株式系の相場記事を見ると「チャート」という言葉を見かけることが多くなるのではないでしょうか?
本来、グラフや図といったものを「チャート」と呼んでいます。
では相場における「チャート」とはどのようなものなのでしょうか?
今回は「超」がつく投資初心者の方でも分かりやすいように、専門用語をなるべく使わずに、「チャート」について解説していきたいと思います。
本当に簡単に読めますので、「テクニカル・アレルギーなの…」といった方も記事にチャレンジしてみてください。
目次
Contents
テクニカルが必要な理由とは?将来を予見するためのツール
以前、「チャートは過去の株価推移でしかない。投資は先を読むものなんだから、過去のデータであるチャートは投資に必要ない」といわれたことがあります。
これは一見正論に見えますが、実際は詭弁でしかないと断言できます。
理由は、人には将来を予見できる能力がないからです。
だれか3秒でも先がわかるという人は存在しますか?いませんよね。
人は将来を予見することができないから、過去のデータから少しでも将来を予測しようと様々な場面で過去のデータ分析に取り組んでいるのです。
具体的にはスポーツであれば、対戦成績や過去の選手のデータから対策を練ろうとします。
新商品の開発を行う場合でも、商品に需要があるのか、どのような商品が消費者に好まれやすいのかといったことを過去のデータから分析していきます。
これを相場に当てはめると、相場におけるテクニカルの分析は将来の株価推移を過去のデータから読み取る作業だということになります。
よって、将来を少しでも高い精度で予見するためのツールがテクニカルであるといえます。
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株式取引の「チャート」とは?
「百聞は一見に如かず」、まずは実際チャートを見てみましょう。
上図は「日経平均株価」の月足チャートです。
日経平均株価とは別名「日経225」とも呼ばれる、日本の株式市場の最もポピュラーな株価指標の一つです。
また月足については後に詳細に説明しますが、1か月単位での株価の推移をローソク足*で記載したものです。
*ローソク足に関しては別項目で詳しい記載があります。
ローソク足の形
次のように上ひげ、下ひげ、柱で値動きを表すのが「ローソク足」です。
- 上ひげの先で高値・下ひげの下で安値
- 陽線では柱の上が終値・柱の下が始値
- 陰線では柱の上が始値・柱の下が終値
一般的な陽線・陰線のほか、ローソク足には次のようにさまざまな形があります。
ローソク足の形 | 特徴 |
大陽線 | 寄り付きで大きく上昇して高値引け |
大陰線 | 寄り付きで大きく下落して安値引け |
小陽線 | 上ひげと下ひげが長い陽線 |
小陽線(コマ) | 値幅が少ない陽線 |
小陰線 | 上ひげと下ひげが長い陰線 |
小陰線(コマ) | 値幅が少ない陰線 |
寄引同事線(十字線) | 始値と終値が同じ、かつ高値までの値幅と安値までの値幅も同じ |
複数のローソク足を組み合わせた見方
次のように複数のローソク足を組み合わせた見方もあります。
種類 | 特徴 |
はらみ線 | 前日の値幅より当日のほうが小さい、かつ当日の高値・安値とも前日の値幅以内 |
つつみ線 | 前日の値幅より当日のほうが大きい、かつ当日の高値・安値とも前日の値幅以上 |
三空叩き込み | 窓を開けて3本の陰線が連続 |
赤三兵 | 3本の陽線が連続 |
黒三兵 | 3本の陰線が連続 |
はらみ線が出るとトレンド転換の合図だと考えられています。
上昇トレンド中、上値抵抗線の近くで陽線・陰線のはらみ線が出たら、下落トレンドへの合図です。
逆に下落トレンド中、下値支持線の近くで陰線・陽線のはらみ線が出たら、上昇トレンドへの合図と判断します。
陽線・陽線、または陰線・陰線のはらみ線の場合は、トレンド転換の合図には使いません。
つつみ線もはらみ線と同じような見方ができます。
三空叩き込みは大きな下落時によく見られるローソク足の組み合わせです。
三空叩き込みが出たら相場の大底が近いと判断します。
赤三兵は大きな上昇時の初期によく見られるローソク足の組み合わせです。
強気相場と判断し、買いでエントリーします。
ただし、高値近くで上ひげのある赤三兵は買いが弱くなっている可能性があります。
黒三兵は大きな下落時の初期によく見られるローソク足の組み合わせです。
弱気相場と判断し、売りでエントリーします。
ただし、安値近くで出たときは下がりすぎで反発することがあります。
複数ローソク足の組み合わせによる見方は、上記のようにさまざまです。
しかし、1分足など短期のローソク足だと分析の精度が低くなりやすいです。
そのため、日足や週足などのローソク足を用いて分析したほうが良いでしょう。
さて、この日経平均株価の月足チャートを見て、どのような感想を抱きましたか?
株価が上昇すると見る場合
大部分の方は「なんか上がりそうだな」という感想を持ったのではないでしょうか?
その理由は上図です。
線を引くと実際にその理由がわかると思います。下値がきれいに切りあがっているのがお分かりいただけたと思います。
だから、直感的に「なんか上がりそう」と考えたのではないでしょうか。
株価が上昇すると見る場合
株価が高値圏で推移しているので、「なんか、怖い…」と考えた方もいるのではないでしょうか?
その理由は上図です。
ここでも線を引くと実際にその理由がわかると思います。
高値圏で株価がどちらつかずの状態でゆらゆらしているのがお分かりいただけたと思います。
だから、直感的に「なんか、怖い…」と考えたのではないでしょうか。
どちらも正解です!
では、「なんか上がりそう」と「なんか、怖い…」どのように考えるのが正解なのでしょうか?
極論「どちらも正解です」
「なんか上がりそう」と考えた方は、日経平均株価を全体を見て判断したと思います。
時間軸にすると10年というスパンの日経平均株価です。
逆に「なんか、怖い…」と考えた方は直近2年間の株価推移を見て判断したのではないでしょうか?
ですから、チャートを見る時間軸の違いから生じたものなので、どちらも正解ということになります。
■ 超初心者でもわかる理解ポイント:
- 将来を予見するためのツールがテクニカルである
- チャートは株価の推移をグラフ化したものである
- チャートは時間軸の取り方で見方が変わるものである
- チャート見るときに詳細な分析とか面倒なものは必要ない(線1本で足りる)
いかがですか?
チャートを見て「なにか面倒だな」ということはありましたか?
実際チャートを見て「テクニカル勉強してみたい」と感じた方が多いのではないでしょうか。
次は、時間軸についてご紹介していきたいと思います。
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チャートにおける時間軸とは
「時間軸」などというと、なにかすごく難しいことのようですが簡単に言うと「期間」のことです。
投資の際に長期投資や短期売買といった用語を目にしたことはありませんか?
でも実際にどの期間が長期投資で、どの期間が短期売買なのかわかりにくいですよね?
ここでは、簡単に一覧表で投資の期間をご紹介したいと思います。
投資の期間一覧表
投資方法 | 投資の期間 |
長期投資 | 1年以上 |
中期投資 | 3ヵ月~1年 |
短期投資 | 3ヵ月未満 |
デイトレード | 1日 |
上記の表の通り、長期投資という場合は1年以上を見据えた投資方法ということになります。
投資期間で実際に使うチャートも異なります。
投資期間と使うチャート
投資方法 | 使うチャート |
長期投資 | 月足チャート |
中期投資 | 週足チャート |
短期投資 | 日足チャート |
デイトレード | 日中足チャート(5分足チャート) |
では実際にどのように見え方が変わるのかを日経平均株価のチャートを使って見ていきましょう。
ⅰ.月足チャート
2012年の11月から株価が勢いよく上昇していることがわかります。
実際に長期投資をする場合は天井サインが出るまで単にホールドしているだけの株価推移であるといえます。
ⅱ.週足チャート
上昇していた株価が天井を打ち下山しかかっているように見えます。
実際に中期で投資をする場合は、上に行くのか、下に行くのかを見極めてから、ポジションをとっていく場面であるといえます。
ⅲ.日足チャート
20,110円~22,362円の間でゆらゆら動いていることがわかります。
実際に短期で投資をする場合は、20,110円~22,362円のレンジを見据えて、21,000円以下は買い、21,500以上は利確して売買するのが良い場面でした。
現状は4営業日前に直近高値である21,823円を抜いているので、ここで購入し利確ポイントを待つ場面になっているといえます。
ⅳ.日中足チャート
ゆらゆらと同じレンジで動いていた株価が一気にレンジブレイクしていることがわかります。
実際にデイトレードをする場合は19日の寄り付きで購入し、22,200円以上で売却するのが良い場面であるといえます。
ⅴ.まとめ
投資方法 | 使うチャート | 売りor買い | 実際のトレード |
長期投資 | 月足チャート | 買い | ホールド |
中期投資 | 週足チャート | 様子見 | 様子見 |
短期投資 | 日足チャート | 買い | ホールド |
デイトレード | 日中足チャート (5分足チャート) | 様子見
| 再度買い場探し
|
見てきたように同じ日経平均株価でも投資する期間で、売りor買いの判断もまるで違うことがお分かりいただけたと思います。
ですから、自分の投資スタイルにマッチしたチャートを選別できない場合、投資に対する判断も全く違った答えが出てしまうので注意が必要です。
■ 超初心者でもわかる理解ポイント:
- 投資には長期・中期・短期・デイトレードと4つの異なる期間でのトレードが存在する
- 長期は月足、中期は週足、短期は日足、デイトレードには日中足とトレードにマッチするチャートを選択しなければならない
- スパンによって同じ日経平均株価のチャートでも、全く違うチャートになる
- チャートを見るときに特別なテクニックは必要ない
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ローソク足とテクニカル指標で分析
チャートのローソク足とテクニカル指標を使えば、さらに視覚的に分析しやすくなります。
テクニカル指標には、次のような種類があります。
■ トレンド系指標(順張り系指標):
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- 一目均衡表
- MACDなど
■ オシレーター系指標(逆張り系指標):
- RSI
- ストキャスティクス
- サイコロジカルラインなど
トレンド系指標では、相場の潮流、流行がわかります。
オシレーター系指標では、買われ過ぎと売られ過ぎがわかります。
トレンド系指標のみのテクニカル分析、オシレーター系指標のみのテクニカル分析、両方併用するテクニカル分析も可能です。
移動平均線でわかること
有名なトレンド系指標、「移動平均線」の一般的な見方を紹介していきましょう。
移動平均線では、次の3本の線を使うことが多いです。
- 短期の5日移動平均線
- 中期の25日移動平均線
- 長期の75日移動平均線
テクニカル分析を行う際に大切なのが現在のトレンド、つまり潮流を知ることです。
- 上昇トレンド:チャートが上昇傾向
- 下落トレンド:チャートが下落傾向
- ボックストレンド:チャートが横ばい
この移動平均線で現在のトレンドを判断していきます。
- 移動平均線が右肩上がり:上昇トレンド
- 移動平均線が右肩下がり:下落トレンド
- 移動平均線が横ばい:ボックストレンド
ほかにも移動平均線でわかるのが買いや売りのエントリーポイントです。
- 5日移動平均線が75日移動平均線を下から上に抜いたとき(ゴールデンクロス):買いでエントリー
- 5日移動平均線が75日移動平均線を上から下に抜いたとき(デッドクロス):売りでエントリー
ほかにも移動平均線では買い4パターン、売り4パターンの見方があるグランビルの法則といった分析も可能です。
事前に移動平均線の見方を知っていると有利な取引ができるでしょう。
ただし、移動平均線は万能ではありません。
移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスが出てもだましに引っかかることがあります。
そのため、ローソク足や価格帯別出来高などもあわせて買いでエントリーするのか、売りでエントリーするのか判断したいところです。
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証券会社のチャートを使おう
ローソク足とテクニカル指標を活用したいときに便利なのが、証券会社のチャートです。
各証券会社では高機能なチャートを用意しており、口座開設すれば利用できます。
松井証券のネットストック・ハイスピードは無料で利用できる取引ツールです。
チャート機能がついており、さまざまなテクニカル指標を表示できます。
パソコンにソフトをインストールするタイプのツールです。
また、FOREX.comなど、FX会社ではMT4(メタトレーダー4)という無料ソフトを用意しています。
さまざまな通貨ペアのチャートとテクニカル指標の表示が可能です。
さらに自動売買機能もついており、24時間取引を導入したい方もMT4に注目してみてください。
また、SBI証券の公式サイトでは、チャートに3本の移動平均線を表示させられます。
ソフトと違いますので、インストールは不要です。
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まとめ
今回は、『初心者の為のチャート講座!テクニカル分析を株価チャートに活かす準備をしよう。』と題して、チャートと相場の期間(時間軸)について解説してきました。
最初のお約束の通り専門用語がないため、するりと読めてしまった方が多いのではないでしょうか?
テクニカルはトレーダーを縛るものではありません。テクニカル(過去のデータ)からトレーダーに将来の予測を可能にしてくれる便利なツールです。
道具に使われるのではなく、自分が便利な道具を使って効率よく投資することが重要なのです。
まず、テクニカルは難しいという先入観を捨ててみませんか?きっと、相場で違う世界を見ることができるはずです。
以上、初心者の為のチャート講座!株価チャートの見方を理解してテクニカル分析の基礎を身につけよう。…でした。
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