「パナソニック」は大手総合家電企業。
近年は家電だけではなく、住宅分野や車載分野などにも進出しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からパナソニックの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:「投資対象外」
▷以下の点を総合的に勘案しパナソニックは「投資対象外」と判断。
■ 業績見通し:
▷19年3月期の連結税引き前利益は前の期比10.0%増の4164億円、20年3月期は前期比30.4%減の2900億円に落ち込む見通しであると公表していることから、業績に関して不透明感が高いといえる。
■ 指標関連:
▷ROEとROAは2013年を底として安定的に推移しているが、本業の成績を表す営業利益にいまだ不安定さを感じるといえる。
▷予想PERは10.1 倍、予想PBRは1.06 倍で共に割安水準。
■ 他社との比較:
▷競合の業績もパナソニック同様不安定感が高い。
■ 株主還元策の動向:
▷今期の配当は未定。
Contents
【企業情報】パナソニックとは?
日本を代表する白物家電メーカーであるパナソニック。
ここではパナソニックとはどのような企業であるのかをご紹介していきます。
①:家電
「くらしにもっと憧れを〜Aspire to more」を事業ビジョンとし、調理家電や美容家電から高度な映像技術を誇るオーディオ類に至るまで様々な家電製品を制作しています。
②:住宅
「Homes & Living〜くらし感動を、住まいから〜」を事業ビジョンとし、住宅設備だけではなく、送電インフラなども制作しています。
③:車載
「快適」「安全」「環境」の領域で、クルマづくりに不可欠の技術を提供しています。
④:B2B
他社に較べて強みがあるコアとなる商材を軸に、より良い社会づくりに貢献する技術やアイデアを具現化し、競争力強化に貢献する技術を提供しています。
パナソニックの過去10年の業績推移(PL)
ここではパナソニックの過去10年間の業績推移を見ていきます。

上記はパナソニックの過去10年間の業績推移です。
パナソニックの売上高は7,303,045百万円~9,108,170百万円と狭い範囲で推移していることがわかります。
比較して、本業を表す営業利益は43,725百万円~519,481百万円と10倍以上の幅をつけて激しく上下しています。
売上高が横ばいにもかかわらず、営業利益が一定していないことから、パナソニックの業績が混迷状態にあることがわかります。
2019年3月期決算分析
パナソニックが5月9日に2019年3月期の決算を発表しました。
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比10.0%増の4164億円、20年3月期は前期比30.4%減の2900億円に落ち込む見通しであると公表しています。
配当に関しては、今期の年間配当は未定としています。

パナソニックでは過去5年間順調に配当金を増額してきました。よって今期は未定ですが、配当がなくなるという事態はないと考えられます。
パナソニックのROEとROA
下記はパナソニックの過去10年間のROEとROAの推移です。
一見して「何があったのか?」と目を疑いたくなるほど広い幅で上下しています。

まずROEから見ていきます。-59.67%~14.85%の幅で上下しています。
しかし、ここ5年間は日本の東証一部の平均値である8%を超えて推移していることから、安定感が出てきているといえます。
次にROAですが、-13.97%~4.72%の幅で上下しています。
ROAもROE同様直近6年間は日本の東証一部の平均値である2%を超えて推移していることから、安定感が出てきているといえます。
パナソニックの新中期戦略
パナソニックは決算と同時に「新中期戦略」を公表しています。
ここではパナソニックの将来性を占ううえで重要なこの新中期戦略を分析していきたいと思います。
パナソニックの新中期戦略「3つのポイント」
パナソニックの新中期戦略では以下の3つを主要なポイントとしています。
・ポートフォリオ・マネジメントの実行
・1,000億円の利益貢献を目標とする
・「くらしアップデート」を実現する会社へ変革する
ポートフォリオ・マネジメントの見直し
下記はパナソニックの新しいポートフォリオ・マネジメントです。
特筆すべきは共創事業分野です。
パナソニックでは住宅事業でトヨタ自動車とパナソニックの共同出資で合弁会社を設立することを公表しています。
今後も、大きな共創事業を行っていくのか、楽しみな分野です。
パナソニックのテクニカル分析
ここではパナソニックは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
パナソニックの過去10年の株価推移
下記はパナソニックの10年間の株価推移です。

完全に日経平均株価に連動していないことが一目でお分かりいただけると思います。
よってパナソニックは業績に株価が連動しやすい企業であるといえます。
パナソニックのテクニカル分析
パナソニックは2021年3月下旬に大きな変化日を迎えます。基準値は1,327円です。

2021年の3月下旬に1,327円を超えて推移した場合、テクニカル的には順調に株価が上昇していくことになります。
よって、2021年の3月下旬までは様子見が無難です。
なぜなら2016年に付けた799円を割てしまうと底なしに株価が下落する危険性があるからです。
799円を割ってしまった場合、相場は2012年に付けた376円あたりを意識する展開になると考えられます。
また、2021年の変化日に1,327円を超えて推移していった場合のターゲット値は2,400円あたりになると考えられます。
2021年の3月下旬までは様子見。2021年の変化日に1,327円を超えて推移していった場合は「買い」の判断になります。
パナソニックの競合他社比較
パナソニック(6752)を同業であるソニー(6758)、日立製作所(6501)と比較検討していきます。
パナソニック | ソニー | 日立製作所 | |
PER | 10.1 倍 | 13.1 倍 | 8.5 倍 |
PBR | 1.06 倍 | 1.75 倍 | 1.14 倍 |
配当利回り | - % | - % | - % |
ROE | 14.85% | 24.46% | 6.82% |
ROA | 4.72% | 4.37% | 2.31% |
PERはセクター的に割安
セクターのPERが日立製作所の8.5倍からソニーの13.1倍と日経平均株価の平均PER13~14倍より低いことから、セクター的には割安であるということができます。
PBRもセクター全体として割安
セクターのPBRがパナソニックの1.06 倍からソニーの1.75 倍と日経平均株価の平均PBRの2倍以下になっています。
よって、セクター的にPBRも割安であるということができます。
パナソニックの株主優待はない
株主優待がある企業はソニーのみです。
株主優待の内容は、100株以上の保有でソニーストアオンライン、ソニーストアの各店舗、ソニーショップで利用できるAV商品15%割引、VAIO本体3%割引の割引券です。
決算予測
ⅰ.パナソニック
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比10.0%増の4164億円、20年3月期は前期比30.4%減の2900億円に落ち込む見通し。
ⅱ.ソニー
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比44.7%増の1兆116億円、20年3月期は前期比23.9%減の7700億円に減る見通し。
ⅲ.日立製作所
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比19.1%減の5165億円、20年3月期は前期比43.3%増の7400億円に拡大を見込み、2期ぶりに過去最高益を更新する見通し。
競合他社比較総合
セクター的に割安ですが、業績が不安定なため、なかなか買い意欲が出ないセクターといえます。
業績的に20年過去最高益を更新する予定の日立製作所が一歩リードしているといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からパナソニックの今後の株価推移を分析してきました。
パナソニックはテクニカル的に2012年3月までは様子見。3月以降は雲(上値抵抗)を抜ければ「買い」、押し込まれた場合は「売り」の判断になります。
ファンダメンタル的には業績がいまだに不安定であるため、「様子見」が無難であるといえます。
総合的にパナソニックを積極的に買う理由がないと判断します。
■ 投資判断基準:「投資対象外」
▷以下の点を総合的に勘案しパナソニックは「投資対象外」と判断。
■ 業績見通し:
▷19年3月期の連結税引き前利益は前の期比10.0%増の4164億円、20年3月期は前期比30.4%減の2900億円に落ち込む見通しであると公表していることから、業績に関して不透明感が高いといえる。
■ 指標関連:
▷ROEとROAは2013年を底として安定的に推移しているが、本業の成績を表す営業利益にいまだ不安定さを感じるといえる。
▷予想PERは10.1 倍、予想PBRは1.06 倍で共に割安水準。
■ 他社との比較:
▷競合の業績もパナソニック同様不安定感が高い。
■ 株主還元策の動向:
▷今期の配当は未定。
以上、【6752】業績が悪化見通しのパナソニック(Panasonic)の株価の今後をテクニカル面も含めて予想する。…でした。
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