「TDK」は大手の電子部品企業です。
TDKはフェライトやコンデンサを始めとする電子材料・電子部品・磁気ヘッド・二次電池などを製造販売しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からTDKの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■投資判断基準:長期的に『買い』
以下の点を総合的に勘案し長期的に10,000円(現状7,390円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷19年3月期の連結税引き前利益は前の期比28.7%増の1155億円、20年3月期も前期比2.1%増の1180億円に伸びる見通し。
■ 指標関連:
▷ROEが2009年を底としてV字回復中。予想PBRは1.07 倍で割安水準。
■ 他社との比較:
▷競合が減益に落ち込む中で8期連続増収とトップクラスの業績を誇る。
■ 株主還元策の動向:
▷今期20円の増配を実施。
Contents
TDKとは?
TDKは1935年にソフトフェライトの工業化を目的とするベンチャー企業として設立されました。
テレビやパソコン、携帯電話、そしてHEV(ハイブリッドカー)や風力発電など、電気・電子機器の小型・薄型・高機能化、省エネ・省資源化などに大きく貢献している磁性材料が「フェライト」です。
TDKは日本の独創的な発明であるフェライトの事業化を目的に、1935年に設立されました(当初の社名は東京電気化学工業。TDKはその略称)。
折りしも当時は、高周波(高い周波数の交流電流)技術が発展期を迎えていた時代。
TDKのフェライトコアは、無線通信機やラジオのアンテナコアなどに採用され、戦前から終戦(1945年)までに、約500万個が出荷されました。
終戦後もテレビのブラウン管やトランスのコア、テープレコーダやVTRの磁気ヘッド、ノイズ対策部品など、フェライトの用途はますます拡大。
近年はハイブリッドカーのバッテリ電圧変換器(DC-DCコンバータ)など、省エネ・省電力化にも大きく寄与、その重要性は高まる一方です。
引用:TDK
TDKは過去にはビデオテープやフロッピーディスクなどの記録メディアを製造販売していました。
現在はフェライトやコンデンサを始めとする電子材料・電子部品・磁気ヘッド・二次電池などの製造販売が主力になっています。
TDKの過去10年の業績推移(PL)
ここでは日本を代表する電子部品企業である、TDKの過去10年間の業績推移を見ていきます。

TDKの売上高は2009年を底として、徐々に増加しています。
比較して、本業を表す営業利益も売上高同様、2009年に底打ちし、回復に向かいました。
しかし、営業利益に関しては2017年からアップダウンが激しくなっています。
これは2017年は786百万円、2018年は4,412百万円と為替差損が生じていることから、
為替が円高で高止まりしているためと考えられます。
2019年3月期決算分析
TDKが4月26日に発表した決算のい内容を簡単におさらいします。
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比28.7%増の1155億円。
20年3月期も前期比2.1%増の1180億円に伸びると公表しています。
また、配当に関しては、今期の年間配当は前期比20円増の180円に増配になっています。
TDKは8期連続で増収になっているため、業績が好調に推移していることがわかります。
TDKのROEとROA
TDKのROEとROAは底打ちした年が2009年と同時期であり、営業利益に沿って動いていることがわかります。

TDKのROEは-11.40%~18.28%とかなりの幅で動いていることがわかります。
しかし直近5年間は日本の東証一部の平均値である8%を超えて推移していることから、安定感が出てきているといえます。
またTDKのROAも-5.74%~8.72%とかなりの幅で動いていることがわかります。
しかしROAもROE同様、日本の東証一部の平均値である2%を超えて推移していることから、安定感が出てきているといえます。
TDKの中期経営計画「Value Creation 2020」
8期連続増収中と好調のTDKが公表した中期経営計画「Value Creation 2020」の内容を分析していきたいと思います。

8期連続増収中と好調のTDKが公表した中期経営計画「Value Creation 2020」の内容を分析していきたいと思います。
中期経営計画「Value Creation 2020」の3つのバリュー
中期経営計画「Value Creation 2020」では3つのバリューを創造しながら社会に貢献し、その結果として事業を成長させていきたいとの企業目標が込められています。
≪3つのバリュー≫
- Commercial Value
- Asset Value
- Social Value
Commercial Valueの目標
Commercial Valueの目標は、2021年3月期における売上高1兆6,500億円の達成です。
右肩上がりに売上高が伸びていることと、2020年の予想売上高は1兆4,200億円となっています。
現在の水準から考えると達成可能な数値であるといえます。
Asset Valueの目標
Asset Valueの目標は、営業利益率10%以上、ROE14%以上の達成です。
2020年の予想営業利益率は8.45%、予想ROEは9.57%となっているため、若干達成が難しい数値であるといえます。
Social Valueの目標
Social Valueの目標は、サステナブルで透明性の高い経営の実現です。
中期経営計画「Value Creation 2020」総評
TDKは8期連続増収と業績が上向きで推移していますが、若干数値設定が厳しすぎる懸念があります。
しかし懸念材料であった、為替損益も2019年は解消されています。
今後の企業努力次第では達成可能な数値であるとも考えられます。
TDKのテクニカル分析
ここではTDKは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
TDKの過去10年の株価推移
下記はTDKの10年間の株価推移です。
業績が激しく動いたにもかかわらず、業績以上に日経平均株価に連動した株価推移であるといえます。

TDKの業績の底打ちが2009年であったにもかかわらず、株価の底打ちは2011年とずれが生じていいます。
TDKの株価は日経平均株価に連動しやすい傾向があることがわかります。
TDKのテクニカル分析
TDKの株価はボラが高いのが特徴であるといえます。

TDKの株価は2015年6月に10,450円を付けましたが、2016年7月には5,170円と半値近くまで売り込まれています。
また2018年9月には12,940円を付けましたが、2018年12月には7,070円と短期間で4割ほど株価が下落しています。
一般的にボラの高い銘柄は「相場が若い」場合に起こりやすい現象です。ですからTDKの長期上昇トレンドは継続中と考えることができます。
テクニカルから見たTDK
テクニカル的にTDKは長期で「買い」であるということができます。
それは、相場がまだ若いことが一番の理由です。

ボリンジャーバンドで見るTDK相場です。
見てお分かりのように、TDKは-2σ近くが買い場になっていることがわかります。
ボリンジャーバンドと相性の良い展開になっているので、TDKを売買する時にはボリンジャーバンドの活用をお勧めします。
競合他社比較(NEC・エプソン・カシオ・キャノン・パナソニック・ソニー)
TDK(6762)を同業である日本電気(6701)、セイコーエプソン(6724)、カシオ計算機(6952)、キヤノン(7751)、パナソニック(6752)、ソニー(6758)と比較検討していきます。
TDK | NEC | エプソン | カシオ | キャノン | パナソニック | ソニー | |
PER | 11.1 | 16.1 | 12.5 | 13.3 | 16.6 | 10.1 | 13.2 |
PBR | 1.07 | 1.22 | 1.04 | 1.41 | 0.2 | 1.05 | 1.76 |
配当利回り | 2.43% | 1.49% | 3.88% | – | – | – | – |
ROE | 9.37% | 4.68% | 9.94% | 10.46% | 8.94% | 14.85% | 24.46% |
ROA | 4.13% | 1.36% | 5.17% | 6.19% | 5.16% | 4.72% | 4.37% |
PER水準
セクターのPERがパナソニックの10.1 倍からキヤノンの16.6 倍と日経平均株価の平均PER13~14倍の±2となっています。
セクター的には平均値並みであるということができます。
PBR水準
セクターのPBRがセイコーエプソンの1.04 倍からソニーの1.76 倍と日経平均株価の平均PBRの2倍以下になっています。
よって、セクター的にPBRは割安であるということができます。
配当利回り
配当は未公開or無配当の企業がカシオ計算機、キヤノン、パナソニック、ソニーと多数派になっています。
それは業績が急激に悪化していることや為替の推移が読みにくい展開になっていることから生じていると考えられます。
公表している企業はTDKが2.43%、日本電気が1.49%、セイコーエプソンが3.88%ですので、他企業もおおむね1~4%あたりであると推測されます。
株主優待
株主優待がある企業はソニーのみです。
株主優待の内容は、100株以上の保有でソニーストアオンライン、ソニーストアの各店舗、ソニーショップで利用できるAV商品15%割引、VAIO本体3%割引の割引券です。
決算予測
ⅰ.TDK
20年3月期の連結経常利益は前期比2.1%増の1180億円への伸びを見込んでいる。
ⅱ.日本電気
20年3月期の連結経常利益は前期比61.7%増の650億円への伸びを見込んでいる。
ⅲ.セイコーエプソン
20年3月期の連結経常利益は前期比18.1%減の590億円に減る見通し。
ⅳ.カシオ計算機
20年3月期の連結経常利益は前期比3.7%増の310億円への伸びを見込んでいる。
ⅴ.キヤノン
19年の連結税引き前利益を従来予想の3475億円→2950億円(前期は3628億円)に15.1%下方修正。減益率が4.2%減→18.7%減に拡大する見通し。
ⅵ.パナソニック
20年3月期の連結経常利益は前期比30.4%減の2900億円に落ち込む見通し。
ⅶ.ソニー
20年3月期の連結経常利益は前期比23.9%減の7700億円に減る見通し。
競合他社比較総合
下方修正や大幅減益が多いセクターの中で、TDKの8期連続増収は素晴らしい業績であるといえます。
他社と比較してもこのセクターではTDKが一番好業績であるといえましょう。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からTDKの今後の株価推移を分析してきました。
TDKはテクニカル・ファンダメンタル両面から見て「買い」の優良銘柄です。積極的に押しを狙っていきましょう。
■投資判断基準:長期的に『買い』
以下の点を総合的に勘案し長期的に10,000円(現状7,390円)程度が妥当な水準と予想。
■ 業績見通し:
▷19年3月期の連結税引き前利益は前の期比28.7%増の1155億円、20年3月期も前期比2.1%増の1180億円に伸びる見通し。
■ 指標関連:
▷ROEが2009年を底としてV字回復中。予想PBRは1.07 倍で割安水準。
■ 他社との比較:
▷競合が減益に落ち込む中で8期連続増収とトップクラスの業績を誇る。
■ 株主還元策の動向:
▷今期20円の増配を実施。
以上、TDK(6762)の業績推移とテクニカル面から株価を予想する!10,0000円程度が妥当か。…でした。
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