「チャート分析」といえば移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標が有名です。
しかし数ある分析手法の中で、「ロウソク足」を分析する方法があります。
このロウソク足を分析する方法に「酒田五法」という5つの手法があります。
これは上昇、下落のタイミングを見極めるものとして使われます。
細かく見れば非常に多くのものがあります。
今回は以下の5つについて、実際のチャートを用いて説明します。
■ 酒田五法:
- 三山(さんざん)
- 三川(さんせん)
- 三空(さんくう)
- 三兵(さんぺい)
- 三法(さんぽう)
それでは、内容に入っていきます。
目次
Contents
酒田五法とは?
酒田五法とは、日本古来の罫線の中でも最も古典的、そして罫線分析の基本として非常に有名です。
上記でも述べましたが、酒田五法は、以下の5つのチャートパターンが基本になっています。
■ 酒田五法:
- 三山(さんざん)
- 三川(さんせん)
- 三空(さんくう)
- 三兵(さんぺい)
- 三法(さんぽう)
それでは、ここからはそれぞれのチャートの説明に入っていきます。
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三山(さんざん)―天井を見極める
どこが天井かを見極めるものとして使われ、別名トリプルトップやヘッドアンドショルダーとも言われます。
基本的なルールは、高値を3回アタックしても突破できなかった場合に天井とみなす見方です。
もっと簡単に、2回高値を更新できなかったダブルトップというものもあります。
また真ん中の山が一番高いパターンを「三尊(さんぞん)」とも言います。
では、実際のチャートを見てみましょう。
これは1例ですが、真ん中の3本で高値を超えることができずに下落しました。
その後上昇してきますが、やはり高値越えは難しく大きく下落しております。
このように三山を形成したあとに再度高値にトライする場合もあります。
三山の形成を見て焦って取引をするのではなく、どのあたりまでリバウンドをするかを見極めることも必要です。
次に三尊のパターンを見てください。
少し不格好ですが、これも三尊の要件を満たしています。
一度高値を超えたあと下落し、ヒゲをつけながらより深く下落しています。
この場合は、三尊形成(3つ目の山の形成)を見て逆張りで売りを狙うことがひとつの戦略でしょう。
重要なことは、不成立だった場合のために損切りをしっかりと入れておくことです。
三山は天井を見極めるため、的中すれば大きく値幅が取れますが、当然間違いであった場合のヘッジは必要になります。
三尊と下値で発生する逆三尊については否定も含めて以下コンテンツで詳しく説明しています。
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三川(さんせん)―底を見極める
これは簡単に、三山の逆です。
下値を3回更新できなければ底であるという見方です。
またこの場合、真ん中の山が1番高い場合を「逆三尊(ぎゃくさんぞん)」と言います。
このチャートパターンは、下値でもみ合ってから上昇に転じたものです。
先ほどの三山と同じですが、必ずしも3本の足で形成を決めるものではありません。
三山と三川に共通して言えることは、先ほども説明したとおり、不成立だった場合のヘッジが必要ということです。
後ほど、不成立だった場合のパターンも説明しますので、併せてご参考ください。
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三空(さんくう)-逆張りのチャンス
チャートには窓という、なにか強烈な買いや売りがあった場合に穴が開くパターンがあります。
このように、強い売買があると値が飛ぶことがあります。
ちなみに、この空白では取引がないことを意味しますので、別名「真空地帯」とも呼ばれます。
取引がなかったためこの価格帯でのポジションがないので、値が動く場合に元にいた価格へ戻りやすい場合があります。
この値が戻ったことを「窓を埋める」とも言います。
さてこの三空ですが、この窓空けが連続した際に言われます。
基本的に大きく動いた場合、リバウンドも荒いものになる可能性があります。
三空とは、強く値が動いた場合に逆張りをしてそのリバウンドを取る手法です。
このチャートの場合、窓が2回空きました。
その後大幅に下落しております。
窓が空く場合、突発的なニュースが出た可能性が高く、ここで逆張りをするのは非常にリスキーです。
しかしチャートは一方通行で動くわけではありません。
上下を繰り返しながら動き、トレンドを作ります。
この後上昇するとしても、一度逆張りで値幅を取ろうという考えが三空になります。
なお、上昇している場合を「三空踏み上げ」、下落している場合を「三空叩き込み」と呼びます。
窓が空いた際には逆張りのチャンスであると覚えておきましょう。
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三兵(さんぺい)-順張りのチャンス
三兵は簡単に、安値圏での三空で窓が空かなかったパターンのことです。
ロウソク足のチャートは値動きの強さも表します。
安値圏では強い陽線が連続して並ぶ場合があり、このときは素直に順張りしましょうという手法です。
このチャートでは、しっかりとした陽線が連続して並んでいます。
その後下落しますが、窓を開けて上昇した良い例です。
また、窓を開けたあとしっかりその間を埋めて、再度上昇しております。
チャートは流れを読むものです。
強い動きが出たら素直についていくという考え方が三兵と言います。
特に安値圏での反発は強くなる傾向があるため、このチャートのように大きく値幅が取れる可能性があります。
これは下落時にも同じ考えをしています。
実線の長さの差はあれど、連続して陰線をつけており、その後大きく下落しました。
戦略として、さきほど説明した三山が出たあと、陰線が連続して出た場合に売りの準備をするという選択肢があります。
この三兵を否定して戻す場合には、高値や安値に逆指値を入れておくとリスクが軽減されるでしょう。
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三法(さんぽう)―レンジブレイクを見極める
チャートはトレンドの出ているときばかりではありません。
一定の値幅でレンジを組む場合があります。
いわゆるレンジをブレイクした方向へついていくという手法を三法と言います。
レンジのときには取引を控えて、上に突き抜けた際についていく方法を「上げ三法」、逆を「下げ三法」と呼びます。
このチャートは短いレンジを形成していて、一度大きく陽線で上に突き抜けております。
突き抜けたあと、上昇が継続しています。
レンジ相場とはいわゆる買いと売りのパワーバランスが拮抗している状態です。
その場合、どちらかに動くエネルギーが溜まっている(逆指値が溜まっている)状態と言えます。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか?
世界中のトレーダーは今回紹介した三山や三川といった手法を取り入れて取引しています。
そのため、逆指値を高値、安値に入れておくことが常識になっているためです。
高値、安値更新が難しい理由は逆張りをするトレーダーが多いからです。
その壁を貫くほどのエネルギーがある場合、その方向へ力強く動きます。
いわゆる高値、安値更新した場合には強くブレイクします。
この流れに順張りで対応していくのがこの三法です。
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まとめ
酒田五法にはこれらの5つの手法から派生したものがいくつもあります。
今回は基本的なパターンについて紹介させて頂きました。
酒田五法は江戸時代に作られ、最も基本的な分析手法とされています。
これらの手法と、「移動平均線」や「RSI」といったテクニカル指標を組み合わせることで、より根拠のあるエントリーができる可能性があります。
またこれらの手法に共通して言えることですが、当然必ず当たるというものではありません。
取引をする際にはしっかりと逆指値を入れておき、想定内のトレードをすることをオススメします。
このコンテンツが、よりよい投資の参考になれば幸いです。
以上、ロウソク足を分析!「酒田五法」とは?5つのチャートパターンを用いた戦略を徹底解説!…でした。
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