お久しぶりです。最近は我々マネリテ編集部はnoteに移行し3つのマガジンを運営しているので久々の更新ですね。
ここ数年は米国株関連の情報に注力してコンテンツを作成しています。我々が力を入れて運営しているマガジンです。
https://twitter.com/nobutaro_mane/status/1515620865001803776?s=20&t=-69UPXCq8AMeduiv-NFZrQ
米国株の銘柄分析と、分析した銘柄の決算速報に加えて毎週土曜日に米国株市場の相場の復習をマーケット週報という形で発刊しています。今回、フォーカスをするのはマーケット週報についてです。
信太郎(@nobutaro_mane)と秀次郎(@hidejiromoney)は毎週土曜日の朝に、一週間の相場を纏めて現状の相場環境を整理するための週報をだしています。
我々が週報を出しているには非常に重要な意図があります。
今回はなぜマーケットについて整理して相場環境を認識する必要があるのか?
という点について実際の事例を交えてお伝えしていきたいと思います。
Contents
マーケット環境の重要性を理解しよう!
グロース株投資を行うのであれば、やはり基本となる型に基づいて投資をするべきであるという考えの元、編集部は米国株グロース株投資の教科書として愛好されているオニール流投資を取り入れています。
※ 今回の記事はオニール流投資家以外の方にも十分転用可能な内容となっています。対象がマーケット全体だからです。
伝説的グロース株投資家ウィリアム・オニールは個別株選定を体系化するためにCANSLIMという基準を設けています。
第3章からこれまにでCANSLIMの7つのルールのうち6つを学んできた。しかし、その6つの条件全てを満たす銘柄を見つけても、マーケットの方向性を見誤れば意味がない。市場が下向きのときは、保有している株式の4銘柄のうち3銘柄は平均株価と共に真っ逆さまに下落する。
そして2000年や2008年に多くの人が大金を失ったように、あなたも大きな損失をだすことになる。
-オニールの成長株発掘法P277
一番重要なのはCANSLIMの中の「M」つまりマーケットの方向性であるということを述べています。
いくら優れたグロース銘柄でも川の流れに逆流して泳ぐのは非常に難しいことであると説いています。
オニール流では相場環境を青信号、黄色信号、赤信号の三段階にわけて認識を行います。
青信号(=Confirmed Uptrend)
チャートとファンダメンタルが素晴らしい銘柄を積極的にハントすべし
黄信号(=Uptrend under pressure)
新規購入はより慎重に。既に保有するポジションの利確や損切りもチャートポイントを元に早めに行うことが推奨される。
赤信号(=Uptrend under pressure)
新規購入は禁止。既に保有するポジションの利確や損切りもチャートポイントを元に早めに行うことが推奨される。
皆さん直近経験されたばかりなので記憶に新しいと思いますが、実際に相場環境が悪い時にグロース銘柄がどのような動きとなっているか確認していきましょう。
逆流相場の中での個別株の動き!流れに逆らうのは本当に難しい
では相場が逆流の中でグロース株はどのような動きをしているか確認していきましょう。
進撃する巨人Tesla (Ticker:TSLA)
TSLAは2020年のコロナショックを牽引した先導株ですね。
最近はGAFAMに肩を並べる巨大企業となり創業者であるイーロンマスク氏は世界一の資産家となっています。
そんなテスラが2022/4/21に最新決算を発表しました。
因みにテスラが決算を発表した日はMarketは黄色信号の「Uptrend under pressure」でしたが、決算翌日に赤信号である「Market Correction」に変化しました。以下は時系列がわかりやすいようにS&P500指数を添付しています。
詳しくは記事で説明しているので割愛しますが売上とEPSのグラフをご覧いただければ、一目瞭然です。
【売上】
【EPS】
もし、マーケットが上昇トレンドであれば昇竜拳をしていたことでしょう。
しかし、決算発表後のTSLAの株価の動きをみてみましょう。
決算をうけて株価は上昇しましたが、その日のうちに市場自体が大きく下落したことで上髭を作りました。
結果的にその後、市場の流れに身をまかせる形で大きく下落していきました。
成長率抜群のDatadog (Ticker:DDOG)
Datadogはコロナがあけてからも成長率を維持している次のGAFAMを狙う企業として期待している企業です。
常に期待を上回る決算をだしてきています。そんなDDOGも5月5日に決算をだしました。
既にMarket Correctionになった後に決算がでています。
以下はS&P500指数とMarket環境とDDOGの決算のタイミングを列挙したものです。
詳しい内容は上記でお伝えしていますが、売上とEPSの推移は以下となっています。
売上ベースで前年同期比80%の成長率は驚異的ですね。
【売上】
【EPS】
もし、DDOGが2020年に決算をだしていたら昇竜拳できたことでしょう。
しかし、2022年に好決算をだしたとしても、上昇することが叶わないという状況になっているのです。
グロース株投資家にとって、いかにマーケット環境が重要であるかという点はご理解いただけたかと思います。
大きな傷を回避することが可能
オニール流の投資では個別株投資で8%下落したら損切りをするという鉄則のルールがあります。
そもそも大きな傷となることはないのですが多くの銘柄で8%損切りをしていればボディーブローのように効いてきます。
例えば、思い返して頂きたいのはコロナショックです。銘柄なんて関係なく殆どの銘柄が奈落の底に落ちていきました。
しかし、マーケットを観察していれば事前に暴落を察知できていました。
「Market in Correction」中は新規投資は行わないことは当然のことながら、早めの利確と損切りを実施します。
そのため、コロナショックの傷を最低限に抑えてバーゲンハンティングに備えることが可能となるのです。
指数取引や先物取引にも応用可能
インデックス投資家の中にも単純に積立投資を行なっている投資家だけではなく、積立と相場の流れをよむ短期投資を組み合わせた二階建で取引されている方もいらっしゃると思います。
短期取引の場合の一つの指針としてFollow through Day(FTD)を迎えてConfirmed Uptrendになった瞬間にLongポジションをとり、黄色信号か赤信号が点灯した時にポジションを解除するという手法です。
先ほどのコロナショックは綺麗に決まっていますね。
また、直近の相場を見てみましょう。
現代において最も相場に影響を与えるのは中央銀行です。
中央銀行が金融引き締めに傾いている局面については相場が不安定になりマーケット環境が頻繁に変わります。
そのため、このような環境では指数取引でもポジションを取るのを控えるのも手ですし、
FTDを迎えて青信号となったら買って黄信号(Under Pressure)が点灯したら決済して早めに逃げるという手法が奏功します。
Market環境はどのように判定している?
ここまで読んできて、マーケットの方向感が分かれば苦労しない。
そんなことは予測不可能なはったりだと思われた方も多いかと思います。しかし、この考えをオニール氏はばっさり斬っています。
マーケットのタイミングなんて測れるものか、そんなことを言う人に耳を貸してはならない。そのような考えは、ウォール街やマスコミ、および自分がマケットのタイミングを測れた試しがないから他人でもできるわけがない、と思い込んでいる人たちによって受け継がれている単なる妄想にすぎない
P279
参考となる部分を抜粋していきます。
マーケットの方向性を判断する最善の方法は、主要な平均株価3-4種類の日足チャートで価格と出来高がどのように変化しているいかを注意深く観察し続けて、チャートの示すマーケットの方向を読み取ることである
P278
金利動向、Put Call RatioやVIX、空売り比率なども補助的なツールとして用いるとしながらも、
あくまで最も重要な判定基準は株価の値動きと、取引量の実態を表す出来高であると何度も言及しています。
我々の感覚に基づいた相場判断ではなく、オニールの教科書にしたがって機械的に相場環境を判定しています。
リスク管理のお供として活用していただけますと幸いです。
オニール流に忠実に従った週報は全てが入ったAマガジンと、週報特化のCマガジンでお伝えしています。
相場ステータス変更に伴い「現在は強気相場?弱気相場?」項目を追記更新しました。https://t.co/7nWOBgVRhY
— 秀次郎@戦国のバレンティン(旧メタ次郎) (@hidejiromoney) May 17, 2022
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
✔︎ グロース株投資において相場環境を見極めることは非常に重要
✔︎ 成長率が文句ないレベルでも下落相場に抗うのは難しい
✔︎ 相場環境に応じてポジション量を考えよう
✔︎ グロース株取引だけでなく指数取引にも十分転用可能
✔︎ 相場の方向性は株価の動向と出来高を注視することで判別することができる