株式投資が個人でも手軽にできるようになり、個人で大金を稼ぎ出す投資家も増えてきました。
そんな中、株式のみならず、他の金融商品も投資家の間で広がってきています。
今回は、このデリバティブについて、仕組みや種類等を解説していきます。
目次
デリバティブとは?
デリバティブとは、株式や債券などの金融商品から派生した商品のことです。
なぜ、従来の金融商品からわざわざ派生させたかというと、リスクを低減させたり、逆にリスクを取って高い利益をあげるなど、従来の金融商品では実現できなかった効果をもたせるためです。
投資の世界では、ハイリスク・ハイリターンの原則があるため、いかにリスクを受け入れるかということが重要になってきます。
デリバティブは、このリスクを上手く利用した金融商品と言えます。
常に新しいものを開発して、より便利な商品にするというのは、もはや人間の性というべきかもしれませんね。
(目次に戻る)
デリバティブの種類は?
先物取引
デリバティブの代表格とも呼ばれるのが、先物取引です。
先物取引とは、将来のある時点において、契約した価格で商品を購入、売却を約束する取引を指します。
この先物取引、始めの頃は企業や自営業者など、安定した仕入れ、売却を希望している団体、個人が利用していました。
農産物や畜産物など、天候や自然災害によって価格が変動しやすい商品は、そのまま現物で扱うと収益の見通しが立てづらい側面があります。
そこで、先物取引を利用することで、予め価格を決めておけば、収益の見通しが立てやすくなります。
この先物取引の特性に目を付けたのが投資家です。
先物取引で売買価格を決めておき、実際に売買のタイミングになった際に価格が変動していれば、その差額分を利益として得られると考えたのです。
もちろん、価格の変動によっては損失を出してしまうリスクもあります。
株式や債券などと異なり、あくまでも実存する商品の価格が元になっているため、価格変動の見通しが立てやすい面もあります。
先物取引では、「レバレッジ」をかけることで、自身が保有している資金以上の価格で取引を行うことができます。
例えば、保有資金が10万円で10倍のレバレッジをかけた場合、100万円分の取引を行うことが可能になります。
100万円が120万円に上がった場合、20万円分の利益を出すことができます。
しかし、レバレッジをかけた結果、価格が1.2倍に上がるのみで、20万円の利益を出せることになります。
このように、レバレッジをかければ、少ない資金で大きな利益を出すこともできます。
もちろん、大きな利益が狙えるということは、その分、損失も拡大する可能性もあります。
100万円が80万円に値下がりすれば、20万円の損失になりますので、元手の10万円以上に損失が発生する(元本割れ)になってしまうわけです。
オプション取引
オプション取引とは、将来のある時点において、決められた価格で商品を売買する「権利」を扱う取引です。
先物取引と似ていますが、先物取引は実際に売買するのに対して、オプション取引は、あくまでも売買する選択権を扱います。
決定した価格で購入する権利を「買う」取引を「コールオプション」、決定した価格で売却する権利を「売る」取引を「プットオプション」と言います。
具体例を挙げてみます。
2ヵ月後に、海外の取引先から2万ドルを受け取ることになっていると仮定します。
この時点で外国為替相場は1ドル=100円となっています。
ただ、為替市場は変動が激しく、先行きが見えない状態となっていました。
この場合、何もせずに2ヵ月待ってしまうと、従来予想していた利益が出せなくなる可能性もあります。
そこで、オプション取引で「2ヵ月後に、1ドル=100円のレートでドルを売り、円を買う権利」を購入します。
このオプション取引を行うことで、もし2ヵ月後に為替相場が「1ドル=80円」になった場合。
オプション取引を行使すれば、手に入れた2万ドルを200万円に換えることができます。
逆に、相場が1ドル=120円になれば、オプション取引を行使せずに破棄して、実際のレートで取引を行い、2万ドルを240万円に換えられます。
ただ、実際の価格変動によるマイナス分と比べれば、損失を抑えることが可能になります。
扱う額が高ければ高いほど、オプション取引によるリスクヘッジの威力が増しますね。
スワップ取引
スワップ取引とは、利子受け取りなど支払い義務を互いに交換する取引のことです。
国債などの金利は、各債券によって性質が異なるものですが、これを別の金利と置き換えたいときにスワップ取引を行います。
こちらも、例を使ってみていきます。
A社は10年の変動金利の国債を購入し、B社は10年の固定金利の国債を購入していたとします。
変動金利の場合、今よりも金利が下がってしまうリスクがありますが、逆に高くなるケースもあります。
固定金利の場合、市場の金利変動の影響は受けません。
ここで、A社は、会社の見解として「国債の金利が下がる」と予測して、変動金利国債を固定金利国債に切り替えたいと考えました。
対して、B社は「国債の金利が高くなる」と予測して、変動金利国債に切り替えたいと考えているとします。
このとき、A社とB社は互いに「金利を受け取る権利」のみをスワップ取引で交換することができます。
保有している国債を売却せずに、金利受け取りの権利のみを売買することで、余計な費用をかけずに互いの目的を達成することができたのです。
(目次に戻る)
デリバティブは投資初心者には不向き?
デリバティブは、将来の売買や権利を対象とするため、金融商品の中でも特に抽象的なものとなっています。
もともと、従来の金融商品のリスクヘッジをするのがデリバティブの最大の目的です。
現物取引に慣れていないのに、いきなりデリバティブに手を出すことはリスクが高く、本末転倒です。
投資初心者の方は、まず現物の金融商品の取引に慣れるようにしましょう。
もちろん、現物取引にある程度慣れてからデリバティブを使って投資の幅を広げていくのは全然アリです。
(目次に戻る)
まとめ
デリバティブは、金融派生商品と呼ばれるもので、従来の金融商品を元手にリスクヘッジをしたものとなっています。
リスクを抑えた取引やリスクをとって大きな利益を狙る取引など、目的に応じて様々なデリバティブがあります。
ただ、どのデリバティブも仕組みが抽象的ですので、投資初心者の方がいきなり手を出すのは避けた方が無難です。
まずは、現物の金融商品の取引に慣れてから、デリバティブに移行するようにしましょう。
以上、【デリバティブとは?】株・為替など先物取引(オプション・スワップ)などを例に解説。…の話題でした。