日本で算出されている株価指数にはさまざまな種類が存在します。
代表的なものに以下の指数があります。
さて、上記にはない
「日経JAPAN1000」
という株価指数をご存知でしょうか?
日経平均株価や東証株価指数と比べると、少し知名度が低いかもしれません。
実は、日経JAPAN1000は、株式市場に連動した運用を目指すトレーダーにとっては欠かせない株価指数です。
このコンテンツを参考に、日経JAPAN1000の知識を身に着けていきましょう。
目次
Contents
日経JAPAN1000とは?ニッチだが重要な日経インデックスに迫る!
「日経JAPAN1000」とは日本国内の証券取引所に上場している全銘柄から選定された1,000銘柄を対象としている株価指数です。
全銘柄のうち、投資信託・不動産投資信託(REIT)・優先出資証券・子会社連動配当株などは除くのでご注意ください。
日経JAPAN1000は、日本の株式市場全体の値動きに連動させた運用を目指す、トレーダーのためのベンチマークとすることを目的として設計されています。
そして、「浮動株」の調整を加味した時価総額型の指数となっています。
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どのようにして日経JAPAN1000が生まれたのか?
日経JAPAN1000は2005年3月31日に算出が開始された、比較的新しい株価指数です。
日経JAPAN1000は、知名度の高い日経平均株価や東証株価指数、ジャスダック指数などとは違い、
全国の証券取引所に上場している全銘柄を対象としています。
一般的には、東証一部が圧倒的に市場規模の大きい市場だと考えられています。
それは、JASDAQ市場に上場している企業のなかにも東証一部と大差ないような規模・出来高を誇る企業が少なくないからです。
上記で触れたように日経JAPAN1000は、トレーダーにとってのベンチマークとすることを目的として作られました。
最も良質な資産運用をするときは株式市場を絞る必要がないと考えから、上場している全銘柄を対象としています。
また、なぜ全銘柄を対象としたうえで1000銘柄に絞るのでしょうか?
理由は、もしその指数に連動する運用をおこなったときに、小規模で売買がほとんどおこなわれていない銘柄が含まれていると、運用のパフォーマンス低下の原因になりかねないからです。
そのため絞りすぎることのないキリのいい数字として1000銘柄を採用することになりました。
また、日経JAPAN1000は浮動株の調整がおこなわれている指数です。
つまり、親子上場や株式持ち合いなどの長期的に株を保有している株主の持ち株数を控除しているということです。
こうすることで、本当に市場に流通している株式数を基に株式市場の動向を掴むことが可能です。
また、トレーダーにとっても実感に近い指数として受け入れられやすいというメリットがあります。
このように、株式市場に連動した運用を適切におこなうために具体化された株価指数が、日経JAPAN1000なのです。
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日経JAPAN1000の算出方法
ここまでの説明で、日経JAPAN1000の異議についてお分かりいただけたかと思います。
では次に、日経JAPAN1000の算出方法をご紹介していきます。
算出方法は時価総額加重型が採用されていて、基準日である2002年11月1日の数値を基準値1000として求めます。
日経JAPAN1000 = 採用銘柄の浮動株調整済み時価総額 / 基準日の時価総額 × 1,000
上記の式から算出が可能です。
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日経JAPAN1000の代表的な構成銘柄一覧
では、日経JAPAN1000には一体どのような銘柄が採用されているのでしょうか?
以下で代表的な例を業界別にご紹介します。
■ 代表的な日経JAPAN構成銘柄:
- 水産
日本水産(株)、マルハニチロ(株)
- 鉱業
日鉄鉱業(株)、石油資源開発(株)
- 建設
東急建設(株)、ミサワホーム(株)、(株)大林組、清水建設(株)、三井住友建設(株)
- 食品
森永製菓(株)、江崎グリコ(株)、山崎製パン(株)、カルビー(株)、(株)ヤクルト本社
- 繊維
グンゼ(株)、日本毛織(株)、(株)ワコールホールディングス
- パルプ・紙
王子ホールディングス(株)、日本製紙(株)、大王製紙(株)
- 化学
(株)クラレ、旭化成(株)、住友化学(株)、日本化学工業(株)、(株)三菱ケミカルホールディングス
- 医薬品
武田薬品工業(株)、アステラス製薬(株)、エーザイ(株)、ロート製薬(株)、(株)ツムラ
- 石油
出光興産(株)、富士石油(株)、コスモエネルギーホールディングス(株)
- ゴム
(株)ブリヂストン、住友ゴム工業(株)、三ツ星ベルト(株)、TOYO TIRE(株)
- 窯業
日東紡績(株)、AGC(株)、日本電気硝子(株)、TOTO(株)、日本カーボン(株)
- 鉄鋼
日本製鉄(株)、(株)神戸製鋼所、大和工業(株)、三菱製鋼(株)、新日本電工(株)
- 非鉄・金属
三井金属鉱業(株)、三菱マテリアル(株)、住友金属鉱山(株)、アサヒホールディングス(株)
- 機械
(株)日本製鋼所、東芝機械(株)、住友重機械工業(株)、日立建機(株)、ダイキン工業(株)
- 電気機器
日清紡ホールディングス(株)、ブラザー工業(株)、(株)日立製作所、(株)東芝、オムロン(株)
- 造船
(株)三井E&Sホールディングス、川崎重工業(株)、(株)名村造船所
- 自動車
日産自動車(株)、いすゞ自動車(株)、トヨタ自動車(株)、三菱自動車(株)、日野自動車(株)
- 輸送用機械
日本車両製造(株)、新明和工業(株)、極東開発工業(株)、(株)シマノ
- 精密機器
(株)島津製作所、オリンパス(株)、(株)タムロン、シチズン時計(株)、セイコーホールディングス(株)
- その他製造
(株)バンダイナムコホールディングス、(株)タカラトミー、(株)アシックス、ヤマハ(株)
- 商社
伊藤忠食品(株)、三井物産(株)、日本紙パルプ商事(株)、(株)日立ハイテクノロジーズ
- 小売業
(株)ローソン、(株)サンエー、(株)エービーシー・マート、アスクル(株)、(株)エディオン
- 銀行
(株)ゆうちょ銀行、(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ、(株)三井住友フィナンシャルグループ
- その他金融
(株)クレディセゾン、みずほリース(株)、SBIホールディングス(株)、アイフル(株)
- 証券
(株)大和証券グループ本社、野村ホールディングス(株)、丸三証券(株)、マネックスグループ(株)
- 保険
(株)かんぽ生命保険、第一生命ホールディングス(株)、東京海上ホールディングス(株)
- 不動産
野村不動産ホールディングス(株)、東急不動産ホールディングス(株)、三井不動産(株)
- 鉄道・バス
東急(株)、京浜急行電鉄(株)、小田急電鉄(株)、京王電鉄(株)、富士急行(株)
- 陸運
日本通運(株)、ヤマトホールディングス(株)、ニッコンホールディングス(株)、(株)日立物流
- 海運
日本郵船(株)、(株)商船三井、川崎汽船(株)、NSユナイテッド海運(株)
- 空運
日本航空(株)、ANAホールディングス(株)
- 通信
(株)東京放送ホールディングス、日本テレビホールディングス(株)、(株)テレビ朝日ホールディングス
- 倉庫
三菱倉庫(株)、(株)住友倉庫、(株)近鉄エクスプレス、三井倉庫ホールディングス(株)
- 電力
東京電力ホールディングス(株)、中部電力(株)、関西電力(株)、中国電力(株)
- ガス
東京瓦新(株)、大阪瓦新(株)、静岡ガス(株)
- サービス
(株)ミクシィ、クックパッド(株)、(株)ぐるなび、(株)すかいらーくホールディングス
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日経JAPAN1000の銘柄入れ替え
日経JAPAN1000は、指標の正確性を保つために毎年10月末に「定期見直し」として構成銘柄を入れ替えます。
入れ替えには、過去2年間の浮動株調整済み時価総額の平均値ランキングを考慮します。
途中で経営再編、破綻などで降格し銘柄数が1000を下回った場合は、その時点では補充はしません。
定期見直しのときに1000銘柄に数を合わせるということも知っておきましょう。
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まとめ
今回のコンテンツでは、日経JAPAN1000の異議や算出方法、構成銘柄について解説してきました。
日経JAPAN1000は浮動株調整済みの時価総額を用いて算出されます。
そのため、市場参加者の実感に近い株価指数として受け入れられやすくなっています。
また日本国内の株式市場に上場している全銘柄を対象にしています。
それにより、一般的にいい企業が集まるとされる東証一部以外からも本質的にいい企業を選出することができます。
つまり、抜け漏れがなく正確性の高い株価指数と言えるのです。
以上、株トレーダー必見の株価指数「日経JAPAN1000」とは?存在意義・算出方法と構成銘柄を紹介。…でした。