【1802】大手ゼネコン『大林組』の株価推移を予想する!割安だが今後の業績見通しは暗い。

1892年(明治25年)創業の建設業界大手の大林組。

近年は海外や不動産事業にも積極的に進出しています。

 

今回はファンダメンタルとテクニカル両面から大林組の今後の株価推移を分析していきたいと思います。

 

■投資判断基準:中立

▷ 以下の点を総合的に勘案し、大林組の投資判断は中立。

■ 業績見通し:

▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比13.3%増の1630億円に伸びている。

▷ しかし20年3月期は前期比4.0%減の1565億円に減るとの見通し。

■ 指標関連:

▷ ROEが2020年に減少に転じている。

▷ 予想PERは現状株価で6.9倍と割安。

▷ PBRも0.99 倍で割安水準。

■ 競合他社比較:

▷ 業界他社比で清水建設に劣る業績&実質配当利回り。

 

 

大手ゼネコンの大林組とは?

大林組では建築事業・土木事業・開発事業・新領域事業の4つの事業が柱になっています。

 

ⅰ.建築事業

オフィス、マンション、商業施設、工場、病院や学校などの建築。

 

ⅱ.土木事業

トンネル、橋梁、ダム、河川、都市土木、鉄道や高速道路などの建築。

 

ⅲ.開発事業

都心部を中心とした好立地での優良な賃貸不動産の開発・保有。

 

ⅳ.新領域事業

再生可能エネルギー、PPPや農業ビジネスなどの推進。

このように大林組は従来の「ゼネコン」の枠を超えた分野へも積極的に取り組んでいることがわかります。

 

大林組の過去10年の業績推移 (PL)

ここでは日本を代表する大手建設企業である、大林組の過去10年間の業績推移を見ていきます。

決算期売上高営業利益経常利益当期利益
2007/03 1,567,96047,53853,32040,652
2008/03 1,691,63528,66732,31218,595
2009/03 1,682,46227,36331,82910,966
2010/03 1,341,456-62,534-59,608-53,354
2011/03 1,131,86423,17422,20715,423
2012/03 1,245,77231,14535,2415,142
2013/03 1,448,30535,15344,69013,195
2014/03 1,612,75631,99140,13521,627
2015/03 1,773,98148,38859,91328,695
2016/03 1,777,834106,380111,20863,437
2017/03 1,872,721133,742140,10694,501
2018/03 1,900,655137,800143,95192,662
2019/03 2,039,685155,480163,054113,155
2020/03予 2,030,000150,000156,500110,000

 

大林組の業績推移

2008年をピークに落下傾向にあった売上高ですが、東日本大震災の特需により2011年を底として穏やかに増加していることがわかります。

また本業の成績を示す営業利益は2010年にはマイナスに転落しましたが、その後順調に回復しています。

2020年の経常利益の予測は前期比4.0%減の1565億円と若干厳しい見通しを打ち出しています。

しかし、配当は現状を維持していることから、それほど深刻な状況ではないと考えられます。

 

大林組が5月13日に発表した決算によると、19年3月期の連結経常利益は前の期比13.3%増の1630億円に伸びています。

しかし20年3月期は前期比4.0%減の1565億円に減るとの見通しを公表しています。

配当に関しては、前期の年間配当を28円→32円に増額し今期も32円を継続するとしています。

 

大林組のROEROA

下記の表は過去10年間の大林組のROEとROAの推移です。

決算期ROEROA
2007/03 7.18%1.97%
2008/03 3.89%1.00%
2009/03 2.96%0.64%
2010/03 -15.60%-3.35%
2011/03 4.74%1.02%
2012/03 1.51%0.32%
2013/03 3.43%0.80%
2014/03 5.24%1.19%
2015/03 5.65%1.44%
2016/03 12.29%3.25%
2017/03 15.90%4.69%
2018/03 13.53%4.31%
2019/03 14.72%5.11%
2020/03予 14.31%4.97%

 

大林組のROEとRPA

ROEは-15.0%~17.0%と非常に大きな幅で推移していることがわかります。

またROAも-3.6%~7.5%と大きな幅で動いています。また2020年の予想ROEは14.31%、ROAは4.97%になっています。

日本の東証一部の平均ROEが8%、ROAが2%台であることと比較すると、大林組のROEとROAは現状平均よりも高い水準で推移していることがわかります。

今期若干ROEが低下することが心配ですが、もともと大林組は自己資本額の増強を中期目標としているため、ROEの低下は想定内であるということができます。

 

大林組の「中期経営計画2017」

大林組では創業130周年となる2021年に向けて、「中期経営計画2017」を策定しています。中期計画の内容を分析することで、今後の株価推移を考えていきたいと思います。

 

「目指す将来像」の実現に向けた3つの戦略

大林組では建築事業・土木事業・開発事業・新領域事業の4つの事業を強化していくことを事業の中軸に据えています。

 

ⅰ.既存4本柱の強化

ⅱ.事業領域の深化・拡大

ⅲ.グローバル化の加速

 

数値目標の設定

2016年実績2021年目標2019年実績(現状)達成
自己資本額5,941億円9,000億円7,689億円未達
自己資本比率29.5%40%34.7%未達
売上高18,727億円2兆円20,396億円
営業利益1,3371,5001,554億円
当期純利益131.66円150円157.65円
ROE17%11.5%15.60%

 

上記のように大林組は「中期経営計画2017」の目標を2019年時点で次々とクリアしています。

残る自己資本額と自己資本比率も目標値に未達ながらも順調に数値を伸ばしています。

よって、大林組は「中期経営計画2017」の目標達成に沿った企業運営を行っているといえます。

 

大林組のテクニカル分析

ここでは大林組は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。

大林組の過去10年の株価推移

大林組の株価推移

上記は大林組の過去10年間の株価推移です。業績の回復とともに美しい上昇トレンドを形成しているといえます。

 

大林組のテクニカル分析

大林組のテクニカル分析

 

現状大林組は「持ち合い」に移行していることがわかります。

移動平均線を伸ばした地点あたりまで持ち合いを継続する可能性が高いといえます。

また持合いが離れてしまった場合、その時点でトレンドが確定するため、現状は「様子見」が一番であるといえます。

大林組のテクニカル分析2

 

上記は大林組の週足チャートです。2019年の12月まで雲(ピンク色の部分)が伸びているため、中期的な視点でも「持ち合い」であるといえます。

年末の変化日に雲を突き抜けてから購入したほうが資金が拘束されず、効率的に投資することができます。

 

大林組の競合他社比較

大林組(1802)を同業である清水建設(1803)鹿島(1812)と比較検討していきます。

大林組清水建設鹿島建設
時価総額7,619 億円7,310 億円8,067 億円
予想PER6.9 倍7.7 倍8.8 倍
PBR0.99 倍1.00 倍1.05 倍
予想配当利回り3.03%3.88%3.28%
実績配当利回り3.03%3.88%3.28%
ROE14.72%13.66%14.58%
ROA5.11%5.36%5.25%
自己資本比率34.70%39.20%36.00%

 

 

①:PERとPBR

まずPERですが、日経平均株価のPERが13~14倍です。

これと比較した場合、大林組は6.9倍、清水建設は7.7倍、鹿島は8.8倍とセクター全般が割安な水準であることがわかります。

次にPBRですが、日経の大型株の平均値が2倍です。

これと比較した場合、大林組は0.99倍、清水建設は1.00倍、鹿島は1.05倍とPBRもセクター全般で割安な水準であることがわかります。

 

②:配当利回り

大林組は3.03%、清水建設は3.88%、鹿島は3.28%となっています。

同業と比較すると、大林組の利回りが最も低いということになります。

 

③:株主優待

清水建設のみ株主優待があります。

≪清水建設の株主優待内容≫

木製グッズor寄付を選択することができます。

木製グッズは保有株式数によりもらえる戸数が異なります。

 

・木製グッズ

干支柄コースター、自立式まな板、ペンメモスタンド、置き時計、スマートフォンスピーカー、トレイ

・寄付

社会貢献活動団体への寄付1,000円

 

④:決算予測

ⅰ 大林組

19年3月期の連結経常利益は前の期比13.3%増の1630億円に伸びています。しかし20年3月期は前期比4.0%減の1565億円に減るとの見通しです。

 

ⅱ 清水建設

19年3月期の連結経常利益は前の期比7.9%増の1339億円、20年3月期は前期比0.8%増の1350億円とほぼ横ばい見通しです。

 

ⅲ 鹿島

19年3月期の連結経常利益は前の期比9.4%減の1629億円、20年3月期も前期比22.0%減の1270億円に減る見通しです。

 

⑤:競合他社比較総合

大林組清水建設鹿島
PER321
PBR321
ROE312
配当利回り132
株主優待なし3なし
決算予測231
総合12点14点7点

*1位が3点、2位が2点、3位が1点で計算

 

競合他社比較を点数化した場合、来期の業績もよく株主優待も存在する清水建設が一歩リードしていることがわかります。

 

まとめ

今回はファンダメンタルとテクニカル両面から大林組の今後の株価推移を分析してきました。

大林組はテクニカル的に、現在「持合い」に移行していることから、投資効率が良くないため、「様子見」が一番であるといえます。

 

またファンダメンタル的には中期経営計画にそって、順調に業績が伸びていることがわかります。

加えてPERもPBRも「割安」水準であることから、長期的視野で購入したい銘柄ということができます。

 

総合的に、大林組はテクニカルで「買い」サインが点灯してから、購入したい銘柄であるといえます。

 

 

■投資判断基準:中立

▷ 以下の点を総合的に勘案し、大林組の投資判断は中立。

■ 業績見通し:

▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比13.3%増の1630億円に伸びている。

▷ しかし20年3月期は前期比4.0%減の1565億円に減るとの見通し。

■ 指標関連:

▷ ROEが2020年に減少に転じている。

▷ 予想PERは現状株価で6.9倍と割安。

▷ PBRも0.99 倍で割安水準。

■ 競合他社比較:

▷ 業界他社比で清水建設に劣る業績&実質配当利回り。

 

 

 

以上、【1802】大手ゼネコン『大林組』の株価推移を予想する!割安だが今後の業績見通しは暗い。…でした。

 

 

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2019.09.11



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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。