出光興産は石油元売り2位の企業です。
2019年4月1日、経営統合により昭和シェル石油を完全子会社化しています。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から出光興産の今後の株価推移を分析していきたいと思います
■ 投資判断基準:長期「買い」
以下の点を総合的に勘案し、出光興産は長期「買い」と予想。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結経常利益は前の期比25.3%減の1691億円であるが、20年3月期は前期比35.1%増の2285億円とV字回復を見込んでいること。
■ 指標関連:
▷ ROEとROAも2017年から安定していること。
▷ 予想PER 3.7 倍、予想PBRは0.71倍でともに異常なほど割安水準であること。
■ 競合他社比較:
▷ 業績の安定感と事業規模からJXTGホールディングスが一歩リード。しかし投資妙味や配当の高さから出光興産の投資効率がよさそうであると判断できること。
■ 株主還元情報:
▷ 今期の年間配当は前期比60円増の160円に大幅増配
■ テクニカル的な判断:強い買い
▷ 現在エリオット2波の買い場。3波待ちの状況。
Contents
出光興産とは?
出光興産はエネルギー・ソリューションプロバイダーとして、石油事業とエネルギーソリューション事業を行っている企業です。
ここでは出光興産の事業内容を解説していきたいと思います。
①:燃料油
原油調達、石油製品の製造、販売を行っています。
②:基礎化学品
オレフィン、アロマなどの生産、販売を行っています。
③:高機能材
有機EL材料、特殊ポリカーボネート樹脂、機能性コート剤の製造販売や、EV用全固体電池材料の研究開発を行っています。
④:電力・再生可能エネルギー
高効率火力発電所の運営、供給・卸売・小売だけではなく、太陽光・風力・バイオマス・地熱発電などにも取り組んでいます。
⑤:資源
石油・天然ガス田の探鉱・開発・生産、石炭鉱山の保有・生産・販売、ウラン鉱山の権益保有・生産を行っています。
出光興産の過去10年の業績推移(PL)
ここでは出光興産の過去10年間の業績推移を見ていきます。
下記は出光興産の過去10年の業績推移です。

売上高は3,112,305百万円~5,034,995百万円のレンジ推移になっています。
比較して、本業を表す営業利益は激しいアップ・ダウンをしています。
これは国際石油開発帝石やJXTGホールディングス同様に原油価格に影響された結果といえます。

下記は原油先物の月足チャートです。
2014年から2016年にかけて大きく下落していることがわかります。
比較して出光興産の営業利益ですが、同様に2014年から2016年にかけて大きく下落していることがわかります。
よって、出光興産の業績は原油価格に大きく左右されることがわかります。
気になる現有価格相場ですが、テクニカル的には逆三尊(テクニカル的な底打ちサイン)を付けて現在推移しています。
よって底打ち完了で今後は上昇していく可能性が高いといえましょう。
出光興産が5月15日に決算を発表しました。
19年3月期の連結経常利益は前の期比25.3%減の1691億円、20年3月期は前期比35.1%増の2285億円を見込んでおり、
2期ぶりに過去最高益を更新すると公表しています。
また配当に関しては、今期の年間配当は前期比60円増の160円に大幅増配するとしています。
出光興産のROEとROA
出光興産のROEとROAも営業利益同様、原油価格に沿った推移をしています。

よってROEとROAも営業利益同様落ち着きを取り戻し、ここ3年間は日本の東証一部の平均値を超えて推移しています。
よって、出光興産のROEとROAは回復傾向にあるといえます。
出光興産の経営計画を紐解く
ここでは出光興産の経営方針や、セクター別の業績などを比較検討していきたいと思います。
①:出光興産の3つの経営ビジョン
・多様なエネルギー・素材を、安定的に届けます
・培ってきた課題解決力を、世界に展開します
・変化への適応性に富む、レジリエントな企業体を作ります
②:セグメント情報
出光興産セクタートップの稼ぎ頭は石油製品です。

また2位は資源になっています。
よって、出光興産の業績は原油価格や資源価格に影響を受けやすい体質であることがわかります。
③:昭和シェル石油との合併への歩み
2015年7月 | 出光興産と昭和シェル石油が経営統合に向けた協議を開始 |
2017年5月 | 協働事業を強化・推進する趣意書を締結 |
2018年7月 | 経営統合に関する合意書を締結 |
2018年10月 | 株式交換契約の締結 |
2018年12月 | 両社臨時株主総会にて株式交換契約等経営統合に関する事項承認 |
2019年4月 | 出光昭和シェル発足 |
発足したばかりの出光昭和シェル。
国内2位とはいえ、1位であるJXTGホールディングスとは売上高も営業利益も倍以上の差があります。
今後の事業展開が楽しみです。
出光興産のテクニカル分析
ここでは出光興産は買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
出光興産の過去10年の株価推移
6年続いたレンジ相場を2017年にブレイク。

「持合いは放れに付け」の相場格言通りの株価推移といえます。
また株価推移は、日経平均株価ではなく、原油相場に連動することをチャートから見て取ることができます。
出光興産のテクニカル分析
2017年からの1,597円から6,430円の上昇はエリオット波動の1波であること考えられます。

理由としては、1波終了後に株価が急落しているからです。上昇波動終了後に急落するのはエリオット波動1波の特徴です。
よって、現在の株価の下落はエリオット波動2波であると考えられます。エリオット波動2波は「買い場」です。
よって、出光興産はテクニカル的に「買い」判断といえます。
テクニカルから見た出光興産
長期強い「買い」の判断です。2017年の持合いからのブレイクはエリオット第1波、現在は第2波であるとの判断からです。
今後最も大きな上昇波動であるエリオット波動3波が来ると考えられます。
ただし、これは月足での判断です。よって底打ち=V字回復との流れにはなりにくいため、長期現物投資をお勧めします。
出光興産の競合他社比較
出光興産(5019)を同業であるJXTGホールディングス(5020)と比較検討していきます。
出光興産 | JXTGH | |
PER | 3.7 倍 | 5.4 倍 |
PBR | 0.71 倍 | 0.63 倍 |
配当利回り | 5.29% | 4.27% |
ROE | 9.67% | 11.86% |
ROA | 2.82% | 3.80% |
①:PER
日経平均株価の平均はPER13~14倍です。
よってPERは出光興産の3.7倍、JXTGホールディングスの5.4倍と極端に割安になっていることがわかります。
②:PBR
日経平均株価の平均PBRの2倍ですので、PBR1倍以下の両社は割安であるといえます。
③:配当利回り
配当利回りは出光興産の5.29%、JXTGホールディングスの4.27%とセクター的に高いということができます。
また株主優待は両社設定されていません。
④:決算予測
ⅰ.出光興産
19年3月期の連結経常利益は前の期比25.3%減の1691億円、20年3月期は前期比35.1%増の2285億円に拡大を見込んでいる。
ⅱ.JXTGホールディングス
19年3月期の連結税引き前利益は前の期比8.8%増の5086億円、20年3月期も前期比1.3%増の5150億円に伸びを見込んでいる。
⑤:競合他社比較総合
石油系セクターは日経の出遅れ・割安セクターであるといえます。
業績の安定感と世界シェアを考えた場合、JXTGホールディングスが有利ですが、配当は出光興産が高くなっています。
セクター2位の企業のほうが株価推移は乱高下しやすいことから、
出光興産への投資のほうが投資効率が良くなる可能性が高いといえます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面から出光興産の今後の株価推移を分析してきました。
テクニカル的にはエリオット波動2波で長期「買い」であると判断できます。
またファンダメンタルも業績に連動しやすい原油価格が上昇に転じていることから、「買い」と判断できます。
よって、出光興産は安いところは積極的に拾いたい銘柄といえます。
コメントを残す