政府が普及促進する「働き方改革」の中で、「副業」の認知度が急上昇しています。
そもそも副業とは本業とは別に副収入を得ることです。
自宅での内職や、それこそ株式投資、インターネットオークションで物販、などなど様々形態があります。
「働き方改革」は一部の企業では「効果がない」という声が聞こえるものの、副業への関心の高まりを見る限り、効果はありそうですよね。
厚生労働省が発信している通り、働く方のより良い将来の展望を持てるようになってきているのかもしれません。
「働き方改革」の目指すもの
我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
残業時間が減り、余暇が増えたことで、本業に従事する傍ら、副業収入を得ている方も多くなってきていると思います。
しかし、そういった状況の中で、副業で得た副収入に対する「所得税」の取り扱いはどうなっているのでしょうか?
一般的なサラリーマンの場合、勤務先で年末調整で完結しているため、自身で所得税を計算したことがないという人も珍しくないですよね。
今回は副業収入が生じた際の所得税の取り扱いや確定申告について解説していきたいと思います。
目次
副業における確定申告の必要性
「副業」、つまり本業とは別に収入が生じた場合、必然的に問題になってくるのが「所得税」に関してです。
ごく一般的なサラリーマンの方であれば、基本的に勤め先の方で全て計算や納税を行ってくれています。
そのため、自分で確定申告をしたことがないという人も多く存在します。
しかし副業を始めた場合は追加で所得税を払う必要が出てくる可能性があります。
もし払わなければそれは税金滞納となってしまいます。
後でごっそり追徴課税として支払わなければならなくなったりというリスクがあります。
「追徴課税」といえば2018年に面白い話がありました。
日経新聞でも報じられていましたが、大阪城公園のたこ焼き店はなんと「1億3千万円」の脱税の疑いを掛けられた話題です。
大阪城公園(大阪市中央区)で営むたこ焼きなどを売る店で得た所得を申告せず、約1億3千万円を脱税したとして、大阪国税局が軽食販売業、宇都宮タツ子氏(72)=同市西成区=を所得税法違反の疑いで大阪地検に告発したことが24日、分かった。客の多くはインバウンド(訪日外国人)という。
関係者によると、2014年1月~16年12月の所得約3億3千万円を申告せず、所得税を免れた疑いが持たれている。既に期限後申告し、所得税などを納付した。
(引用:大阪城公園のたこ焼き店、1億3千万円脱税疑い )
すでに期限後申告し納税していますが、所得申告をしなかったニュースで訪日外国人(インバウンド)の消費力を見せつけられた気がします。
さて、話を戻しますが、自身の副業収入が確定申告しなければならないものなのか、きちんと把握しておくことはとても重要です。
ここからは副業で確定申告をする必要があるのはどのくらいの収入が入った場合なのかについて解説していきます。
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副業で確定申告をするのはいくらから?
確定申告が必要となる条件でよく言われるのが「20万円以下は申告不要」というルールです。
本業以外に20万円以上稼いだ場合は確定申告が必要になります。
正確には給与所得者が本業以外に得た所得が20万円以下であれば確定申告は不要というルールになります。
No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
[平成30年4月1日現在法令等]大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。
しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければなりません。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
- 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。- 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
- 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
- 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
- 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
(注) 給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額には、次の所得は入りません。
- 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの
- 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
- 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの
- 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等
- 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
- 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)
(所法121、174、所令262の2、298、所基通121-5、措法3、8の5、37の11の5、41の10、41の12、災免法2、3)
(引用:国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」)
なお、この場合の算定基準は「所得」となる点に注意が必要です。
「収入」から「経費」を引いた金額が「所得」になります。
例えば、30万円の収入を得た際にかかった経費が12万円であれば、30万円-12万円=18万円となり、申告不要となります。
上記にあるとおり、申告不要となるのは「給与所得者が本業以外に得た所得が20万円以下」の場合ですが、会社員ではない自営業者などはどうなるのでしょう?
答えは「少額の所得であっても、確定申告をしなければならない」となります。
もともと確定申告をしなければならない対象の人については、少額の所得でも合わせて申告をしなければならないということです。
尚、サラリーマンなどの給与所得者であっても「年収が2,000万超」の場合は確定申告が必要です。
副業収入に関しても合わせて申告をしなくてはなりません。
ちなみに株式投資では証券口座開設時に特定口座(源泉徴収あり)を選択することで確定申告を自動で証券会社がおこなってくれます。
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副業収入の所得税の計算
所得税はその年に得られた所得の合計に対してかかる税金となりますが、そもそも所得とはなんなのか?
現在の日本の法律では、所得は10種類に分けられています。
利子所得 | 配当所得 | 不動産所得 | 事業所得 | 給与所得 |
退職所得 | 山林所得 | 譲渡所得 | 一時所得 | 雑所得 |
この中で特に副業に関わりが深いのが「給与所得」「事業所得」「雑所得」となります。
ケース別に所得の種類を少し解説します。
アルバイトなどの副業
副業にアルバイトなどを行った場合、その所得は「給与所得」となります。
この場合は非常に単純で、副業の給料が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。
ガソリンスタンドでアルバイトをしているなら、ガソリンスタンドから労働に対する見返りとして振り込まれた報酬が給与所得です。
アルバイト先から年末調整をしていない形で源泉徴収票が発行されるので、本業の源泉徴収票と合わせて確定申告を行いましょう。
所得税の計算については、こちらも単純です。
本業収入に副業収入を足した合計金額を「給与収入」として申告し、そこから通常通りの所得控除等を行って所得税を算出します。
事業としての副業
インターネットビジネスをはじめ、自分で事業を行う場合は「事業所得」「雑所得」となります。
この2つの大きな違いは何といっても節税効果の面でしょう。
事業所得の場合、赤字が出た際の繰り越し控除や他の所得との損益通算が可能など、税金面で大きくメリットがあります。
ただしお小遣い程度の少額な収入の場合は事業として認められず、後日税務署に突っ込まれる可能性があるので注意しましょう。
一定の額で継続的に得られることが基本的には目安となります。
ちなみに、2018年初頭まで話題沸騰していた仮想通貨の利益は「雑所得」でした。
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まとめ
今回の記事では、副業収入の確定申告における所得税計算について解説させていただきました。
昨今の「働き方改革」によって、サラリーマンも副業によって収入を得るのが当たり前になる時代が到来しています。
ぜひ継続した収入を得て、メリットの多い事業所得での確定申告を行えるようにしたいですね。
以上、【副業収入の税金】納税はいくらから?確定申告に備えて納税額の計算シミュレーションを実施しよう…でした!
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