【リフレ経済とは?】アベノミクスの中心理論を解き明かす。

【リフレ経済とは?】アベノミクスの中心理論を解き明かす。

 

日本は、バブル経済崩壊後、長らくデフレの時代に苦しんできました。

 

家三郎
2000年代初頭に一時回復の兆しを見せたものの、2008年のリーマンショックにより、再び不況の時代に戻ってしまったのぅ。

 

そんな状況の中、2012年に結成された第2次安倍内閣では、「金融緩和」、「財政出動」、「成長戦略」を3つの柱としたアベノミクスと呼ばれる経済政策が行われます。

 

このアベノミクスの根底にある理論が「リフレ経済」というものです。

 

家三郎
今回は、このリフレ経済について解説していくぞよ。

目次

リフレ経済とは?

リフレ経済とは、緩やかな物価上昇によって経済を安定して成長させることができるとする「マクロ経済学」の新しい考え方です。

 

経済は、大局的にみるとデフレとインフレを繰り返す循環がなされるため、このサイクルにおいて如何にインフレを継続させていくかが、リフレ経済の分析対象になります。

 

家三郎
リフレ経済を主張する経済学者の派閥を「リフレ派」と呼ぶぞよ。

 

日本で著名なリフレ派の経済学者、として、日銀総裁の黒田東彦氏、前日銀副総裁の岩田規久男氏が挙げられます。

 

リフレ派の経済学者は、中央銀行による積極的な金融緩和政策によって、市中に回る通貨供給量(マネーサプライ)をコントロールすることが重要であると主張します。

 

安倍総理大臣自身も、リフレ派の論客であり、日本銀行と政府が協力して、リフレ経済政策を進めて行くことになります。

 

マネーサプライを増やす方法は、政府が一定期間の間、国債を無制限に発行し、それを日銀がすべて買い取ることで、民間銀行へ渡る資金を増やすというものです。

 

本来、日本銀行はすでに発行されている国債の売買を通じて、民間銀行へ渡る資金の量を調整します。

 

リフレ政策では、政府が無制限に国債を発行するため、それを保有している銀行からどんどん買い取ることで、通常の公開市場操作よりも大量の資金を市中に流すことが可能になります。

 

民間銀行では資金が有り余る状態になるため、これらの資金を個人、企業に貸し出すことで景気循環を良くして、インフレにもっていくというのが、最終的な狙いです。

 

 

 

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リフレ経済は成功したのか?

黒田東彦氏が日銀総裁になってから、日銀はリフレ政策を継続して進めてきました。

 

具体的な物価上昇率の目標(インフレターゲット)を設けて、市場にリフレ政策のゴールを示し、金融政策の先行きを示すことで、市場を安心させることに成功します。

 

 

市場としては、日銀がインフレターゲットの数値を実現するまでは、国債の買取を続けると解釈したのです。

 

日銀が国債の買取を継続すると、民間銀行にどんどん資金が貯まっていくことになるため、銀行の財務状況が安定、改善してきます。

 

この結果、日銀のリフレ政策によって、民間銀行の株価が上昇していったのです。

これに波及して、証券会社などの金融株が軒並み上昇していきます。

 

製造業などデフレ下でも利益を出せていた企業は、インフレになることで更なる利益拡大が見込まれたため、金融株の上昇と連動して、株価を上げていきます。

 

リーマンショックで低迷していた株式市場が息を吹き返したことで、投資家たちは積極的に取引を行うようになります。

 

株式上では、取引量が増加して、株価が上がっていくという好循環を示すようになったのです。

ただ、株式市場が盛り上がっている際、実際の経済状況はどうなっていたかというと、日銀のリフレ政策前とそこまで変化がありませんでした。

 

株式市場はあくまでも、「今後、企業の業績が良くなるかもしれない」という建前で取り引きしているため、実際の経済成長を反映したものではありませんでした。

 

投資家は儲かりましたが、企業で働くサラリーマンたちにとっては、リフレ政策による恩恵は中々回ってこなかったのです。

リフレ政策が、実体経済に強い影響を与えられなかった要因として、消費者、企業に植え付けられた「デフレマインド」が挙げられます。

 

日本はバブル経済崩壊から、約20年に渡ってデフレ状況下であったため、多くの消費者、企業は「なるべくお金を使わない」というマインドが染み込んでいたのです。

 

デフレ下では、物価がどんどん下がっていくため、「今買わないで我慢すれば、この後もっと安く買えるかもしれない」という意識が芽生えます。

この状態になると、「すぐに消費せず、貯金する方が得」という考えに着地するわけです。

 

家三郎
日本人の金融リテラシーについての議論は「日本人の金融リテラシーが低い原因と知識を身につける具体的な方法を解説。」でも紹介しているぞよ。

 

日本銀行が、金融緩和政策によって市中のマネーサプライを増やしたとしても、個人や企業が銀行からお金を借りなければ、経済全体のお金の流れは変わりません。

銀行としても、貸したくても借りてくれない状況が続くため、その余剰資金を株式や債券など他の金融商品に投資することで、利益を出そうとします。

 

この結果、日銀が供給したマネーがどんどん株式市場、債券市場に流れていき、さらに市場取引が活発になるという循環が生まれるのです。

投資家が日銀の金融緩和政策に期待する理由はここにあります。

 

家三郎
ただ、この作用は日銀が本来目指したゴールではないのぉ。

 

結果として、リフレ政策は株式市場を活性化させることになってしまったのです。

 

 

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日銀は今後もリフレ経済を進めるの?

現在も、日本銀行は、第2次安倍政権発足時に示した物価上昇率を達成できない状態にあります。

消費者のデフレマインドが多少薄まったとはいえ、従来目指していた緩やかなインフレは実現できていません。

 

ただ、日銀としてはリフレ政策を改めるということはせず、市中のマネーサプライを増やしていく方針に従来通り従っています。

ただ、今までの金融緩和政策では、マネーサプライの上昇に不十分であったとして、新たなリフレ政策を打ち出しました。

 

家三郎
それが「マイナス金利政策」じゃな。

 

金利とは、本来「プラス」のものです。

たとえば、年間金利が3%の国債を100万円分購入したら、1年で3万円の利子を受け取ることができます。

 

これが、「マイナス」の金利になると、理論上、「100万円分の国債を買って、1年で3万円の利子を払う」ことになります。

これでは、国債を買った人が損をするだけで、誰も国債を買わなくなる状態になってしまいます。

 

ただ、現実の国際市場では、通常通り国債が買われています。

 

なぜこのような状態が生じているかというと、実は日本銀行が、「現在流通しているマイナス金利の国債を、更にマイナスの金利で買い取ってあげるよ!」と将来的に約束をしているからです。

 

この約束によって、「将来は、日銀が買い取ってくれるから利益が出せる」という思惑が生まれて、国債を買う投資家、企業が無くならないで済んでいるのです。

 

ただ、この約束は「口約束」に過ぎません。市場では日銀の口約束に依拠して、国債が取引されているのです。

ここまでしてでも、日銀は国債を売って、市中のマネーサプライを増やしていきたいわけですね。

 

もっと市中にお金があふれれば、銀行からお金を借りる個人、企業が増えると考えているのです。

このマイナス金利政策が成功するかどうかは、今後の日本経済の動向次第といったところです。

 

 

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まとめ

リフレ経済は市中に出回るマネーサプライを増やすことで、緩やかインフレを目指す経済理論です。

アベノミクスの骨組みともいえる理論で、株式市場の活発化には貢献することになりました。

 

ただ、実体経済の成長に貢献したかと言われると、疑問が残る状態です。実際、

日本の物価上昇率は低水準で推移しており、リフレ政策は本来の目的をまだ達成できていない状況です。

 

マイナス金利政策など、更なるリフレ政策が実施されていますが、これが今後の日本経済を好転させるかどうか、まだまだ注視していかねばばりませんね。

 

以上、【リフレ経済とは?】アベノミクスの中心理論を解き明かす。…の話題でした。

 

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マネリテ!編集部は東京大学経済学部卒の証券アナリストを中心とした金融知識が豊富なメンバーが株式投資初心者に向けて有益な情報を提供しています。株式投資を行う意義から基本用語、おすすめのネット証券・投資先情報をお伝えするメディアです。日本人の金融リテラシーの向上と明るい未来を目指しています。