株式取引を行う際に多くのトレーダーが参考にしているのが「板情報」です。
「板情報」を分析することで、その銘柄にどういった注文が入っているのかを知ることができます。
今回はそんな株式投資において重要な板情報について詳しく解説します。
「株式取引をもっと上達したい」
「板情報をどうやって見ればいいのか知りたい」という方はぜひ参考にしてください。
目次
Contents
板情報とは?
「板情報」とはある銘柄に対してのあらゆる投資家の注文を一目でわかるようにした情報です。
板情報を確認することで、何円の売買注文がどれくらい入っているのかがわかります。
板情報を見ることで、注文数の多い価格帯や、買い注文と売り注文どちらが多いのかといったことを知ることが可能です。
板情報を見て注文数を確認することで、「○○円の指値注文なら約定しそうだな」。
「今成行注文すると価格が変動してしまいそうだな」といったことを想定しながら取引することができます。
板情報を確認せず発注してしまうと、思わぬ価格で約定するなど実益に影響を及ぼす可能性があります。
板情報は株式取引において必須の知識なのです。
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板情報の見方
ここでは、板情報の見方を紹介します。
以下の画像は実際の板情報を抜粋したものです。
左側に売り注文、右側に買い注文が並んでいます。
買い注文、売り注文それぞれ何円に何株の注文が入っているのかが表示されています。
例えば、4,350円には800株の売り注文が入っており、4,310円には2,400株の買い注文が入っていることがわかります。
株式取引では、買値と売値が揃わないと取引が成立しません。
取引価格は板情報の真中部分の価格となります。
今、この株を最も安く購入できる価格は4,345円です。
4,345円であれば3,300株まで購入することができます。
仮に4,000株の成行注文を行った場合は、約定価格4,345円が3,300株。
約定価格4,350円が700株となります。
この株を買いたいけれど、4,345円では高いと考えるのであれば、4,345円より低い価格で注文することになります。
しかし、その場合は注文してもすぐには約定しません。
例えば、4,300円で注文した場合は取引価格が4,300円まで下落する必要があります。
4,300円までの買い注文数の合計は17,000株です。
17,000株分の売り注文が成立しない限り4,300円で購入することはできません。
実際には、自分が注文を行った後に他の投資家も注文を行いますので、板情報は常に変動します。
自分が発注した時の板情報がその後全く違う板情報になることもありますので、約定するまでは油断は禁物です。
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株式取引の株価の決まり方
株式取引ではさきほどの板情報により売買が成立し価格が決まります。
そして株価の決まり方には2つのパターンがあります。
- ザラバ方式
- 板寄せ方式
ここでは、それぞれの方式について株価をどうやって決めるのかを解説します。
ザラバ方式
ザラバ(ザラ場)とは、市場が開いてから終わるまでの時間のことです。
その間はザラバ方式により売買が成立し株価が決まります。
取引開始となる寄付(よりつき)と取引終了となる引け以外の取引時間のほぼ全てはザラバ方式です。
先ほどと同じ画像ですが板情報を見ればわかります。
株式取引は多数の投資家の買い注文価格と売り注文価格をすり合わせることで取引が成立します。
取引が成立する順番は常に買い注文では価格が高い方。
売り注文では価格が安い方が先に成立することになります。
いくら注文自体を早く出そうとも、価格が売買価格と離れている場合は約定することはありません。
同じ価格の注文が複数あった場合は注文を先に出した方から約定します。
上記画像の板情報の場合、
4,335円で買い注文を出しても先に発注されている300株が約定しない限り自分の買い注文は約定しません。
例えば、4,335円で300株だけ約定してその後株価が上昇した場合は自分の注文は成立しないということです。
よって、株価だけ確認して自分が注文した価格になっていたからといって、必ずしも自分の注文が約定しているとは限りません。
しっかりと注文が約定しているかは取引画面で確認しましょう。
一方、板寄せ方式では注文した時間は関係なく、注文価格だけが注文が成立するかどうかを決定します。
板寄せ方式
板寄せ方式は立会開始時や立会終了時などに採用されている売買方法です。
板寄せ方式では注文価格のみが約定するかどうかを決定します。
板寄せ方式では下記3つの条件を全て満たす価格で株価が決まります。
これらの条件を満たす価格で約定することで、買い注文と売り注文のバランスが取れた株価で約定させることが可能です。
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買い注文数、売り注文数の差が大きい場合。特別気配とは?
ほとんどの場合、買い注文と売り注文は折り合いがつき注文が成立します。
しかし、業績予想の修正を企業が発表した場合など企業業績に大きく変動があった場合は、買い注文あるいは売り注文が殺到することがあります。
そういった場合は売買がすぐには成立しません。
板情報は特別気配と呼ばれる状態になり、板情報では「特」や「特買(特売)」などと表示されます。
特別気配となった時は、ザラバ中であっても板寄せ方式にて株価が決まります。
買い注文あるいは売り注文が殺到した場合ザラバ方式で売買を続けてしまうと、急激に株価が変動してしまい株式市場がパニックになる可能性があります。
そういった事態を防ぐために特別気配になった株は板寄せ方式が採用されることになっているのです。
特別気配になる時は大きく株価が変動する場合となります。
株価が大きく動く可能性が高いので、特別気配となった株は投資家に注目され取引が活発に行われることが多いです。
特別気配となる具体的な条件は、気配の更新値幅を超える株価変動がある場合となります。
株価は気配の値幅が決まっています。
例えば株価が200円未満の株の気配の更新値幅は5円、株価200円以上500円未満であれば8円です。
株価毎に気配の更新値幅は定められており、その値幅を超えた場合は特別気配が表示されます。
おおよそですが、株価の2%~4%を超える場合は特別気配が表示されることになります。
ザラバ中であっても、気配の更新値幅を超えるような大量の注文があった場合は特別気配となります。
しかし、実際には特別気配が表示されるのはほとんどが寄付です。
寄付には注文が集中することと、前日の引け後に重要な発表などがあった場合その情報のもとにした注文が寄付に集まるからです。
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コラム:その他の株の板情報の前に記載されている漢字の意味
株の板情報には「特」以外にも記号があります。
以下、各漢字について興味のある方はご覧いただければと思います。
記号 | 意味 |
連 |
|
注 |
|
前 |
|
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ストップ高・ストップ安とは?
大量の注文が入り株価が大きく変動する場合は「特別気配」となることは既に説明したとおりです。
特別気配となった場合は板寄せ方式が採用され、買い注文と売り注文のバランスが取れた価格で株価が決まります。
しかし、あまりにも大量の注文があった場合は株価が決まらないこともあります。
その場合を「ストップ高・ストップ安」と言います。
特別気配は気配の更新値幅を超えた際に適用となります。
しかし、株価には気配の更新値幅の他にも1日の株価変動の幅である制限値幅というものが決まっています。
この制限値幅の上限に達した株がストップ高、制限値幅の下限に達した株がストップ安です。
制限値幅は株価によって異なります。
例えば株価100円未満であれば制限値幅は30円、100円以上200円未満であれば50円となっています。
制限値幅は株価毎に定められています。
板情報では、ストップ高となる株価が表示される上限でありストップ安となる株価が下限です。
ストップ高より高い価格、ストップ安より低い価格は板情報には表示されません。
そもそも制限値幅を超える注文は発注できませんので、当然板情報にも反映されることは無いのです。
ですので、ストップ高・ストップ安の状態にある株は株価の気配値が動きません。
気配値が変動しないその状態を「張り付き」「張り付いた」などと呼ぶことがあります。
ストップ高・ストップ安のまま引けとなった株は、通常の取引のように買い注文と売り注文のバランスが取れていません。
ストップ高の場合は買い注文が圧倒的に多く、ストップ安の場合は売り注文の方が多いという状態です。
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まとめ
今回は、板情報についてまとめてきました。
以上、株の「板情報」とは?「ザラバ方式」「板寄せ方式」とあわせてわかりやすく解説!…でした。