王子ホールディングス株式会社は王子製紙などの企業を傘下に持つ持株会社です。
製紙業界では日本最大手の企業でもあります。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から王子ホールディングスの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:中期「様子見」、長期「買い」
以下の点を総合的に勘案し、王子ホールディングスは現状「投資タイミング待ち」と分析。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比79.5%増の1183億円、20年3月期は前期比7.1%減の1100億円に減る見通し。2019年度の業績の回復力が高いこと、同業の日本製紙は増益であることを考えると、長期的には「買い」と判断することができる。
■ 指標関連:
▷ 予想PERは9.4 倍、予想PBRは0.83 倍とともに割安水準。
▷ 日本製紙はPER的に割高であるため、出遅れの王子ホールディングスのほうが投資妙味が高いこと。
■ 株主還元動向:
▷ 今期の年間配当は前期比2円増の14円に増配
■ テクニカル的な判断:
▷ 長期は上昇波動継続中、中期は様子見。よって、中期でタイミングを見計らいながら投資したい。
Contents
王子ホールディングスとは?
ここでは日本最大手の製紙メーカーである王子ホールディングスの事業内容をご紹介していきます。
王子ホールディングスは産業資材、生活消費財、機能材、資源環境ビジネス、印刷情報メディアの5つのカンパニーと、
独立事業会社群を含むコーポレートマネジメントグループ、シェアードサービス会社群の7つに分類されています。
①:産業資材
白板紙、包装用紙、段ボール原紙の製造販売を行っています。
②:生活消費財
ネピアブランドでお馴染みの家庭紙事業、紙おむつ事業の製造販売を行っています。
③:機能材
様々な付加価値を持つ特殊紙、機能紙の製造販売を行っています。
④:資源環境ビジネス
王子グループの国内外の森林資源を活用したパルプ事業、木材事業、およびエネルギー事業を行っています。
⑤:印刷情報メディア
新聞用紙や印刷・出版用紙、情報用紙など、情報伝達媒体として使用される紙製品の製造販売を行っています。
王子ホールディングスの過去10年の業績推移(PL)
ここでは王子ホールディングスの過去10年間の業績推移を見ていきます。

リーマンショックを機に業績が激しく動く企業が多い中で、王子ホールディングスは安定的な業績をあげていることがわかります。
売上高は2010年に底打ち後、きれいに右肩上がりに増加しています。
比較して、本業の成績を示す営業利益は2009年~2018年にかけてレンジで推移した後、2019年に大きく増加しています。
よって、王子ホールディングスの業績は開花初動であると判断することができます。
王子ホールディングスは5月13日に決算を発表しました。
19年3月期の連結経常利益は前の期比79.5%増の1183億円、
20年3月期は前期比7.1%減の1100億円に減る見通しであると公表しています。
配当に関しては、今期の年間配当は前期比2円増の14円に増配するとしています。
王子ホールディングスのROEとROA
王子ホールディングスのROEとROAも営業利益同様の推移になっています。

ただし、ROEとROAは東証一部の平均値に達していないため、持ち直しの初動の動きであると考えられます。
よって、王子ホールディングスのROEとROAは投資家的に大変興味深い推移であるといえます。
王子ホールディングスの中期経営計画
ここでは業績の開花初期段階と思われる、王子ホールディングスの中期経営計画をご紹介していきたいと思います。
①:3つの経営理念
・革新的価値の創造
・未来と世界への貢献
・環境・社会との共生
②:中期経営計画の経営戦略
ⅰ.2021年度経営数値目標
連結営業利益1,500億円以上、ROE10%以上、海外売上比率40%以上を目指しています。
ⅱ.国内事業の収益力アップ
特筆すべきは、三菱製紙との業務提携です。具体的な業務内容の発表が待たれるところです。
ⅲ.海外事業の拡充
マレーシアにおける段ボール原紙マシン増設や紙おむつ事業の再編・増強、中国における家庭紙原紙マシン設置等を進めています。
ⅳ.イノベーションの推進
具体的には次世代素材のセルロースナノファイバーは化粧品用途等で製品化し、複合材も含め幅広い用途開発を進めています。
ⅴ 持続可能な社会への貢献
木質資源の供給源である森林において、木を育てて伐採し、また育てるという「持続可能な森林経営」を行っています。
王子ホールディングスのテクニカル分析
ここでは王子ホールディングスは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
王子ホールディングスの過去10年の株価推移
下記は過去10年間の王子ホールディングスの株価推移です。
一見して日経平均株価に連動していることがわかります。

王子ホールディングスのテクニカル分析
5年以上雲(上値抵抗)に押し込められていた株価が、2014年にブレイクし、2018年には861円を付けています。

相場というのは株価が「2倍」はあまりにも貧弱な数値です。
よって、王子ホールディングス自身の相場はこれから到来するものと考えられます。
具体的には356-378円のWボトムを割らない限り、相場続行中ということになります。
テクニカルから見た王子ホールディングス
下記は中期の株価推移を占う週足チャートです。
現在雲(上値抵抗)に押し込まれており、中期は様子見になっていることがわかります。

よって、王子ホールディングスは週足の雲を見ながら、ブレイク後購入していくのが資金拘束が少ない投資方法であるといえます。
テクニカル的に861円をブレイクした場合のターゲット値は1,000~1,100円と推測されます。
王子ホールディングスの競合他社比較
王子ホールディングス(3861)を同業である日本製紙(3863)と比較検討していきます。
王子H | 日本製紙 | |
PER | 9.4 倍 | 16.6 倍 |
PBR | 0.83 倍 | 0.56 倍 |
配当利回り | 2.46% | 2.15% |
ROE | 7.67% | -9.14% |
ROA | 2.66% | -2.53% |
①:PER
日経平均株価の平均はPER13~14倍です。よって、PER的に王子ホールディングスは割安、日本製紙は割高であるといえます。
②:PBR
日経平均株価の平均PBRの2倍であるため、製紙セクター全般のPBRが割安であるといえます。
③:配当利回り
配当利回りは王子ホールディングスが2.46%、日本製紙が2.15%と王子製紙が一歩リードしているといえます。
④:株主優待
日本製紙のみ株主優待が設定されています。優待内容は、自社グループで製造・販売している家庭用品詰め合わせです。
⑤:決算予測
ⅰ 王子ホールディングス
19年3月期の連結経常利益は前の期比79.5%増の1183億円、20年3月期は前期比7.1%減の1100億円に減る見通し。
ⅱ 日本製紙
19年3月期の連結経常利益は前の期比28.2%増の239億円になり、20年3月期も前期比17.1%増の280億円に伸びる見通し。
⑥:競合他社比較総合
日本製紙が3期連続増収見込みとなっており、王子ホールディングスより早めに業績が回復しています。よって、PERが16.6 倍まで買われることになりました。出遅れである、王子ホールディングスも2019年度に前の期比79.5%増と大化けを果たしています。
よって、出遅れである、王子ホールディングスのほうが、投資妙味が高いといえましょう。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から王子ホールディングスの今後の株価推移を分析してきました。
ファンダメンタル的に業績が持ち直し傾向であるため「買い」で入りたい銘柄ですが、
テクニカル的に中期で持合いが予測されるため、王子ホールディングスは現状「投資タイミング待ち」と判断することができます。
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