さて、ビッグマック指数とは、英語で「Big Mac Index」と呼ばれ、「一物一価」の法則を用いて購買力平価を求めることができるものです。
目次
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ビッグマック指数(Big Mac Index)とは
上記で、ビッグマック指数とは「一物一価」(いちぶついっか)の法則を用いて、購買力平価を求めるとしました。
そもそも一物一価の法則とは、購買力平価とはどのようなものなのか理解していきましょう。
一物一価の法則
例えば、ある時点における同一の価格が1つではなく、異なるものがあるとします。
取引が自由な市場において買手は当然、安いほうへ移り、高価格の売手は価格を引下げざるをえなくなります。
結果的に、価格は一定の水準に調整される仕組みが存在するということです。
例えば、他の例でイメージすると、ビッグカメラでパソコンが10万円で販売されていたとします。
隣ではヤマダ電機が同じパソコンを8万円で販売しています。
消費者であるお客さんは当然ヤマダ電機でパソコンを購入するようになります。
ビッグカメラも慌てて値段を下げ、最終的には価格が一定するということですね。
購買力平価
購買力平価(こうばいりょくへいか)
為替レートの決定メカニズムの仮説の一つ。ある国の通貨建ての資金の購買力が、他の国でも等しい水準となるように、為替レートが決定されるという考え方。
あるモノが日本で120円、米国で1ドルである場合、1ドル120円であれば、120円(1ドル)は日本でも米国でも、それを1単位として購買する力を持っており、購買力平価が成立していることになる。
購買力平価の問題としては、「日本ではハイテク製品は安い・・・」というように、モノによって購買力を等しくする為替レートが異なることである。現在の状況では、消費者物価指数対象品目では1ドル=200円程度、卸売物価指数対象品目では1ドル=160円程度が購買力平価とされている。
購買力平価のユニークな計算方法として、マクドナルドのビッグマックの価格に基づいた購買力平価があげられる。どの国においても全く同一の商品で比較可能な対象商品として優れているうえ、この商品の場合、農畜産物、工業製品、人件費、物流コスト、サービス費用等の多くの要素費用を含んでおり、財・サービス全般の平均としての購買力平価を表示するものとして優れている。
(引用:野村證券「証券用語解説集」)
購買力平価は、スウェーデンの経済学者カッセル氏によって提唱された長期にわたる為替レートの決定理論です。
購買力平価説には「絶対購買力平価」と「相対購買力平価」がありますが、ビッグマック指数が関係するのは「絶対購買力平価」です。
それに対して、相対的購買力平価は「インフレ率」の差によって為替レートを決定する、というものです。
インフレ率が高い方が通貨安になるという考えの下、相対的に為替レートを割り出す方法なのです。
ビッグマック指数のまとめ
加えて、ビッグマックの価格に現在の為替レートを掛け合わせることにより、「物価水準」を測ることも可能です。
例えば上記と同じように、ビッグマックが米国で3米ドル。
日本で300円だとして、現在の為替レートが1米ドル=110円。
それを掛け合わせると米国のビッグマックの日本円換算は330円となります。
330円と300円。
これはつまり、米国の方が日本より物価が高いということが言えるようになります。
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ビッグマック指数の違和感
上記で、ビッグマック指数から物価水準は測れると紹介しましたが、違和感が残るのです。
例えば、アジア新興国などの物価を現地のスーパーなどで見ると、よくわかるかと思います。
ビッグマック指数の物価水準は実態とは乖離しているのです。
例えば、インドなどのマクドナルドでは、階層の高い人や外国人がターゲットとされており価格設定も米国とは異なります。
日本はデフレスパイラルに陥っています。
ダンピング競争がこの30年間続いており、実態に対してビッグマックバーガーが低い価格に設定される傾向もあるのです。
これはつまり、世界中に売っているビッグマックバーガーでさえ価格変動があり、一概に、一物一価の法則が成り立つとは限らないということです。
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現在のビッグマック指数
現在のビッグマック指数の水準はどうなっているのでしょう?
2019年1月時点で、日本のビッグマックは390円で米国のビックマックは5.58米ドルとなっています。
2019年の1月は108円〜110円の水準であり、ビッグマック指数から考えると、大幅に円安に評価されていることがわかります。
ビッグマック指数からみる世界各国の物価と為替の関係は2019年1月時点で以下のようになっています。
日本はアジアのタイ、韓国、南米のコロンビア、チリ、ブラジルよりも物価が低い点は特筆すべき結果ではないでしょうか。
A Big Mac costs ¥390 in Japan and US$5.58 in the United States. The implied exchange rate is 69.89. The difference between this and the actual exchange rate,108.44, suggests the Japanese yen is 35.5% undervalued
A Big Mac costs SFr6.50 in Switzerland and US$5.58 in the United States. The implied exchange rate is 1.16. The difference between this and the actual exchange rate, 0.98, suggests the Swiss franc is 18.7% overvalued
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ビッグマック指数まとめ
ビックマック指数について解説しました。
実際には一物一価の法則・絶対購買力平価による為替レート推測は、それぞれの国に合わせたマーケティング、販売戦略を考えると成立するのは難しいです。
しかし、指標としてはある程度目安にはなります。
各国の相対的な物価水準を大まかに知りたい時に、活用すべき指標といえるでしょう。
以上、ビックマック指数とは?一物一価の法則・購買力平価の概要解説と世界各国のBig Mac Indexからみる日本経済について。…の話題でした!