日本は太平洋戦争においてアメリカに敗退しました。
その後、連合国軍最高司令官総司令部の占領を受けることになります。
この際、GHQは日本政府や軍が保有する財産を接収しました。
この財産をもとに秘密裏に運用されていると噂されているのがM資金です。
今回はこのM資金について、正体を解き明かしていきます。
目次
M資金が生まれた背景
M資金は、GHQの占領政策がもとで生まれたとされています。
M資金の「M」はGHQ経済科学局の第二局長であったウィリアム・マーケットの頭文字を指してるとされています。
これまで、M資金の存在が公に認められたことはありません。
1952年に日本政府は、GHQから接収された資金はGHQから全額返済されたと公表しています。
この公式発表の後、政治の世界でGHQが接収した財産に関する議論はほとんど行われなくなりました。
ただ、少し冷静に考えてみればGHQが素直にすべての財産を日本に返還したとは100%言い切れません。
これらの背景から、今もなおGHQが保有していた財産がアメリカ側の手にあるのではないかと噂されているのです。
一度、国の財産が日本からアメリカへ渡った以上、その財産がどのように管理されたのかは誰も知る余地がありません。
この「あいまいな部分」がM資金の存在をより一層、際立たせているといえます。
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M資金の名を使った詐欺が横行!
M資金は、その実在性か曖昧なことから、様々な憶測が市中で噂されました。
はっきりしないからこそ、「何かとてつもない財宝が隠されているのではないか」という期待を人々に抱かせてしまったのです。
政府関係者や経済団体などの名前をだして、もっともらしく聞こえるように相手を騙す手法がとられました。
「M資金を使って、莫大な額で資産運用を行える」
「入ってきた利益を出資者に山分けする」
など甘い話をちらつかせて、その見返りに「融資を行うための手数料」と称して「お金」を騙し取ろうとしてきます。
この話に騙されて、手数料と言う名のお金を払ってしまうと直ぐに音信不通になります。
お金を持ち逃げされてしまうのです。
ANAや東急電鉄など、そうそうたる大企業の上役たちがこの詐欺に騙されてしまいました。
特にローソンの会長がM資金の詐欺にあいかけたことは、週刊誌で大きく報道されました。
2017年当時、ローソンの会長であった玉塚元一氏は、M資金の詐欺絡みとみられる書類に、認識なくサインをしてしまい、あいにく詐欺に加担してしまうところだった模様です。
玉塚氏は、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングの社長を務めたことがあります。
そのような人でも、M資金詐欺にあいかけてしまうほどですから、相当に手口が巧妙であると言わざるを得ません。
また、昭和に活躍した俳優、田宮次郎氏もM資金詐欺の被害を受けたと推測されています。
田宮氏は、人気ドラマ「白い巨塔」の放送期間中に、猟銃で自殺を遂げました。
この自殺の原因となったのが、M資金詐欺による大量の負債だったと言われています。
詐欺師たちは、相手を説得させる術をもっと別の目的で使うことはできなかったのか?
詐欺の話を聞くといつも思ってしまいますね。
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人間が詐欺に引っかかってしまう理由
昔ながらの友人や親族など、信頼関係があって当たり前の人には、ほとんど疑うようなことをしません。
詐欺師たちは、これを逆手にとって、良心ある人々を騙しにかかるのです。
優しい言葉や励ます言葉を使って、相手の感情を自分に向けさせて、信頼を得ることに全力をかけます。
その瞬間は、相手に信頼してもらうことが目的になりますので、ターゲットとなる人たちも相手を疑うことは難しいです。
そして、信頼関係を築いた上で、満を持して詐欺の話を持ち掛けていく訳です。
また、信頼関係以外にも、人が詐欺に引っかかってしまう要因があります。
これは、詐欺に関わらず、人間の判断力を落としてしまう原因となっています。
金銭欲が高まると、それを満たすためには手段を選ばないようになります。
普段では信じもしないような儲け話に、金銭欲が高まっている際は釣られてしまうのです。
今まで大金をもっていなかった人が、一度大金を持ってしまった後に、このような金銭欲が異常に高まるケースが見られます。
お金に身を食われてしまっては、元も子もありません。
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M資金の有名詐欺師「竹ノ下秋道」
M資金関連の詐欺で、有名な詐欺師として「竹ノ下秋道」という人物がいます。
竹ノ下は、故・田宮氏を自殺に追い込んだ人物とされています。
竹ノ下は「関東畜産協会理事」という肩書で、芸能人、実業家に接近しました。
相手に投資話の信憑性を見せつけるために、大型高級車を乗り回したり高級ホテルで暮らすなど派手な生活をしていました。
この状態を見て、田宮氏は竹ノ下の話に乗せられてしまい、約3億円以上の借入金を負ったと言われています。
竹ノ下は、田宮氏から手数料900万円を受け取った後、姿をくらませたとされています。
ただ、竹ノ下の最後は、このような豪遊暮らしとはかけ離れたものでした。
高級車や高級ホテルの費用などを払えなくなり、最後は生活保護の状態だったとされています。
自身が無くなった際、葬式を出してもらえないほど生活は困窮していたとのことです。
本来、ここまで詐欺でお金を荒稼ぎしたのであれば、もう少し生活に余裕があってもよかったはずです。
これは、詐欺の取り分が竹ノ下にすべて渡った訳ではないことが伺えます。
竹ノ下が何らかの詐欺グループに所属して、組織的にM資金詐欺を行っていた可能性も十分あります。
ただ、竹ノ下が死去してからもM資金詐欺の全貌は明らかになることなく、現在に至っています。
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まとめ
M資金は、戦後の日本を占領したGHQが秘密裏に回収した資産と言われています。
その存在については、一度も公で認められたことはありません。
ただ、噂が噂を呼び、現在でもその存在が疑われています。
M資金は、その額が莫大なものであるという噂も併せて流れたため、新手の「投資詐欺」に頻繁に利用されてきました。
俳優や企業の役員など、お金と地位を得た人をターゲットに行われました。
中には田宮氏のように、M資金詐欺が原因で自殺をしてしまったとされる人もいます。
詐欺の手口は「政府組織」や「経済団体」など、それらしく聞こえる団体の存在をちらつかせて、
相手を騙す手法がとられていた様です。
竹ノ下のように、自分でわざと豪華な暮らしをして、相手を信用させた手法もとられました。
いずれにせよ、このような詐欺の話は、私たちの生活にも十分潜んでいます。
甘い投資話はないということを自覚しておかねばなりませんね。