2019年8月14日に東証マザーズに上場するキャンディル(1446)は3Q決算とともに、「株式の立会外分売に関するお知らせ」を公表しました。
今回はキャンディルが行う立会外分売は買いなのか?
また、この立会外分売でキャンディルが東証一部への鞍替えを行うのか?
可能性も分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:買い推奨
▷ 東証一部への期待だけでなくファンダメンタル、テクニカル的にも投資妙味の高い銘柄。
■ 立会外分売の目的:
▷ 東証一部の鞍替えを目的として実施。十分目的を達成しうる為、期待が持てる。
■ 業績推移:
▷ 業績は順調に拡大で今期も予想を軽く達成することが見込まれている。
■ テクニカル的分析:
▷ Wボトムから順調に上昇しておりテクニカル的にも期待できる。
Contents
そもそもキャンディルとは?どのような企業なのかを解説
まずはキャンディルとはどのような企業であるのかを紹介していきたいと思います。
キャンディルの基本スペック
企業名 | 株式会社キャンディル |
資本金 | 4億5,685万円 |
設立 | 2014年8月7日 |
住所 | 東京都新宿区北山伏町1-11 牛込食糧ビル3階 |
代表取締役社長 | 林 晃生 |
事業内容 | 株式などの保有を通じた企業グループの統括・管理・運営 |
グループ企業 | ・株式会社バーンリペア ・株式会社キャンディルテクト ・株式会社キャンディルデザイン |
キャンディルの事業内容
キャンディルでは、戸建て、集合住宅、商業施設などの分野で、これからの建築関連市場の変化に資する4つのサービスを提供しています。
ⅰ.リペア
リペアはキャンディルの主要業務です。
具体的には内装建材、家具などに発生した傷や不具合を部材交換することなく修復(リペア)するサービスを提供しています。
ⅱ.住環境向け
建築中の住宅の各種検査、内覧会の設営から実施、住宅のアフター点検、維持・管理にまつわるメンテナンス、リフォームまでの大規模な改修を伴わない小規模な施工など、住宅に向けたサービスを提供しています。
ⅲ.商環境向け
商業施設の内装仕上げ、オフィス移転や内装変更、ホテルの家具取り付けや家具組み立てなど、商業施設向けの各種機能を提供しています。
ⅳ.商材販売
照明機器やカーテンなどのインテリア商材を内装設計やインテリアデザインの提案と合わせて販売しています。
また、リペア関係の補修材料などを全国のホームセンターや量販店、Webショップを通じて販売しています。
キャンディルは建設セクターです。
業務内容は流行中のリフォームやリノベーションといった分野に特化したサービスであることがわかります。
よって、業務内容的には人気化しやすい企業であるといえます。
それでは今回の立会外分売の詳細についてみていきたいと思います。
キャンディルの立会外分売の詳細
それではメインテーマとなる今回のキャンディルの立会外分売について詳しくみていきたいと思います。
キャンディルの立会外分売の詳細
分売予定株式数 | 200,000株 |
発行済株式数 | 5,151,900株 |
分売予定期間 | 2019年8月22日(木)~2019 年8月27日(火) |
分売値段 | 実施日の前日の終値もしくは最終気配値を基準として決定 |
買付申込数量の限度 | 買付顧客1人につき6,000株 |
実施取引所 | 東京証券取引所 |
実施の目的 | キャンディルは、更に社会的な認知度や信用力を高め、企業価値向上を図ることを目的として、東京証券取引所市場第一部への市場変更を目指しています。今回の立会外分売は形式基準の充足をはかるために行います。 |
キャンディルはIRではっきりと今回の立会外分売に関して、「東証一部への鞍替え」を目的として行うと公言しています*。
よって今後キャンディルが東証一部へ鞍替えを行う可能性は非常高いということができます。
*何らかの理由で市場変更の基準を満たさないと判断された場合には、市場変更が認められない可能性があります。
そもそも立会外分売とは?
立会外分売とは企業等が保有する株式を、証券取引所の取引時間外(=立会外)で売り出すことを指します。
一般的に立会外分売では、前日終値から約2.5%〜3.0%割安な価格で購入することができます。
勝率8割という高確率で勝つことができることが特徴の投資方法です。
また、立会外分売は年間130-150回ほど行われており、約20%程度の確率で指定替(東証マザース→東証一部等)も行われています。
東証一部に鞍替えが行われた場合TOPIXに連動するETFや投資信託から資金が流入してくるため、株価があがりやすいというメリットもあります。
マザーズから東証一部に鞍替えするための条件とは?
ここではマザーズから東証一部に鞍替えするための条件をご紹介します。
≪マザーズから東証一部に鞍替えするための主な形式的条件≫
A | B | ||
株主数 | 2,200人以上 | ||
流通株式 (市場変更時見込み) | 次のa,b,c全てに適合すること a流通株式数 2万単位以上 b流通株式時価総額 20億円以上 c流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上 | 次のa,b,c全てに適合すること a流通株式数 2万単位以上 b流通株式時価総額 10億円以上 c流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上 | |
売買高 | 申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位以上 | - | |
時価総額 (市場変更時見込み) | 40億円以上 | 250億円以上 | |
事業継続年数 | 市場変更申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること | ||
純資産の額 (市場変更時見込み) | 連結純資産の額が10億円以上 (かつ、単体純資産の額が負でないこと) | ||
利益の額又は時価総額 | 次のa又はbに適合すること a最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること b時価総額が500億円以上 (最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く) |
キャンディルは東証一部へ鞍替えすることはできるのか?
キャンディルはマザーズから東証一部に鞍替えするための条件がAに該当するため、形式的要件に合致しているのかを検証していきます。
株主数は2,200人を超えているか
2018年度の有価証券報告書によると、株主数が1,536名と鞍替え基準を満たしていないことがわかります。
しかし、今回の立会外分売によって33名~2,000名の株主が増加する見込みです。
株価の上昇によって出来高が増加していることから、2019年度の本決算まではクリア可能な数値であると考えます。
流通株式数の基準は満たしているか
≪流通株式数の基準≫
a.流通株式数 2万単位以上
流通株式数が2万単位以上ということは、浮動株が200万株以上あることということになります。
現状浮動株は850,064 株ですが、これに立会外分売200,000株をプラスすると1,050,064株、
さらに8月末に2分割するため浮動株200万株以上の条件をクリアすることができます。
b.流通株式時価総額 20億円以上
現在株価は1,700円前後で推移しています。
よって、200万株×1,700円=34億円となり、流通株式時価総額20億円以上の条件をクリアしています。
c.流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上
現在の浮動株は850,064 株ですが、これに立会外分売200,000株をプラスすると1,050,064株になります。
よって最終的な浮動株比率は20%です。
条件は35%以上となっていることから、大株主の株券売却の必要性があるといえます。
現状固定株主で8割もの株式を保有しています。
またその半数以上はベンチャーキャピタルの保有です。
よって、株価が上昇する局面になってどこでベンチャーキャピタルの保有割合が減少するのかがカギになるといえるでしょう。
売買高の基準は満たしているか
申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位(20,000株)以上が売買高の基準です。
キャンディルの出来高は少ない月でも278,700株あるため、売買高の基準はクリアできることがわかります。
時価総額並びにBS・PL基準
ⅰ.時価総額
時価総額の基準値は40億円以上ですが、現状87億円のため、条件をクリアしています。
ⅱ.連結純資産の額
連結純資産の額が10億円以上という基準値も現状27億円のため、条件をクリアしています。
ⅲ.最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
決算によると今期の利益は4億4000万円を想定しているため、このまま順調に推移すれば可能な数値であるといえます。
≪マザーズから東証一部に鞍替えするための条件まとめ≫
株主数 | 2,200人以上 | △ |
流通株式 (市場変更時見込み) | 次のa,b,c全てに適合すること a流通株式数 2万単位以上 b流通株式時価総額 20億円以上 c流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上 | a ○ b ○ c ✖ |
売買高 | 申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位以上 | ○ |
時価総額 (市場変更時見込み) | 40億円以上 | ○ |
事業継続年数 | 市場変更申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること | ○ |
純資産の額 (市場変更時見込み) | 連結純資産の額が10億円以上 (かつ、単体純資産の額が負でないこと) | ○
|
利益の額又は時価総額 | 次のa又はbに適合すること a最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること b時価総額が500億円以上 (最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く) | ほぼ○ |
今回はキャンディルが東証一部に鞍替えすることができるのかを多方面から分析してきました。
結論としては、浮動株が現状少ないため、東証一部への鞍替えは浮動株の条件をクリアすれば、十分に可能性がある銘柄であるということができます。
ではキャンディルが投資する妙味があるのかをファンダメンタルとテクニカル両面からみていきたいと思います。
キャンディルのファンダメンタル分析
キャンディルの業績推移
ⅰ.直近の決算内容
キャンディルが8月14日に最新の決算を発表しました。
19年9月期第3四半期累計の連結経常利益は前年同期比42.3%増の3億5300万円に拡大、通期計画の4億4000万円に対する進捗率は80.2%に達しています。
さらに前年同期の71.9%も上回って着地しています。
同時に8月31日割当の1→2の株式分割に伴い、今期の年間配当を従来計画の10円→8円(前期は無配)に大幅増額しています。
ⅱ.順調に拡大する売上高
キャンディルの売上高の推移は以下の通りとなっています。
2016/09 | 2017/09 | 2018/09 | 2019/09 | |
1Q | 3,314 | |||
2Q | 6,334 | 6,827 | ||
3Q | 9,235 | 9,865 | ||
通気 | 10,491 | 11,959 | 12,239 |
参考:キャンディルHP
2016年から売上高は順調に伸びていることがわかります。
また2019年は3Qですでに2018年の売上高を超過しているため、本決算時にはさらに上振れる可能性もあることがわかります。
ⅲ.営業利益(百万円)も順調に拡大
2016/09 | 2017/09 | 2018/09 | 2019/09 | |
1Q | 125 | |||
2Q | 278 | 353 | ||
3Q | 299 | 360 | ||
通気 | 229 | 334 | 403 |
参考:キャンディルHP
次に本業を表す営業利益ですが、こちらも売上高同様に順調に伸びていることがわかります。
よって、キャンディルの業績は順調そのものであるということができます。
キャンディルのテクニカル分析
キャンディルは2018年7月5日に東証マザーズに上場したばかりの新興企業です。
ここではキャンディルの上場来の株価の推移を分析しつつ、テクニカル的な売買ポイントをご紹介していきます。
<<キャンディルの上場来の株価の推移>>
キャンディルは2018年7月に上場来高値1,805円を付けてから底値を模索していました。
2018年10月に795円で底打ち後、Wボトムを形成しつつ、着実に底練りをしていることがわかります。
またネックラインである1,177円をブレイク後、大陽線を伴いながら勢いよく株価が上昇していることがわかります。
よって美しい上昇トレンドを展開していることが、テクニカル分析からもわかります。
<<テクニカル的な売買ポイント>>
キャンディルのテクニカル的なポイントは3点存在します。
- 上場来高値1,805円
上場来高値1,805円を抜いた場合、キャンディル相場は青天井に突入します。
青天井相場は上値抵抗がないため、株価が上昇しやすい相場です。
よって、1,805円を抜いた場合、上値ブレイク狙いの投資家が購入してくる可能性が高いといえます。
- N字ターゲット
キャンディルのN字ターゲットは現在2,000円です。
よって、上場来高値更新後は2,000円を意識した展開になると考えられます。
- 利確ポイント
上場来高値の1,805円、N字ターゲットの2,000円付近は利確の出やすいポイントなので注意が必要です。
また2,000円を抜いた場合、上場来からの大きなN字ターゲットから、ターゲット値は2,800円付近になると想定されます。
見てきたようにキャンディルは立会外分売というファンダメンタル的な要因を起爆剤として青天井相場を形成しつつあります。
よって、ファンダメンタル的側面からだけではなく、テクニカル的にも投資妙味のある銘柄であるといえます。
まとめ
キャンディルは十分東証一部への鞍替えが起こりうる銘柄です。
更にファンダメンタル的のもテクニカル的にも投資妙味の高い銘柄であるといえます。
よって、積極的に購入を検討したい銘柄であるといえます。
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