【7269】スズキの株価はなぜ高い所から下落しているのか?インド市場での今後の展開が鍵となろう。

【7269】スズキの株価はなぜ高い所から下落しているのか?インド市場での今後の展開が鍵となろう。

小型車で有名なスズキ株式会社(以下:スズキ)ですがトヨタ・デンソーとの業務提携もあり、EV化が進んでいます。

さらにCAFE規制をクリアするためにハイブリッド車を多く製造しています。

インドにおけるシェアが過半数である同社は中国・アメリカの市場から撤退しインド市場に集中する方針です。

さて、急成長をしているインド市場でのシェアがかなり大きいスズキですが、

世界的なEV化の潮流もある中果たして長期的にビジネスを伸ばしていけるのでしょうか。

その点を踏まえ、銘柄分析をしていきます。

 

■ 投資判断基準:様子見

以下の点を総合的に勘案し2020年3月期に4600円(現在5181円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷ インド市場でのシェア拡大は実現し、インドでのEV車の普及が始まれば好調になっていく見通し。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷ 両指標とも同社としては改善傾向にありますが、一方で業界内では普通の水準になります。つまり資本効率は良くも悪くもないということ。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷  PERで見るとかなり割安ですが、PBRで見ると割高です。つまり相場観としては「中立」といえる。

■ 他社との比較:

▷ トヨタとの業務提携がある中、EV化などの推進を進められるという点ではかなり優位にあるといえる。

▷ 銘柄としては配当利回りが業界内でかなり低いことが目立っている点で魅力を落としている可能性あり。

■ 株主還元策の動向:

▷  今後の配当性向の目標値が15%程度であることから配当利回りは低下していく見通し。

▷さらに長期的に配当利回りは低下傾向にあるのでその点での魅力はあまりないといえる。

 

スズキ(7269)ってどんな会社?

まずスズキとはどんな会社なのかを見ていきましょう。

1920年3月15日鈴木道夫により静岡県に設立されました。

四輪車や二輪車・マリン事業までを展開し、四輪車のインド市場では過半数のシェアを誇っています。

2017年にはトヨタと技術面で業務提携を結んでいます。

現在の社長は鈴木修氏で、時価総額は2兆5451億円です(2019年6月5日現在)。

 

 

スズキの業績推移から何故株価が高い地点から下落しているかを分析

まずは過去13年の『売上高』と『営業利益』『経常利益』『当期純利益』について見ていきます。

スズキの過去10年の業績推移

決算期売上高営業利益経常利益当期利益
2007/03 3,163,669132,900139,18375,008
2008/03 3,502,419149,405156,90480,254
2009/03 3,004,88876,92679,67527,429
2010/03 2,469,06379,36893,84128,913
2011/03 2,608,217106,934122,50245,174
2012/03 2,512,186119,304130,55353,887
2013/03 2,578,317144,564155,59380,389
2014/03 2,938,314187,747197,842107,484
2015/03 3,015,461179,424194,31896,862
2016/03 3,180,659195,308209,109116,660
2017/03 3,169,542266,685286,693159,956
2018/03 3,757,219374,182382,787215,730
2019/03 3,871,496324,365379,530178,759
2020/03予 I3,900,000330,000340,000200,000

 

スズキの業績推移

当期純利益は毎年安定していて、2019年3月期のみ17.14%落ち込みました。

為替の影響を大きく受けていたことによるもので、ほとんど営業には影響がないと考えます。

株価は一時的に下落していますが為替による利益の上昇の停滞以外に理由はあるのでしょうか?

 

軽自動車偏重の経営資源が低評価の要因?小型車のシェアを増やせるかが肝

スズキは2015年ごろから、軽自動車離れをして小型車の生産にこだわるようになりました。

理由は、軽自動車販売1位を争うダイハツと続けていた泥試合に日産やホンダが参入することで顧客を取られてしまう可能性が生まれたことや、

軽自動車税の引き上げ・国内の人口減少によってシェアが下がっていることにあります。

また、軽自動車を販売することは自動車会社にとって粗利の減少に繋がり、

軽自動車のみに偏るのは経営上よくないと判断されたことも要因です。

 

よってスズキは自動車会社として生き残るためにも小型車の生産にシフトしています。

 

EVかハイブリッドか

同社が得意とするインド市場で、昨年ZEV規制が始まりました。

CO2排出量に対する規制のことですが、トヨタ・デンソーとともに合併会社「EV C.A.Spirit」においてEV化を進めています。

一方でインドにおけるCAFE規制への対応が喫緊の課題であったため、ハイブリッド車の生産を多く行っています。

EV車の生産となるとコストがかかるので、当面EV車の量産はできませんが2020年をめどにインドにEV車を投入する予定で現在実証実験を行っています。

 

スズキの経営状態 (ROEとROA)

ここではROAとROEについて見ていきましょう。

ちなみにROAとROEは経営効率を見る指標で一般的にROAが5%以上ROEが10%以上あれば効率的であると考えられています。

スズキの現在のROAと同社の過去ROA平均との比較

現在(2019年6月初め時点)のスズキのROAが同社における過去(直近7年分)のROA平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

スズキのROAと過去平均との乖離

表3-1

 

表3-1より2019年3月期のROAは前年比1.21%の減少をしていますが当期純利益が17.14%の減少であったことを考えると、

資本効率は他界のではないでしょうか。

長期的に見ても同社の平均からROAは上振れており、ROAは改善傾向にあるといえます。

次は、同業他社とのROAを見ていきます。

マツダの競合他社とのROA比較

表3-1-1

 

表3-1-1より、業界内で見ると長期的にも現在の水準でもROAは高いとも低いともいえず資本効率は普通であるかもしれません。

次に同社のROAが業界内で長期的にどの水準にあるかを見ていきます。

スズキの同業他社とのROA比較

準大手3社の過去7年分とスズキのROAを比較していきます。

スズキROAと競合他社との乖離

表3-2

 

表3-2より、業界内で見ると長期的にROAは高まっており来期の予想利益が11.88%の上昇であることを考えると資本効率はいいといえます。

現在のROEと同社の過去ROE平均との比較

現在(2019年6月初め時点)のスズキのROEが、同社における過去(直近7年分)のROE平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

※ROEは「自己資本からどれだけ効率的に当期純利益を生み出したか」という指標です。

しかし負債を多くすればするほど利益を多く生むことができROEを高めることができるのです。(レバレッジをかけるということ)。

ここではROEを「総資本に対する負債の比率」で割った「修正ROE」を用いて見ていきます。

スズキのROEと平均との乖離

表3-3

 

表3-3より、2019年3月期の修正ROEはかなり下降しており当期純利益が17.14%減少したことに加え、

自己資本比率もわずかながら上昇していることもあって資本効率が低下していると考えられます。

では次は、同業他社の修正ROEを見ていきます。

競合他社のROE比較

 

表3-3-1より、ROAと同様、高いとも低いともいえない資本効率でしょう。

スズキの競合他社とのROE比較

次に同社の修正ROEが業界内で長期的にどの水準にあるのかを見ていきます。

マツダのROEと競合他社の平均との乖離

表3-4

 

表3-4より、業界内でも長期的には資本効率が高まっていますが2019年3月期では業界平均に近付くほどに修正ROEが低下しています。

ただ来年の予想利益が11.88%の上昇ということを考えると当面は資本効率の高さが維持されるのかもしれません。

 

スズキの割安?割高?(PERPBR

株式投資をするときの鉄則は「安く買って高く売る(高く売って安く買い戻す)」ということですが、

実際その銘柄が高いのか安いのか判断していく必要があります。

ここではPERとPBRに着目して検討していきたいと思います。

スズキの現在のPERと同社の過去PER平均との比較

まず現在(2019年6月初め時点)のスズキのPERが同社における過去(直近9年分)のPER平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

スズキPERと過去平均との乖離

表4-1

 

表4-1より、2015年3月期のPERの上昇について株価はゆるやかに上昇しさらに当期純利益の低下がありました。

当期純利益低下の主因は、諸経費や減価償却費の増加・少数株主利益の控除にあります。

しかし2016年3月期から現在に至るまでPERが長期的に低下しています。

 

スズキの同業他社とのPER比較

次に同業他社とスズキのPERを比較していきます。

競合他社とのPER推移の比較

表4-2

 

表4-2より、業界3社の推移でみると各社ともPERが低下していることが読み取れます。

同社だけが低下しているかどうかについては読み取れません。

 

そこで、準大手3社の過去9年分とスズキのPERを比較していきます。

スズキのPERと競合他社の平均との乖離

表4-2-1

 

表4-2-1より、業界内では長期的にPERが低下していて割安と判断できます。

 

スズキの現在のPBRと同社の過去PBR平均との比較

まず現在(2019年6月初め時点)のスズキのPBRが、同社における過去(直近9年分)のPBR平均とどのぐらい乖離しているのかを見ていきます。

スズキのPBRと過去平均との比較

表4-3

 

表4-3よりPBRは平均を上回っており、2019年3月期の低下については純粋な株価下落が主因であると考えられます。

今後のPBRの推移については予測できませんが決して割安とはいえない水準でしょう。

 

スズキの同業他社とのPBR比較

次に同業他社とスズキのPBRを比較していきます。

スズキと競合他社のPBR比較

表4-4

 

表4-4-より、業界3社で比較するとPBRが最も高い水準にあり、純資産の観点で見ると割高圏にあるかもしれません。

そこで準大手3社の過去9年分の平均とスズキのPBRを比較していきます。

スズキのPBRと競合他社平均との比較

 

表4-4-1より、やはり業界内で長期的にPBRが高くなっており割高圏と判断してよいかもしれません。

スズキの株主還元(配当金)

ここでは配当金について考えていきます。

競合他社との配当利回り比較

まずスズキの配当利回りは準大手3社の中でどのくらいの位置づけなのでしょうか。

スズキと競合他社との配当利回り比較

表5-1より、業界3社で比較すると配当利回りはかなり低く、

今後の配当性向の目標値を15%程度(2019年3月期は20.41%)としている為配当利回りは今後低下していく可能性が高いです。

スズキの配当利回りと平均との比較

スズキの配当利回りは同社の過去平均と比べてどの水準なのでしょうか。

スズキの過去配当利回りとの比較

表5-2

 

表5-2より、同社の過去平均と比較して長期的に配当利回りが上昇していることから同社としては現在の配当利回りは高い水準にあることがわかります。

 

スズキの配当利回りと準大手3社配当利回り平均との比較

自動車業界におけるスズキの配当利回りの水準はどの程度なのでしょうか。

スズキの配当利回りと競合他社平均との比較

表5-3

 

表5-3より、同社としては現在の配当利回りが高い水準にあるといえます。

業界内では長期的に配当利回りが低い水準にあることがわかります。

2019年3月期の配当利回りは平均を超えましたが、今後も配当利回りは低下していく見込みなので結局配当目的での投資が魅力的ではないでしょう。

 

まとめ

インドの業績拡大で今後の将来性が期待できるスズキ。

しかし指標からみて魅力的な側面はすくなく、インドでのEV市場の拡大が確実性が高いというわけでもないので現状は様子見をした方がよいでしょう。

 

■ 投資判断基準:様子見

以下の点を総合的に勘案し2020年3月期に4600円(現在5181円)程度が妥当な水準と予想。

■ 業績見通し:

▷ インド市場でのシェア拡大は実現し、インドでのEV車の普及が始まれば好調になっていく見通し。

■ ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷ 両指標とも同社としては改善傾向にありますが、一方で業界内では普通の水準になります。つまり資本効率は良くも悪くもないということ。

■ PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷  PERで見るとかなり割安ですが、PBRで見ると割高です。つまり相場観としては「中立」といえる。

■ 他社との比較:

▷ トヨタとの業務提携がある中、EV化などの推進を進められるという点ではかなり優位にあるといえる。

▷ 銘柄としては配当利回りが業界内でかなり低いことが目立っている点で魅力を落としている可能性あり。

■ 株主還元策の動向:

▷  今後の配当性向の目標値が15%程度であることから配当利回りは低下していく見通し。

▷さらに長期的に配当利回りは低下傾向にあるのでその点での魅力はあまりないといえる。

 

 

以上、【7269】スズキの株価はなぜ高い所から下落しているのか?インド市場での今後の展開が鍵となろう。…でした。

 

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。