REIT投資の分析に欠かせない「NAV倍率」。
NAV倍率とはREIT投資をする際に必ず確認すべき項目であり、今回のコンテンツで詳しく紹介していきます。
REIT投資を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
Contents
REITとは
すでに「【REITとは?】少額で不動産オーナーに?J見通しを徹底解説。」で解説していますが、ここでも少し触れていきます。
「REIT(リート)」は不動産投資信託のことです。
上場株式と同様に市場で取引することが可能な金融商品です。
REITの特徴としてじゃ、投資家から資金を集めます。
その資金で、ビルや住宅など様々な不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配します。
一般的に不動産投資には多額の資金が必要です。
そのために、金融機関から借り入れを行い、負債を抱えなければならないことがほとんどです。
しかし、REITは少額から投資ができますので不動産投資を行いたい個人投資家に人気があります。
また、REITは税制上のメリットがあります。
そのメリットとは利益のほぼ全てを投資家に分配することを条件に利益に税金が発生しないという点です。
これによりREITとは、株式に比べ配当利回りが高いという傾向があります。
株式の場合は、税前利益から法人税が徴収された後に投資家に配当金されます。
従い、税金の分、REITは配当原資が多くなります。
また、通常は株式投資の場合利益を全て配当には回しません。
その点、REITの方が配当面では魅力的なことが多いです。
2019年6月時点では、ほとんどのREITは配当利回りが3%を超えています。
また、4%を超えているものも多くあります。
平均分配金利回りは4%近い水準ですので株式の配当利回り平均2%程度に比べかなり高くなっています。
REITは不動産に特化した金融商品ですので、分析にはREITが保有する不動産を評価する必要があります。
REITを分析する際に利用する指標が、今回の本題のNAV倍率です。
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NAV倍率とは
NAV倍率を用いることでREITの割安度を測ることができます。
NAV倍率とは、REITの保有する純資産に比べて投資口価格が何倍なのかという指標です。
株式投資でいうところのPBRであり、1倍を下回っていれば割安とみることができます。
NAVとは「NET ASSET VALUE」の略語であり、純資産価値のことです。
純資産は資産全体から負債などを引いて計算します。
NAV倍率の計算式は以下のとおりです。
■ NAV倍率の計算式:
【投資口価格÷1口あたりNAV】
【NAV=保有不動産の評価額-借入金などの負債】
2019年現在、ほとんどのREITはNAV倍率1倍程度となっています。
REITの価値は保有する不動産の価値と言えますので、通常は投資口価格が1口あたりNAVと同程度になります。
従い、NAV倍率が1倍を下回っている場合は割安と言えますし、NAV倍率が1倍を大きく超えている場合は注意が必要です。
何故NAV倍率1倍を割安割高の基準と考えるのでしょうか?
理由としては、理論上NAV倍率が1倍を下回っている場合、保有している不動産を全て売却すれば投資口価格以上の利益が出るからです。
「NAV」は純資産を表し、NAV倍率が1倍を下回っているということは、1口あたりNAVが投資口価格より高いということなのです。
簡単に言ってしまえば1,000円の価値がある商品が900円で売られているような状況になります。
このような状況であれば購入後すぐに商品を売却すれば利益を得ることができますので割安と言えるのです。
ただし、実際には不動産はそんなに簡単に売却できず、売却したとしても手数料などのコストが発生しますのであくまで理論上の話になります。
株式の場合は企業の行っている事業の成長性などを加味してPBRが数倍になるような銘柄が多数あります。
しかし、REITは実物不動産の賃料が主な収益となり、不動産の賃料は急激に変動するものではありません。
賃貸住宅の家賃が毎月変動しては困りますよね。
つまり、株式に比べて収益が安定しているREITの場合はNAV倍率が2倍以上になるようなことは通常ありません。
NAV倍率が極端に高いあるいは低いREITは何か特別な理由がある場合が多いので安易に投資しないようにしてください。
このようにNAV倍率はREITの割安度を測る他、何か問題を抱えていないか確認する際にも活用できます。
REITに投資する際には必ずNAV倍率を確認するようにしましょう。
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NAV倍率の活用
NAV倍率で割安度を測る目安は1倍だということは前述のとおりです。
しかし、投資家は将来を予測して投資します。
現在の投資口価格と純資産額の指標であるNAV倍率と投資家の考える将来価値は異なります。
あるREITの保有する不動産は今後価値が高まると考える投資家が多ければ、その時点のNAV倍率は割安でなくても買われ、NAV倍率が1倍を超えていきます。
逆に将来値下がりする不動産を保有しているとみなされればNAV倍率が1倍未満であっても買われることはありません。
このようにNAV倍率が1倍に近い水準になっていない場合は、投資家が考える将来の不動産価値が現在の不動産価値と違う可能性があります。
「NAV倍率が1倍を下回っているから割安だ」と安易に判断せずに、REITの保有不動産をしっかりと確認することが必要です。
不動産に関わる経済指標は多く発表されており、それらと比べて総合的に判断することで本当に割安かどうかが判断できます。
例えばオフィスビルの市況を判断するのであれば、三鬼商事がオフィスビルの空室率や平均賃料などを発表しています。
こういった指標を確認し、今後オフィスビルの価値が高まっていくと考えるのであれば、オフィスビルを保有するREITのNAV倍率が多少1倍を上回っていても割安と言えるかもしれません。
もし、オフィスビルに投資するREITの中でNAV倍率が1倍を下回っているものがあればお宝銘柄になる可能性もあります。
NAV倍率を活用する際には、不動産市況を確認した上で将来価値を加味して投資判断するようにしましょう。
不動産には住宅、オフィス、物流施設、商業施設など様々なタイプがあり市況はそれぞれ異なります。
多くの投資家は、それぞれの不動産タイプの将来の市況を判断した上で投資をしています。
物件タイプが同様のREITであればNAV倍率も近い数字になることが多いです。
従い、NAV倍率を用いてREITの比較をする際には、同じような物件を保有するREIT同士で比較する方がより的確に判断することができます。
オフィスビルREITと住宅REITのNAV倍率を比べてどちらが割安だと言っていても、オフィスビルと住宅ではそもそも市況が全く異なるかもしれません。
状況が異なるREIT同士のNAV倍率を比べても、本当に割安なのかはわかりません。
誤った投資判断になる可能性もありますので注意が必要です。
NAV倍率を活用する際には以上の点に注意するようにしましょう。
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まとめ
今回はREITの割安度を測る指標NAV倍率について、指標の意味と活用方法を紹介しました。
最後に重要点をまとめますと以下の通りです。
■ 今回の総括:
- NAV倍率はREITの価格を1口あたり純資産で割ったもので株のPBRに近い指標
- NAV倍率は1倍を下回っている場合、純資産が投資口価格を上回っているので理論上は割安といえる
- NAV倍率は時価評価なので、投資家が
- SPCは本社とは独立しておりお互い影響を受けない
- M&AにもSPCは利用されている
NAV倍率はREITを分析する際には欠かせない指標です。
REIT投資を検討されている方はぜひこの記事を参考にNAV倍率を用いてREITの分析を行ってみてください。
以上、不動産投資信託・REITの分析に欠かせない重要指標「NAV倍率」とは? 徹底解説。…でした。
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