE | -3.02 | 10.34 | 14.13 | 13.35 |
ROA | -0.83 | 4.74 | 7.05 | 7 |
①:PER
セクターのPERがコマツの10.6倍からダイキン工業の20.1倍とセクターで幅があります。
日経平均株価の平均はPER13~14倍であるため、コマツのみ割安であるということができます。
②:PBR
セクターのPBRがNTNの0.66 倍からダイキン工業の2.73 倍とセクターで幅があります。
ダイキン工業を除いた3社のPBRは日経平均株価の平均PBRの2倍以下になっているため割安であるということができます。
③:配当利回り
配当利回りはNTNの5.24%、コマツの4.55%は高配当です。
しかしダイキン工業は1.21%と買われすぎもあり、利回りが低くなっています。
④:株主優待
株主優待がある企業はコマツのみです。
株主優待の内容は、3月末日の基準日に300株以上を3年以上継続保有している株主に対して、自社製品のオリジナルミニチュア(非売品)を提供しています。
④:決算予測
ⅰ.NTN
19年3月期の連結経常利益は前の期比28.9%減の222億円、20年3月期も前期比19.0%減の180億円に減る見通し。
ⅱ.クボタ
18年12月期の連結税引き前利益は前の期比7.8%減の1972億円、19年12月期は前期比5.5%増の2080億円に伸びる見通し。
ⅲ.コマツ
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比29.4%増の3774億円、20年3月期は前期比16.0%減の3170億円に減る見通し。
ⅳ.ダイキン工業
19年3月期の連結経常利益は前の期比8.6%増の2770億円、20年3月期も前期比2.9%増の2850億円に伸びを見込み、7期連続で過去最高益を更新する見通し。
⑤:競合他社比較総合
業績が不安定なセクターの中で安定して7期も最高益を上げているダイキン工業に投資安定感があります。
そのため、ダイキン工業は割高水準まで株価が買われていると推測されます。
また出遅れといった意味では高配当のコマツが一歩リードしているといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からNTNの今後の株価推移を分析してきました。
ファンダメンタル的に業績が不安定であり、テクニカル的にも上値抵抗が強いNTNは「投資対象外」と判断することができます。
■ 投資判断基準:投資対象外
▷ 以下の点を総合的に勘案し、NTNは「投資対象外」と予想。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比28.9%減の222億円、20年3月期も前期比19.0%減の180億円に減る見通しと業績の回復を感じることができないこと。
■ 指標関連:
▷ ROEとROAも日本の東証一部の平均値以下で推移していること。
▷ 予想PERは16.8 倍と割高水準、予想PBRは0.66倍で割安水準。
■ 他社との比較:
▷ 業績ならダイキン工業、割安度ならコマツと同業と比較して、投資効率が劣っていること。
■ テクニカル的な判断:
▷ すべての足で強い上値抵抗があり、株価の上昇が困難であること。
以上、【6472】業績が下降気味のNTNの株価は魅力的な水準なのか?徹底分析!…でした。
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