2019年8月29日に東証JASDAQスタンダードに上場するディーエムエス(9782))は1Q決算とともに、「株式の立会外分売に関するお知らせ」を公表しました。
今回はディーエムエスが行う立会外分売は買いなのか?
またこの立会外分売でディーエムエスは東証一部への鞍替え実施可能性も分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:買い推奨
▷東証一部への期待だけでなくファンダメンタル、テクニカル的にも投資妙味の高い銘柄。
■ 立会外分売の目的:
▷大株主の株主売却のため。
■業績推移:
▷業績は順調に拡大で今期も上方修正済み。
■テクニカル的分析:
▷しこりの重い株価帯をなんなくブレイクしていることから、テクニカル的にも期待できる。
Contents
ディーエムエスとは?
ここではディーエムエスとはどのような企業であるのかを多方面から分析していきたいと思います。
ディーエムエスの基本スペック
企業名 | 株式会社ディーエムエス |
コード番号 | 9782 |
資本金 | 1,092,601,000円 |
設立 | 1961年4月 |
住所 | 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町1-11 千代田小川町クロスタ10階 |
代表取締役社長 | 山本 克彦 |
従業員数 | 312名 |
事業内容 | ダイレクトメール部門 セールスプロモーション部門 イベント部門 賃貸部門 |
子会社 | 東京セールス・プロデュース株式会社 |
ディーエムエスの事業内容
ディーエムエスではダイレクトメール部門、セールスプロモーション部門、イベント部門、賃貸部門の4つの事業を行っています。
ⅰ.ダイレクトメール部門
ディーエムエスの主力セグメントであるダイレクトメール部門。
近年のインターネット広告の台頭から、大きなビジネスチャンスが広がっていることがわかります。
ディーエムエスでは「紙とデジタル」の相乗効果による効果的なサービスを提供しています。
ⅱ.セールスプロモーション部門
各種の販促品や広告宣伝物の企画制作、これらを使用したプロモーションの立案と運営を行っています。
ⅲ.イベント部門
経験豊富なイベントプロデューサーとフットワークのよい運営スタッフにより、様々なイベントの運営に関するサポートを提供しています。
ⅳ.賃貸部門
千代田小川町クロスタビル等の賃貸を行っています。
≪ディーエムエスのセグメント別の売上高≫
セグメント | 売上高 |
ダイレクトメール部門 | 250億43百万円 |
セールスプロモーション部門 | 8億47百万円 |
イベント部門 | 7億99百万円 |
賃貸部門 | 85百万円 |
ディーエムエスの売上高を見ると、ダイレクトメール部門が売上高の大部分を占めていることがわかります。
ダイレクトメール部門はインターネット広告が脚光を浴びている今の花形業種あるといえます。
それでは今回の立会外分売の詳細についてみていきたいと思います。
ディーエムエスの立会外分売の詳細
ディーエムエスの立会外分売の詳細
立会外分売とは企業等が保有する株式を、証券取引所の取引時間外(=立会外)で売り出すことを指します。
一般的に立会外分売では、前日終値から約2.5%〜3.0%割安な価格で購入することができるため、勝率8割という高確率で勝つことができることが特徴の投資方法です。
分売予定株式数 | 70,000株 |
発行済株式数 | 7,262,020株 |
分売予定期間 | 2019 年9月6 日(金)~2019 年9月11日(水) |
分売値段 | 実施日の前日の終値もしくは最終気配値を基準として決定 |
買付申込数量の限度 | 買付顧客1人につき200株 |
実施取引所 | 東京証券取引所 |
実施の目的 | 一定数量の売却意向があり、検討した結果、立会外分売による株式の流動性の向上及び株式分布状況の改善を図ることを目的として立会外分売を行う。 |
今回の立会外分売は一部の大株主が売却する株式を、立会外分売で売却するために行うようです。
ディーエムエスの出来高は非常に少ないため、70,000株の株式を市場で売却するのは困難だからだといえます。
ジャスダックから東証一部に鞍替えするための条件とは?
ここではジャスダックから東証一部に鞍替えするための条件をご紹介します。
≪ジャスダックから東証一部に鞍替えするための主な形式的条件≫
条件 | 内容 |
株主数 | 2,200人以上 |
流通株式 (市場変更時見込み) | 次のa,bに適合すること a流通株式数 2万単位以上 b流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上 |
時価総額 (市場変更時見込み) | 250億円以上 |
事業継続年数 | 市場変更申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること |
純資産の額 (市場変更時見込み) | 連結純資産の額が10億円以上 (かつ、単体純資産の額が負でないこと) |
利益の額又は時価総額 | 次のa又はbに適合すること a最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること b時価総額が500億円以上 (最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く) |
ディーエムエスは東証一部へ鞍替えすることはできるのか?
ディーエムエスがジャスダックから東証一部に鞍替えするための形式的要件に合致しているのかを検証していきます。
株主数は2,200人を超えているか
ディーエムエスの株主数は977人と2,200人を大幅に下回っています。
今回の立会外分売で増加する株主数350名を足しても、2,200人を大幅に下回ります。
流通株式数の基準は満たしているか
≪流通株式数の基準≫
a,流通株式数:2万単位以上
流通株式数が2万単位以上ということは、浮動株が200万株以上あることということになります。
ディーエムエスでは浮動株式数を公表していないため、正確に判断することはできませんが、2019年の有価証券報告書によると、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合53.23%になっています。
よって浮動株式数はおよそ334万株であると推測されるため、条件を満たしているといえます。
b.流通株式数(比率):上場株券等の35%以上
現在の推定浮動株は334万株です。これに立会外分売70,000株をプラスすると341万株になります。
よって最終的な浮動株比率は44.7%です。条件は35%以上となっていることから、この条件も満たしていることがわかります。
時価総額並びにBS・PL基準
ⅰ.時価総額
時価総額の基準値は250億円以上ですが、現状151億円のため、条件をクリアできていません。
ⅱ.連結純資産の額
連結純資産の額が10億円以上という基準値も現状114億円のため、条件をクリアしています。
ⅲ.最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
最近2年間の利益の額の総額が5億円以上という基準値も余裕でクリアできています。
ジャスダックから東証一部に鞍替えするための条件まとめ
株主数 | 2,200人以上 | ✖ |
流通株式 (市場変更時見込み) | 次のa,bに適合すること a流通株式数 2万単位以上 b流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上 | a ○ b ○ |
時価総額 (市場変更時見込み) | 250億円以上 | ✖ |
事業継続年数 | 市場変更申請日の直前事業年度の末日から起算して、3か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること | ○ |
純資産の額 (市場変更時見込み) | 連結純資産の額が10億円以上 (かつ、単体純資産の額が負でないこと) | ○ |
利益の額 | 最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること | ○ |
今回はディーエムエスが東証一部に鞍替えすることができるのかを多方面から分析してきました。
結論としては、東証一部への鞍替えは現段階では難しい銘柄だということができます。
ではディーエムエスが投資する妙味があるのかをファンダメンタルとテクニカル両面からみていきたいと思います。
ディーエムエスのファンダメンタル分析
ディーエムエスの業績推移
ⅰ.直近の決算内容~1Qですでに上方修正
ディーエムエスが7月31日に発表した決算によると、20年3月期第1四半期の連結経常利益は前年同期比26.0%増の4.2億円と公表しています。
また上期業績の好調に伴い、通期の同利益を従来予想の14.6億円→15.6億円に7.0%上方修正し、従来の2期連続での過去最高益予想をさらに上乗せしています。
ⅱ.順調に拡大する売上高
ディーエムエスの売上高の推移は以下の通りとなっています。
売上高はきれいな右肩上がりに増加しています。
2期連続での過去最高益予想の納得できる売上高の推移です。
ⅲ.当期純利益も拡大中
売上高同様純利益も拡大傾向です
よって、ディーエムエスはファンダメンタル的に「買い」銘柄であると判断することができます。
ディーエムエスのテクニカル分析
上記はディーエムエスの過去10年間の株価推移です。
2013年に付けた1,900円をブレイクし、現在「買い」サインが点灯したばかりであるといえます。
まさに、教科書通りの美しい長期上昇チャートです。テクニカル的には文句なしで買い判断といえます。
まとめ
ディーエムエスは今大相場が始まりだしたばかりの優良銘柄です。
このまま株価が上昇すれば、東証一部の鞍替え水準である株主数と時価総額もクリアできる確率が高い銘柄であるといえます。
更にファンダメンタル的にもテクニカル的にも投資妙味の高い銘柄であるといえます。
よって、積極的に購入を検討したい銘柄です。
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