【7203 】トヨタ自動車(TOYOTA)の株価を業績推移と見通しを基に予想!自社株買+配当の株主還元の手厚さが魅力的。

トヨタ自動車の株価を業績推移と見通しを基に予想!自社株買+配当の株主還元の手厚さが魅力的。

本日は時価総額20兆円を超える日本最大の企業であるトヨタ自動車の分析します。

購入判断としては1年未満の短期的には買い推奨ですが中長期で購入しつづけることは今後の状況待ちです。

それぞれの点について分析していきたいと思います。

 

 

■ 投資判断基準:短期的に『買い』

以下の点を総合的に勘案し2020年3月期に8700円(現状6759円)程度が妥当な水準と予想。

● 業績見通し:

▷2019年3月期の純利益下落の特殊要因の影響が無くなる。

● ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷東証一部企業に対して高い効率的な利益体質。

● PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷予想PERは現状株価で8倍台と割安。PBRは1倍近辺。

● 他社との比較:

▷業界他社比でも低いPER。更に株主還元も充実。

● 株主還元策の動向:

▷配当利回りと自社株買を合わせた総合還元率は6%近辺と高水準。

 

【企業情報】トヨタ自動車とは?

トヨタ自動車は言わずとしれた時価総額22兆円の日本最大の企業です。

礎を築いたのは豊田自動織機を創業した豊田佐吉です。

しかし、トヨタ自動車自体はトヨタ自動織機の中の自動車部が独立した企業で実質的な創業者は豊田佐吉氏の息子の豊田喜一郎氏です。

豊田喜一郎氏は『トヨタを創った男』というい映画まで制作されており非常に面白く男の血が騒ぎました。

豊田喜一郎氏

現在の社長の豊田章男氏は豊田喜一郎氏の孫になります。

世界の自動車販売台数ではフォルクスワーゲン、ルノー・日産・三菱連合につぐ第3位で1000万台以上となっています。

それでは直近10年の業績と株価水準について詳しく見ていきましょう。

過去10年の業績推移(PL)

まずは一番重要な過去10年の『売上高』『営業利益』『経常利益』『純利益』について見ていきます。

『営業利益』『経常利益』『純利益』の違いについて分からないという方は『損益計算書の見方』をご覧ください。

 

売上高は僅かながらではありますが増加しています。

営業利益は2016年3月期までは堅調に伸びていましたが、直近は寧ろ下降基調となっています。

トヨタ自動車全体の連結販売台数が落ち込んでいるわけではありません。

トヨタの販売台数

しかし、現在トヨタ自動車では全体の半分程度が海外生産となっておりドル円レートが日本円建の決算に大きく影響してきます。

ドル円レートが2016年時点で120円代であったのに対して、2017年以降110円近辺で推移していることが利益を抑制している要因となります。

2019年3月期決算による純利益の下落要因

2019年3月期は営業利益は微増であるにも関わらず、純利益は昨年度に比して6000億円の減益となっています。

主因としては『未実現持分証券評価損益』で3500億円の特別損失が派生しています。

トヨタ自動車の2019年3月期の決算書

この未実現持分証券評価損益はトヨタ自動車が適用している米国会計基準の変更が要因です。

米会計基準では17年12月以降の会計年度から、新たに保有株の評価損を損益計算書に反映させる必要がある。

グループ会社の株を除いたもので政策保有株、いわゆる持ち合い株が対象だ。トヨタの場合、18年4~9月期までは税引き前利益を1478億円押し上げる要因になっていたが、昨年末の世界同時株安が直撃。

4~12月期では3558億円の押し下げ要因となった。

<中略>

「軽んじてはいけないかもしれないが株式の時価の変動に伴うもの。競争力を左右するものではないと評価している」。同日の決算会見で経理担当の白柳正義執行役員はこう指摘し「足元で見るともうかなり戻ってきている」と付け加えた。

ただ、保有株の変動で業績が大きくぶれれば過去と比較しにくくなる。こうした株価変動は国際会計基準(IFRS)や日本基準では損益に反映されないルールだ。白柳執行役員は「IFRSの導入を検討している。なるべく早期に導入していきたいと語った。

(引用:日本経済新聞)

トヨタ自動車が保有するマツダやSUBARUやKDDIやパナソニックの株式を含めて2兆5000億円規模の株を保有しています。

しかし、2018年度の株価の大幅な下落の影響を受けて大きく評価学額をさげて損失を経常することとなりました。

今までの米国会計基準では保有株の評価額の下落を損失計上する必要はありませんでしたが、会計基準の変更で損失計上を迫られ純利益の押し下げ要因となりました。

つまり本業の稼ぐ力とは全く関係のないところで、キャッシュも流出していませんのでトヨタの本質的価値が低下したと懸念する必要はないでしょう。

また当然のように2019年に入ってから株価は回復基調となっていますので2020年3月期には増益項目となることが期待できます。

将来的には役員が記事で言及している通り、評価額がPL項目に影響しない国際会計基準(IFRS)に移行する考えとのことです。

将来的には純利益のブレが抑えられることが期待できますね。

トヨタ自動車のROEとROA

トヨタ自動車の利益を上げる効率性を見るためにROEとROAについても見ていきましょう。

以下は過去10年間のトヨタ自動車のROEとROAとなります。

平均してROEは10%-13%、ROAは4%-5%となります。

最新の2019年3月期は先ほどお伝えした株式評価損の影響を受けて低くなっていますが本質的な水準は変わっていません。

トヨタ自動車のROEとROA

日本の東証一部の平均ROEが8%、ROAが2%台であることを考えると十分高い水準です。

しかし、欧米企業のROEは10%、ROAは2%が当たり前という水準から比べると特筆して高いということはできませんね。

 

PERとPBR水準から割安な株価

それでは株価水準の分析に移りたいと思います。

以下は過去10年間のトヨタ自動車の株価推移です。

トヨタ自動車の株価推移

 

株価がトヨタ自動車の1株あたり純利益であるEPSとほぼほぼ連動しています。(2007年からなので序盤の動きは若干ことなります)

トヨタ自動車のEPSの推移

それでは株価の水準についてPERとPBRという観点から割安度合を見ていきましょう。

割安な日経平均より割安なPER

まずは一番馴染みが深いPERについてです。

株価は以下の式で表され、EPSと株価の動きが連動していることからPERは一定の水準であることが想定されます。

株価= EPS ×  PER

以下は過去10年間のトヨタ自動車のPERの動きですが、9倍〜12倍の間で安定しており平均値は10.8倍程度になります。

現状は過去の水準からみると丁度平均という水準ですが、本来純利益は会計基準の変更で一時的に凹んでいるという側面もあるので過去平均より実態は若干割安水準ということができるでしょう。

PER11倍という水準は1100万円の不動産を購入して毎年税後で100万円の賃貸収入を得るようなものです。

以下にお得な水準であるかご理解頂けるかと思います。

日経平均が世界的にも割安で13倍-14倍とも言われているので更に割安な水準となっています。

1倍近辺のPBR

PBRは1.02倍と非常に割安なレベルで推移しています。

PBRの推移

PBRが1.02倍ということは殆ど純資産と同じ金額でしか株価が評価されておりません。

このような場合、

  • 今後の利益見通しに疑問を市場が抱いている(今後無利益又は純損失がでると見ている)
  • 現状の資産の中に簿価未満のものがあると考えられている

という点が考えられますが、前者については流石にトヨタ自動車が純損失に陥ることは現状考えにくいので、後者に絞って見ていきます。

【貸借対照表とは?】BS(バランスシート)の見方を紐解く!『株主資本』『自己資本』『純資産』の違いとは?

2019.05.05

以下は51兆円のトヨタ自動車の総資産ですが、流動資産18.9兆円は殆ど現金への換金できる資産なので問題ありません。

一方、固定資産に目をやると『有価証券及びその他の有価証券』が7.5兆円、『機械装置』『車両及び器具』で18兆円あります。

有価証券については、2019年の純利益の減少要因の欄で言及した通り株価が減少し8兆円→7.5兆円に減少しています。

仮にリーマンショック級の株価下落が起きたとして保守的に3.5兆円で考えるとします。

 

次に設備ですが、機械設備と器具の18兆円の見積もりは非常に難しいです。

今後電気自動車が主流となり現在の機械設備を刷新する必要があれば価値は大きく減価しています。

 

しかし毎年研究開発費をつぎ込んでいることから電気自動車を含めた更なる高性能の車の開発を怠っていないことがわかります。

さらに設備投資は減価償却費約1兆円に対して2000億円-5000億円プラスの金額で推移しています。

常に新しい設備に入れ替えていることが想定され、結果的に設備価値が陳腐化しているとも考えにくい状況です。

PERとPBRという観点から考えると、トヨタ自動車は割安と判断することができます。

 

競合他社比較

いくらPERとPBRという観点からみたら割安ですが業界全体として割安かもしれません。

そこで日本の自動車業界の雄であるトヨタ自動車と、

  • 日産自動車
  • 本田技研工業
  • マツダ

を横並びで比べて見ます。

ROEについては日産が高いですが、トヨタも株式評価損失がなければ同様の水準となっています。

ちなみに下記の中で米国会計基準を用いているのはトヨタ自動車だけなので、トヨタ自動車だけ株式評価損の影響を受け数字上不利益を被っています。

 トヨタ自動車日産自動車本田技研マツダ
株価6,759.0 円873.7 円2,989.5 円1,298.5 円
売買単位100 株100 株100 株100 株
時価総額22兆円3.6兆円5.4兆円8.2兆円
予想PER8.5 倍10.7 倍7.9 倍14.9 倍
PBR0.99 倍0.64 倍0.64 倍0.68 倍
予想配当利回3.25 %6.52%3.75%2.70%
実績配当利回3.25%6.07%3.71%2.70%
ROE9.73%13.87%7.38%9.39%
ROA3.63%3.98%2.99%4.11%
自己資本比率37.30%28.70%40.50%43.70%

PERは本田技研と比べると割安ではないですが、十分低い水準ということができるでしょう。

一般的にはPERは10倍以下は安いと言われる水準ですから業界全体の傾向として低いなかでも低い水準にあるといえるでしょう。
PBRについては1倍以下であるにも関わらず他の3社が安すぎるの業界の中では高い水準となっています。

ただPBR1以下は純資産以下の価格で取引されていることを意味しており文句なく安い水準です。

保有している資産の評価もあるので、安すぎるPBRは投資家が資産の内容に疑いを持っている可能性もあります。

自動車業界全体としてみると相対的には割高に見えますが、十分割安なレベルでしょう。

PERには業界特性が働きやすいですが、PBRに関しては1という基準を信頼しても問題ありません。

 

一方配当利回りについて日産が6%であるにも関わらず、トヨタ自動車は半分の3%しかないと不満に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、企業が行う株主還元は配当だけではありません。

トヨタ自動車では次項で説明する通り積極的な自社株買を行い、EPSを高める活動を継続して行なっています。

配当と自社株買の効果を合わせると日産自動車と同水準の株主還元が実施されているのです。

配当金と自社株買の両輪の株主還元策

自社株買は近年注目されている企業が自社の株式を購入することで1株あたりの株式価値を高める株主還元策です。

例えば純利益が100万円で100株保有していたとします。

すると1株あたり利益であるEPSは1万円となります。

ここで自社株買を20株行い、翌年度の純利益が100万円で変わらないとします。

しかし、1株あたり利益であるEPSは1.25万円に増加するのです。

自社株買を行うことで利益が普遍であってもEPSは増加するのです。

株価はEPSとPERの掛け合わせなので株価に直接プラスの影響を齎します。

更に自己資本が減少しますので、結果的にROEを上昇させる効果も備えています。

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2019.02.13

 

長期的にみると配当金のように税金を取られない為。複利効果を得られやすいという特徴があります。

配当金よりも株主への還元になることからバフェットも注目しています。

 

トヨタ自動車では2014年3月期から継続的に自社株買を実行しており毎年増加基調です。

以下が今回2019年3月期の決算説明資料ですが合計5,499億円、86百万株の自己株を取得しています。

トヨタ自動車の株主還元策

トヨタ自動車決算説明書

トヨタ自動車の決算書の発行済株式数の数値を見てみましょう。

自己株を排除した期中平均株式数は2018年3月期の29.47億株から28.71億株に減少しています。

つまり1年間の減少率は2.6%ということになります。

2014年から継続している自社株買が現在のペースで毎年継続した場合10年後には発行済み株式数は75%になります。

株式発行数(億株)
(除:自株)
現在からの比率
1年後27.9797.40%
2年後26.5494.87%
3年後25.8592.40%
4年後25.1890.00%
5年後24.5287.66%
6年後23.8985.38%
7年後23.2683.16%
8年後22.6681.00%
9年後22.0778.89%
10年後21.5076.84%

 

つまり10年後に利益水準が現在と同様としても株価は13.4%ほど上昇することを意味しているのです。

事実現在まで純利益最高を記録したのは2016年3月期でした。

しかし、自社株買を継続して行なった結果2018年3月期にEPSは最高を記録しています。

トヨタ自動車のEPSの推移

更に配当利回りが3%程度の水準が継続すると仮定すると株主還元だけで購入価格の50%程の利益は狙うことができるでしょう。

 

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株価見通しは良好で短期的には買推奨

ではここまでの内容を判断して難しいですが、株価見通しを立てていきたいと思います。

まずは短期的な見通しですが、トヨタ自動車が発表している以下を見る限り本業の収益率は特に変化はありません。

しかし、2019年3月期の株価下落損の影響が剥落して純利益は2兆2500億円を見込みます。

トヨタ自動車の2020年3月期の見通し

純利益を自己株買実施前提の先ほど算出した自己株除去後の発行済株式数27.97億株で割ります。

するとEPSは804円に増加します。

EPSにトヨタ自動車の10年間の平均PER10.8倍を掛け合わせることで来年末の予想株価は8687円となります。

現在の株価が6759円であることを考えると約28%上昇が見込まれます。

 

ただ、あくまで世界経済が堅調でありドル円が現在の水準を保っている場合に限ります。

世界経済が不況に陥れば、2009年のトヨタ自動車の決算が純損失を計上していることからわかる通り、EPSの大幅減少でトヨタ自動車に限らず株価が下落します。

2019年度中は編集部としては、ある程度楽観的な見通しをもっています。

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しかし、2020年以降になってくると読めない部分が多いので、あくまで1年以内の見通しとなります。

 

為替について気にされる方もいるのではないでしょうか。

トヨタ自動車は半分近くが海外での生産販売となっておりますので、日本円の純利益はドル円レートに大きく影響します。

しかし、当然私は総合商社の為替トレーディング部署で働いていたのでわかるのですが、

事業会社は1年先の為替についてはある程度は為替ヘッジをしているので円高となっても本格的に影響がでるのは2021年度からになると予想されます。

また中長期的な見通しとなってくると今急速に開発が各社で進んでいる電気自動車の行く末が大きく影響してきます。

現時点で中長期的な業績を読むのは現状では難しいといえるでしょう。

当然、純利益が多くキャッシュが創出できるトヨタ自動車では研究開発費にかけれる費用が他社より多いので勝算は高いと見ています。

まとめ

トヨタ自動車は販売台数は緩やかながらも着実に伸ばしており売上高は右肩上がりになっています。

一方、為替の影響と今期に限っては米会計基準の変更の影響を受けて純利益が凹んでいるように見えます。

 

しかし、収益力としては変わっておらず来季は2兆2500億円の純利益を見込み、PER、PBR共に絶対値として割安なだけでなく過去水準比でみても低い数値で割安と言えるでしょう。

 

また配当だけでなく自社株買を継続して行なっています。

来季の純利益予測からEPSを推定し現在の割安なPERを掛け合わせると、相場環境に悪化がない限りは、2019年5月8日の6759円水準から30%ほど上昇し8700円近辺まで1年以内に到達することが予想されます。

 

■ 投資判断基準:短期的に『買い』

以下の点を総合的に勘案し2020年3月期に8700円(現状6759円)程度が妥当な水準と予想。

● 業績見通し:

▷2019年3月期の純利益下落の特殊要因の影響が無くなる。

● ROEとROAの高さ(効率的に利益を上げられているか):

▷東証一部企業に対して高い効率的な利益体質。

● PERとPBRの低さ(割安かどうか):

▷予想PERは現状株価で8倍台と割安。PBRは1倍近辺。

● 他社との比較:

▷業界他社比でも低いPER。更に株主還元も充実。

● 株主還元策の動向:

▷配当利回りと自社株買を合わせた総合還元率は6%近辺と高水準。

 

以上、トヨタ自動車(7203)の株価を業績推移と見通しを基に予想!自社株買+配当の株主還元の手厚さが魅力的。…の話題でした。

 

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。