「高い利回りのファンドに投資できるソーシャルレンディングを探している」
「手数料やリスクが少ないファンドに投資して、自分の資産を増やしたい」
他のソーシャルレンディングよりも、高リターンを狙えるサービスが「Trust Lending(トラストレンディング)」です。
投資できるファンドは不動産系がメインであり、担保によってリスクが少ない案件があります。
運営会社には投資家にできるだけ利益を分配する姿勢があり、報酬割合が明示されているところが特徴。
しかし、トラストレンディングを運営している「エーアイトラスト」は行政処分を受けており、現在はトラストレンディングに投資することはできません。
証券取引等監視委員会は22日、インターネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング業者のエーアイトラスト(東京・港)を行政処分するよう金融庁に勧告した。同社への処分勧告は2018年12月に続き2回目。実在しない架空の事業で投資を募ったとして勧告が出たばかりだが、他の募集案件でも金融商品取引法に違反する虚偽表示があったという。
2度にわたる勧告は極めて異例。監視委によると、同社は貸付先の企業が高速道路の工事を請け負ったかのように見せかけて資金を募っていたが、実際には受注の事実がなかった。また、同社の山本幸雄前取締役が実質的に支配する会社に、投資で募った資金が15億8千万円ほど流れていたことも判明した。
監視委によると、同社への出資者は延べ1万2459人で、出資額は約52億円。今後、投資家が出資金を回収できるかどうかは不明という。
このコンテンツでは、投資はできないまでも、トラストレンディングとはどのようなソシャレン業者だったのか、特徴を解説します。
目次
Contents
トラストレンディングの特徴
金融事業に特化したエーアイトラスト株式会社が運営するソーシャルレンディング、それがトラストレンディングです。
ローンやファイナンス等を扱う運営会社が投資家にファンドを提供します。
トラストレンディングで投資できるファンドは不動産が多く、一部には事業や債権に関する投資先もあるもの。
運用しているファンドの状況はトラストレンディングのホームページで確認できます。
他社のソーシャルレンディングとは異なり、トラストレンディングでは預託金口座がありません。
投資したいファンドを選んだら直接入金して、利益は投資家の口座に直接振り込まれる方式です。
過去に60本以上のファンドが募集成立していて、2017年までは貸し倒れがありませんでした。
リターンが得られるのか気になる投資家にとって、運用実績があるのは嬉しいですよね。
サービスを利用するには
トラストレンディングでは2018年12月から、新規会員登録の手続きを一時休止しています。
証券取引等監視委員会から指摘が入ったプロジェクトの貸付先を調査するためです。
もし新規会員登録の手続きが再開すれば、次の方法によりサービスを利用できます。
まず、トラストレンディングのホームページにアクセスして、会員登録ページに進みましょう。
会員登録ページでは規約等への同意、個人情報の入力、メールアドレスの入力が指示されます。
また、メール認証が完了した後に投資家申請する場合、身分証明書やマイナンバーを提出することが必要です。
身分証明書とマイナンバーの提出が完了すると、登録した住所宛に運営会社からハガキが郵送されます。
ハガキに記載された投資家キーをマイページで入力することで、ファンドへの投資が可能になる仕組みです。
後はトラストレンディングのファンド一覧を見て、興味のあるファンドに応募しましょう。
ファンドを選んだ後に入金することで、高利回りによる配当金に期待できます。
投資先の具体例
2018年5月に募集が開始したファンドとして、「債権担保付ローンファンド142号」です。
募集金額は5,010万円であり、ファンドへの最低投資額は10万円からとなっています。
資金を借り入れる業者はコンサルティングサービスをメイン事業として展開する企業です。
原発事故のあったエリアの水資源を改善するために、本ファンドで資金調達して除染事業を行います。
資金を借り入れる業者は提携企業からの請負代金債権を保有していて、ファンドが成立することで債権の譲渡が実行されるのが特徴。
もし借りた業者が資金を返済できなくても、債権により投資家は損失を減らせます。
ファンドの貸付利率は13%であり、投資家への想定利回りは税引前で12%と高めです。
リスクが抑えられたファンドで高リターンを得たいときに、トラストレンディングは役に立ちます。
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トラストレンディングのメリット
「優れたソーシャルレンディングは他にもあるのに、このサービスを利用する意味ってあるの?」と思う人はいるかもしれません。
競合サービスは多くあり、トラストレンディングを使わなくても投資はできます。
しかしトラストレンディングには主に3つのメリットがあり、効率的に資産運用したい人にオススメです。
それぞれのメリットを詳しく解説します。
運営会社の報酬割合を確認できる
トラストレンディングでは、ファンドごとに貸付利率や営業者報酬を明示しています。
ファンドの運営会社が受け取る報酬割合が分かるから、投資家がファンドを検討しやすいのがメリット。
一般的にリスクを嫌う投資家は、利回りの低めなファンドに投資する傾向があります。
たしかに貸付利率の低いファンドは貸し倒れリスクが少ないですが、運営会社の報酬割合が大きくて利率が低いパターンもあること。
例えばファンドの貸付利率が10%であり、運営者報酬が7%の場合、投資家の想定利回りは3%です。
このような条件では大きなリスクがあるのに、投資家は高利回りを期待できません。
貸付利率や営業者報酬によりファンドのリスクが分かりやすくなり、投資家は出資を判断しやすくなります。
貸付条件が細かく記載されているのは投資家にとってメリットですね。
初心者向けにセミナーを開催
トラストレンディングは過去にセミナーを開催していました。
トラストレンディングの仕組みや事業状況、運営会社による今後の展望を解説するため、投資家はサービスの中身をしっかりと把握できます。
2019年7月現在では開催予定のセミナーはありませんが、今後も不定期にセミナーが開催されることも。
気になる人はトラストレンディングのホームページを定期的にチェックしておきましょう。
ファンドの利回りが高め
トラストレンディングが募集するファンドは利回りが高く、投資によって期待できるリターンは大きいもの。
想定利回り10%以上のファンドが多くあり、効率的に資産運用できます。
ファンドの利回りが高くなる傾向には、営業者報酬の割合が低めであるのが理由の1つ。
運営会社の取り分が少なければ投資家への配当割合が多くなり、貰えるリターンが増える傾向があります。
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トラストレンディングのデメリット
高い利回りを期待できるトラストレンディングには、投資家が知っておくべきデメリットもあります。
これから投資を始める人が注意すべきデメリットは主に2つです。
■コンテンツ:
- 新規で投資するのは不可能
- 最低投資額が高額
それぞれのデメリットを詳しく解説します。
新規で投資するのは不可能
2019年3月、トラストレンディングを運営するエーアイトラスト株式会社は財務局により行政処分を受けました。
それによって運営会社は金融免許取り消しとなり、新規ファンドを募集できなくなったのです。
2019年7月現在、運営会社は既存ファンドの償還を目的としてサービスを継続しています。
もし運営会社が金融免許を取得できなければ、トラストレンディングで投資を始めるのは不可能です。
最低投資額が高額
トラストレンディングには最低投資額が10万円以上のファンドが多くあり、他社のソーシャルレンディングよりも投資のハードルは高めです。
既にある程度の資産があり、よりハイリスクハイリターンの投資をしたい人にトラストレンディングは最適ですね。
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トラストレンディングはなぜ行政処分・集団訴訟されたのか?
なぜトラストレンディングは、行政処分・集団訴訟となったのでしょうか。
詳しく見ていきたいと思います。
トラストレンディングがなぜ行政処分を受けるようになったのか
2015年からサービスを開始したトラストレンディングは、2018年上半期まで、募集資金を伸ばしていき、順調にサービスを成長させていきました。
ところが、2018年10月に山本幸雄氏が取締役に就任してから、歯車が狂っていきました。
2018年12月には、関東財務局から1ヶ月間の業務停止命令という行政処分が下されました。
運用している債権担保付ローンファンドと、動産担保付ローンファンドが行政処分の対象になりましたが、端的な理由は下記です。
- このファンドの融資先が行う予定だった除染事業は、そもそも存在しなかった
- 融資先に大手企業との業務提携する予定が、それ自体が虚偽だった
当時、案件を中心に回す人物が山本幸雄氏でした。
その山本氏が、上記のような虚偽表示により投資家から資金を集め、山本氏が実質的に支配する法人に資金を回すようにくわだて、合計約15.8億円もの資金を流出させたのです。
集団訴訟へ発展
2019年8月、運営母体であるエーアイ株式会社と経営陣を相手に、投資家143名と法人2社が3億4000万円の賠償を求めて集団訴訟が行われました。
2019年11月時点で、あおい法律事務所、enjin、マトマリの3団体が集団訴訟の準備を進めています。
2020年1月のトラストレンディング公式サイトからの公表によると、「投資家への資金返済が遅れている9本のファンドの内、2本は山本氏の虚偽案件で、残り7本は運営実態がある」とのことです。
山本氏が絡んでいる案件については、エーアイトラストから山本氏に対して訴訟を起こしており、係争中であり、それ以外の7本は、融資先と協議を進める中で資金返済のめどをつける交渉を続けています。
トラストレンディングの行政指導・集団訴訟から学んだ教訓
このような経緯で、トラストレンディングは現在も係争中です。
『ソーシャルレンディング』という手法自体は、昨今の低利回り時代において、高い利回りを求めることができる手法であることは間違いありません。
一方、選ぶ業者を間違えると、資金が返ってこない、だまされる、というリスクがある点も事実です。
どのような視点で業者を見ていけばいいのか、まとめました。
◾️ 危険な業者:
- 異常に高い利回りを提示する業者
- ホームページで顔出ししていない業者
- 社長のバックグランドの情報が少ないor公開されていない業者
◾️ 信頼できる業者:
- 上場企業が運営母体の業者
- 情報開示が適切になされている業者
- コンプライアンス・コーポレートガバナンスの体制が整っている業者
- 銀行や証券会社、あるいはベンチャーキャピタルが運営している業者
情報が少ない中で高利回りを謳っている業者は信頼性が低いため、避けた方が賢明です。
反対に、上場企業が運営母体である業者や、銀行・証券会社が運営元であれば、情報公開やコンプライアンスの体制が徹底されている可能性が高いので、信頼しても問題ないといえるでしょう。
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まとめ
高い利回りを求める上ではソーシャルレンディング自体は、有効な投資手法の1つになります。
一方で、業者の運営実績、コンプライアンスに対する意識やコーポレートガバナンスが機能しているかどうかを見極めないと、返済遅延や虚偽表示による資金集めなど、トラブルに巻き込まれるリスクがあります。
トラストレンディングは、残念ながらコーポレートガバナンスが機能しておらず、行政処分の中でも最も重い処罰である「免許取り消し」を受けています。
ソーシャルレンディングを活用するなら、取引する業者が、信頼できるか、安全なのかを、利回り以外のものさしで見るようにしましょう。
高い利回りで不動産や事業に投資したい人に最適なソーシャルレンディング、それがトラストレンディングです。
よりハイリスクな投資をしたい人はトラストレンディングを検討してみましょう。
以上、【トラストレンディング】処分勧告2回のエーアイトラストが運営。「Trust Lending」の特徴を解説。…でした。
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