中国は2009年に我が国を抜かしてGDPは世界第二位となっており、現在では日本を大幅に引き離して米国を猛追してきています。
以下はIMFのデータなのですが2019年以降は予測となりますが、このペースでいくと2020年代後半には米国を捉えそうな勢いですね。
筆者も、頻繁に旅行で中国にいくのですが、毎回中国を訪れる度に街並みが激変している様をみて驚嘆しております。
最近訪れた深圳では正にアジアのシリコンバレーといっても過言ではなくハイテク産業が犇めいており、アリペイをはじめとする電子決済の浸透も日本に比べてはるかに進んでおりました。
しかし、一方で日本は1990年代から殆ど成長しておらず悲惨な状況ですね。
本日は成長がとまらない中国経済と株式市場の現状についてお伝えしていきたいと思います。
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中国経済の明るい見通しを支える要因
まずは中国経済のポジティブな側面を見ていきましょう。
改善余地が大きい依然として低い1人あたりGDP
先ほどGDP水準で中国は日本を既に大きく上回っているとお伝えしておりますが、1人あたりのGDPでみると依然として中国は1人あたりGDPで日本の3分の1の水準となっています。
つまり国民1人あたりではまだ平均して中国国民は日本国民の3分の1しか裕福ではないということがわかります。
確かに有名な上海や北京といった大都市においては日本の大都市と同等の富裕層も多く存在してますが、まだ田舎では1日あたり$1のような二束三文の収入の方も数多く存在しています。
13億人が日本と同等にまで裕福になるとした…..と考えると中国の成長可能性はまだまだ計り知れない潜在性があることがご理解いただけたかと思います。
更に大体1人あたりGDPが10,000USDの水準というのは『中所得国の壁』といわれるレベルで、多くの新興国が足踏みをする水準として知られているのですが、中国はもろともせず突破してきているのも好材料となっています。
しばらくは増加していく人口
日本は少子高齢化が深刻に進み人口が減少している国です。
一方、中国は2030年頃まで人口は増え続け見込みであることを国連が発表しており最大は14.4億円と現在の13.8億円から更に6,000万人増えることが想定されています。
人口が増加すれば当然国家としての購買力が上昇して、GDP構成の中で多くを占める個人消費が底上げされることも経済成長を後押しする要因となりますね。
(引用:国連)
着実に進行する産業構造の変革
中国政府も経済の発展に伴って、重厚長大の第二次産業偏重の経済構造を変えようと必死になっていたということもあり、以下のよに第三次産業の構成比率が最大となってきています。
(経済産業省データを元に編集部作成)
第二次産業はもともと中国の安価な労働力を強みとしていましたが、経済発展に伴い労働力の優位性が失われつつあるなかで上手に産業構造を転換してきていると見ることができますね。
特に第三次産業の中でもテクノロジー分野の発展はアリババや百度などの目覚ましい成長もあり目をみはるものがあります。
共産党政府のコントロール力が絶大
日本政府のような民主主義により政権が変わる可能性が存在する国の政府と違い、中国政府はご存知の通り共産党の一党独裁です。
確かに一党独裁であれば民間人の言論は制限され、民意が反映されにくいという負の側面があるのは事実なのですが、
政府に権力が集中しているため、経済面での政策も特に反対勢力に抵抗されることおなく円滑にスピーディーに実行していくことができます。
債務を減らしたければ中央政府の大号令のもと債務縮小に向けて動き出しますし、重点分野に投資を行う場合も即座に投資を決定することができます。
〜COLUMN〜中国経済が世界経済に与える影響の大きさ
中国経済が風邪をひけば世界が風邪をひくといわれるように中国経済が世界経済の及ぼす影響は甚大となっています。
特に中国の需要をあてにして中国に多くの資源や消費財を輸出しているような国においては、中国経済が減速すると中国経済以上に減速してしまうというシミュレーションがでております。
(引用:みずほ銀行)
かくいう我が国日本も中国の減速で中国の60%程度の影響をうけてしまいます。
現在の世界では既に中国経済は世界経済にも多大な影響を及ぼす巨大な龍となっているのです。
中国経済が孕むリスクとは?
今までは中国経済の明るい側面についてみてきましたが、中国経済に影を落とす要素についてもみていきたいと思います。
既にピークを超えた生産人口
先ほど総人口自体は2030年近辺まで増加することをお伝えしましたが、生産年齢人口である15歳〜64歳は既に2013年度行こうピークアウトしています。
1970年代から続く一人っ子政策が大きく尾を引いていますね。
(引用:ニッセイ基礎研究所)
働き手人口が減少に転じたことは稼ぐ人口がそのまま減少し今後加速していくわけですから、総人口が減少している日本ほどではないですが中国経済の成長が減速する要因となります。
しかし中国の労働人口の減少は緩やかなものであるため、2030年までは人口減少によって経済が大幅に減速することは考えにくいでしょう。
過剰な企業債務
中国は政府の債務は日本のように大きいわけではありませんが、以下のように非金融企業部門の政府が危険水域まで積み重なっております。
非金融企業部門というのは銀行や証券会社以外の企業のことです。
(引用:企業債務)
非金融企業部門の債務が急激に増加したのは明確に2009年以降増加しています。
金融危機を乗り切るために設備投資を積極的に行っていたので、いち早く経済危機からは脱出したのですが結果的に債務がうなぎのぼりに増加していきました。
実際、以下のようにGDPの中で40%を超える比率で投資が占めています。
(引用:みずほ証券)
確かに債務比率は急騰していますが政府も民間企業にデレバレッジの大号令をしている効果も出ており、2017年以降非金融企業部門の債務比率は横ばいとなっており落ち着きを取り戻しています。
2018年の8月時点で以下のようなニュースがmsnからでており、強力な政府のコントロールのもと着実に改善の兆しが見られています。
中国企業の負債比率はリスク管理の強化などが奏功し、下がりつつある。国家統計局によると、全国の工業企業(一定規模以上の企業対象)の今年6月末時点の負債比率は平均56.6%で前年同期に比べると0.4ポイント改善された。このうち国有控股企業は59.6%で1.2ポイント改善されている。
また、国務院(中央政府)国有資産監督管理委員会(国資委)によると、中央政府が管理する国有企業(中央企業)の6月末時点の負債比率は平均66.0%で、年初に比べ0.3ポイント、前年同期比では0.5ポイント改善された。ただ国資委は、目標数値にはまだ達していないとして、引き続きリスク管理などを強化していく考えだ。
(引用:MSN)
まとめと2019年からの見通し
中国経済は労働人口の減少と過剰な企業債務という負の側面もあります。
しかし、労働人口の減少は緩やかに進行するものの暫くは総人口は増加していくこと、また過剰な企業債務についても確実に債務は縮小傾向に向かっております。
一方、まだ1人あたりの経済水準は決して高い水準ではなく、順調に高付加価値産業への産業構造の変遷が起こってきています。
暗い見通しを考える人も多くいますが、当面の間は大幅な減速を行うこともなく現在の成長水準を若干切り下げながらも成長が継続していき世界経済に占める存在感は益々大きくなっていく見通しです。
以上、成長を続ける中国経済の実態と現状、崩壊の可能性・2019年最新の見通しをわかりやすく考察・解説。…の話題でした。
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