「賞与」は月々の給料とは別に支給されます。
「ボーナス」は、サラリーマンにとっては特別嬉しいものですよね。
その賞与の明細を見て、額面の支給額と実際に振り込まれる金額との違いに驚かれた経験のある方も多いのではないでしょうか?
今回は意外と多くの人が知らない「賞与にかかる税金」の計算方法について紹介します。
今回のコンテンツで、ぜひ自分で手取り額の計算ができるようになってください。
目次
賞与にかかる所得税の計算方法
賞与にかかる所得税の計算方法は、毎月支給される給料の所得税計算とは異なります。
その計算方法は、賞与金額と前月の給料金額(社会保険料等控除後)、扶養親族人数によって決まります。
- 賞与金額
- 前月の給料金額(社会保険料等控除後)
- 扶養親族人数
例えば、独身者(扶養親族0人)で社会保険料等控除後の給料が40万円の人が100万円の賞与を支給された場合は14.294%が所得税額となるので、142,940円が所得税として徴収されます。
- 100万円の賞与
- 社会保険料等控除後の給料が40万円
- 独身者(扶養親族0人)
所得税:142,940円
つまり、賞与額が同じ100万円でも「前月の給料」が多ければ源泉所得税は多く徴収されるということになります。
先ほどの例では前月の給料(社会保険料等控除後)が40万円としました。
30万円だった場合は8.168%が源泉所得税となりますので、81,680円が所得税となるのです。
もちろん、最終的には年末調整時に年間総収入額によって所得税の計算が行われます。
1年間で見れば損得がありません。
賞与の明細だけ見た時は同じ金額なので、疑問が湧いてしまいますよね。
その理由が上記のような賞与にかかる所得税の特殊な計算方法にあるのです。
また、住民税については賞与からは徴収されません。
賞与は支給されない場合もありますので、住民税の特別徴収は毎月の給料から行われることとなっているからです。
そのことから、賞与の明細には住民税徴収の金額がありません。
ただし、賞与金額を含んだ年間収入を元に来年度の住民税が特別徴収(毎月給料から天引き)されます。
実質的には賞与の住民税を毎月の給料で払っているようなものです。
(目次に戻る)
賞与にかかる健康保険料の計算
賞与から徴収されるのは所得税だけではなく、皆さんが加入している健康保険の掛け金も徴収されています。
賞与額から1000円未満を切り捨てた金額を標準賞与額といい標準賞与額に保険料率をかけて計算します。
賞与から徴収される健康保険料の保険料率は月々の給料から引かれている保険料率と同様となっています。
健康保険料は都道府県によって異なる場合があります。
それは「全国健康保険協会のサイト」で確認ができます。
例えば、東京都の場合ですと健康保険料率は9.9%、40歳以上の方はこれに介護保険料が加算され11.63%となります。
保険料率をかけて算出した保険料を会社と折半して支払うことになります。
実際に賞与(給料)から引かれる金額は、9.9%あるいは11.63%の半分です。
一応、標準賞与額には上限がありますが上限額は年間573万円となっています。
ほぼ全ての人にとっては関係ありません。
ちなみに平成15年3月までは賞与には健康保険料がかかりませんでした。
従い、それ以前に賞与をもらっていた方はもっと手取りが多かったのです。
賞与には健康保険料がかからず給料のみかかるとすると、給料を減らして賞与を増やすことで全体の金額は同額のまま保険料を低くするということが可能だからです。
このことが問題となり、賞与からも保険料を徴収する総報酬制が導入されることとなりました。
(目次に戻る)
賞与に係る厚生年金掛金の計算
賞与から引かれるお金はまだあります。
「年金の掛金」も賞与から引かれるのです。
掛金率は18.3%で実際に引かれる金額は会社と折半ですので9.15%となります。(平成31年3月現在)
掛金率は毎月の給料と同じです。
詳しくは「日本年金機構のサイト」で確認ができます。
算出方法は健康保険料と同じように賞与金額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に上記掛金率をかけて求めます。
厚生年金掛金の標準賞与額の上限は150万円となっています。
それ以上賞与を支給された場合も150万円として計算します。
年金の掛金も健康保険料と同様に昔は賞与からは徴収されていませんでした。
総報酬制の導入により健康保険料と同じく平成15年4月から徴収されることとなりました。
(目次に戻る)
賞与の手取り額を計算してみよう
賞与からは紹介した通り、所得税、健康保険料、厚生年金掛金がひかれます。
例として、40歳以上の方で社会保険料控除後の給料が40万円、扶養親族0人、賞与100万円という条件で手取りはいくらになるのか計算をしてみましょう。
- 所得税……142,940円(14.294%)
- 健康保険料……58,150円(11.63%の折半)
- 厚生年金保険料……91,500円(18.3%の折半)
合計:292,590円
合計で292,590円が引かれますので手取りは707,410円となります。
およそ3割は税金などで引かれてしまうのです。
このように賞与の支給額と手取り額は大きく異なります。
賞与の税金計算は通常の給料と異なり、思ったより手取りが少ないというようなことが多々あります。
上記計算方法をぜひ知っておいてください。
(目次に戻る)
まとめ
賞与にかかる税金の計算方法について紹介しました。
最後に重要点をまとめます。
- 賞与からは所得税、健康保険料、厚生年金保険料が天引きされる
- 賞与にかかる所得税の計算方法は月々の給料と異なり、前月の給料額も算出対象となる
- 健康保険料は40歳未満の場合9.9%、40歳以上の場合は11.63%の半分
- 厚生年金保険料は18.3%の半分
以上4点が重要点としてあげられます。
ぜひこの記事を参考にしていただき、賞与にかかる税金などについてどれくらいかかるのか計算できるようになってください。
以上、ボーナスの住民税はいつから掛かる?賞与にかかる税金の計算方法を正しく理解しよう。…の話題でした。