配当王という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
配当貴族は25年以上増配を続けている銘柄のことを指します。
日本には花王しか配当貴族銘柄はありません。
しかし、米国にはP&Gやコカコーラをはじめとして数多くの配当貴族銘柄が存在しています。
貴族がいれば、王もいうのは世の習わしです。
配当貴族が存在していれば、配当王も存在しているのです。
今回は、配当貴族の上位概念である配当王についてお伝えしていきたいと思います。
目次
Contents
配当王とは?投資・保有するメリットは?
それでは配当王とはどのような銘柄なのか?
どのようなメリットがあるのかを見ていきたいと思います。
配当王銘柄とは?
配当貴族は25年以上増配を実施していてる銘柄とお伝えしました。
当然、貴族よりも王の方が位が高いのは皆さんご存知の通りです。
配当王銘柄というのは増配を50年間続けている銘柄のことを言います。
50年間というと1970年から増配を実現しているという途方もない記録を達成している銘柄群です。
第二次世界大戦は75年前に集結しました。
第二次世界大戦が終了してわずか25年後からずっと増配し続けている驚異的な銘柄であることがわかりますね。
配当王のメリット
配当王銘柄も基本的なメリットは配当貴族と変わりません。
配当王銘柄という名前に似合わず現時点での配当利回りは高いわけではありません。
しかし、ずっと長期保有することで保有した簿価ベースでの配当利回りは増加し続けます。
例えば現時点では株価10,000円の銘柄に対して配当金が200円だとします。
現時点での配当利回りは2%と一般的な配当利回りの水準です。
一方、50年前にまだ株価が500円だった時に投資をしたとします。
50年後の現時点では持値500円に対して配当金が200円なので配当利回りは40%となるのです。
長期保有をすることで高いインカムゲインを獲得し続けることが出来るようになるのです。
配当王と配当貴族に適用される毎年増配の基準について
一言に毎年増配といっても二つの定義があります。
暦年基準での増配について-連続10四半期増配しなくても増配認定-
通常の米国企業では四半期毎に増配を実施します。
代表的な毎年増配の基準としては暦年基準があります。
暦年基準では文字通り、暦の年数に応じて増配が実施となれば増配と認定します。
つまり四半期毎に増配しなくても毎年増配と認定されます。
以下の通り最大10四半期増配しなくても毎年増配記録が途切れることはありません。
1月-3月 1Q | 4月-6月 2Q | 7月-9月 3Q | 10月-12月 4Q | 年間 | |
2018年 | $1.0 | $1.2 | $1.2 | $1.2 | $4.6 |
2019年 | $1.2 | $1.2 | $1.2 | $1.2 | $4.8 |
2020年 | $1.2 | $1.2 | $1.2 | $1.4 | $5.0 |
会計年度基準での増配について
一方、各企業にはそれぞれの決算期があります。
日本では3月が決算月の企業が多いですが、米国では12月が決算月の企業が一般的です。
米国企業でも3月が決算月の企業もありますし、6月が決算月の企業もあります。
暦年基準ではなく、自らが設定している会計年度基準での増配を達成している銘柄も存在しています。
一般的には暦年基準ですので、会計年度基準は参考までという感じですね。
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配当王銘柄の一覧を紹介!
それでは実際の配当王銘柄の一覧をみてきましょう。
米国の配当王銘柄
米国の配当王銘柄は以下の通り増配年数65年のAWRをはじめとして25銘柄に登ります。
会社名 | 連続増配年 | 配当利回り (2020年2月) | 過去3年 増配成長率 | |
AWR | アメリカン・ステイツ・ウォーター | 65 | 1.36% | 7.07% |
NWN | ノースウェスト・ナチュラル・ガス | 64 | 2.51% | 0.48% |
DOV | ドーバー | 64 | 1.70% | 2.50% |
PG | プロクター・アンド・ギャンブル | 63 | 2.39% | 2.90% |
GPC | ジェニュイン・パーツ | 63 | 3.17% | 4.15% |
EMR | エマソン・エレクトリック | 63 | 2.71% | 1.28% |
MMM | スリーエム | 59 | 3.24% | 7.01% |
VVC | ベクトレン・コーポレーション | 59 | 2.50% | 0.20% |
CINF | シンシナティ・ファイナンシャル | 59 | 2.14% | 3.85% |
KO | コカ・コーラ | 57 | 2.78% | 2.63% |
JNJ | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 57 | 2.55% | 4.60% |
LOW | ロウズ | 57 | 1.84% | 13.12% |
LANC | ランカスター・コロニー | 57 | 1.72% | 7.56% |
CL | コルゲート・パルモリーブ | 56 | 2.45% | 2.65% |
ITW | イリノイ・ツール・ワークス | 56 | 2.47% | 14.38% |
HRL | ホーメル・フーズ | 53 | 1.99% | 11.00% |
TR | トーツィー・ロール・インダストリーズ | 53 | 1.05% | 0.20% |
TGT | ターゲット | 52 | 2.29% | 2.66% |
FRT | フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト | 52 | 3.30% | 1.98% |
ABM | ABMインダストリーズ. | 52 | 1.90% | 2.86% |
CWT | カリフォルニア・ウォーター・サービス | 52 | 1.49% | 3.14% |
SJW | SJWグループ | 52 | 1.61% | 11.32% |
SWK | スタンレー・ブラック・アンド・デッカー | 52 | 1.64% | 4.48% |
SCL | ステファン | 52 | 1.07% | 9.41% |
CBSH | コマースバンクシェア | 51 | 1.54% | 4.94% |
日本の配当王銘柄
日本では花王が唯一配当貴族銘柄ですが、増配記録50年以上の配当王銘柄は存在していません。
花王ですら連続増配記録は30年目となっており、あと20年かかります。
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配当王銘柄の高い成績
皆さんが気になるのは配当王銘柄のリターンだと思います。
配当気貴族指数のような配当王指数は存在しません。
そこで筆者が「Backtest Portfolio」で上記米国の配当王25銘柄を各4%ずつ組み入れたポートフォリオを組成しました。
以下が「配当王銘柄ポートフォリオ」(赤色)と「米国株全体を表すVTI」(青色)のチャートの比較です。
以下は配当金を再投資した場合の成績となります。
明らかに配当王指数のリターンが米国株全体のリターンを凌駕していますね。
データにして確認してみると以下となります。
年率リターン(CAGR) | リスク(標準偏差) | Best Year | Worst Year | |
配当王指数 | 11.36% | 11.80% | 29.03% | -11.91% |
米国株全体(VTI) | 8.51% | 14.33 | 33.45% | -36.98% |
配当王指数は米国株に比べてローリスクハイリターンの成績を残していることがわかりますね。
さらに特徴的なのはリーマンショックのようなショック発生時の下落耐性の強さです。
配当金を増配し続けている銘柄では株価が下落した時に、将来の配当利回りの増加を狙ってすかさず買がはいるのです。
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代表的な配当王銘柄
代表的な配当王銘柄を紹介していきます。
P&G:プロクター&ギャンブル
増配で有名な銘柄として外せないのはP&Gです。
現在63年間の増配を実現しています。
日本ではJOYやアリエール、ファブリーズといった生活用品のイメージが定着しています。
P&Gは卓越したマーケティング力を有した人材排出にも高い評価を得ています。
KO:コカコーラ
コカコーラはコカコーラ をはじめとした清涼飲料水を製造販売する企業です。
増配年数は57年を記録しています。
コカコーラはバフェット銘柄として有名で投資の神様が約30年保有し続けています。
ROEが非常に高く今後も世界市場規模の拡大により高い投資リターンを見込むことができます。
MMM:スリーエム
スリーエムは世界的な化学・電気素材メーカーです。
セロハンテープを発明したのもこの会社です。
増配年数は59年に突入しています。
現在ではヘルスケア、自動車関連、重工業、コンシューマーと業容を多角化させています。
近年業績が横ばいであることが懸念されるところです。
JNJ:ジョンソンアンドジョンソン
ジョンソン&ジョンソンはバンドエイドやコンタクトレンズなどの医療製品や、
外科手術等に使われる医療機器までを製造しているメーカーです。
増配年数は57年となっています。
業績も急回復をしており今後も期待できる銘柄となっています。
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まとめ
配当王とは50年以上毎年増配を実現している銘柄のことを指します。
2020年時点ではAWRの65年を筆頭に25銘柄が存在しています。
平均して配当王の成績は高く、米国株全体のパフォーマンスを大きくアウトパフォームしています。
特に金融危機発生時に下落耐性が強いことが魅力的な点です。
配当王銘柄を中心にポートフォリオを組み立てるのも良い選択肢といえるでしょう。
今回は配当王について特集してきましたが、株式投資には配当を狙っていく投資の他にも、グロース株やバリュー株投資などで大きくキャピタルゲインを狙っていく投資もあります。
投資の幅を広げるべく、2020年のコロナショックを機に始まった金融相場(最も株高が見込め、格差が広がっていく期間)でもある今、株式投資の勉強を本格的に行なっていきましょう。
以下のコンテンツでは、効率よく、正確に、実践に役立てる勉強方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。