1限目では、経済とはそもそもどのような意味なのか、経済を回しているのは取引であり、「信頼」が経済に波を起こしていることを説明してきました。
2限目は、経済成長とはどのようにして起こり、どのようなサイクルで経済は循環し、「インフレ」はどのような時に起こるのか、を解説しました。
ここで経済の仕組みの基礎中の基礎の解説は終わりにし、今回は「なぜインフレは起こるのか?」「日本銀行との役割とは?」という基礎知識を解説していきたいと思います。
Contents
インフレとは?デフレとは?「物価上昇でお金の価値が下がる」
「インフレ」
という言葉は日頃のニュースなどでよく聞く言葉ですよね。
インフレという言葉とは反対にデフレ(=デフレーション)という言葉もありますが、デフレはモノの価格が下がる状況です。
具体例を出すと、今まで「みかん」は100円で買えていたのに、ある日突然、2倍の200円になったとします。
同じみかんを購入するのに、2倍のお金が必要になったわけです。
つまり、お金の価値は2分の1になったといえますよね。
そもそもなぜインフレは起こるのでしょうか?
「主にお金の貸し借り」によって、
「人を雇う」
「商品を作るための素材を多めに仕入れる」
などして、
「生産性を高める」
「販売取引量を増やす」
などして、
「支出を増やす+所得を増大させる」
という集合体がいることで発生するという話をしました。
生産をする人が継続して借入を実行し、生産性を高め続ければ経済はぐんぐん成長していくいきますよね。
しかし、とにかく成長し続けるわけではないのです。
資金を借りて、投資を実行し、生産にかかる材料の仕入れをしていきますが、需要の増加に「仕入れの生産」が追いつかなくなることがあります。
仕入れを供給する業者も、本当は生産を拡大したいのですが、供給者の「信頼」のレベルにより、資金を借り入れできる金額は変わるので、より多く供給したくても生産ができないのです。
欲しいという人が多くなってきて生産が追いつかないとなると、供給者は「値上げ」を検討します。
生産者が「仕入をする」という「需要」と材料を売る人の「供給」がアンマッチになった結果、材料の稀少性が上がり、素材の値段を上げていくことになります。
ダイヤモンドが高いように、稀少性のあるものは値段が上昇します。
そして、このように価格が上昇していくさまを「インフレーション」というのですね。
インフレが金融政策の目標として注目されている理由
現在主要な各国の中央銀行はインフレ率を一定(殆どの場合2%)に保つことを目標としたインフレターゲット政策を金融政策としています。
我が国、日本の中央銀行である日銀もインフレ率2%を目標として金融政策を実施しています。
経済成長を促進する為には金融政策は出来うる限り緩和的に、つまり金利を引き下げる方向に舵をとります。
金利が下がると企業も国民もお金を借りやすくなって、消費や投資が盛んになり経済が活性化します。
しかし、活性化しすぎると過熱感が高まりインフレ率が急騰し国民生活が困窮していきます。
国民生活を守る為にはインフレ率をコントロールする必要があるのです。
日本でインフレが起きると何が起こる?メリットとデメリットを理解しよう
インフレが起きると「円という通貨の価値が下がる」ことから、円安になる傾向があります。
円安になると、輸出業を営む会社は業績が好調になったり、外国からの旅行者、観光客が増えるという点はメリットです。
一方、輸入業を営む会社は業績が不調になったり、日本から海外旅行の費用が高くなるので、現地での買い物が高くつくなどデメリットがあります。
「需要」が「供給」を上回ることで「モノ」の値段が上がり、企業の収益も高まります。
そうなると、賃金も上がり消費が活性化していきます。
このような好景気の中では金利は上昇する傾向にあります。
3限目で日銀の役割については詳しく説明しますが、物価が上がり続けるインフレの局面では、日銀は一般的に金利を「引き上げ」ます。
反対にデフレのときには需要を高めるために金利を「引き下げる」金融政策がとられます。
▶︎ 日銀の金融緩和はいつまで続くのか?金融緩和による副作用と出口戦略をとる時期を考察する。
金利が上がると、借り入れをするときの金利は上がりますが、預け入れをするときの金利も上がる(受取利息が増加)ので、インフレで恩恵を受ける人もいれば、そうでない人もいるのです。
日本で注意すべきは悪性のインフレ
先ほど説明したインフレの発生経路については健全な経済成長による需要の高まりを受けての良性のものとなります。
しかし、日本政府はGDP比2倍の債務を保有しており、日本政府に対する信用の低下による強烈な円安を伴うインフレが発生する可能性が年々高まっています。
日本で発生しうるハイパーインフレの可能性については『日本のハイパーインフレの可能性と対策を徹底解説!』でデータをもとにわかりやすく解説していますので参考にしてみてください。
インフレ・デフレの覚え方
インフレとデフレは意外とそれぞれどのように起きるのか、なかなか覚えにくいですよね。
簡単にまとめると以下のようになり、これさえ覚えていれば問題ないです。
何度か見直して、瞬時に答えられるくらいに覚えておきましょう。
■ インフレーション:
- 物価が上昇し、お金の価値が下がる
- 円安になる傾向が強い
- 金利が引き下げられる政策が取られる
■ デフレーション:
- 物価が下落し、お金の価値が上がる
- 円高になる傾向が強い
- 金利が引き上げられる政策が取られる
インフレーションとデフレーションが起きるとき、起きたら何が発生するのか。
ここまでを理解していれば、新聞や経済誌を読んだ時も事象の流れを掴みやすくなるでしょう。
まとめ
3限目では「インフレ」とは何か、インフレが起きるのはどのような局面なのか、インフレが起きたらどのようなことが起こるのかについて簡単に解説をしてきました。
4限目では、このインフレが起きた時に金融政策として金利を引き上げたり引き下げたりする政策を実行する「日本銀行」の役割について解説をしていきたいと思います。
以上、【3限目】覚え方も紹介!「インフレーション」「デフレーション」とは・メリットとデメリットは?経済の仕組みをわかりやすく、簡単に解説!…でした。