2019年8月21日に東証マザーズに上場するアセンテック(3565)は1Q決算とともに、「株式の立会外分売に関するお知らせ」を公表しました。
今回はアセンテックが行う立会外分売は買いなのか?
またこの立会外分売でアセンテックは東証一部への鞍替えを行うのか?
実現可能性を含めて分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:買い推奨
▷ 東証一部への期待だけでなくファンダメンタル、テクニカル的にも投資妙味の高い銘柄。
■ 立会外分売の目的:
▷ 東証一部の鞍替えを目的として実施。十分目的を達成しうる為、期待が持てる。
■業績推移:
▷ 業績は順調に拡大で今期も予想を軽く達成することが見込まれている。
■テクニカル的分析:
▷ しこりの重い株価帯をなんなくブレイクしていることから、テクニカル的にも期待できる。
Contents
アセンテックとは?
ここではアセンテックとはどのような企業であるのかを多方面から分析していきたいと思います。
アセンテックの基本スペック
企業名 | アセンテック株式会社 |
コード番号 | 3565 |
資本金 | 2億2,887万円 |
設立 | 平成21年2月2日 |
住所 | 東京都千代田区神田練塀町3 大東ビル9F |
代表取締役社長 | 佐藤 直浩 |
従業員数 | 68名 |
事業内容 | 仮想デスクトップに関連する製品開発、販売及びコンサルティングサービスの提供 |
アセンテックの事業内容
アセンテックは仮想デスクトップビジネスを中心に、仮想インフラ及びストレージビジネス、プロフェッショナルサービスビジネス、クラウドサービスビジネスの4つの事業を展開しています。
ⅰ.仮想デスクトップ
仮想デスクトップとは、デスクトップ環境をサーバー側に集約し、ネットワークを介してデスクトップの画面イメージを配信し、シンクライアント端末やパソコン、タブレットなどによりユーザが利用するソリューションです。
仮想デスクトップを活用することで、高いセキュリティ性や、運用管理負担の低減を実現することができます。
ⅱ.仮想インフラ及びストレージ
データ増加に起因する、パフォーマンス低下や容量増大、データマネジメントの複雑化といった問題を解決するために、
フラッシュストレージ、ソフトウエアストレージ、クラウドストレージの各ソリューションを提供しています。
ⅲ.プロフェッショナルサービス
仮想デスクトップを展開する上で、各フェーズにおいて、プロフェッショナルサービスを提供しています。
ⅳ.クラウドサービス
仮想デスクトップを検討しながら、そのコストや複雑性により導入が困難だった中堅/中小規模事業者でも、クラウドサービスを利用することで、仮想デスクトップを低コストかつ容易に導入・運用することが可能になります。
アセンテックは現在の花形産業であるITセクターのど真ん中の業種であることがわかります。
よって、業務内容的には人気化しやすい企業であるといえます。
それでは今回の立会外分売の詳細についてみていきたいと思います。
アセンテックの立会外分売の詳細
それでは本題のアセンテックの立会外分売についてみていきましょう。
アセンテックの立会外分売の詳細
分売予定株式数 | 330,000株 |
発行済株式数 | 6,752,200株 |
分売予定期間 | 2019 年8月29 日(木)~2019 年9月3日(火) |
分売値段 | 実施日の前日の終値もしくは最終気配値を基準として決定 |
買付申込数量の限度 | 買付顧客1人につき200株 |
実施取引所 | 東京証券取引所 |
実施の目的 | 2019 年7月12 日、東京証券取引所市場第一部への市場変更を申請しております。今回の立会外分売は、市場第一部への市場変更における形式要件の充足のために株式の流動性向上及び株主数増加並びに株式分布状況の改善を図るものであります。 |
アセンテックはIRではっきりと今回の立会外分売に関して、「東証一部への鞍替え」を目的として行うと公言しています*。
また、2019 年7月12 日、東京証券取引所市場第一部への市場変更を申請していることから、高確率で東証一部に鞍替えをすると考えられます。
*何らかの理由で実施が困難と判断された場合には、中止または延期する可能性があります。
立会外分売とは?
立会外分売とは企業等が保有する株式を、証券取引所の取引時間外(=立会外)で売り出すことを指します。
一般的に立会外分売では、前日終値から約2.5%〜3.0%割安な価格で購入することができるため、勝率8割という高確率で勝つことができることが特徴の投資方法です。
更に実施後に東証一部に鞍替えが行われればインデッックス型投信やETFの組み入れ対象となるため資金が流入し株価が上昇していきます。
マザーズから東証一部に鞍替えするための条件とは?
ここではマザーズから東証一部に鞍替えするための条件をご紹介します。
≪マザーズから東証一部に鞍替えするための主な形式的条件≫
アセンテックは東証一部へ鞍替えすることはできるのか?
アセンテックはマザーズから東証一部に鞍替えするための条件が先ほどのAに該当します。
形式的要件に合致しているのかを検証していきます。
株主数は2,200人を超えているか
2019年度の有価証券報告書によると、株主数が1,660名と鞍替え基準を満たしていないことがわかります。
しかし、今回の立会外分売によって1,650名の株主が増加する見込みであることから、数値的に余裕でクリアできます。
流通株式数の基準は満たしているか
≪流通株式数の基準≫
a.流通株式数 2万単位以上
流通株式数が2万単位以上ということは、浮動株が200万株以上あることということになります。
アセンテックでは浮動株式数を公表していないため、正確に判断することはできませんが、2019年の有価証券報告書によると、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有
株式数の割合77.11%になっています。よって浮動株式数は1,950,710株であると推測されます。
これに、今回の立会外分売の330,000株をプラスすると、形式条件がクリアできることになります。
b.流通株式時価総額 20億円以上
現在株価は1,900円前後で推移しています。よって、200万株×1,700円=38億円となり、流通株式時価総額20億円以上の条件をクリアしています。
c.流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上
現在の推定浮動株は1,950,710株ですが、これに立会外分売330,000株をプラスすると2,280,710株になります。
よって最終的な浮動株比率は33.7%です。条件は35%以上となっていることから、大株主の株券売却の必要性があるといえます。
社長である佐藤直浩氏が14.78%も保有しています。
東証一部の鞍替え前には社長が売却することで、流通株式数(比率)もクリアできると考えます。
売買高の基準は満たしているか
申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位(20,000株)以上が売買高の基準です。
アセンテックの出来高は少ない月でも382,800株あるため、売買高の基準はクリアできることがわかります。
時価総額並びにBS・PL基準
ⅰ.時価総額
時価総額の基準値は40億円以上ですが、現状129億円のため、条件をクリアしています。
ⅱ.連結純資産の額
連結純資産の額が10億円以上という基準値も現状22億円のため、条件をクリアしています。
ⅲ.最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
最近2年間の利益の額の総額が5億円以上という基準値も余裕でクリアできています。
マザーズから東証一部に鞍替えするための条件まとめ
いままで見てきた条件の吟味の結果を纏めると以下となります。
株主数 | 2,200人以上 | ○ |
流通株式 (市場変更時見込み) | 次のa,b,c全てに適合すること a流通株式数 2万単位以上 b流通株式時価総額 20億円以上 c流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上 | a ○ b ○ c ほぼ○ |
売買高 | 申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位以上 | ○ |
時価総額 (市場変更時見込み) | 40億円以上 | ○ |
事業継続年数 | 市場変更申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること | ○ |
純資産の額 (市場変更時見込み) | 連結純資産の額が10億円以上 (かつ、単体純資産の額が負でないこと) | ○ |
利益の額又は時価総額 | 次のa又はbに適合すること a最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること b時価総額が500億円以上 (最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く) | ○ |
アセンテックが東証一部に鞍替えすることができるのかを多方面から分析してきました。
結論としては、東証一部への鞍替えは可能である銘柄だということができます。
ではアセンテックが投資する妙味があるのかをファンダメンタルとテクニカル両面からみていきたいと思います。
アセンテックのファンダメンタル分析
アセンテックの業績推移
ⅰ.直近の決算内容~1Qですでに上方修正
アセンテックが8月21日に最新の決算を発表しました。
通期の業績予想は、売上高が0.25億円増の59.25億円、営業利益は0.35億円増の4.55億円、経常利益は0.43億円増の4.48億円と10.6%上方修正し、過去最高益を上回る見込みであると発表しています。
ⅱ.順調に拡大する売上高
アセンテックの売上高の推移は以下の通りとなっています。
売上高は右肩上がりに増加しています。
2020年度も1Qがすでに2019年度の1Qを超過していることからも、上方修正の内容に説得力があります。
ⅲ.純利益も順調に拡大
純利益も順調に増加しています。
よって、アセンテックの業績は順調そのものであるということができます。
アセンテックのテクニカル分析
もみ合い中のアセンテックの株価推移
上場後の1,407円―2,112円の出来高をご覧ください。2017年4月は22,218,800株、5月は34,270,800株と余裕で発行済み数式数をオーバーするほどの出来高を作っていることがわかります。
基本的に出来高=しこりとなる傾向がありますが、アセンテックは2019年7月に出来高を伴うことなく、余裕で出来高が多い価格帯を抜いていることがわかります。
ブレイク=買いです。よって、アセンテックはテクニカル的に買い初動であるといえます。
アセンテックのテクニカル的な売買ポイント
ⅰ.1,407円―2,112円のレンジ・ブレイクで「買い」
テクニカル的に、レンジ・ブレイクで2,800円を目指す動きになると考えます。
ⅱ.上場来高値更新=青天井相場で「買い」
上場来高値2,462円が直近の大きな壁になります。
よって、上場来高値を更新し、青天井相場に突入してから買い判断でもよいでしょう。その場合の上値ターゲットは3,800円になります。
アセンテックはファンダメンタル・テクニカル両面から投資妙味のある銘柄であるといえます。
PERが41倍と割高ですが、これは人気の裏返しといってよいでしょう。
まとめ
アセンテックは高確率で東証一部への鞍替えが可能な銘柄です。
更にファンダメンタル的にもテクニカル的にも投資妙味の高い銘柄であるといえます。
よって、積極的に購入を検討したい銘柄であるといえます。
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