9月26日上場予定のIPO「HPCシステムズ」。
HPCシステムズは「人とコンピューティングのチカラで未来を創造していく」をコンセプトにHPC事業、CTO事業、CSC事業を提供している企業です。
今回はHPCシステムズとはどのような企業なのかを事業内容や業績をチェックしながら詳しくご紹介していきたいと思います。
また、HPCシステムズの気になる初値予想やIPOでの購入情報もご紹介していきます。
Contents
HPCシステムズのIPOスケジュールと各証券会社の割当
HPCシステムズの主幹事はIPOに強いSMBC日興証券です。
また当選株式数も3,198,500株と多く、当選しやすいIPOといえます。
また業種は人気のIT関連ということもあり、入手しやすく、初値もそこそこ期待できる案件であるといえます。
HPCシステムズのIPOスケジュール
ブックビルディング期間 | 9月9日(月)~9月13日(金) |
市場 | 東証マザーズ |
公募価格決定 | 9月17日 (火) |
購入申し込み期間 | 9月18日(水)~9月24日(火) |
上場予定 | 9月26日(木) |
当選株式数 | 3,198,500株 |
仮条件価格 | 1930円-1990円 |
仮条件価格ですが、想定価格を下限に1,930円~1,990円に決定しました。
当選株式数が3,198,500株と比較的当たりやすいにもかかわらず、この強気の仮条件価格の設定は、初値に期待が持てる価格であるといえます。
HPCシステムズの各証券会社の割当*2
証券会社 | 株式数 | 割当率 |
SMBC日興証券(主幹事) | ||
SBI証券(副幹事) | ||
みずほ日興証券 | ||
東海東京証券 | ||
むさし証券 | ||
岩井コスモ証券 |
*2:割当率や株式数などは、仮条件決定時(9月6日)付近に発表されます。
HPCシステムズの事業内容
当選株式数が3,198,500株と多く、参加しやすいIPO 、HPCシステムズ。
ここでは気になるHPCシステムズの事業内容をご紹介していきます。
HPCシステムズの基本スペック
社名 | HPCシステムズ株式会社 |
設立 | 2006年 7月3日 |
本社所在地 | 東京都港区海岸3-9-15 LOOP-X 8階 |
代表取締役 | 小野 鉄平 |
従業員数 | 86名 |
資本金 | 1億5300万円 |
事業内容 | ・HPC事業(High Performance Computer事業) ・CTO事業(Configure To Order事業) ・CSC事業(Computational Science Consulting事業) |
HPCシステムズの事業内容
HPCシステムズは「人とコンピューティングのチカラで未来を創造していく」をコンセプトにHPC事業、CTO事業、CSC事業を提供している企業です。
ここではわかりやすくHPCシステムズの業務内容をご紹介していきます。
<<ⅰ.HPC事業>>
HPC事業では、科学技術計算向け高性能計算機の開発・製造・販売事業を行っています。
具体的には、大学・官公庁の研究開発機関が行う科学技術計算に対応した高性能計算機の開発・製造・販売、研究内容によって使用される計算手法、
計算能力等に応じて最適なシステムを提案及びインテグレーションを実施しています。
主な製品はクラスタ型コンピュータ、パーソナルクラスタシステムです。
<<ⅱ.CTO事業>>
CTO事業では、産業機械向け組込型計算機の開発・製造・販売事業を行っています。
具体的には、産業用機械を制御する組込型計算機の開発・製造・販売、お客様の用途・要望にあった特殊構成システムの提案等を実施しています。
<<ⅲ.CSC事業>>
CSC事業では計算科学コンサルティング事業を行っています。
具体的には、アプリケーションの高速化、簡便化および製品化、技術者・研究開発者向けセミナーの主催などを行っています。
HPCシステムズの上場理由とは?上場で得た資金の使い道を探ろう!
HPCシステムズは上場して得た資金をどのように活用するのでしょうか?
ここでは目論見書から資金のつかいみちを探っていきたいと思います。
新規発行による手取り金額
HPCシステムズは上場することにより手数料を引いた手取り金額で額250,179千円の資金を獲得します*3。
*3:有価証券届出書提出時における想定発行価格(1,930円)を基礎として算出した見込額です。
手取り金の使途
- ソフトウエア開発費及びクラウド用サーバー増設費 135,000千円
- 検証用サーバー取得費 90,000千円
- 工場設備投資 15,000千円
- 人件費 10,179千円
やはり気になるのは人件費への支出です。
現状の経営状態では、従業員への給料も支払うことができないのかと勘ぐってしまいます。
目論見書からみる『HPCシステムズ』の売上高と利益推移
ここではHPCシステムズの業績を分析していきたいと思います。
堅調な売上高
HPCシステムズの売上高は順調に右肩上がりに推移していることがわかります。
特に2015年度以降の伸びは成長企業を彷彿とさせる伸び率です。また、2019年度も3Qで去年の売上高を超過しているため、本決算が楽しみであるといえます。
売上高(千円) | |
2014年6月期 | 369,610 |
2015年6月期 | 2,585,768 |
2016年6月期 | 2,895,869 |
2017年6月期 | 3,900,793 |
2018年6月期 | 4,053,088 |
2019年3月期 | 4,521,946 |
当期純利益 (損失)
当期利益ですが、売上高が飛躍的に伸びた2015年に黒字化していることがわかります。
また、近年も順調に利益を拡大していることがわかります。
当期純利益(千円) | |
2014年6月期 | -30,140 |
2015年6月期 | 42,405 |
2016年6月期 | 38,994 |
2017年6月期 | 162,961 |
2018年6月期 | 189,852 |
2019年3月期 | 267,353 |
1株あたり利益(EPS)も順調
株価は『EPS×PER』で算出することができます。
EPSは『1株あたりの純利益』です。
たとえ利益自体が増加基調であっても発行済株式数が増加すれば1株あたり純利益は増加しません。
1株あたり利益も当期純利益同様に順調に推移していることがわかります。
見てきたようにHPCシステムズの業績は順風満帆といってよいでしょう。
1株あたり利益(円) | |
2014年6月期 | -7.46 |
2015年6月期 | 10.50 |
2016年6月期 | 9.65 |
2017年6月期 | 40.34 |
2018年6月期 | 46.99 |
2019年3月期 | 66.18 |
HPCシステムズの上位10位までの大株主とロックアップ情報
ロックアップとは、株式が公開された後に一定期間、市場で持株を売却することができないようにする制度のことです。
株主 | 保有比率 | ロックアップ情報 |
TKTH投資事業有限責任組合 | 70.10% | 180日間 |
菱洋エレクトロ(株) | 10.34% | |
ナラサキ産業(株) | 6.41% | |
小野 鉄平 | 3.06% | |
椎名 訓子 | 1.03% | |
(株)ハイアテック | 0.92% | |
長谷川真樹 | 0.69% | 180日間 |
関 浩行 | 0.65% | |
齋藤 正保 | 0.65% | |
廣石 昭彦 | 0.59% |
HPCシステムズのロックアップの設定はバラバラでロックアップのかかっていない大株主も存在することがわかります。
HPCシステムズの大株主はベンチャーキャピタルのTKTH投資事業有限責任組合の保有割合が70.10%と、保有に隔たりがあることがわかります。
よって、売り圧力に関してはTKTH投資事業有限責任組合の出方次第ということになります。
気になるHPCシステムズの初値予想!
ここでは編集部独自のHPCシステムズの初値予想を公開していきたいと思います。
HPCシステムズの総合評価
<<ⅰ.HPCシステムズ購入のメリット>>
- IPOは上値抵抗がないため、株価が上がりやすい傾向がある
- HPCシステムズの当選株式数は3,198,500株と当選しやすいIPOである
- 花形業種のIT関連で人気化しやすいセクターであること
- 業績も成長企業を感じさせる内容であること
- 業務内容も、今後の将来性があるセクターであること
- それなりの初値形成が予測されること
- IPOで好まれやすいAI、ビッグデータ、5G、コネクテッドカー関連の銘柄であること
- 主幹事がIPOに強いSMBC日興証券であること
<<ⅱ.HPCシステムズ購入のデメリット>>
- 大株主の構成が極端になっておりベンチャーキャピタルであるTKTH投資事業有限責任組合が7割も保有していること
- 初値から暴騰するには株式数が多いこと
- 好業績であるのに、新規発行による手取り金の使途に、人件費が含まれていること。また、工場設備投資の内訳をみると空調設備更新と事務所移転費用となっており、いささか将来に向けた投資といい難い内容であること
HPCシステムズの初値予想は4500円以上!
2019年3月期のEPSは66.18円なので、2019年6月期の年間決算は約90円程度となってきます。
保守的に過去3年間のEPS成長率をみると49.3%となっています。(過去4年だと年率90%となっています。)
予想PERを50円と見積もると初値は4500円程度となります。
非常に魅力的なIPOということができるでしょう。
まとめ
9月26日上場のHPCシステムズ。当選株式数が多く参加しやすいIPOであるといえます。
また、人気化しやすい花形業種のIT関連のため、枚数が多くても公募割れしにくいIPOであるといえます。
しかし、想定PERが40倍近く、想定PBRも8倍以上と割高設定であるため初値での暴騰は期待しにくいといった側面もあるので注意が必要です。
よって、HPCシステムズは当たればラッキーで、スピードトレードでいったん利確の様子見スタンスが良い銘柄であると考えます。
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