JFEホールディングスは国内大手の鉄鋼メーカーを傘下に持つ持ち株会社です。
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からJFEホールディングスの今後の株価推移を分析していきたいと思います。
■ 投資判断基準:投資対象外
以下の点を総合的に勘案し、JFEホールディングスは「投資対象外」と予想。
■ 業績見通し:
▷ 19年3月期の連結税引き前利益は2093億円。なお、20年3月期の事業利益は前期比22.4%減の1800億円と公表しており、業績に対する先行き不安を感じる点。
■ 指標関連:
▷ ROEとROAも日経の企業平均以下であること。
▷ 予想PBRは0.45倍で割安水準であるが、これは人気がないため物色されないことから割安水準になっていると推測されること。
■ 他社との比較:
▷ 鉄鋼セクター事態が物色対象になっていないこと。
Contents
鉄鋼メーカー国内第2位のJFEホールディングスとは?
JFEホールディングスを3つの事業分野からご紹介していきます。
①:鉄鋼
鉄鋼事業はグループの総売上収益の63.7%を占める、JFEホールディングスの主力事業です。
JFEスチールが主力となりサービスの提供を行っています。
②:エンジニアリング
エンジニアリング事業はグループの総売上収益の10.9%を占めている。
JFEエンジニアリングが主力となりサービスの提供を行っている事業です。
③:商社
商社事業はグループの総売上収益の25.3%を占めている、JFE商事が主力となりサービスの提供を行っている事業です。
また、JFEホールディングスでは日本国内だけではなく、世界20か国で事業を行っています。
JFEホールディングスの過去10年の業績推移(PL)
ここでは日本を代表する鉄鋼メーカーである、JFEホールディングスの過去10年間の業績推移を見ていきます。

上記はJFEホールディングスの過去10年間の業績推移です。
JFEホールディングスの売上高は2010年に底打ちをしていますが、
およそ300,000百万円~から400,000百万円の範囲での推移になっていることがわかります。
比較して、本業を表す営業利益は2013年に底打ち後も乱高下を繰り返し安定していないことを見て取ることができます。
このことから、JFEホールディングスの業績は混迷しているということができます。
JFEホールディングスが5月14日に発表した決算によると、19年3月期の連結税引き前利益は2093億円となっています。
なお、20年3月期の業績見通しについて、事業利益以外は非開示になっています。
20年3月期の事業利益は前期比22.4%減の1800億円と公表しています。
また配当は未定になっています。
JFEホールディングスのROEとROA
JFEホールディングスのROEとROAも営業利益同様、混迷している状態であることがわかります。

ROEは-2.59%~19.45%の幅で推移しています。
しかし、2012年の底打ち後から日本の東証一部の平均値である8%を超えて推移したことがありません。
またROAも不安定であり、2012年の底打ち後から0.96%~2.18%で推移しており、日本の東証一部の平均値である2%をキープできていないことがわかります。
JFEホールディングスの中期経営計画「第6次中期経営計画 (18~20年度)」
JFEホールディングスは第6次中期経営計画を発表しています。
【①:主要施策】
- 最先端技術により社会ニーズに同期化し、成長戦略を推進
- 国内収益基盤整備の継続と製造実力の強化
- 海外事業の推進と収益拡大
- 持続的な成長を支える企業体質強化
【②:数値目標】
連結経常利益2,800億円、親会社株主帰属当期純利益2,000億円。
20年3月期の事業利益は前期比22.4%減の1800億円と公表しているため達成は難しいということができます。
JFEホールディングスのテクニカル分析
ここではJFEホールディングスは買いか売りかをテクニカル的な側面から分析していきたいと思います。
JFEホールディングスの過去10年の株価推移
下記はJFEホールディングスの10年間の株価推移です。

混迷する業績を反映するかのような株価推移になっています。
当然ですが日経平均株価に連動することのない独自の株価形成を行っているということができます。
JFEホールディングスのテクニカル分析
ⅰ.レンジ相場形成中
下記のチャートをご覧ください。JFEホールディングスは単純に941円―3,081円のレンジ相場を形成しているといえます。

よって、相場格言「持合いは放れに付け」が正しいJFEホールディングスの攻略方法ということになります。
購入する場合は、3,081円をブレイクした後の押し目を狙っていくのが正攻法であるといえます。
ⅱ.ブレイクは近い?一目均衡表から見るJFEホールディングス
下記は一目均衡表からみたJFEホールディングス(5411)の月足チャートです。

一目均衡表の雲(ピンクの部分で強い上値抵抗)がかなり薄くなっていることがわかります。
これは上値抵抗が弱くなっていることを示しています。
また2019年の年末にJFEホールディングスは変化日を迎えることもわかります。
そこで基準値である2,140円を超えて推移できれば、JFEホールディングスの長い混迷期はテクニカル的に抜けることができます。
JFEホールディングスはテクニカル的に中期「様子見」、2019年の年末に基準値を超えたら「買い」であるということができます。
鉄鋼業界の競合他社との比較
JFEホールディングス(5411)を同業である日本製鉄(5401)、神戸製鋼所(5406)と比較検討していきます。
JFEH | 神戸製鋼所 | 日本製鉄 | |
PER | 6.0 倍 | 9.8 倍 | 6.5 倍 |
PBR | 0.45 倍 | 0.33 倍 | 0.51 倍 |
配当利回り | 6.0 % | 2.8 % | 4.3 % |
ROE | 8.49% | 4.86% | 7.77% |
ROA | 3.47% | 1.51% | 3.12% |
PERはとPBRセクター全体で割安水準
セクターのPERは神戸製鋼所の9.8倍のみの表示です。
日経平均株価の平均はPER13~14倍であるため、セクター的には割安であるということができます。
セクターのPBRでは日本製鉄の0.51倍が最も高くなってます。
日経平均株価の平均PBRの2倍であるため、セクター的に割安であるといえます。
JFEホールディングスの配当利回りは高い
JFEホールディングスは配当金水準が非常に高く日経平均でも最高水準の6%の配当利回りとなっています。
株主優待
神戸製鉄所のみ株主優待が設定されていません。
ⅰ.JFEホールディングス
保有100株以上で自社グループの会社説明会および各製鉄所・事業所等の工場見学会に参加することができます。
ⅱ.日本製鉄
1,000株以上保有で、製鉄所・製造所見学会(年2回、抽選)、経営概況説明会(年2回、抽選)に参加することができます。
また、9月権利日に500株以上保有していた場合、自社カレンダーをもらうことができます。
さらに、5,000株以上の保有で鹿島アントラーズのJ1リーグ戦観戦ご招待(年2回、抽選)、紀尾井ホール演奏会へのご招待(年2回、抽選)の権利を得ることができます。
決算予測の比較
ⅰ JFEホールディングス
19年3月期の連結税引き前利益は2093億円となっています。なお、20年3月期の業績見通しについて、事業利益以外は非開示になっています。20年3月期の事業利益は前期比22.4%減の1800億円の見通し。
ⅱ 日本製鉄
19年3月期の連結税引き前利益は2487億円になった。なお、20年3月期の業績見通しは非開示。
ⅲ 神戸製鋼所
19年3月期の連結経常利益は前の期比51.3%減の346億円。なお、20年3月期の業績見通しは非開示。
競合他社比較総合
製鉄セクターがどこも横並びの印象です。
ただし20年の業績を一部公開したJFEホールディングスが一歩リードしているということができます。
まとめ
今回はファンダメンタルとテクニカル両面からJFEホールディングスの今後の株価推移を分析してきました。
テクニカル的には年末の変化日で上抜けした場合「買い」との判断になります。
ファンダメンタル的には業績が不安定であるため、「投資対象外」ということができます。
総合して、JFEホールディングスに投資する意味はあまりないと判断することができます。
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